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2017年12月01日

漫画『人魚姫のごめんねごはん』1巻の感想とあらすじ

『人魚姫のごめんねごはん』1巻の感想。


人魚姫のごめんねごはん
原作:野田 宏 / 漫画:若松 卓宏
掲載:やわらかスピリッツ
1巻発売日:2017年5月12日


あらすじ・概要

深い深い海の底。お魚たちの王国に、「エラ」という名の心優しい人魚姫がおりました。大切なお友達であるお魚たちを深く愛するエラは、無慈悲な人間たちの餌食になる彼らに心を痛めていた。
ある日、友達の鰹の鰹男(かつお)がいなくなってることに気づいたエラは、彼が人間に釣り上げられてしまったことを知り、弔いをするため人間に姿を変えて危険な地上へと向かう。エラは海鮮居酒屋に入店すると、そこで鰹男だけではなく、変わり果てた姿となった何匹もの友達と再会し、彼らに手を合わせる。
食べずに帰ろうとしたところ、別の客から「これじゃあ釣られたカツオも成仏できねぇな。」と言われ、思わず箸を伸ばし、“鰹男”のたたきを口に運ぶ・・・。その瞬間、とてつもない衝撃が体を突き抜け、箸が止まらなくなったエラはきれいに完食し、涙ながらに・・・・・「いいお味です――!!」。
その味に魅入られてしまった悩める人魚姫。お友達に悪いと思いながらも、人間に捌かれ調理されたお魚料理の誘惑には逆らえず、「ごめんね」と涙を流しながら美味しく頂いていくのだった。

お魚王国の心優しき人魚姫が、友達を弔うために仕方なく食べたお魚料理の味に魅了されたことで、罪悪感に苛まれながらも誘惑には逆らえず美味しく召し上がっていく物語。
魚料理の虜になった人魚姫の友食いサイコグルメ。帯での謳い文句は「心優しい人魚姫が出会った禁断の味。それは愛する“お友達”!!うわさの友食いグルメ」。小学館が運営する無料ウェブコミック配信サイト「やわらかスピリッツ」で2017年1月11日から連載開始。
原作担当は過去作に『偉人住宅ツバキヒルズ』や『拝啓、旧人類様。』を持つ漫画家・野田宏(のだ ひろし)先生。漫画は『盤上のポラリス』の若松卓宏(わかまつ たかひろ)先生が担当。

紹介・感想

罪悪感ってやつは、ごはんをより美味しくしてしまう困ったスパイスだと思うのですが、どうでしょう?。特に、深夜の高カロリーなんてまさにそれ。
自分、深夜まで作業することよくありまして、そうなるとやっぱり小腹が空いてしまいます。それで自宅の場合によくやってしまうのが・・・具なしナポリタン。甘いモノちょっと摘む程度にしておけばいいんですけど、具が無くても異様に美味しく感じるのでついついやってしまいます。で、日々のランニングと筋トレをいつもより増やすというお決まり。
健康にもあまりよろしくないのは分かっていいます。でも、罪悪感というスパイスが通常よりも味に深みを与えているかのようで、あの美味しい誘惑にはなかなか抗い辛い・・・。

はい、ということで本日は、そんな罪悪感に苛まれながらも、海鮮グルメの誘惑にあらがえない人魚姫の姿を描いた『人魚姫のごめんねごはん』を紹介させていただきます。

これまたなんともブっとんだグルメ漫画が生まれたものですね。この設定は斬新にもほどがあります。飽和気味だったグルメのジャンルにどえらいもんが降臨してきました。
最初は「友食いグルメ?なんだそりゃ?」と若干疑問はありましたけど、なるべく読むようにしてるグルメ漫画の未読作だったもので、いつものように軽い気持ちで購入。蓋をあけたらちょっとビックリする内容でした。

ざっくりと説明させていただきます。お魚さんが「お友達」の美しい人魚姫が、彼女からしたら禁断とも言える海鮮料理の虜になってしまい、悲しみに涙しながら美味しく共(友)食いしちゃうお話。

この説明だけだと見方によっては完全にサイコホラーですけど、グロ表現なんてありませんし(人間視点では)、凄惨性や残虐性に特化してる内容でもなく(?)、かわいい人魚キャラの主人公と、猟奇コメディを楽しむ漫画です。

主人公は海の王国の人魚姫・エラ。見目麗しく、ナイスバディなうえ、人魚とあって露出度も高め。性格は心優しく、普段はあまり表情に変化ありませんけど、海のお友達であるお魚さんたちを深く愛し、彼らからも愛されているお姫様です。

そんなエラ姫が海鮮グルメに魅了されるわけで、その経緯は上のあらすじにも書きましたけど、人間に釣られてしまった「友達の」鰹男を弔うため、地上の海鮮居酒屋みたいなお店に入り、たたきとなっていた彼の変わり果てた姿の前で合掌。弔いを済ませるも、食べずに帰ろうとしたエラ姫を見た男性客から「これじゃあ釣られたカツオも成仏できねぇな。」と言われ、弔う気持ちを侮辱されたと感じたエラ姫は意を決して「お友達」を口に運ぶ・・・。

その瞬間「ズッギョーーン」と強烈な電撃が体中を駆け巡り、皿を掴んで一気に平らげたエラ姫が一言――「ごめんね鰹男。いいお味です――!!」。

美味しかったんです。お魚料理が・・・お友達が・・・・それはもうかつてないほどに・・・。とは言ってもやっぱり罪悪感は半端なく、「お友達食べちゃった!!」と顔面蒼白です。そりゃそうだ・・・。
ここからエラ姫の苦悩の日々が始まります。いけないと思ってはいても、知ってしまったあの美味なる海鮮料理の誘惑を拒むことは出来ず、捌かれた彼らの思い出を挟みながらも結局お友達を食べてしまい、毎回涙を流しながら「いいお味です――!!」となるわけです。しかも、症状はどんどん重篤化していき、弔いはどこへ行ったのかとツッコミを入れたくなる有様。
こうして、食欲が理性を凌駕した人魚姫の悲劇の物語が紡がれていきます。

といった感じで、お魚がお友達の人魚姫が苦悩と葛藤に苛まれながらも、見事に調理されたお友達を美味しく頂いていくサイココメディ『人魚姫のごめんねごはん』1巻の紹介でした。
ワンパターンな一話完結エピソードを並べてるだけかと思いきや、意外とストーリーも面白く、ただの出オチ漫画ではありませんでした。パロディネタも豊富で、どこかで見たことある有名人が多数登場するなど、こだわりあるギリギリの小ネタでクスっと笑わせてもらえます。
友食いと言ってもグロさは無く、気楽にコメディとして楽しめました。そもそも、自然界は弱肉強食の世界であるからして、共食いする魚も珍しくありません。ただ、この作品の場合は、“共”である以上に“友”であり、エラ姫にとって彼らは言葉を交わし合い、絆を深めている友達。そんな彼らを食べてしまうのだから背徳感・罪悪感はかなりのもの。それをギャグチックにして描き、食事シーンのときは悲しみだったり恍惚だったりと、エラ姫の色々な表情を見せてくれるのが特徴。
後半は完全にグルメよりもコメディ要素の色合いが濃くなっていまして、そのスピーディー且つブっ飛んだ流れによって、ぽんこつなエラ姫がいったいどこへ向かっていくのか、どうなってしまうのか、非常に気になります。そして心配・・・。
あと、気楽に読めるのですけど、唯一個人的にちょっとだけ恐怖を感じたのは「マグロ回」。エラ姫は鮪朗というマグロに淡い恋心を持っていた様子が伺え、彼を食べてお決まりのセリフを言った後に出てきた言葉が・・・「でも、やっとひとつになれた――」「これで鮪朗と私は、ずっと一緒――」。なんか綺麗に描かれてましたけど、さすがにこれは怖い・・・。エラ姫、やはり彼女の内にはサイコ的な何かが潜んでいるのかも?
これまでにないグルメ漫画・・・いやコメディ漫画かな?とにかく、斬新な設定とストーリーは面白く、エラ姫がなによりカワイイ漫画。彼女が今後どうなっていくのか、見守っていこうと思います。

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とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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