2021年12月17日
首を傾げたく為る 立憲と共産共闘への集中攻撃
首を傾げたく為る 立憲と共産共闘への集中攻撃
12/17(金) 11:33配信 12-17-1
【小塚かおるの政治メモ】選挙区では議席数を伸ばしたのに・・・小塚かおる 日刊現代第一編集局長 12-17-3
枝野旧代表 立憲民主党ホームページから 12-17-2
衆院選が終わってからの1カ月、メディア等での選挙総括は立憲民主党への〔集中攻撃〕一色だ。立憲民主党が、議席減の責任を取る形で辞任した枝野幸男前代表の後任を決める代表選を行って居た事も背景には在るが、メディアの関心は〔共産党との野党共闘の是非〕ばかりに集中。
そうした報道が続く事で、本当はモッと他にも総括されて好い話が、零れ落ちたり歪曲化されたりして居る様に思う。
確かに、共産党を含めた野党共闘に付いて、立憲民主党は有権者に対する説明が不足して居た面は否め無い。
本来なら、候補者の一本化を含め、野党共闘では野党第一党で在る立憲民主党が主体的に動く必要が在ったのに、枝野前代表がギリギリ迄曖昧な態度を取り続け、結局〔市民連合〕を介して他の野党と同じ立場で共闘に参加すると云う消極的な形だったからだ。
世論調査で有権者の多くが〔与野党伯仲〕を求めて居る事が分かって居た。「与野党伯仲で国会に緊張感をもたらしたいから、議席数を増やす為に野党は共闘する」等と、もっと丁寧に共闘する意味や目的を有権者に語って居れば〔限定的な閣外からの協力〕と云う文言に囚われ過ぎる事無く、選挙期間中の与党による〔立憲共産党〕等の揶揄にもキチンと対抗出来たのではないか。
改めて強調して置きたいのは、立憲民主党は選挙前の110から96へと14議席減らしたが、その原因は〔比例代表が23議席減だった〕為で、候補者を野党で一本化した小選挙区では選挙前の48から57に議席を増やして居る事だ。小選挙区制度で在る以上、候補者を一本化するのは選挙戦術として当然で在る。
次点の惜敗率が90%以上だった〔大接戦区は全国で53選挙区〕に上った。野党共闘に依って小選挙区で苦しめられた自民党は選挙結果を〔薄氷の勝利〕と位置付けて居たし、自民党で長年選挙実務を担って来た幹部も「野党共闘に一定の効果は在った」と話して居た。
詰まり、自民党は野党共闘に恐れを為して居たからコソ、逆にそれを〔アキレス腱〕にすべく共闘批判を展開したのである。
自民党の甘利明幹事長(当時)が「自由民主主義の思想で運営される政権か、共産主義が初めて入って来る政権とドチラを選ぶのかと云う政権選択だ」と前時代的な物言いで、立憲民主党と共産党の共闘が選挙の争点だとブチ上げたのは、10月14日の記者会見だった。
以降、自民党は選挙期間中、党を挙げて立憲民主党と共産党の共闘を批判し続けるのだが、そんな自民党に攻撃のヒントを与えたのは他でも無い、立憲民主党の最大の支持団体である筈の〔連合〕だった。
〔連合〕は10月6日の定期大会で新会長に芳野友子氏を選出。芳野氏は翌7日の初の記者会見で「共産党との閣外協力は在り得無い」と発言し、それが大きく報じられた。連合は労働運動を巡って共産党と対立して来た歴史が在る為、芳野氏は従来からの連合のスタンスを表明した迄なのだろうが、衆院選の公示2週間前のタイミングの初会見である・・・注目の度合いが平時とは違う。
芳野氏がストレートに共闘批判をした為「連合 立憲に不快感!」等と報じられ、必要以上にセンセーショナルに受け止められた。
最大の支持団体と足並み揃わず、立憲民主党は目前に迫った選挙を戦えるのか・・・と云う不安定感を世間に広げる効果は十分で、選挙巧者の自民党に争点造りの材料として利用されたのである。芳野氏は更に10月21日にも「立憲と共産の距離感が縮まって居る。非常に残念だ」と発言する等、選挙期間中も立憲民主党と共産党との共闘を牽制して居る。
こうして見て来ると、連合の〔機を見極め無い発言〕が立憲民主党の足を引っ張り、議席を減らす要因の一つと為ったとも言える。支援団体為らば、もう少し言葉を選んで発言する事は出来無かったのだろうか。
もう一つ、立憲民主党の議席減の原因は比例で23議席減らした為だと前述したが、これに付いても余り指摘されて居ない事が在る。略称〔民主党〕の案分票の問題だ。
衆院選で立憲民主党と国民民主党は共に略称を〔民主党〕と届け出て戦った為、各地の投票所で「この略称表記は正しいのか」と云う疑問の声や苦情が寄せられたと云う。こうした〔民主党〕と書かれた比例票は、夫々の党の得票割合に応じて振り分ける〔案分〕が行われたが、NHKに依れば案分された〔民主党〕票は、34都道府県で〔197万3362票〕在った。
又、毎日新聞に依れば案分票は全国で実に〔400万票〕に上った可能性が在る。静岡県内の各自治体で7〜8%の案分票が出て居り、全国で少なくとも7%在ったと換算するとそう云う計算に為ると云う。
国民民主党は選挙前の8から11へと議席を増やし、日本維新の会と同様に躍進したと総括されて居る。確かに小選挙区は、下馬評通り前職6人全員が当選して強かったものの、議席増分は全て比例で、選挙前の2から5へと3議席増えたのは案分票の効果が在ったからでは無いのか。
2019年の参院選で国民民主党(分裂前の旧国民民主党)は比例の議席を4から3に減らして居るのに、何故今回は比例を2.5倍に出来たのか不思議でなら無い。因みに比例で3議席を獲得した〔れいわ新選組〕が全国で獲得した比例票は〔221万票〕だ。それだけでも〔民主党〕と書かれた200万とか400万と云う案分票の規模の大きさが分かる。
案分票に依って、立憲民主党が損をし国民民主党が得をしたのか如何かは、勿論、案分票がドチラの党を意味して居たのかが分から無い以上誰も断定は出来ないが、玉木雄一郎代表が語って居る様に「野党共闘から一線を画し、独自路線を進んだ事」が本当に国民民主党の議席増の理由なのか、本当に国民民主党は躍進したのかは、モット冷静な分析が在って好い。
立憲民主党が議席を減らしたのは、共産党との共闘以前に、枝野前代表が選挙直後に言って居た通り「一票一票を積み重ねる足腰が弱かった」のであり、勝利への一層の強かさや、政党としての魅力が足り無かった事に尽きる。
小塚かおる 日刊現代第一編集局長 12-17-4 1968年 名古屋市生まれ 東京外国語大学スペイン語学科卒業 関西テレビ放送・東京MXテレビを経て、2002年から「日刊ゲンダイ」記者 その間、24年に渡って一貫して政治を担当 著書に『小沢一郎の権力論』 共著に『小沢選挙に学ぶ 人を動かす力』等が在る
【管理人のひとこと】
立憲への今回の投票結果を一口で言えば「小選挙区では勝ったのだが、比例で敗北した・・・」に尽きる。そして立憲も国民も共に比例区の略称を〔民主党〕と届けたのだと云う。仕方なく夫々の得票数に案分して配分した・・・二つの党で略称の話し合いも持たれ無かったのだろうが情けない話だ。
それにしても〔連合〕の行動だ。労働者の生活や社会的立場を確立する為に政治問題にも関わりたい・・・それが彼等が政治活動をし応援する趣旨なのだが、新会長の芳野友子氏への異論も出無いのだから〔連合〕組織としても容認する発言だったのだ。この様な行動と結果が所属する組合員の為に為ったのだろうか? 私は決してそうは思わ無い。
結果として立憲の枝野氏を辞任に追い込んだ大きな原因を作った事には変わり無い。これでは、益々労働者の組合率が減少し・・・経団連の補完機関(労働者の利益を代表する意識機関)へと存在を落とし兼ね無いだろう。これでは日本維新の会と同じ保守政権の持つ旨味に有り付く〔蟻〕の一匹に過ぎ無く為る。
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