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2020年04月28日

『板門店宣言』二周年 文大統領は「コロナ危機が新たな機会」と南北協力に強い意欲




 『板門店宣言』二周年 

 文大統領は「コロナ危機が新たな機会」と南北協力に強い意欲


        〜徐台教「二ュースタンス」編集長 4/27(月) 20:34 〜


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 今日27日で南北首脳による『板門店宣言』採択から二周年を迎えた。南北関係改善が暗礁に乗り上げて居る中、文大統領は新型コロナ危機を境に状況を突破して行く意志を大々的に明かした。

 「当時の感動と記憶が鮮やかに蘇る」

 南北の首脳が歴史的な板門店宣言をしてから2年に為りました。当時の感動と記憶が鮮やかに蘇ります。 私と金正恩委員長が手を取り合い共に軍事境界線を行き来する場面は、8千万同胞と全世界に胸一杯の感動を与え、二人の首脳が合意した板門店宣言は戦争の無い平和に向かう新たな朝鮮半島時代の序幕を開きました。

 韓国の文在寅大統領は27日、青瓦台(大統領府)で開催した主席補佐官会議の冒頭でこう発言し、当時を振り返った。2018年4月27日、11年振りの、そして金正恩委員長が朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の指導者と為って以降、初めて行われた南北首脳会談は世界中の注目を浴びた。
 会場と為った板門店は・・・実際の場所は南側の「平和の家」・・・1953年7月に朝鮮戦争の停戦協定が締結された場所だ。その後も度々南北で小競り合いが起き、今も南北が向き合う世界で唯一残る冷戦の最前線だ。

 当時採択された『板門店宣言』には3度目の南北首脳会談で初めて「朝鮮半島の非核化」と云う文字が入った事で注目された。2000年・2007年の会談には無かった内容だ。これが正確に何を指すのか実は2020年の今も明らかでは無い。だが2017年11月に「核武力の完成」を宣言した北朝鮮側が、首脳宣言に「非核化」を明記した事は確かな前進と評価された。又「過去の南北宣言とアラユル合意の徹底的な履行」が確認された点も大きかった。
 これは過去、李明博(イ・ミョンバク)朴槿惠(パク・クネ)政権の9年で断絶した南北関係に於ける「我が民族同士」や「平和統一」と云った原則を回復させる意味合いも在った。

 2018年は順風 2019年は停滞

 それから2年。現在の南北関係は「視界ゼロ」と言っても過言では無い。

 ○南北⇒米朝の流れ

 2018年はとても順調だった。南北首脳会談後の6月12日には、シンガポールで史上初めて米朝首脳会談が行われた。この場で金正恩委員長による「朝鮮半島の非核化」とトランプ大統領に依る「安全保障(平和体制への転換)」が明記され、この二つの完成を同時ゴールとする「平和と繁栄」の朝鮮半島の未来像が世界に向けて掲げられた。
 その後9月に南北首脳はこの年3度目と為る首脳会談を平壌で行い、二つの重要な合意を行った。先ずは『平壌共同宣言』で南北交流の拡大を唄うと共に、非核化措置に於いて「米国が相応措置を採る場合、寧辺核施設の永久的な廃棄」と云う重大な決断を明記した。

 そして同じ日に締結した『歴史的な「板門店宣言」履行の為の軍事分野合意書(以下、南北軍事合意書)』では、軍事境界線を挟んで多数の戦力が対峙する南北が「相手方に対する一切の敵対以降意を全面中止する」と明記された。
 これ等を踏まえ当時、文在寅大統領は金正恩委員長の隣で「戦争の無い朝鮮半島が始まった。南と北は今日、朝鮮半島の全地域で戦争が起こし得る全ての危険を無くす事に合意した」と述べる歴史的な瞬間を演出した。振り返ると2018年は南北関係の改善が米朝関係を引っ張ると云う、韓国の進歩派政権に取って金大中(キム・デジュン)政権以来の好循環が実現した時期だった。
 朝鮮半島問題とは南北だけ解決出来るもので無く、世界に於ける冷戦構造の最終的な解体を意味する国際的な問題で有る事を熟知した韓国政府による「リード」は上手く行くかの様に見えた。

 ○「ハノイ決裂」が尾を引いた2019年

 制裁緩和の為に会談がこう・・・決裂と為った。北朝鮮は制裁緩和・完全な制裁解除を求めた。しかし米国はその要求を聞き入れる事は出来無かった。 2019年2月28日午後、ベトナム・ハノイでトランプ大統領は記者団を前にこう述べた。前日から行われて居た米朝首脳会談の決裂を知らせる一声だった。 当時の焦点は「米朝がどの線で合意するか」に在った。
 北朝鮮が完全な非核化へのロードマップを提示する代わりに米国も平和協定締結のスケジュールを出すのか、若しくは段階的な非核化で双方が合意するのかと云ったものだ。 ヒントは昨年9月の「平壌南北首脳宣言」にあった。

 北朝鮮はこれに明記した様に「寧辺核施設の廃棄」を念頭に交渉に臨んだが、米国はそれで好しとし中ッた。北朝鮮は先に引用した「完全な制裁解除」を求めた訳では無かったが、いずれにせよ米国との思惑は異なった。 この結果は、金正恩氏の体面を大きく傷着けると共に「『寧辺核施設で行ける』筈だったのに話が違う」と云う、文在寅大統領への不信へと繋がって行く。
 背景には「南北軍事合意書」の様な南北単独の関係改善にブレーキを掛けたい米国の思惑も在った。更に、韓国政府も此処が勝負とばかりにトランプ大統領を説得する事が出来無かった。(し無かったと云う説もある)

 結局、この構図が今日迄残って居る。 米国は交渉条件で譲歩する気が無い上に、北朝鮮は韓国との対話の窓口を最小化しながら韓国政府への批判の視線を向ける。韓国はこの構図を突破する為には「無茶」をしなければ為ら無いが、そのタイミングが掴めない状況だ。2019年6月には板門店で南北米の三首脳が会合を持つ大きなイベントがあったが、成果には繋がら無かった。

 コロナ危機をどう生かすか

 去る2年は平和が一晩で達成されるものでは無い事を、もう一度切実に感じる期間でした。期待と失望が繰り返され、その都度コレに耐え、ユックリとした歩みかも知れませんが、平和プロセスを進展させる為努力して来た期間でした。
 今日の文大統領のこうした発言は、上で長々と書いて来た2年の時間の流れの上に位置付けられる。南北関係は現在、連絡を取り合え無い状況が続いて居るが、かと云って「南北軍事合意書」が破棄された訳でも無い。 北朝鮮は昨年5月から断続的に短距離弾道ミサイルや新型高射砲の発射実験を行って居るが、北朝鮮に対する大規模な追加制裁が課される事は無い。

 識者が「ローキー」と表現する様に、緊張を低く維持したママ小康状態が続いて居る。これを維持出来たのだけでも成果だろう。この日の文大統領の発言は意欲的だった。

 「朝鮮半島の運命の主人は私達自身と云う事実を私達が忘れ無い限り、道は開く筈だし、狭い道も少しずつ広い道にして行く事が出来る」としながら「最も現実的なアイディア」として「新型コロナウイルス(COVID-19)の危機が南北協力の新たな機会に為り得る」との見方を示した。
 その根拠としたのは今年3月に金正恩氏と行った「親書交換」だった。韓国が大邱(テグ)市での感染爆発を前に死闘を繰り広げて居た3月4日、金正恩氏は親書で「必ず勝つと信じて居る。南側の同胞の大切な健康が守られる事を願う」とエールを送った。

 当時、青瓦台が明かした処に依ると親書には「朝鮮半島を巡る情勢に対する率直な思いと立場も込められて居た」と云う。これに対し、文大統領も感謝の意を込めた返信を送った。 文大統領はこの日、具体的なアイディアも挙げた。

 「新型コロナに共同で対処する協力から始まり、家畜の伝染病と接境地域(軍事境界線に近い地域)での災害災難、そして気候環境変化に共同で対応する」と云うのがそれだ。更に「南北間の鉄道連結」「南北共同遺骸発掘事業」「離散家族再会事業」等の事業にも言及した。

 総選挙での与党勝利が後押し

 それでは具体的にはそんな動きがあるのか。 韓国の金錬鉄(キム・ヨンチョル)統一部長官は24日、今年の6月15日に『南北共同宣言(2000年)』20周年を迎え南北共同行事を行う計画を明かした。この中には離散家族再会事業が含まれて居る。実現するとすれば急ピッチでの準備が始まる事に為る。
 そして今日27日には、江原道の江陵(カンヌン)⇔猪津(チェジン)区間を結ぶ鉄道連結事業の着工式が行われた。これは韓国東部の鉄道路線を整備し、行く行くは軍事境界線を越えて東海岸の鉄道を南北で繋ぐ事業だ。 又、新型コロナにマツワル人道支援も積極化される見通しだ。

 矢張り統一部は、3月と4月に夫々一件ずつ北朝鮮への支援許可を出したと明かして居る。これは北朝鮮側に受け入れ先があると云う事で、現実的な支援が軌道に乗り始めて居る事を如実に示して居る。
 これに関し米財務部では北朝鮮に対し、新型コロナウイルス診断キット・マスクや防護服等の装備・酸素呼吸器や医薬品を制裁対象外とする措置を今月に入り行って居る。この為、民間人道支援団体に依る北朝鮮への支援の動きは今後拡大すると思われる。
 統一部は他にも、金剛山観光・開城工業団地の再開と云う宿願作業も今年の計画に含めて居る。又「統一経済特区法」等の法整備も進めるものと見られる。

 4月15日に行われた総選挙の結果、与党・共に民主党は議席の6割180議席を占め、アラユル法案を一定の期間が過ぎれば単独で通せる様に為った。この為、南北関係改善を支える法整備は進むものと見られる。 実際、金統一部長官は『板門店宣言』を6月から始まる新たな国会で批准する事に言及して居る。
 「南北軍事合意書」の結果、板門店でも非武装化が進んだ・・・非武装のママ北朝鮮側に背を向けて立つ兵士も。

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 文政権下での南北関係改善はラストチャンス

 それでは現状をどう評価すれば好いのか。 朝鮮半島情勢や南北関係に詳しい統一研究院の趙漢凡(チョ・ハンボム)先任研究員は27日、筆者の電話インタビューに対し「今年に為って文大統領は南北関係改善にずっと意欲を見せて来た。今年は大統領選挙のスケジュール(22年5月)を考えても文大統領が南北関係で何か成果を残すラストチャンス」と述べた。
 更にその可能性に着いて「北朝鮮側が返事をしない状況はそのママだが、米国が動か無い為金正恩氏の立場では南北関係から突破口を探す可能性がある。総選挙の結果もあり、韓国国内の状況も悪く無い」と見立てた。

 文大統領はこの日、新型コロナウイルス拡散後、詰り「ポストコロナ時代」の精神として「連帯と協力」を挙げた。そして「板門店宣言の基本精神」も同様なものであると述べた。 今年6月には南北共同宣言から20周年、そして朝鮮戦争勃発から70周年を迎える。
 韓国政府に取っては、2019年に見る影も無く為った朝鮮半島の未来を切り拓く「勇気」を、再び発揮する時が来たと云える。何処迄進めるのか、今後6月15日までの動きに俄然注目が集まる。


                  以上









【管理人のひとこと】

 このレポートで窺い知るのは、既に韓国はポストコロナへと人々の関心が移って居る・・・と云う事なのだろうか。とても羨ましい限りだ。しかし、日本と比較はしない・・・比較も出来無い程の国情の違いもある。韓国・北朝鮮は、同じ民族・家族が未だに分裂する・・・何とも言い様の無い半島国家なのだ。この感情は、私達には簡単に想像出来無い。深い悲しみと互いに憤りを持ち合う隣同士・同じ民族でもある訳だから。
 両分裂国家は、未だに交戦中であり今は瞬時の休戦をして居る状況である。遂何年か前は、北朝鮮が一方的に或る島へ攻撃したばかりでもある。両国は戦争中であり、韓国の若者には一定期間の徴兵制度もあり、日本とは単純には比べるのは無意味だろう。
 隣国の我々には、ドイツの様に過去を捨て去り早く南北が統一して新たな国へと発展する事を願うばかりだが、日本は何一つの貢献も出来ず、拉致問題も一向に進展しない哀れな存在に為って仕舞って居る。我が国は只管国力を下げ続け、国としての価値の暴落に邁進している・・・誠に哀れな国家である。隣国から見ると「戦争も無い平和な国家なのに、どうして可笑しな政権を甘受して亡国へと向かっているのだろう・・・」と訝し気に見て居る事だろうか。私は最近、子供達の未来を考え、心が寒ーく為って来るのに耐えられ無く為って居る。
 もし、両国の思惑が一致すると、今後朝鮮半島に世界の目が集中する事も有り得、ポストコロナの世界の希望の星とも為らぬとも限ら無い。















 



 




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