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2021年12月14日

巨大化する中で生じる維新の会と橋下徹氏の「微妙な距離感」



 巨大化する中で生じる維新の会と橋下徹氏の「微妙な距離感」


 FRIDAY 12/14(火) 14:02配信



 衆議院総選挙で41議席を獲得した日本維新の会。本拠地・大阪では全勝して15議席を独占するなど、同地区で比例復活のわずか3議席に留まった自民党とは明暗がくっきり分かれた形となった。国政の場でもその影響力が拡大することは必至だ。
 その兆候が、早速現れた。10区で辻元清美を破った一期生・池下卓議員が国会議員に支給される文書交通費について「任期1日でも100万円出る。世間の常識では考えられ無い」と指摘した事で、忽ち世論を巻き込んだ大論争へと発展した。

 来年の参議院選挙で一気に全国区へと打って出たい維新の会としては、注目度を集めると云う意味では上々の滑り出しを果たしたとも言えるだろう。
 だが、当の文章交通費問題の波が派生して、党内で小さくない蟠りが出来て居る、と云う声も聞こえて来る。或る党本部の職員は「与野党問わず噛み付く最近の橋下さんの過激な発言は、さすがに看過できない。いつ党にブーメランが返ってくるか・・・」と本音を漏らす。

 その声には議席増により、若手議員達と橋下徹元代表との距離感の相違が生まれたと云うニュアンスも伝わって来る。橋下氏は文書交通費問題に付いて一貫して「メスを入れるべき。実費での支給をすべきだ」と明確な指針を打ち出している。11月中旬に出演したテレビ番組では、

 「維新は(使い道を)公開しているから他の党よりマシなんです。民間企業の経費の実費精算って、領収書の添付は当たり前だけど、おカネが余ったら戻すってのももう一つ重要じゃないですか?でも、維新は中身は公開するけど、戻さないんです。どこに戻すかと言ったら自分の政治団体に入れちゃう」

 等と発言している。又他党との差別化を図る上でも維新は理想を目指すべきとしつつ「今の維新で在れば政権を取っても、政府や政党の領収書不要のカネにメスを入れられ無い」と警鐘を鳴らして居る。だが、そんな橋下氏の言動に対して、党内では必ずしも賛成意見ばかりでもないと云うのだ。
 実際にアクションを起こす議員も現れた。党内切っての政策通として知られる足立康史衆議院議員が、橋下氏に対してツイッター上で舌戦を展開し、ネット上でも盛り上がりを見せている。

 日本維新の会に所属する議員が明かす。

 「元々維新の会は、政治改革を掲げ支持を得て来ました。それが今回の選挙で圧勝出来た理由の一つ。只母体が大きく為った為、現在の党内には様々な意見が生まれる様に為った。橋下氏への距離感も同様で、特に当選一期目の議員の中では『国政の経験のない橋下さんが何故この問題に首を突っ込んで来るのか。世間では未だに橋下さんの意見=維新の会の総意、と云う捉える人も少なく無い。その発言の飛び火が此方にも廻って来る』と訝がる者も居ます。
 特に文章交通費問題はデリケートでもある故に、本来で在れば新人が積極的に切り込み〔お手柄〕にしたいと云う考えが在った為、橋下さんが出しゃばり過ぎだ、と云う声も在りますね。詰まり、未だに橋下さんの影響力が強い維新の現状に対して、疑問を感じている議員も居ると云云う事です」


 党代表を離れてからは、コメンテーターとしてテレビで見ない日が無い程引っ張りダコの橋下氏。一見維新とは距離を取って居る様に見えて、現在も重要な局面では党幹部との会食を繰り返して居ると云う。

 「松井代表・吉村知事・馬場伸幸共同代表等を含めた党幹部と結構な頻度で会食し、アドバイザー的に意見を求められることもあるそうです。しかし、それをよく思わない議員もいる。今回の党内人事に関しても、吉村さんと関係が深い藤田文武さんを幹事長として登用するなど若手中心の起用となりましたが、これについてもネガティブな意見があります。
 更に言えば『そろそろ橋下さんの影響力頼みの状態から脱却すべきだ』と云う意見も少なく無い。松井さんが引退を表明して居る今、吉村さんを中心とした若手を登用するのは理解出来ますが、明らかに不遇な状態の実力派議員も居る。他党の様に党内闘争の一歩手前と云う様な状態・・・と危惧もあるのです」(同前)


 一枚岩でなくなってきた原因は、維新が「勝てる政党」になってきたことにより、国会議員の座席を巡り「椅子取りゲーム」が始まっているからだという。

 「存在感を示せば、自分達でも国政へ行ける」「何故アイツが俺より先に国政選挙への切符を手にしたんだ」

 そうした野心と不満が渦巻けば、党内がギスギスするのも当然と云云う訳だ。

 「追い風が吹いて居る事も居る事も在り、国政希望者が多過ぎると云うのが今の大阪維新の会です。実際今回の選挙戦でも早い段階から、辻元清美さんが居た10区、左藤章さんの2区、岡下昌平さんの17区、奥下剛光議員の7区以外は、早々と楽勝ムードでした。
 詰まり党内の公認さえ取れれば勝てる、と云っても大袈裟では無い訳です。吉村知事が早々と東京など他県の応援演説に力を入れたのも、如何に大阪以外で議席を伸ばすか、と云う事に集中出来たからです」


 その一方で、早々と伊東信久議員のマルチ商法業者スキャンダルが週刊文春で報じられるなど、リスク管理に不安を感じると云う声も上がっている。先出の議員は今後の維新の会の未来の為にも「確りとした身辺調査は必要だ」と警鐘を鳴らす。

 「今回当選したメンバーは、金銭的に余裕の在る候補者が大半でした。元々資金繰りがウチの弱点だった訳ですが、それを補える人選だったとみています。こう為っ為って来ると怖いのがスキャンダルです。関西の場合はメディアと維新の距離が近く、スキャンダルも抑え込めると云う自信が在ったかも知れませんが、全国区と為るとそうもいか無い。
 ローカル感覚が抜けて無い議員が多い今の維新に、橋下さんが抱いて居る危機感と云うのも正しい。来年の参院選、23年春の統一地方選挙を見越しても、橋下さんとの関係性は今後も重要でしょうね」


 議数を増やす事で、派閥が生まれ権力闘争が生まれるのは永田町の論理でもある。今回の総選挙で昇り龍となった日本維新の会の動向は、与野党問わず関心事と為って行くだろう。


 FRIDAYデジタル















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