2020年03月24日
「五輪延期すべき」論の火付け役・山口香JOC理事が 「密室」の外で声を挙げた理由
「五輪延期すべき」論 の火付け役・山口香JOC理事が
「密室」の外で声を挙げた理由
〜文春オンライン プチ鹿島 3/24(火) 6:00配信〜
山口香JOC理事
東京五輪がイヨイヨ盛り上がって来た。「五輪通常開催『されない』オッズ1.17倍 『される』4.5倍と大差」(スポニチ3月23日)
もう欧州のブックメーカーでは賭けの対象にされてるらしい。序に「森喜朗会長がマスクをしないで最後まで頑張る」「頑張れない」のオッズも欲しい処。
遂に、安倍首相も国会答弁で
「安倍首相『オリンピック、完全な形困難なら延期判断も』参院予算委で」(毎日新聞WEB3月23日)
考えて見れば「東京2020」は下世話さが常に付き纏って居た。例えばコレ。招致成功直後の記事。
「安倍首相と猪瀬都知事 東京五輪大会組織委人事で足並みに乱れ」(スポニチ2013年10月12日)
安倍首相は大会組織委員会会長に森喜朗元首相を充てる方向で調整して居るが、東京都の猪瀬直樹知事は「人選は僕の処で遣る」と否定したと云うのだ。揉めてます。
《猪瀬氏は都庁で取材に「人選は安倍首相が遣る訳では無く、僕の処で遣る」と森氏の起用を否定。その上で「(会長は)東京都とJOCで決める。色んな人が今、こう云う時期に便乗して出て来る」と不快感を表明》
猪瀬都知事キッパリ!
しかしこの直後に猪瀬氏に「徳洲会・5000万円」スキャンダルが発覚。五輪招致成功の絶頂から僅か3カ月で辞任。会長に就任したのは森喜朗氏。アスリートより先ず目立ったのは政治の話題だったのである。
誰が何時「ザハ案白紙撤回」を発表したか?
新国立競技場のザハ・ハディド案が白紙撤回の時も政治が目立った。当時の下村文科相は15年6月29日、総工費を当初の2倍近くの2520億円と公表。批判が沸き起こった。では誰が何時白紙撤回を発表したか。去年の検証記事を見てみよう。
《総工費高騰の批判が強まる中、国会は安全保障関連法案の重要局面を迎えて居た。同案は7月16日に衆院で強行採決されると、翌17日に安倍晋三首相は突然、計画の白紙撤回を表明。ラグビーW杯での活用は断念された》(毎日新聞2019年12月1日)
アノ時安全保障関連法案の採決に対して批判が高まって居た。するとその翌日に「ザハ案白紙撤回」を安倍首相が発表したのだ。見事な併せ技である。新国立競技場は完成したけど五輪の後利用をどうすると云う問題がある。
しかし「そもそもの問題は、後利用を考えず建設した事に有る」(毎日)それだけアノ時は撤回有りきだったとも云える。
こうして観ると東京五輪・パラリンピックは常に政治案件だった事が分かる。嫌、招致の前からそうだった。IOCに対し今回の日程を「晴れる事が多く、且つ温暖である為、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮出来る理想的な気候」と大ウソ着いて招致した。何故そこマデ?
「神宮外苑 高層化済し崩し」(朝日新聞2019年7月25日)
と云う記事を読むと、
⊡ 「都心最後の一等地」と言われた明治神宮外苑地区一帯で今、高層ビルが「雨後のタケノコ」の様に生まれて居る。
⊡ 地区の景観を半世紀ほど守って来た建築物の高さ制限が緩和された為。
⊡ 呼び水に為ったのが東京五輪の招致だった。
とある。美しい景観を守る為に高さ制限「15メートル」だった明治神宮外苑が新国立競技場を作る事で一気に「80メートル」に引き上げられたのだ。これに依って新国立の建設を中心とした神宮外苑の再開発が可能に為ったのだ。もしかして新国立競技場はアリバイとして使われたのか?
「マラソン札幌開催へ変更と云う妙な東京五輪 招致で本当に得をしたのは誰だ?」 (文春オンライン2019年10月25日)
JOCの竹田恒和元会長
元々神宮外苑の再開発をド派手に遣りたい意向がアチコチに在った。その「悲願」を実現する為に東京五輪招致は必要だったとも思える。忘れちゃいけ無いのは「東京五輪・パラリンピックの招致を巡り、フランス捜査当局が日本オリンピック委員会・JOCの竹田恒和会長の贈賄疑惑で捜査を開始」と云う件だ。最初から政治的な匂いが漂って居たのだ。
山下泰裕氏
山口香JOC理事が「五輪、延期すべき」
竹田JOC会長が退任した後新会長に山下泰裕氏が就任。先週そんな山下JOC会長が「不快感」を示した。これ。
「JOC理事の山口香さん『五輪、延期すべき』」(朝日新聞デジタル3月20日)
JOC理事でソウル五輪女子柔道銅メダリストの山口香氏が「アスリートが十分に練習出来て居ない状況での開催は、アスリートファーストでは無い、延期すべき」との考えを示したのだ。これに対し「山下会長不快感」(サンスポ3月21日)と為ったが、アスリートファーストに立って考えを述べた山口氏の方を正論と世の中は受け留めた。
山下氏と云えばJOC 理事会を報道陣へ非公開にすると決めたと云う話題も去年あった。すると山下JOC会長の提案に対し採決で反対したのは「4人」その名前は、
山崎浩子氏(代表として)
・小谷実可子(シンクロナイズドスイミング1988年ソウル五輪銅メダリスト)
・高橋尚子(マラソン2000年シドニー五輪金メダリスト)
・山口香(柔道1984年世界選手権金メダリスト)
・山崎浩子(新体操ロサンゼルス五輪代表)
《何れも女性、普段の公開の理事会でも積極的に発言する顔触れだった》 (毎日新聞2019年8月26日)
ソモソモ竹田前会長の問題は公共性の高い組織や人物が裏で何をして居たのかと云う点だったのに又しても「密室」に拘った山下JOC会長。そして今回も山口香の正論が放たれ、山下が一本捕られた形に為った。五輪絡みではオジさん達の古さしか目立た無いのである。
何故「呪われた五輪」に為ったのか?
東京五輪・パラリンピックは本当にアスリートファーストなのか。次の記事を読んで欲しい。
「パラスポーツ 感染に恐々 健常者よりリスク高く」 (毎日新聞3月21日)
《新型コロナウイルスの感染拡大は、東京パラリンピックを目指すパラスポーツ選手にも大きな影響を及ぼして居る。重度の障害の有る選手が感染により肺炎を引き起こすと重症化する恐れがあるだけに、事態は深刻だ》
アスリートファーストなら真っ先に考えられ無ければいけ無い件だ。しかし、ヤレ経済損失がどうとかが今も大声で話されて居る。麻生太郎氏は「呪われた五輪」と言ったが、政治の話しか出て来ないから呪われるのだ。東京2020が政治家の見栄とか経済が相変わらず前提だと言うなら、もう辞めたら?
プチ鹿島 以上
感染症の専門家 「1年の延期では厳しいのではないか」
東京オリンピック開催 リスクとのバランスをどう考える?
〜AbemaTIMES 3/24(火) 15:50配信〜
7月の開幕まで120日余りに迫った東京オリンピック・パラリンピックの開催延期が現実味を帯びて来た。世界各国の競技団体等から延期を望む声も高まって居り、IOCは今後4週間以内に延期するかどうかの結論を出すと表明して居る。
安倍総理は 23日の参院予算委員会で「IOCの判断は私が申し上げた完全な形での実施と云う方針に沿うものであり、仮にそれが困難な場合にはアスリートの皆さんの事を第一に考え、延期の判断も行わざるを得無いと考えて居る」と述べて居り、今後の議論の焦点は、延期の場合一体何時実施するかと云う事に為りそうだ。
朝日健太郎参議院議員(自民党)
「アスリート達は混乱して居ると思う」
男子ビーチバレー代表として北京・ロンドンの2大会に出場した経験を持つ朝日健太郎参議院議員(自民党)は「日本時間の23日に大きく局面が変わった。22日のIOC臨時理事会で、そして23日の予算委員会で安倍総理が延期と云う言葉を初めて使った。コレから世界中が反応して行くのではないか」と話す。
「収束の見通しが或る程度立た無ければ、数カ月の延期ではアスリートの健康・安心・安全にリスクが残る。一方で、4割以上の選手はコレから代表に決定して行くと云う事で、今がオリンピックレースの佳境だ。3カ月掛けて減量する選手も居れば、オリンピックにピークを合わせるには半年〜1年位掛かると言われて居る。
自分がオリンピックに出場する事が決定したのは開会式の3週間前だったが、実は開会式から逆算しして1年位前から準備して居た。今、世界中の内定したアスリート・内定を目指して居るアスリートがゴールを見失い混乱した状況だと思う。
こうした心情も慮(おもんぱか)ら無ければ為ら無い。コロナの収束を基本軸にするのか、アスリート・ファーストを基本軸にするのか、その議論を深めて行か無ければ、世界的な合意はナカナカ得られ無いと思う」
その上で朝日氏は
「本当に延期が出来るのか。2020年の開催に向け、会場の選定、資金・人材集め等に6年間を掛けて来た。そう云ったものを4週間で決められるのかと言えば、普通に考えて無理だと思う。只、現時点では中止は無いと云う事だ。それに付いてはIOCも明言して居るし、日本政府もそれを了承して居る。
オリンピック・パラリンピック競技大会そのものの意味や様々な論点は有るが、感染症の専門家のご意見を参考にしながら、安心・安全な形で遣り遂げると云う意志を我々は共有して居る。その事が或る意味で新型コロナウイルスを世界が克服したと云うメッセージに為るのでは無いか」と訴えた。
競技の現場での感染対策をどうするのかと云う問題も
和田耕治・国際医療福祉大学教授
厚生労働省の対策にも関わって来た和田耕治・国際医療福祉大学教授は「特に欧米での感染が拡大して居て、コレが収まるには年単位は掛かると考えて居る。或る程度の人が感染し集団免疫を持た無い限り収まら無いと考えると、1年の延期では厳しいのでは無いか」との見方を示す。
「現場での感染対策をどうするのかと云う事に為ると思うが、矢張りボディ・コンタクトの多い柔道やレスリング等の競技も在り、誰か1人でも感染した場合、対戦した選手をどうするのかと云った議論が出て来る。
又、安全性が有り効果も得られるワクチンが出て来れば好いが、治療薬だけでは感染リスクが下げる訳では無い。例えばオリンピック村の中で感染者が出た場合、誰が濃厚接触者なのかと云う話が始まり公平性が保て無く為る可能性が有る。そう云った事も含めて対策が出来無ければ、オリンピックだけで無く2年後のワールドカップに付いても議論が続く可能性がある」
又、国内の状況に付いては
「東京・愛知・大阪と云う都市圏を中心に、感染者が少しズツ増えて来て居る。今の処、それ等のクラスターと呼ばれる疫学的なリンクを追えては居るが、一寸した事で地域での流行が起きてしまう事は十分有り得るので、危機感を確りと持って居なければ為ら無い。
特にイタリアではそんな事は起き無いと笑って居たが、数日後には実際に起きてしまったと云う話も有る。幸いな事に、日本は今迄ギリギリ持ち応えて居るので、今の内に医療体制や自粛をどうして行くかと云う事を確りと議論して行く必要があるが、余り時間は無いかも知れない」と指摘。
「専門家会議からもイベントの開催に付いては慎重にお願いしますと云う表現をして居るが、この慎重にと云うのが上手く伝わって居らず、解除されるのでは無いかと期待されて居た方が実施して居るのでは無いかと云う印象がある。
だが、矢張り日本でも流行が起き得ると云う危機感は高めて行きたいと考えて居る。最近では少しズツ長期戦と云う言葉が使われる様に為って来て居るが、社会活動を何処まで抑えれば流行を拡大させ無いで済むかと云う事に付いては、未だ一寸読み切れて居ない。
一方で感染が拡大して来ると、所謂街を閉める様な事をしないと収まら無いと云う事も分かって来て居る。生活圏の中でのイベントは少しズツ遣って頂き、日常を取り戻して貰う事も大事だ。只全国的なイベントはこの1年・2年は難しい」
大規模イベント自粛要請は補償とセットにすべき
幻冬舎・編集者の箕輪厚介氏
幻冬舎・編集者の箕輪厚介氏は「アスリートファーストと云う言葉も有るし、4年掛けて準備して居る事は凄く分かるが、優先順位で言えば、矢張り人が死ぬかも知れないと云う事を重視し無ければ為ら無い。大変な事ではあるが、全世界が受け入れ無ければ為ら無い事だと思う。
マスコミは選手の気持ち等を報じると思うが、ハッキリ言えば、それは煽(あお)って居るだけだ。延期と中止・・・夫々にビジネス・数字面や、どう云ったリスクが有るのかと云う事を冷静に示して欲しい」とコメント。
ノンフィクションライターの石戸諭氏
ノンフィクションライターの石戸諭氏は「感染症のリスクを抑える事を考えれば、当然オリンピックは延期だろうし、誰も街に出無い様にすれば収まって行くとも思う。問題は、その事による経済的損失が新たなリスクに為り、社会が死んでしまうかも知れ無いと云う事だ。
その事とのバランスを調整するのは専門家会議では無く政治家の仕事だ。例えばK-1に付いても中止と補償がセットに為って居れば遣ら無いと云う選択肢を取る事も出来る。自粛を要請する、判断は貴方達で遣れ。しかし補償はし無いと云う建て付けでは可笑しい。
先日、西村担当大臣とお話をする機会が在ったが、経済を回す為に6〜7月に観光キャンペーンをし、旅行に補助金を出すと云う話が出て居るらしい。しかし、そんな事をして居る場合だろうか。又感染のピークが遣って来るのでは無いか」と指摘して居た。
以上
東京五輪 1年延期を軸に組織委検討 首相ら電話協議へ
〜朝日新聞デジタル 3/24(火) 20:05配信〜
五輪開幕迄の日数を表示するカウントダウンボード 2020年3月24日午後6時59分 東京都港区 北村玲奈撮影
2020年7月24日に開会式を迎える予定だった東京オリンピック(五輪)に付いて、大会組織委員会が1年延期を軸に検討して居る事が24日、組織委幹部への取材で判った。
安倍晋三首相と国際オリンピック委員会・IOCのバッハ会長等が同日夜、電話で協議する。他には大会組織委員会の森喜朗会長・東京都の小池百合子知事・菅義偉官房長官・橋本聖子五輪相が同席する。
IOCは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、22日の声明で、今後4週間で延期を含め検討する方針を発表。首相はIOCが延期を決めた場合は、容認する考えを伝えると観られる。IOCの広報担当はこの日、東京五輪の延期を議題に臨時の理事会を開く事を明らかにした。
朝日新聞社 以上
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