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2018年07月27日

ガダルカナル撤退 もう一つの手記 その4


 その4

 13.上命下達せず
 
 戦場では軍律は可成り紊(みだ)れて居た。上官の命令は必ずしも部下に徹底されて居無かった。上官の権威は失われつつあった。これは上官の行動そのものにも問題があった。或る小隊長は、部下を掌握する事を放擲して死者を暴きその遺品を探し廻って居た。この様な指揮官を信頼せよと云う方が無理である。部下も部下である。上官を殺して平気の顔で居る奴も居る。全く下剋上(げこくじょう)も甚しい。
 
 1月13日 早暁から敵の攻勢烈しく、私の居る処も危険に曝(さら)されんとして居たので、私の前任者の命令受領者であったC軍曹を(彼は既は1カ月以前から病に斃れ歩行すら十分では無い)早めに退らせるべくI上等兵をして付添わせた。
 C軍曹とI上等兵とは同じ小隊であり、C軍曹はI上等兵を信頼しその肩に拠り添うが如くにして大隊本部の位置から去った。処が数日後I上等兵に会った時、Cの安否を尋ねた処「死んだ」と云うだけで多くを語ら無い。しかしその服装をみると、軍靴も軍衣も比較的上等のものを身に着けて居る。「どうしたのか」と云うと、そこで死んで居た奴から失敬したのだと云う。

 

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 しかし好く見るとC軍曹の着用して居たものだ。詰問しても黙して語ら無い。少くとも共に退って行ったのだから死んだ様子位は話せる筈だ。しかしCは、歩行殆んど困難であったので足手纏いと為って山中に引込み、これを殺害してその身包み剥いで着て居たものに違い無いのだ。
 大阪出身の補充兵で年令もその時34・5才で世故に長けた仲々の悪党だ。Cは哀れにもその部下に殺されてしまったのだ。尤もCもあの身体では生きて還れ無かったであろう。それにしてもIは酷い奴だ。しかしその彼もガ島を辛うじて撤退したがボ島へ上陸してから日為らずして死んでしまったので、今更彼を非難しても始まら無い。所詮は因縁と云う外は無い。
 
 前戦の中隊長へと部隊長より「メリークイーン」(英国製の煙草の名)1箱を渡された事がある。私は命令を伝達する時にこれを携行して敵中を突破してK中尉に渡した。私は煙草好きであったが茲(ここ)数十日喫った事が無い。
 「御苦労1本喫め」と言って1本位は呉れても好さそうに思う。しかしこの指揮官は「アアそうか」と言ったのみで、自ら喫っただけで遂に私には喫えとは云わ無かった。他を顧みる余裕が無かったと云えばそれ迄かも知れ無いが、部下の労を労う余裕が無いとは情け無い限りだ。
 「士は己を知る者の為に死す」と云う。この時を境にして中隊への命令の伝達を私はし無く為った。危険を冒して迄行か無くても、中拠点より中継して貰えば事足りると考えたのである。
 
 当時煙草は貴重品であった。それだけに1本の煙草がどれだけ士気を鼓舞し上下の信頼を堅くするものであるかを彼は知ら無かったとは甚だ遺憾と云わざるを得無い。それは人間性に連がる問題である。煙草1本と云う事に止まら無いのである。人間の奥底にあるヒューマニズムの欠如と云う事である。  
 私は如何に戦場が軍律の無い修羅場であっても人間性だけは失いたく無かった。只でさえ救いの無い戦場が余計に悲惨に為るばかりであるからである。心身共に疲労困憊し、頭も狂うばかりの死の戦場に於いて何らかの救いが無ければ余りにも虚しく余りにも哀しい。

  

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    14.迫撃中隊の最後
 
 第一大隊に迫撃中隊が1ケ中隊配属されて居た。隊員の訛りから東北方面の出身で、恐らく第二師団からの配属と思われる。彼等は我々より1ケ月以前から上陸して戦斗に参加して居り、東北特有の粘りが強く身体も頑健の者が多かった。
 隊員は7・80名位居たかと思われるが、毎日半数交替で後方へ迫撃砲弾を取りに行く。2日行程で帰るのであるが、背中の背負子に迫撃砲2筒を縛って搬送するのだが、重さは40キロ位あるだろうか。急な山道を谷間沿いに喘ぎ喘ぎ前線に運んで行く。来る日も来る日も限り無く運んで行く。前線にはかなりの砲弾が積込まれたであろう。
 
 黙々と弾丸を搬送する彼等の姿を眺めて居ると、ツクヅクその生命力の強さに圧倒される。我々より1ケ月以上も前に上陸して居乍ら素晴らしい元気だ。それにしても、前線部隊がその兵力を割いて弾丸を搬送し無ければなら無い作戦は余り感心した事では無い。輜重部隊が当然担当すべきだ。この様な非常識な作戦に勝利がある筈は無い。兵力が消耗するばかりである。
 上層部は何を考えて居たのであろうか。非常識と云えば、第一大隊長はその最たるものだ。虎の棲む様な洞窟の中で、兵が1日飯盒の底に張り付く位の食糧しか与えられて居ないのに、毎食飯盒に一杯の飯を喰べ、副食には我々には在り付け無い海軍用の缶詰を切り、燃料に我々が食糧として居たコプラ(椰子の核実の乾燥凝固したもので燃料とも為る)を用い、全くその傍若無人の振舞いに恐れ入って居たのである。

 歩兵団長の伊東少将は、副官が気を効かせて乾麺飽を間食に出すと「兵にも渡って居るか」「嫌、閣下用です」と云うと口にはされ無かったと云う事であるが、全く雲泥の差である。
 伊東少将は兵と共に苦しみ、兵と共に斗った典型的武将である。これに引替え我が大隊長の行動はお話に為らぬ。沢山の部下が飢死をして居るのに平気で贅食して居たのである。  

 その彼が、過つて支那作戦に於いて、炎天下を2時間も強行軍させ兵はバタバタ倒れた。30分間休憩してもその疲労は仲々回復しない。普通行軍は45分歩いて15分休憩する。行軍の里程が長く為るに連れ早めに休憩するを原則とする。
 彼の頭脳は1時間で15分休むも2時間で30分休むも同じだと考えて居たかも知れぬ。人間の疲労度を全然考慮に入れ無い愚人と云う外は無い。彼の眼には兵は奴隷の如きものであったのだ。その彼が敵が攻勢に転じて来た時に迫撃砲が1発の弾も射た無いので、中隊長を呼び着け「何をして居るか、敵の痛い所を射て」と怒鳴り着けた。

 前線の中隊長は敵の優勢なる攻撃力に対し我が迫撃砲の3つや4つでどうしょうも無い事は百も承知して居たのでジッと時の至るを待って居たのであるが、大隊長の手痛い叱責を受け心為らずも全迫撃砲に砲撃を命じた。その砲撃の為に敵は一時沈黙を守って居たが、この為に迫撃砲の陣地が敵に察知され今度は逆に30倍以上の砲撃を受け、迫撃中隊は潰滅的打撃を受けた。
 1ケ月有余に亘って技々営々として貯えた砲弾を一挙に失い、迫撃砲は破壊され兵員は殆んど戦死して仕舞い、中隊長以下数名のみが生存すると云う状態に為った。完全に戦斗力を失ってしまったのである。その間実に2時間足らずである。  

 しかも大隊長は、撤退の命令が来てもその命令すらこの中隊長には伝え無かったのである。我々は撤退の直前、後衛尖兵を命ぜられ前線に交替させられ、再び敵中にあった時迫撃砲の中隊長は自らも傷付き、伝令と下士官の2名を連れて前線を悄然として立去った姿を今も忘れられ無い。
 その後の消息は判ら無いが、恐らく彼は大隊長を痛く恨みとして居たに違い無い。配属中隊の哀れさで、何時も使われるだけ使われ割の悪い任務を負わされその挙句は全滅だ。全く助らぬ話だ。どうせ死は覚悟の前であるが、好き指揮官の下で従容として死す事が出来たら本望だ。この大隊長の下ではそう簡単には死ね無い。

  

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   15.自決 

 1月14・5日頃に為ると前線は殆んど全滅が伝えられ、大隊本部付近も敵が突入する気配と為った。敵は一挙に攻めて来る事は無い。敵は前線を進めると必らず砲を据える。その音がキーン、キーンと響く。この音が止むと危険と為る。烈しい砲撃が始まるからだ。
 丁度この頃下士候の某兵長が既に1ケ月以上も負傷が癒えず大隊本部の位置に居たが、歩行は全然不可能の状態であった。既に自分の生命の限界を覚り今はこれ迄と思ったのか、夕暮腹部に発火させた手擲弾を当てて壮烈なる自決を遂げた。轟音と共に掛け寄った時には身体を「く」の字に前に倒して無惨な姿と為って居た。
 
 彼は15年兵であったし、常日頃、余り話合った事も無かったので好くその人柄を知ら無い。唯々無口な奴だったいと云う記憶のみがある。その彼が生きて虜囚の辱しめを受けまいとして自らの命を絶ったのだ。敵は数日を出でずしてこの地点に侵入して来る事は既に状況上明らかであり、その時彼は歩行出来ないので置去りに為る事は必至であり、覚悟の自決に踏み切ったものと思われる。
 人間仲々死ね無いものである。誰しも生への執着はある。前線では自ら動け無い者がどれだけ置去りを受けたかは判ら無い。それらは何れも立派な自決をした事であろう。戦場の非情冷酷の側面と云うべきであろうか、唯々慟哭を禁じ得無い。
 
 ガ島では、飢えて死んだ者もある、気が狂って死んだ者もある。しかしそれは未だ死に対しては自然的なものが残って居る。
 だが動け無く為った者が置去りにされ手擲弾を渡され、自決してその最後を全うせよと云う状態に為った者の心境は意かばかりであったろう。苦楽を共にした数少ない戦友の姿が見え無く為ってしまった。後に残った自分は唯一人、動こうにも動け無い。辛うじて呼吸して居るに過ぎ無い己れを見つめて自分を育んで呉れた両親、縁者、平和の時に於ける内地の事等が走馬燈の如く脳裏をかけ廻るであろう。
 フト気が着くと敵中に唯一人居る自分を発見する。もう死より外に自分を救うものは無い。生への未練はサッバリ無く為ってしまう。心残すものは無い。戦場は静かに為った。一つの轟音と共に彼の生命は消えた。あの世は平和で静かであろう。死せる者よ。静かに眠れ。切に冥福を祈る。

 つづく

  

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