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2021年04月05日

視聴率分析で判った 朝8時のワイドショー戦争「真の勝者」



 視聴率分析で判った 朝8時のワイドショー戦争「真の勝者」



     4-5-1.png 4/5(月) 8:02配信



       4-5-2.jpg 4-5-2

         フジテレビ『めざまし8』のMCに起用された谷原章介


 春改編で競争が激化した朝8時のワイドショー  新番組を投入したりMC陣を刷新したりして、各局がしのぎを削っている。 その第一週が終わった時点で明暗が浮かび上がって来た。視聴率の順位は、テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』日本テレビ『スッキリ』フジテレビ『めざまし8』TBS『ラヴィット!』と為って居る。
 しかし広告収入増の為には、スポンサーが欲しい視聴者を多く集めた番組が優位に立つ。 単純な量では無く視聴者の内実がものを言う時代、真の勝者は誰なのかをデータで分析してみた。


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               4-5-9 首位をキープする羽鳥慎一 

 コスト削減と視聴者ターゲットの若返り


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               写真 FRIDAYデジタル 4-5-3

 朝8時のワイドショー戦争勃発の切っ掛けは、実はコロナ禍で広告収入が激減したことだった。電通「日本の広告費」によれば、2020年の地上波テレビは広告費を2,000億円程失った。前年比マイナス11.3%、2009年のリーマンショックを超える大打撃だった。これで各局はコスト削減を迫られた。
  2020年度第1〜3四半期の間に、キー5局は番組制作費を500億円以上圧縮し広告費減の半分以上を吸収した。21年度も引き続きコスト圧縮は急務で、そこで各局が目を付けたのが出演料の削減だった。加えて視聴者ターゲットを若年層としスポンサーの確保へと向かったのである。


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            4-5-10 22年総合司会を務めた小倉智昭(73)

 かくしてフジテレビは『とくダネ!』を終了させ『めざまし8』を始めた。 22年総合司会を務めた小倉智昭(73)からMCを谷原章介へと(48)と25歳若返らせた。柔らかな物腰でスキャンダルと無縁な為、F2(女性35〜49歳)を強化しようとして居る様に見える。


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                4-5-12 川島明(41)

 TBSも『グッとラック!』から『ラヴィット!』に切り替えた。 司会は立川志らく(57)から「麒麟」の川島明(41)と16歳若返る。内容も「直ぐに手が届く“楽しい!”を提案するライフスタイルバラエティ」と為る。 実はコロナ禍のステイホームにより生活用品業界は売り上げを伸ばしていた。これに合わせて生活情報重視へとシフトし、若年層の強化を狙ったのである。

 ◆改編前後の明暗

 かくして朝8時のワイドショー戦争が勃発した。 迎え撃ったのは、テレ朝『モーニングショー』と日テレ『スッキリ』ビデオリサーチ関東地区のデータによれば、月〜木の4日間の個人視聴率は、トップが『モーニングショー』だった。そして2位は、加藤浩次が続投し近藤春菜が降板した『スッキリ』
 新参組では『めざまし8』が3位で『ラヴィット!』は最下位と為った。実は前4週間と、この順位は変わっていない。しかも1位と2位は、新年度に為って少し数字を上げて居る。処が『めざまし8』は微減『ラヴィット!』は大きく下落してしまった。特に新スタート4日目にして0.9%は、制作陣には堪えただろう。

 改編前の真の実力


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              写真 FRIDAYデジタル 4-5-4

 そもそも朝8時のワイドショー4番組は、改編前に既に明暗が別れていた。視聴者を層別に詳細に分析出来るスイッチ・メディア・ラボによれば、個人視聴率1位の『モーニングショー』は、男女65歳以上で突出することで数字を稼いで居た。要は高齢者向け番組だったのである。
 一方2位『スッキリ』は、64歳以下でトップ。 特にF2(女性35〜49歳)で『モーニングショー』の2.6倍、F1(女性20〜34歳)に至っては5倍以上の差を着けて居た。強さの一因は、出演者の魅力とお笑い・バラエティ要素。

 結果として生活情報に関心が高く、日常的にスーパーやコンビニ等で買い物をし、二世代で暮らす49歳以下の視聴者が断トツで多く為って居た。詰り広告主ニーズが最も高い視聴者を同番組はガッチリ摑んで居たのである。
 実は3位『とくダネ!』も善戦して居た。 F1〜2(女性20〜49歳)では、個人視聴率トップの『モーニングショー』を大きく引き離して居た。結果として『スッキリ』同様、広告主ニーズの高い視聴者でも上を行っていた。処がTBS『グッとラック!』は、全ての層で低迷して居た。 開始1年半での終了も仕方の無い実績だったのである。

 スタートダッシュから見る今後


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              写真 FRIDAYデジタル 4-5-5

 この圧倒的劣勢を挽回すべく、TBSは『ラヴィット!』を投入した。「日本一明るい」と軽妙さを強調し、若い女性が好みそうな商品のランキングを毎日紹介する生活情報番組に徹している。
 処が最初の一週間を見る限り、レギュラー陣をお笑い芸人で固めた所為か、65歳以上の高齢者に逃げられただけで、49歳以下の視聴者は全く増え無かった。結果として、生活情報層・日常的に買い物層・49歳以下の親子同居層は『グッとラック!』時代より減って居る。 今の処、狙いは裏目に出ていると言わざるを得ない。


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              写真 FRIDAYデジタル 4-5-6

 3位『めざまし8』にも不安がある。 谷原章介と永島優実アナ(29)のコンビにはフレッシュ感が漂う。処が好調だったのは初日だけで、日を追う毎に前4週の数字から大きく下がって来た。 一週間平均でF2が2割も減って居るのは深刻だ。
 結果として広告主ニーズの高い層も軒並み下がって居る。 今後反転攻勢に出る為には、取り上げるテーマ・演出・トーク等を見直す必要がありそうだ。


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               写真 FRIDAYデジタル 4-5-7

 下位2番組に対して上位2番組は安泰だ。 個人視聴率トップの『モーニングショー』は、相変わらず65歳以上の高齢者特化路線を突っ走って居る。変化と言えば、情報ワイド番組に関心のある視聴者をより集める様に為った点。但し副作用としては、広告主ニーズを満たす方向には向かって居ない点だ。中高年の視聴が多いテレ朝も、徐々に若年層の開拓に動くと聞く。65歳以上の突出振りが顕著なこの番組をどうするのか、今後の方針が見ものである。


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               写真 FRIDAYデジタル 4-5-8

 そして視聴率で2位ながらコアターゲットで他を圧倒し、広告主ニーズを最も満たす『スッキリ』 新年度一週間ではトラブル続きに見舞われた。初日は上半身起こしで、出来ると言われた女性陣がスタジオで全滅してしまった。
 その後もクレーンゲームのサーバーがダウンしたり、番組恒例のオープニング企画が急遽中止を余儀無くされたりした。処が数々のハプニングを生放送の魅力に替え、最初の一週間はマズマズの実績と為った。 F2微減・F1微増と多少の凸凹はあるものの、大きなマイナスは生じていない。
 強いて挙げれば、多くの男女年層で微減が見られ、結果として広告主ニーズ層も僅かに痛んで居るので、今後その修正をどうするかだろう。

 以上の通り、朝8時のワイドショー戦争は、新番組を投入した2局が苦戦し、動か無かった2局が好調さを保った。 但し視聴率を維持したテレ朝は広告営業問題を積み残したママ。新番組を投入したフジとTBSは、動いた事で生じるマイナスを今後どう挽回するかで真価が問われる。これら3番組で新境地がどう切り拓かれるのか奮闘を期待したい。


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 文 鈴木祐司(すずきゆうじ) メディア・アナリスト 1958年愛知県出身 NHKを経て、2014年より次世代メディア研究所代表 デジタル化が進む中でメディアがどう変貌するかを取材・分析 著作には「放送十五講」(2011年、共著)「メディアの将来を探る」(2014年、共著)

 FRIDAYデジタル   以上




















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