2021年03月12日
習近平 万事休すか とうとう日米豪印が「中国包囲網」へと動き始めた・・・
習近平 万事休すか とうとう日米豪印が「中国包囲網」へと動き始めた・・・!
3/12(金) 7:02配信
写真:現代ビジネス
日米豪印の4カ国が3月12日、初のクアッド(Quad)首脳会談をオンラインで開く。最大の焦点は、中国に対する包囲網を具体的にどう形成するかだ。宥和的姿勢に懸念が残るジョー・バイデン米大統領の対中政策を占う試金石にも為る。
安倍前首相が残した「Quad」
日本と米国・豪州・インド4カ国の連携強化は、2007年8月に安倍晋三前首相が「2つの海の交わり」と題してインド議会で行った演説が端緒だった。安倍首相はそこで「太平洋とインド洋は自由の海、繁栄の海として、1つのダイナミックな結合をもたらしている」と強調した。(https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/19/eabe_0822.html)
その後、2012年に安倍前首相は日米豪印を結ぶ四角形を「セキュリティ・ダイヤモンド構想」として発表し「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」と云う概念を打ち出した。(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000430631.pdf)
米国のドナルド・トランプ前大統領は17年11月、安倍首相との会談後、会見でFOIPを単なる構想では無く「日米共同の戦略」として推進すると発表し一挙に加速して行く。FOIPの具体的な形として、4カ国のクアッドが外相会談として初めてニューヨークで開かれたのは2019年9月だった。翌20年10月には、2回目の外相会談が東京で開かれ、今回はそれから僅か5カ月後に首相会談に格上げされた形である。いわば「クアッドの生みの親は安倍前首相」なのだ。
この一事を見ても、安倍氏の卓越した国際感覚が分かる。(この持ち上げ方が余りに異常で、この学説の信憑性も疑わられるのだが・・・管理人)
2016年11月に大統領就任を控えたトランプ氏とニューヨークのトランプ・タワーで会談し、いち早く中国の危険性を訴えて理解させたのも安倍氏だった。昨年の大統領選でトランプ氏を破って大統領に就任したバイデン氏は選挙戦の最中から同盟国や友好国との連携を強化し中国に対抗する姿勢を示して居た。
一方で、先週のコラムに書いた様に、バイデン大統領は中国の実質的な宣伝機関である孔子学院に付いて、トランプ政権が発動した規制を取り消す等、対中宥和的な姿勢も覗かせて居る。(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/80841)
バイデン大統領の本心が何処にあるのか注目される局面だが、そんなバイデン政権の対中戦略が具体的に動き出す最初の一歩が今回のクアッド首脳会談なのだ。この結果を見れば、4カ国取り分けバイデン政権の対中スタンスが浮き彫りに為る筈だ。
「反中」に慎重なインドの動向
インドのモディ首相[Photo by gettyimages]
一体会談は、どんな展開に為るのだろうか。日本では、例えば、中国のワクチン外交に対抗して、新型コロナウイルスのワクチンを途上国に供給する新たな枠組みの創設で合意する見通し等と報じられて居る。
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE1013N0Q1A310C2000000/)
だが、これは政府の説明をそのママ報じただけではないか。ロイター通信によれば、同じ話が「インドの新型コロナワクチン生産能力の引き上げに、残る3カ国が資金協力する」と報じられて居る。
(https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-vaccines-quad-idJPL4N2L74TG)
インドは伝統的に非同盟主義を貫いて居り、クアッドに名を連ねて居るが、あからさまな「反中国同盟」化には反対で、首脳会談への格上げにも慎重な姿勢だった。詰り、日米豪の3カ国はインドを首脳会談開催に同意させる為に、ワクチン生産で資金提供するアメを与えたのだ。
確かに、インドの生産能力が高まれば、途上国へのワクチン供給にも余力が増すだろう。ワクチン外交を積極化させて居る中国に対抗する意味合いもある。だが、途上国へのワクチン供給には、既に「COVAX」と云う国際的な共同購入枠組みがある。敢えて、屋上屋を架す様な枠組みを作るのは、露骨なインド取り込み工作と取られるのを嫌ったためだろう。
途上国への供給促進は、インド取り込みの「化粧」に過ぎ無い。仮に途上国に供給されたとしても、ホンの形だけに為るのではないか。只、そうだとしても、インドを説得して首脳会談に漕ぎ着けたのは大きな成果には違い無い。外交は大義だけでは動か無い、時には妥協や取引も必要だ。
「中国包囲網」構築の為の5つのポイント
真に重要なのは、もっと実質的な中国包囲網の構築である。「4カ国が合意出来たら、素晴らしい」と、私が思うメニューをアトランダムに挙げてみよう。
先ず(1)南シナ海や東シナ海における、クアッド4カ国による合同軍事演習の実施だ。
中国は昨年来、台湾に対して戦闘機や爆撃機を飛ばして挑発を繰り返して居る。沖縄県の尖閣諸島に海警局の武装船が連日押し寄せているのはご承知の通りだ。これに対抗する為に、4カ国が台湾や尖閣諸島の付近で合同軍事演習を実施する。
それに、例えば、英国やフランスの海軍が参加すれば尚好い。英国はクアッドへの参加を検討して居ると報じられて居るが、正式な決定を待つ迄も無く演習に参加すれば実質的に参加したのと同じに為る。
深圳市にあるファーウェイ本社[Photo by gettyimages]
次に(2)中国の浸透工作や知的財産窃取等に付いて、4カ国が情報交換の強化で合意するる。
情報分野では、好く知られて居る様に、米国と豪州・英国・カナダ・ニュージーランドのアングロサクソン5カ国に「ファイブ・アイズ」と呼ばれる機密情報共有枠組みがある。 日本とインドはこれに加わって居ないので、情報の偏在が在る筈だ。
そこで、クアッドに情報を共有する枠組みが出来れば、ファイブ・アイズと並ぶ体制に為る。何れ、英国がクアッドに参加するならクアッド内での情報格差を解消する為にも不可欠になる。
それから(3)対中制裁の共有化も重要だ。
例えば、第5世代移動通信システム(5G)を巡って、米国は中国の華為技術(ファーウエイ)に対する制裁をいち早く実施し日本や欧州各国も追随したが、必ずしも各国の足並みが揃って居たとは言えない。最新技術を巡る規制・制裁措置だけで無く、貿易投資を巡る制裁でも各国が協調しなければ、最も緩い国が風穴に為って実質的な効果が削がれてしまう。クアッドの4カ国が、中国に対抗する為には何が効果的かを洗い出して協調すべきである。
忘れて為ら無いのは(4)>新疆ウイグル地区での大量虐殺(ジェノサイド)を初め、チベット・モンゴル・仏教徒・キリスト教徒・イスラム教徒・法輪功信者等に対する人権弾圧に抗議する弾劾行動の協調だ。
具体的には、4カ国が中心に為って、中国に対する調査団の派遣を要求したらどうか。 先週のコラムで触れたが・・・
来年冬に開かれる(5)北京五輪への参加問題に付いても、4カ国は足並みを揃える必要がある。(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/80841)
先ずは、調査団の派遣で、中国と共に実態を解明する努力を表明した上で、協力が得られ無ければ、ボイコットを真剣に検討すると云う手順にすれば好い。
以上5項目のうち、例え1つだけでも合意出来れば、最初のクアッド首脳会談としては、相当な成果と言える。逆に、具体的な行動が何も無くて、言葉だけの中国批判に終われば、余り評価出来ない。「兎に角首脳会談に漕ぎ着けた」と云う点だけが成果に為る。
首脳会談に続いて、3月18日にはアントニー・ブリンケン米国務長官とジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が、中国の外交トップである楊潔篪共産党政治局員と王毅外相とアラスカで会談する。
クアッドの首脳会談と云い外相級会談と云い、政策展開のテンポが速い。好意的に見れば、これはバイデン政権が中国問題を重視して居る表れである。安倍前首相の後を継いだ菅義偉首相にも、各国の期待が集まって居るだろう。この先も要注意だ。
長谷川 幸洋(ジャーナリスト) 以上
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