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2017年03月18日

メイドさんとか使用人の皆様が大活躍する英国ミステリ

 今日ご紹介するのは『家政婦は名探偵』
 エミリー・ブライトウェル (著), 田辺千幸 (訳)
 である。

 重度の執事やメイドさんスキーの方なら当然ご存知であろうとは思うが、いちおう解説しておくと、英国における家政婦というのは、英語で言うとHousekeeperであって、その職掌は、女性使用人を統括するいわゆるメイド長的な立場の人物を指して用いられる言葉である。
 決して日本でいうところのいわゆる家政婦の市原悦子さんのそれではないのである。

 市原悦子さんみたいな、家事をなんでも一人でやるようなメイドさんは、メイド・オブ・オールワークスと呼ばれ、翻訳としては雑役女中などと呼ばれる。

 最初から話がわきにすっ飛んで行ってしまったが、つまりそのメイド長たるところの主人公が大活躍する英国ミステリ小説なのである。
 英国ミステリって何か実にいい響きですね!
 なお作者はアメリカ人であるが。


家政婦は名探偵 (創元推理文庫)

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 なんか本が薄いわりに高いので、いちおう中古品へのリンクを貼っておいた。
 最近はちょっと本って高くなってない?高いよね?と思う今日この頃である。
 ちょっと前だったらこのくらいの厚さの本は新品でせめて700円くらいだった気がするが……


 閑話休題。


 この作品のミステリとしての評価はまあ可もなく不可もなくといったところである。
 ものすごい奇抜なトリックがあるでもないが、それでも小説として手堅くまとまっていて良いと思う。
 また、舞台が執事さんやメイドさんのいた時代であるから、登場人物の道徳観も非常に昔気質で慎み深い。
 極端にグロテスクだったり残酷だったりする描写もなく、お子様でも安心して読める健全さであるから、当ブログとしてはそこらへん実に推したいところである。
 当ブログ推薦である!


 で、そういう作品としての一般的な評価とは別に、当ブログはワナビのための資料本とかオススメ本とか紹介するブログであるから、そういう観点でこの本を見てみるとこれがなかなかオススメなのである。
 
 この本の筋立ては、
 まず、主人公である家政婦のジェフリーズ夫人というのがいて、
 主人公の雇い主はウイザ―スプーンという名の警部補で、彼は刑事である。
 しかし、このウイザースプーン警部補は刑事なのに、残念ながら犯罪捜査はあんまり得意でないのである。
 それでジェフリーズ夫人が配下の使用人たちを指揮しつつ、彼らと一緒に独自の捜査を行い、集めた情報を、警部補本人にも気付かれないようにしつつ、ウィザースプーン警部補にそれとなく知らせ、事件を解決に導く、
 というものである。


 このウイザースプーン家の使用人は以下のごとくである。

 ジェフリーズ夫人:家政婦
 グッジ夫人   :料理人
 ベッツィ    :メイド
 ウィギンズ   :従僕と訳されている。おそらくフットマン。
 スミス     :御者

 通常であれば、男性使用人は執事が統括し、
 女性使用人は家政婦が統括する、というのが家事使用人の標準であるが
 これを見ると分かるようにウイザースプーン家は執事がいないのである。
 ウィザースプーン家はウイザースプーン警部補本人以外に家族もいないし、大きな家でもないので、そこらへん小ぢんまりとしているのである。
 それで、家政婦のジェフリーズ夫人がコック以外をまとめて統括するような配置になっているのである。
 (コックは通常、家政婦の指揮下には入らない)

 フィクションだとやたら執事とか出てくるが、そもそも男性使用人の、さらに執事ともなれば給金が高いし、そうやたらめったら執事なんか雇っている家はないはずで、むしろメイドと料理人を1人ずつとかのが大多数であろうかと思われるんである。
 そういうわけで、この作品は、そういう、いくぶん小ぢんまりした家での使用人模様を描き出しているあたり貴重な資料であるとも言える。

 さらに作中に登場する別の家であるが、奥様とフランス人の侍女の組み合わせとか、
 ネタばれになるので書かないが、作中の小道具として訪問カードが用いられていたり、
 実に英国的フレーバーなテキストにあふれた作品である。

 英国、執事、メイド

 このへんのワードに反応してしまうあなたにはぜひ買っていただきたいところである!

2016年12月01日

お嬢様とお付きのメイドみたいな作品を書くには必須の資料!


 今回ご紹介する本は、

 『 おだまり、ローズ 』 〜子爵夫人付きメイドの回想〜 ロジーナ ハリソン (著)

 である。

 
 これは読んで題名の通りであるが、アスター子爵夫人の侍女であった人が書いた回想録である。

 田舎の農村の女の子であったローズの幼少時代の回想から始まって、
 彼女が、世界中の色々なところに旅行をしたいという動機で貴族の奥様の侍女になり、
 それから、彼女が最後に、最も長く使えた女主人となったアスター子爵夫人とのエピソードが描かれる。


 つまり、
 メイドになるような女の子は、どういうところの出身で、どういう素性をもっているのか、から始まって、
 希望する職種のメイドになる方法、メイドさんの就職事情やら、転職の仕方、
 メイドになってからのあれやこれや、自分の勤め先についての当事者たちの感想やらも読めるのである。
 すべて盛りだくさんに書かれている。

 例えば、一般にメイドや執事やらについて書いた資料本などを読むと、
 侍女になりたければフランス語や裁縫などを勉強しなければならぬ、などと書いてあるのであるが、
 ローズのお母さんが侍女になりたいと言い出した娘のために、本当にフランス語の勉強をさせたり、裁縫を習わせたりする描写がある。

 またローズは作中で幾度か職場を替わっているわけであるが、そういう転職の実際みたいなものも、本人自身のエピソードを元に書いてあるわけである。

 さらにまた、侍女である主人公が奥様の非常に高価な宝石類などをどのように管理していただとかを書いてある。

 せっかくだからここにちょっとだけ書いておくと、
 まず勤め始めたときに管理すべき宝石についてのリストを渡されて、それにサインをして、
 それから、そのリストに書かれてある宝石がなくならないよう管理するのだそうである。
 自分の年収の何百倍何千倍というような宝石を管理しなければならない侍女という仕事もなかなかに大変である。
 まあ宝石にはそれぞれ保険もかけるようであるが。
 面白いことに、その保険の保険料の額が、宝石を銀行などに預けているときと、それを身に着けてパーティーなどに出て使っている時では保険料の額が違うんだそうである。
 もちろん銀行から出して使っている間は紛失の危険度が高くなるので、その期間に応じて、普段よりとっても高い保険料を取られるそうである。

 こういう、単なる空想では思いつかないような、実際の細かいデティールのところが非常に資料としての価値が高いと言えるのである。
 このような資料を参考にして自作にも、宝石にかける保険とかそんなような、それらしい描写を付け加えれば、作品の質感もアップするかもしれんわけであるね。
 


 そして、ローズの最後の主人となったアスター子爵夫人と、奥様付きのメイドであるローズのやり取り、その関係性の描写は、この本の主要な部分であって、際立っている。
 『おだまり、ローズ』 という奥様の口癖が、この本の題名になっているくらいであるから、推して知るべしである。

 わりと激しい性格でわがままかつけっこうな無茶を言うかと思えば情に深かったりするツンデレ女主人と、
 頭が良くって才気があるできるメイドさんとの愉しきやり取りである。

 女主人とメイドが登場するような作品は色々にあると思うし、それを書こうとすれば色々と想像して書くのではあろうけれど、やはりこの本のような本物の資料に触れることの刺激は素晴らしいものがある。
 『 お嬢様とお付きのメイド 』 みたいなバディーものの作品を書こうと思っている方であれば、もはやこの本は必読の資料であり、この本を知らないことは罪とでも言うくらいのレベルの本であるとも言える。

 非常におすすめできる素晴らしい本であると思う。


おだまり、ローズ: 子爵夫人付きメイドの回想

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2017.10.04追記

クリブデン(Cliveden):英国屈指のカントリーハウスに泊まる
 ↑ リンクはこちら

ネットを色々漁っていたら、この本の主人公の一人であるアスター子爵夫人が住んでいたマナーハウスであるクリヴデンを旅行された方のサイトがあったのでリンクを張っておく。
『クリヴデン』で画像検索とかすると、検索結果がいっぱい引っかかってくるのではあるが、このページが資料的な意味ではいい感じだと思われるのでご覧あれ。

2016年11月18日

貴族の生活ってみんな興味あるよね!


なんだか超ひさびさの更新であるが、今日ご紹介するのは、

『 王朝貴族物語 』 (講談社現代新書) 山口 博 著 である。


これは平安時代の貴族について色々と書かれた本である。
この本の何が素晴らしいって、それはもう、貴族の制度とか生態を色々と解説してくれてるところである。

たとえばなろう小説を書こうとして、その中に貴族が登場したりなどすることはありがちであるけれども、そのような場合の設定を決める際の資料として非常に有用な本と言える。

人口当たりの貴族の割合であるとか、
どのような階級(つまり五位とか六位とか)と
仕事やポスト(地方長官のなんたらの守とか)でどれくらいの年収がもらえるとか、
出世のルートがどうであるとか、
都市にいる政治家や官僚の貴族の一日がどういうスケジュールだったかとか
年間何日くらい勤務していたかとか
国家の緊急事態が起こったらどうなったかとか
平安京とか平城京とかの都市に居住する貴族に国から支給される住宅の階級ごとの広さがどうであるとか書かれてあるんである。

あと、この貴族に支給される住宅用の土地の広さについての記述があって、
それが私の設定厨ごころにビンビンきたので書いておく。

なんでも、
一位から三位の上流貴族には120メートル平方で14400平方メートルだそうだ。
およそ1.44ヘクタールにもなる。
これが『一町』っていう単位になるそうである。

四位と五位の中流貴族はその半分で0.72ヘクタール

六位以下はさらにその半分で0.36ヘクタールというところらしい。

分かりやすく言えば、
上級貴族は学校とかの運動場の倍くらいの広さの土地の邸宅が首都に持てるよ。
中流貴族は学校とかの運動場くらいだよ。
下級貴族はその半分くらいだよ。
ということである。

でもそれはいわゆる規定ではそうなってるってことで、
実際はすんごいお金持ちの大貴族はさらに土地を買い足して二町ぶんの普通の倍の広さの土地にしたり、
倍だと縦長とか横長になって、いびつだからか知らないが四町にして四倍にしたりしてたそうである。
すごい広いのだと八町なんてのもあったそうである。

これを貴族とか登場する西洋中近世ファンタジックなろう小説とかに当てはめれば

公爵〜伯爵は1ヘクタール
子爵とかは半分で
男爵以下はその半分の邸宅が国から与えられるが
お金持ち大貴族は自分で土地を買い足して2ヘクタールとか4ヘクタールにしちゃってるんだとかそういう設定が作れてしまうんですね。


あともう一つ個人的に面白かったのは、宗教やらまじないやらが、いかにそういう昔の人の生活に入り込んでいたのかの記述である。

例えば方違えっていうのがある。
これは例えばどこかに行く用事があって、その旅行にいく方角を占ってみるのである。
結果が悪いとどうするかというと、目的地から例えばななめ四十五度逸れたほうに行くのである。
そしてちょうど半分まですすんだところで目的地に向かって方向転換して進むんである。

まじないとか宗教がその時代の人の心の中に深く浸透しているので、
つまり登場人物の内心が、現代の日本人とはだいぶ違うなあと分かるところである。


まあそんなこんなで非常におススメである。
文章も読みやすいし面白い。
決して退屈な資料本ではなくて楽しい読み物なのでこれはぜひ買いであると思います。


王朝貴族物語 (講談社現代新書)

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2016年06月03日

君は英国王の戴冠式の手順を知っているか!

 今回おすすめする本はかなりのアタリである。
 掘り出し物である。

 おすすめするのは、

 『エドワーディアンズ』 ― 英国貴族の日々 ―
 ヴィタ・サックヴィル=ウエスト (著), 村上 リコ (翻訳)

 である!


 翻訳者が偉大なるメイドマスターのひとりである村上リコさんというだけでもう期待できてしまうが、期待に違わぬ素晴らしい本である。
 コアな本ばっかり出す河出書房新社だからもうもう、というところでもあろう。


 さて、本の内容であるが、あらすじとしてはあんまり大したことがない。

 1905年、つまりはエドワード王の時代の英国公爵の青年が、
 社交界でアレやコレやして、不倫とかしてみたり、とかいうようなどうでもいい話である。


 が! この本の真価はそういう頭の弱くなりそうなあらすじ部分にあるのではない。

 そう、ワナビの皆様にもとってもタメになる、資料的部分にこそ価値があるのである。

 



 この本の作者であるヴィタ・サックヴィル・ウエストは英国貴族たる男爵の令嬢である。
 つまりモノホンの貴族なんである。
 そんな彼女が書いた、貴族の青年を主人公にした小説ということは、
 ファンタジー世界にトリップ系なろう小説とか書いて、そこに貴族とか登場させたいワナビの皆様にとっては非常に価値のある本と言わざるを得ないわけですね。
 

 この本の最初の章では、シェヴロンというまあ、公爵様のお屋敷の描写がある。
 
 その建物の外観の様子とか、室内の様子とかが色々と描写されて、
 さらに、そこで働く使用人たちの描写も、その内心に踏み込んでなされる。





 これでもかなり貴重であるが、この本のさらに貴重なところは、
 その当時の、つまり貴族とかがいた近世の時代の、貴族やあるいは、貴族ではない一般庶民の価値観を分析的に書いているところである。


 例えばなろう小説とか見ていると、横暴な豚のような貴族みたいなのが登場して、庶民に無理難題を吹っかけたり、チンピラのように絡んだりもするが、この小説で出てくる貴族はそんなのではない。

 横暴さなどというものはなくて、むしろ社会の要求する礼儀作法や決まりごとに極めて忠実であり、かつ貴族であり続けるためにはその決まりごとに忠実であることを要求される、がんじがらめにされた存在として描かれる。
 そうして、高度に発達した虚栄心のために、例えば不倫はするが、それが露見して(公然の秘密ではあってもよいが、それが公式の事実となって離婚したりとかは許されない)醜聞となることを極度に恐れるのである。

 つまり貴族というのは、わかりやすい暴力や悪行で人を威圧したりはしない。
 むしろ、表面上は善良で人当たりのよくふるまう存在なのである。

 おそらく貴族の特権とか、富の分配の不公正とか、支配の構造とかは、国の法制度とかそういうものの中に、組み込まれているのであって、彼らが直接に表にでて、庶民を虐げるというわけではないのだということが分かる。





 そして、庶民は庶民の側で、彼ら貴族たちを、富を独占する特権階級であり、そこには不公正さがあると認識してはいるが、同時に、いわば貴族をアイドルか何かのように仰ぎ見て喜んでいたりもするのである。

 例えばこの本の中ほどで、主人公のセバスチャンは、テリーサという女性に近づく。
 もっともこれは未遂に終わり、不倫には発展しないのであるが、このテリーサという女性が面白いのである。

 彼女は、家に貴族名鑑とかそういう類の本を持っていて、
 かつ新聞記事とかに貴族のなんたら卿が何においでになりました、みたいな新聞記事があったりしたら、その記事とか記事にくっついている写真とかを切り抜いてスクラップしてたりするのである。
 そして、彼女が夫と一緒に(彼女の夫は医者である)観劇にでもいくと、貴族様用の特等席を遠くから物見高く眺めて、夫にあの方は何々卿よ、とか、あのご婦人は何々卿婦人よ!きれいねー! みたいにして教えてあげるんである。
そういう貴族様に直接会ったことがあるわけでもないのに彼女はそういう上流社会に詳しいわけだ。

 そして、主人公のセバスチャンが彼女の家の前で足を踏み外して、それを彼女の夫が治療した関係で、彼女の家に公爵家のお屋敷への招待状が届くと、彼女はウッキウキで夫と一緒に出掛けて行くんである。


 つまり何が言いたいかというと、その当時の貴族ってのは、アイドルのかわりなのである。
 そして彼女は昔の追っかけさんというかミーハーさんである。

 現代には海外のセレブとか特集した雑誌とかあるし、アイドルの総選挙とか、まあそういうのがあるが、ハリウッドスターも存在してなくて、アイドルもいなくて、大物映画俳優もいない。みたいな昔の社会では、庶民のアイドルを眺めたいという欲望を唯一満たし得る存在は貴族以外にあり得ないんである。

 だから彼らの動静がニュースにもなったりするのである。
 まあ、現在でも皇室ウオッチャーとか王室ウオッチャーみたいな人はいるし、ダイアナ元妃はパパラッチに追いかけられたのであるが。

 まあつまり、なろう小説には『アイドルとしての貴族』という視点がいくらか欠けているような気がしないでもない。






 そしてここまで楽しく話が進んできて、さらに本の最後のほうでさらにクライマックスがあるのである。

 クライマックスといっても、小説のあらすじ的な意味でのクライマックスではなくて、本の資料的価値としてのクライマックスである。

 この本の最後の方には、なんとイギリス国王の戴冠式の様子が描かれているのである!

 そして、主人公は公爵様であるから、その儀式の一部を担当するために儀式に出席するのである。

 つまり、国王の戴冠式に高位の貴族がどういう衣装を着て、どういうものを頭にかぶり、どういう馬車に乗って出かけ、どういう宝具を用いて、どういう儀式に参加するのかとか、儀式の手順とかが書かれているのである。

 これはかなり貴重ではないだろうか!

 なろうで小説とか書くときに、ひょっとして戴冠式のシーンとか登場させたい場合は、適当に妄想して書くよりは、この本を読んで実際の戴冠式の様子を参考にして、ちょっとだけファンタジー風にアレンジして書けばリアル感マシマシであることは間違いないと思う。





 つくづくと(あらすじ的にはあんまり面白くないが)資料的な価値が高い本である。
 かなり貴族とか登場する異世界トリップ系小説を書くワナビの皆様にはかなり良い本だと思うので、とってもおすすめの一冊である。


エドワーディアンズ ---英国貴族の日々

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2016年05月23日

イギリス人ってほんとに粗食のようです・・・・・・


 小説中に食事のシーンを入れると、うまいことやれば、小説に臨場感や没入感を加えるのに良いそうである。

 これはつまり、文章でなされる描写に対して、読者に欲望を抱かせることで、その没入感がうまれるとかなんとか聞いたことがある。

 このやり方のもっとも簡便な方法はつまり、性描写であって、つまりはポルノのことなんであるが、そうすると、小説が18禁になってしまって、良い子が読めなくなってしまうし、ということはお子様でも安心してお読みいただける作品のみ紹介する、もはや文部科学大臣推薦ブログとなってしまいそうな勢いの健全さを誇る当ブログとは方針が合わないので、皆様にご紹介できなくなってしまうのである。


 というわけでポルノが駄目となれば、あとは次善の策で食事の描写なのである。
 人間の主な欲望は、食欲・性欲・睡眠欲と言われるけれども、
 性欲を起こさせる描写が駄目なら、まあ次は食欲を起こさせる描写である。
 猛烈な眠気を感じさせる小説ってのは、それ褒め言葉じゃない気がするし(´・ω・`)

 まあでも最近は、ネット小説とか読んでると、称賛されたい欲みたいなのも、食欲・性欲・睡眠欲に負けず劣らずある気もするのであるが。

 すなわち 俺tueeee! ⇒ キャー素敵! のコンボである。

 
 閑話休題

 で、今日ご紹介するのは
 『メアリー・ポピンズのお料理教室―おはなしつき料理の本』
 モーリス・ムーアベティ, メアリー・シェパード, トラヴァース 著

 である。


 これはつまり、メアリーポピンズシリーズの番外編であり、
 かつ料理本にもなっているというお得な一冊なのである。

 メアリーポピンズが何なのか分からないという方には、当ブログの、

 ガヴァネス(女家庭教師)が主人公の名作のページをご参照いただき、
 このメアリーポピンズシリーズ第1作の風にのってきたメアリー・ポピンズをぜひ一度お読みいただきたいところである。

 当世流行りの、中世(近世)ヨーロッパ風異世界ネット小説では、
 やたらと子供に傅くようなというか、子供にヘイコラするような使用人が目につくんであるが、そのような空想上の甘っちょろい使用人とは一味も二味も違うような、ビシビシ厳しいナニー(乳母)の様子が垣間見れるのである。


 まあそれはいいとして、今日ご紹介する本の何がいいかと言えば、つまり中世(近世)ヨーロッパ風異世界小説とかお書きになるようななろう民の皆様などが、小説中に食事のシーンを入れたい場合などに、参考資料として使えるというわけなのである。
 なんせ昔の英国の人が書いた本なんであるから、ヨーロッパ風異世界小説を書く資料としちゃバッチリと言える。


 で、ほほう、それはそれは……と内容を見てみて思ったことはですね。
 英国人って、粗食だなー……である。

 
 例えばこの本の13ページからある日の献立を見てみよう。

 ※朝食

 ・オレンジジュース、ミルク(大人は紅茶)
 ・コーンフレーク
 ・半熟卵

 ※昼食(これがディナー、サパーでなくディナーなのでこれが主たる食事)

 ・ローストビーフのヨークシャプディング添え
 ・キャベツのバター煮
 ・星の形のジンジャーブレッド

 ※夕食
 ・チーズトースト
 ・レモンゼリー


 皆様どうであろうか?

 昼飯がディナーであるからローストビーフとか出てくるのはなかなかゴージャスでよろしいが、それでもちっと品数が足りん気がしないだろうか?

 だって肉・キャベツの煮たやつ・パン(ジンジャー味)で終了ですよ?
 たんぱく質・野菜・炭水化物の三種はそろっているものの、もっと黄緑色野菜とか……と心配になってくる。

 一日のもっとも豪華な食事の昼食でこれだから、他の食事はおして知るべしである。

 朝食はまあ、朝からそんなに食えないし、こんなとこでいいとして、
 夕食の貧相さはいったいなんであろうか。

 チーズトーストとゼリーだけって……夕飯がこれだけってひどくね?
 と言いたくなるところである。


 これがイギリス人の一般家庭の食事であるというなら、イギリスってヒドい!
 
 イギリス=飯マズ=そもそも食うことに関心がない
 
 という式が成り立ってしまうのではなかろうか?

 まあしかし、逆に考えれば現代日本人が食い過ぎなのかもしれない。
 異世界トリップ系(もしくは異世界接続系)主人公が料理で現地人を驚かせるって話も、ネット小説には一ジャンルとしてあるようだから、つまりそれは現地人が貧乏舌でないといかんわけで、まあそんなもんなのかなーという気もする。

 そういうわけで、非常に参考になる一冊であるからワナビの皆様にもぜひおすすめである。


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2016年03月13日

メイド漫画の最高峰!

 久々の更新であるが、今日おススメしたいのは 『シャーリー』 森 薫 (著)という漫画なのである。

 森薫さんと言えば自他ともに認めるメイド好きであり、これまた極めて高品質なメイド漫画である『 エマ 』やら、これはメイド漫画ではないが中央アジアあたり?の遊牧民の生活を描いた漫画である『 乙嫁語り 』などで有名な漫画家さんである。

 しかしここはあえて『 シャーリー 』を推したいのが当ブログの立場なのである。

 まず『 エマ 』も『 乙嫁語り 』も偏執的なまでの書き込みがなされた、1ページ1ページが芸術とも言えるすんばらしいマンガであることは認めるが、作者さんの趣味なのか何なのか、ちょいちょいと女の人の裸が出てくるんである。

 作者が女性であるし、そんなやらしい描き方ではなくて、芸術っぽいんであるが、それでもお子様にも安心してお読みいただけるブログを目指している当ブログとしては紹介は残念ながら見送りなのである。

 あとね。『 エマ 』は絵も描写も素晴らしいんですが、なんか話のあらすじが胸糞展開・・・・・・というのとはちょっと違うが、妙に胸にしこりが残る気持ちの良くない展開なのである。
 ほんとなんであんな展開にしたのか激しく疑問である。

 っていうか編集者は何をしてたんであろうか。もう!しっかり注文付けてあんな展開やめてもらってくださいよ!
 と思わず言いたくなるくらいである。
 編集者は『 エマ 』という作品への愛が足りないと思う。好き勝手言ってますが(´・ω・`)

 ということで閑話休題で、本題のシャーリーなんである。

 これはまあストーリーらしきストーリーと言うほどのものもない日常系の漫画である。が、そこは偉大なるメイドマスターの一人である森薫さんの作品であるからして、そのへんのきららとかに載ってそうな適当な萌え日常系とは違うのである。

 もう紙面全体から英国!ビクトリア時代!(エドワード時代?)メイドさん!っていう素晴らしい芳香が漂う非常にすんばらしい漫画なのである。
 ていうかこのブログでその作品をまだ紹介していなかったことに気付いたのであるが、もはやこれは罪と言ってもいいくらいであろう。というほどの出来の作品である。


 設定はカフェ・モナリザを経営する女店主ベネット・クランリーは、仕事の忙しさにかまけて、家のなかが荒れつつあった。そこでメイドの募集をかけるが、応募してきたのはなんと13歳の少女であった。
 追い返したら行くとこなさそうなので、しょうがないから採用してみたら案外とできる子で・・・・・・


 実にいい感じでしょう?
 メイド少女が主人公であるが、くれぐれも言っておくけれどもよくある萌え系ではないし、裸なども出てこない。
 非常に上質で高級でお子様にも安心してお読みいただける素晴らしい作品である。


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2016年02月15日

こんな青春が送りたかった! −吹奏楽にかける青春!−



 今日、激しくおススメしたいのは 『響け!ユーフォニアム』 という作品である。

 これは、吹奏楽部を舞台にした作品で、吹奏楽に青春をかける少女たちの青春を描く!というような作品で、元は小説作品なのであるが、これがマンガにもなり、アニメ化もされ、というわけで、そのようにメディア展開されるだけあって、非常に面白いのである。


 それで、特におススメしたいのが、アニメのほうなのだ。

 もうこれがおススメなんていうレベルではない。
 京都アニメーションの作品で、もう何だか極めて高クオリティーというべき作品に仕上がっている。
 とりわけ背景とかが異常なまでの映像美で、キャラが逆に映像から浮かび上がってしまうレベルの作品である。
 もちろんよく練られた脚本やキャラクターの描写も非常によろしい。
 絶対に一生に一度は見ておくべきアニメと言っても良いかもしれない。

 まあ私がごちゃごちゃ言うより、公式サイトを1度見ていただくのがよろしいだろう。
 
 →響け!ユーフォニアムTVアニメ公式サイト


 

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↑ 以下第7巻まで絶賛発売中である。(3巻以降はこちら)


 このアニメは、いちおういいところで終わっているものの、原作小説の書かれている最後の部分まではストーリーが到達していない。
 だから個人的には、皆様にこの作品を宣伝しまくり、皆様にDVDを買っていただいて、というか買いまくっていただいて、ぜひともアニメ第二期製作開始決定まで持ち込みたいところである。

が、DVDというのは非常にお高いので、購入にはリスクが伴うのも事実である。

そこでニコニコチャンネルアニメが、第1話を無料配信しているので、それを見てから判断するのも良いだろう。

ニコニコチャンネルアニメ(響け!ユーフォニアム)へ


 しかし、勘違いしていただきたくないのは、この作品の価値は映像美にもあるのであって、だからニコ動の動画で満足してしまうのはもったいないということである。
 むしろこの作品のために画質と音質が良いテレビを買いなおしていただきたいというくらいの勢いである。

アマゾンのテレビのページ



さて、次は原作小説とマンガのほうだが、画像を見ていただいたら分かると思うが、
アニメ見たあとでは、絵がなあ・・・・・・という感じでちょっと違和感である。
まあ京アニアニメーターと、そのへんのイラストレーターや漫画家を比較するのが酷であっただろうか(挑発)

まあ絵はともかく、やはり各キャラの内面の深い掘り下げには小説という形態が必須なのである。
内面の深いところにおける独白とかそういうものは、やはりト書きという武器をもつ小説でしかなしえないこともある。
DVDを見てファンになったのであれば、ここは絶対確保であろう。
原作小説のほうは評価が高い。

まあ絵も、原作小説のほうは、ちょっと一昔前のラノベではないジュブナイルって感じで、ある意味ノスタルジックで、逆にいいかもしれないという見方もあるから、それはそれで、という気もするが、マンガは、、、うーむ・・・・・・とまあこの辺にしておこう。
でもマンガも中古なら数十円からあるので、とりあえず確保するのが良いかもしれない。

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ちなみにこの原作小説の作者は武田綾乃さんという方であるが、ウィキペディア先生によると、

武田綾乃-wikipedia

大学在学中に作品を発表し、それが京アニによってアニメ化され、マンガにもなり、というもうもうもうワナビ激嫉妬憧れというべき綺羅星のごとき経歴である。実に羨ましすぎる。ワナビの妄想かよって経歴で、全ワナビの憧れといっても過言ではない経歴である。いいなあ・・・・・・


あ、あとアニメ見て、興奮してユーフォニアム習っちゃおう! とか考えちゃった人のためにリンクを貼っておく。

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このリンク先商品のカスタマーレビューのなかに、

『某吹奏楽部のアニメに影響されて購入しました、後悔はしていません』

というのがあった。
思わず笑ってしまうが、実に漢ではないか!
その意気やよしである!

2016年02月05日

冒険者 = 猟師+便利屋  だよね!T



 小説投稿サイトの小説家になろうでは、まあ中世ヨーロッパ風の異世界が舞台で、ゲーム的なRPG的な、西洋ファンタジックな世界観の作品が主流であるのである。

 そして、そのような小説に極めて頻繁に登場する職業が 『冒険者』 である。

 この冒険者なる職業をどのように規定するかは、なかなか難しいところでもある。

 ゴブリン退治などを引き受けたかと思えば、
 隊商の護衛などもやり、
 そうかと思えば薬草採取をして、
 さらにドラゴンを退治もするし、
 かといってある作品ではトイレ掃除までしていた。

 ということはこれをざっくりまとめていうと、
 1.モンスター(害獣)退治系 2.その他雑用系 となろうと思われる。

 隊商の護衛などは、盗賊退治などもやるから、これは上記1.2.の分類から離れるような気もする。
 けれどもまあ、色々読んだ個人的な感触では、対人戦をメインとする連中は、なろう小説においては 『傭兵』 という分類にされるのが一般的なかんじなのかなと思われる。

 冒険者はまあ、対モンスターメインの護衛で、盗賊が来たらまあしょうがないからやっつけるというイメージで、傭兵は対人戦闘もメインなイメージである。
 もちろん私の勝手な分類ではあるけれど、要するに結果としての殺人を主業務とするのが傭兵だろうと思う。
 傭兵はそこらへんの心理的な壁が少し高いから、冒険者と分別されているような印象を受ける。


 というわけで、冒険者の仕事を
 1.モンスター(害獣)退治系 2.その他雑用系  に分別したとする。

 これを現代の職業に置き換えると、つまりは 猟師 と 便利屋 である。


 ということは、なろう小説で冒険者を描写する際に、どんな本が参考資料たりえるのかというと、猟師の本と便利屋の本なわけである。


 というわけで、今日ご紹介したいのは、

『まほろ駅前多田便利軒』 三浦 しをん 著 である。


これは、便利屋が主人公の小説作品なのである。


 直木賞作家であって、笑えるエッセイなどもお書きになる三浦しをんさんの作品であるから、ある程度の面白さは保証済みである。
 一応だけ内容に触れておくと、まあバツイチの便利屋のところに、変わり者で有名だった同級生が転がり込んできて、ちょっとミステリーっぽい連作短編仕立てで、まあ人生で受けた傷を抱えながらも生きていく人間たち、みたいな感じのものである。笑えるようなところもあり、文章がやっぱうまいし、非常にいい作品である。

が、中世ヨーロッパ風ファンタジーを書きたいワナビとしては、それよりも何よりも、便利屋稼業についての描写のでディテールを参考にしたいわけであるね。

この作品のなかで
 『便利屋に頼むのは、自分でもできないことはないけど、自分ではやるのが面倒みたいなことなんだ(要旨)』みたいな文章があったが、つまり便利屋の日常は、いかにも雑用みたいなことでも成り立っているわけである。

 そういう描写の空気感をマネして自分の作品に落とし込めば、例えば主人公の低レベル冒険者時代の描写などにより一層の深みがでるかもしれない。

例えば、馴染みのお客さんから、雨戸のたてつけが悪くなったとかいう話を聞いて、じゃあそれ私が直しますよ、というわけで、冒険者の宿に引き返して、大工道具を持ってきて、カンナで戸をすこし削って、敷居に蝋を塗って華麗に修繕し、奥様から代金をいただくFランク冒険者の主人公、というのもよろしかろう。


また後日に機会があれば猟師について書いた本もご紹介したい。


まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

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2016年01月20日

女性主人公視点で書くためには、お化粧とかの知識も必要だぞ!

 今日おススメしたいのは、

『人は見た目が100パーセント』 (KCデラックス BE LOVE)大久保 ヒロミ(著)

というマンガである。


 男が書いた女性主人公視点の小説ってのはわりにたくさんある。
 もちろん、なろう小説においてもである。

 けれども、作者が男である場合に、やっぱり一般的な女性とは観点が違うので、ちょっとリアリティーがない場合もある。

 例えば、私が以前に読んだ、おそらく女性作家が書いたであろう、なろう小説の女主人公は、異世界トリップしてから、テンプレ通りに宿に落ち着いて、少しばかりのお金の算段がつくと、即座にシャンプーをいかに調達すべきかの算段をしていた。

 嬉しげに装備品をそろえに武器屋に行くのではなくて、まずシャンプーである。

 まあもちろん女性といっても色々あるから、シャンプーを優先するかどうかで女性主人公っぽさが出てるかどうかが決まるわけではないのは分かっているが、しかし、少なくとも私はその主人公の行動を見て、なんだか目の付け所が違うなと感心したわけである。


 というわけで、小説家になろう、と志すなら、化粧やら女性向けファッションやらなんやらについて、ちょびっと文章中で触れられる程度には知識を仕入れておいても良いだろう。
 ひょっとするとそれが作品のリアリティーを増し加えてくれる可能性はある。


 というわけで、今日おススメする本の紹介であるが、内容としては、

 おしゃれやらには全く疎い、理系女子の研究職の女性3人が、世間一般で流行っているオサレといふものを研究し、実践してみる。というようなものである。
 もちろん退屈な実験記録ではなくて、報復絶倒というか微苦笑的な非常に面白いマンガである。


 まったくもってファッションやら美容やらにはまったく疎い、おっさん・オニイさんワナビのためにあるようなマンガではなかろうか!

 この本に書いてたんであるが 『つけま』 というのはちょんちょん切って分割してから瞼に貼り付けるというのを、おっさんお兄さんの諸氏におかれてはご存知だったであろうか?

 私はぜーんぜん知らなかった・・・・・・。


 というわけで、私と同じくぜーんぜん知らなかったとおっしゃるようなワナビの皆様には、作品のリアリティー向上のためにも、今日ご紹介したマンガを強くおススメする次第である。



人は見た目が100パーセント(1) (KCデラックス BE LOVE)

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2016年01月19日

『 動力 』無しではやっていけない私たちの生活


 今日おすすめしたいのは『動力物語』富塚 清 (著)である。

 この本は動力というものの定義から始まって、私たちの生活の中にいかに機械動力が入り込んでいるかが述べられる。
そしてしかる後に、蒸気機関と内燃機関の開発と発展の歴史について書かれている。

 なんでこの本をオススメしたいのかというと、私たちの現代的な生活は動力なしにはやっていけず、私たちは『動力』に取り囲まれていて、あまりにそれが当たり前過ぎる状況にあるからだ。
 ということは、動力が無い状態というものを想像できないと言ってもよい。

つまり、

朝起きてエアコンを入れ(エアコン電気モーター)
トイレにいって(トイレの換気扇に電気モーター)
冷蔵庫を開けて(冷蔵庫のコンプレッサーに電気モーター)
目覚まし用のアップテンポなCDをかけ(プレイヤーに電気モーター)
ヨーグルトと牛乳とシリアルを取り出して食べ(その牛乳やらヨーグルトやらシリアルやらを、買ったスーパーに運んできた輸送トラックに内燃機関)
食べ終わったら歯を磨いて顔を洗ってから、パジャマを脱いで洗濯機に投げ入れて(洗濯機に電気モーター)
着替えてから家を出て、通勤のため車に乗り込む(自動車のエンジンに内燃機関)

というかもっと言えば、上にあげた電気モーターを使うようなものには、そもそも発電所での発電用に蒸気タービンという動力が使われているわけである。

 ことほどさように、私たちの生活は文字通りに動力にまみれているんである。


 ということは、逆に言えば、新しい動力が開発されたり、それが洗練されたりするたびに、それが私たちの生活に取り入れられては私たちの生活に大きな影響を与えてきたのだということである。

 例えば、初期のころの実用化された蒸気機関は、鉱山での排水用に用いられたようであるが、これは従来は馬などの畜力とすげかわることになった。
 つまり動力の普及は畜力の価値の低下を意味する。

 それがどういうことかというと、
 例えば、なろう小説でよくあるような 『 中世ヨーロッパ風異世界 』の登場人物がいたとしよう。
 そしてその彼が、立派な堂々たる体躯の馬などの家畜を、いかに貴重なものとして、憧れをもって見ているだろうかということについての理解は、その動力としての畜力の重要性という観点から見なければ真には理解し得ないだろう。

 さらにもっと言えば、動力の発展は、輸送力の向上にダイレクトにつながるので、それは食生活の充実や、戦争の高度化・大規模化につながる。
 近場では生産されていない食材でも、蒸気機関車などで素早く大量に輸送できれば、低廉な価格で売られるようになって、庶民の食卓を豊かにする。
 また食材が蒸気機関車で素早く大量に輸送できるのであれば、軍隊もまた、蒸気機関車で、前線へと素早く大量に輸送出来てしまうということなのである。

『 中世ヨーロッパ風異世界 』 と 私たちの現代的な生活 との違いは、そのかなりの部分が、機械動力の量的質的な違いによっているということができるかもしれない。

つまり世界というものを理解し、作品の世界観を構築するためには、動力とその発展についての理解もまた不可欠であろうと思われるのである。

というわけで『動力とその発展についての理解』を助けてくれるこの本をオススメしたいのである。


動力物語 (1980年) (岩波新書)

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西村紅茶
ワナビ(小説家になりたい人の意)というほどのワナビでもないが、いつかは一冊でいいから自作のネット小説が書籍化になったら嬉しくて心臓麻痺おこすかもしれんと妄想しているヌルいワナビです。 でも書くのはへたくそなんですが……
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