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2020年02月23日

オスカー4冠「パラサイト」に隠された日本人は知ら無い「韓国下剋上社会の常識」 現地記者が解説




 オスカー4冠「パラサイト」に隠された日本人は知ら無い
 
 「韓国下剋上社会の常識」 現地記者が解説


              〜文春オンライン 2/23(日) 17:00配信〜


            2-23-30.jpg

 『パラサイト・半地下の家族』 コピーライトマーク 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

 英語以外の作品として初めてアカデミー賞作品賞を受賞した韓国映画「パラサイト・半地下の家族」半地下の部屋で貧しい生活を送るギテク(ソン・ガンホ)の一家と、IT企業を経営する裕福なパク社長一家の対比が描かれて居るこの作品には、日本人には分かり難い韓国ならでは事情が登場する。
 先に公開した文春オンラインの記事( アカデミー賞作品賞『パラサイト』を観たら知りたく為る韓国不平等社会『5つの疑問』に現地記者が答える! )に引き続き、韓国国外の観客には判り難いポイントに付いて紹介したい。
 (*以下の記事では、映画の内容が述べられて居ますのでご注意ください)

 疑問1 何故、韓国でボーイスカウトは人気があるの?
 
 インディアンに憧れるパク社長の息子は、カブスカウト(小学生ボーイスカウト)に加入して居る。ギテクの息子で、パク社長の家で家庭教師として働くギウも、映画後半でボーイスカウト出身である事が明かされる。ボーイスカウトは韓国でソンなに人気なのだろうか?
 1908年に英国で創設されたボーイスカウトは、現在170カ国で運営されて、韓国でも約13万人の青少年が活動して居る。具体的には野外活動等を通して冒険心とチームワークを育む他、多様なボランティア活動も行う。

 このボーイスカウトが韓国でポピュラーなのは、中高や大学の入学試験で大事な「スペック」と為って居るからだ。スペックとは、入試や就職に必要な資格やスキルの事。韓国では、難関の中・高校でもペーパーテスト無しで、選考は「内申書」と「自己紹介書」だけと云う処が殆どで、最も重要な資料と為る「自己紹介書」に書き込めるクラブ活動やボランティア経歴が必要に為る。
 ボーイスカウトの活動歴は、その一つと為るのだ。又内申書対策としても「ボランティア活動」で内申点が得られる為一挙両得に為る。只最近、ボーイスカウトは人気を失いつつある。野外活動等で時間を使うボーイスカウトに対して、試験勉強だけでも大忙しの子供達の時間を更に奪われると考える親が増えて居る為だ。

 ボーイスカウトで得られるボランティア活動の内申点も、寧ろ短時間で終わる社会団体の活動の方が効率的だと思われて居る。更に、大学入試の自己紹介書を廃止する改革案が教育省から発表されて居り、実際に廃止と為ればボーイスカウトの人気は更に下火に為るだろう。
 興味深いのは、半地下に住む一家の息子であるギウが、ボーイスカウト出身と云う点だ。ボーイスカウトは1年の会費だけでも数十万ウォンに達し、ユニフォーム代や日々の活動費・海外研修費等、親に取っては相当な経済的負担に為る。

 無職の両親と半地下部屋で暮らして居るギウが幼い頃ボーイスカウトだったと云う設定は、この家族が最初から貧困層なのでは無かったと云う伏線だと言える。

 疑問2 ギテクが失敗した「台湾カステラ屋」「チキン店」って何?

 「半地下の家族は、最初から貧困層なのでは無かった」と云う背景は、一家の大黒柱・ギテクの過去からも窺える。ギテクは過去、2度も商売に失敗し無職に為った。一つはチキン店でもう一つは台湾カステラ屋だ。ギテクが選んだコノ2つの業種は、特別な技術が無くても或る程度の資金さえ有ればフランチャイズで簡単に店を始められると云う共通点がある。
 先ず、フライドチキンを扱う「チキン店」は、韓国で最もポピュラーな外食店だ。開業する場合、材料や調理マニュアルは全てフランチャイズの本社が提供し、内装業者も本社が紹介して呉れる。店舗を確保し、フランチャイズ費用さえ支払えば誰にでも開業出来る。

 統計によると、2019年2月時点で韓国のチキン店は約8万7000店もあり、マクドナルドの全世界の店舗数の約2.4倍にも為ると云う。その分競争は熾烈だ。
 一方「台湾カステラ屋」は、台湾・台北近郊の淡水区の有名なお土産で、その場で焼き立ての大型カステラを切り分けて販売する。台湾では「シフォンケーキ」と呼ばれて居るが、日本のカステラに似て居る事から、韓国では「台湾カステラ」と呼ばれて居る。

 台湾カステラ屋も初心者が簡単に開業出来る事で知られ、フランチャイズなら本社で1週程製造手法を学んだら直ぐに開店出来る。単一品目しか扱わ無いので管理も容易である。韓国では2010年代半ばに起きた「台湾ブーム」で人気を集める様に為り、2016年には韓国国内に17種類のフランチャイズが存在し、計400店が営業して居た程人気を集めた。
 しかしブームから1年程経った2017年、卵、小麦粉、牛乳、砂糖以外は何も入れ無い事が売りだった台湾カステラに、食用油と添加剤を使用して居た事がテレビ番組で暴露されて、飽和状態だった台湾カステラ屋は、急激に衰退。今では殆ど店舗を見掛け無く為った。台湾カステラ屋は、韓国で最も短期間で消えた外食産業として知られて居る。

 韓国の自営業者は全雇用形態の約25%を占め、日本の2.5倍に達して居る。OECDの平均の17%より8%も高い。その理由は、企業からリストラされた中年男性が、最も簡単に再就職出来る飲食業等零細自営業に流れて居るからだとされて居る。
 ギテクも企業に勤めて、或る程度の水準の生活をして居たにも関わらず、退職後にキチンとした準備も無いママ、初心者にも出来る「チキン店」「台湾カステラ屋」のフランチャイズ店に手を出した事が窺える。ギテクの2度に渉る失敗で、家族は半地下での生活に迄落ちてしまったのだろう。

 この中高年の「チキン店」を巡る悲哀に付いては、拙著『韓国 行き過ぎた資本主義』(講談社現代新書)でも詳しく解説して居る。

 疑問3 パク社長夫人は何故、英語を交えて話すのか?
 
 パク社長の妻、ヨンギョが言葉の端々に英語を交えて話す事に、疑問を持った人も居るだろう。それも彼女が使う英語は簡単な単語や文章ばかり。ヨンギョの中途半端な英語交じりの話し方は、自然に身に着いたと云うよりは、意識的に自分の知的レベルを高く見せ様とする一種の「背伸び」なのだ。韓国社会において英語を話せるかどうかは「能力」と云うだけで無く「身分」を示す意味合いも在る。
 1993年、韓国では金泳三政権の「世界化」と云う旗印の下、英語教育ブームが起きた。更に、2007年に当選した李明博大統領は「貧困の連鎖を防ぐ為に、学校で英語をキチンと教える」として、英語教育強化を推し進めた。

 その結果「英語格差」と云う言葉が登場する程、所得水準によって英語教育は二極化する様に為った。2019年の統計によると、未就学児童に対する英語教育費用は、富裕層が暮らす教育熱の高い江南地域が、他の地域より約20倍も高く成程だ。
 ヨンギョを演じたチョ・ヨジョンはインタビューで、ポン・ジュノ監督から次の様な説明を受けて居た事を明かして居る。

 「ヨンギョは大学2・3年生の時に妊娠して、直ぐに主婦に為った。夫の社会的地位に歩調を合わせたいと努力して居る」

 ヨンギョは上流社会出身では無く、成功した夫のお陰で上流層の一員と為った為、その地位に相応しい人間で有る様に振る舞う為に、英語交じりの話し方が必要だったのだ。

 疑問4 パク社長が飲んで居る謎の飲料の正体は? 家政婦が作った「チャパグリ」とは?
 
 グローバルIT企業のCEOであるパク社長は、帰宅後はルーチンの様に真っ先に冷蔵庫に近づく。そして冷蔵庫のドアを開け謎の飲み物を取り、その中身をガブガブと飲み干す。
 パク社長が飲むこの飲み物は「生脈散・センメクサン」と云う漢方薬の一種だ。映画に漢方薬を提供したと云う漢方病院の説明によると、生脈散は夏バテを予防して元気を着ける漢方薬で、高麗人参、五味子、ヤブラン等の材料が入る。
 パク社長だけで無く、多くの韓国人が日常的に漢方薬を飲んで居る。特に病気の為では無く、一種の強壮剤として健康を守る為の習慣と為って居る。パク社長が飲んで居た生脈散は30包で10万ウォン・約9200円だと云う。上流層が好んで飲む、鹿の若角や麝香(じゃこう)等高級材料が入った健康薬は1包で数万ウォンを上回るものも多い。

 「パラサイト」で最も有名に為った料理は「チャパグリ」だ。チャパグリとは、インスタントラーメンメーカーの農心が作った2種類のインスタント麺「チャパゲティ」と「ノグリ」との合成語だ。韓国発の中華料理であるジャージャー麺「チャパゲティ」と、韓国式の辛いうどん「ノグリ」を混ぜて料理するので、チョッピリ辛いジャージャー麺の味がする。
 作り方は、熱湯に2種類の麺を入れて5分程煮た後、湯切りしてチャパゲティとノグリのスープを入れて混ぜるだけ。ヨンギョは、富裕層らしく高価な韓国産牛「韓牛」をトッピングして居たが、庶民は韓牛の代わりに目玉焼きやチーズ等をトッピングして食べて居る。

 疑問5 格差社会を描いた「パラサイト」の成功を、韓国人はどの様に受け止めて居るか?
 
 作品賞を始めとした主要4部門でアカデミー賞を受賞した「パラサイト」の成功は、韓国社会に大きな喜びを与えた。日本は勿論、アジアのどの国でも成し遂げられ無かった今回の快挙は、韓国が誇る「K-コンテンツ」の底力を世界に示した事件と見做されて居る。「映画界のノーベル賞を取った」等の表現が登場した程だ。

 「パラサイト」フィーバーは、4月に総選挙を控えた韓国政界に迄拡大して居る。文在寅大統領は、ポン・ジュノ監督を初めとするパラサイトチームを大統領府の昼食に招待して、映画の中の人気メニューである「チャパクリ」で持て成した。
 この席で文大統領は「映画が見せて呉れた社会意識に付いて深く共感する」「不平等を解消する事を最大の国政目標として居るが、反対も多く早く成果が現れ無いので焦れったい」と、自分の経済政策をアピールした。

 総選挙に出馬する候補の間でも「『パラサイト』マーケティング」が人気を集めて居る。ボン監督の故郷、大邱(テグ)地域から出馬する候補らは「ポン監督の生家の保全」「ポン・ジュノ博物館建設」「ポン・ジュノタウン造成」等を公約に掲げて居る。与党「共に民主党」も「第2のポン・ジュノを育成する」として、多彩な文化産業育成政策を党の公約として掲げて居る。
 しかし、このフィーバーに便乗して、ソウル市が映画のロケ地を巡る「パラサイト」ツアーを観光商品として売り出して行くと云うニュースが流れると、韓国社会では「貧困ポルノでは?」と云う反発が出た。

 「朝鮮日報」によると、映画に登場した庶民の住む町のモデルと為って居るのは、麻浦区阿峴洞(マポグ・アヒョンドン)の一帯。その付近の住民の間では「我々に貧民層だと烙印を押した」と云う反発が出て居ると云う。進歩政党である正義党は、声明を出し「パラサイトのロケ地を観光コースとして開発する事は、貧困の風景を商品化し、展示の街にすると云う事だ。それ以上でも以下でも無い」と批判した。
 海外メディアが韓国の「半地下」住居の取材に熱を上げる姿に対しても、批判が集まって居る。「韓国社会の格差問題への拡大解釈を警戒するべきだ」と云う主張も出始めて居る。

 韓国最大の通信社「聯合ニュース」は「半地下部屋は、過つて一時的に広がったが、今は歳月と共に消えつつある住宅の類型。これを改めて韓国の貧富の格差を示す証拠であるかの様に拡大解釈するのは適切で無いと云う指摘が出て居る」と伝えて居る。大き過ぎる海外からの反響に、メディアや国民の間にも戸惑いが見られて居る。


             金 敬哲 週刊文春デジタル  以上









 アカデミー賞作品賞「パラサイト」を観たら知りたく為る 韓国不平等社会「5つの疑問」に現地記者が答える!

            〜週刊文春デジタル  金 敬哲 2020/02/15〜


 アカデミー賞で主要4部門を制した韓国映画「パラサイト・半地下の家族」ポン・ジュノ監督は授賞式後の会見で「『パラサイト』は最も韓国的なものでギッシリ詰まって居て、返ってそれが全世界の人々を魅了したのはないかと思う」と語った。
 監督の言葉通り、本作は韓国社会のリアルな姿を通して世界に蔓延する格差問題と階層間の対立を描き出して世界から共感された。しかし、作品の中に描かれて居る韓国独特の事情に付いては、若干の説明が必要かも知れない。韓国国外の観客が疑問に思ったであろうポイントを解説してみたい。
 (*以下の記事では、映画の内容が述べられていますのでご注意ください)

 疑問1 主人公の家族が暮らしている半地下の家賃は幾ら?
 
 主人公の一家は、大黒柱の父・ギテク(ソン・ガンホ)を初め、家族全員が無職。彼等の貧困な暮らしを物語って居るのが「半地下部屋」だ。撮影に使われた半地下部屋は、ソウル近郊のスタジオに作られたセットだ。ギテクの家族が住む町も矢張りセットで、ソコに実際のソウルの庶民層が住む町の映像をCGで繋ぎ合わせたものだと云う。処で、実際にアノ半地下部屋を借りると、家賃は幾らだろうか? 

 韓国の様々な不動産サイトによると、ソウル市であの家族の様な、半地下で部屋が3つある住居を賃貸する場合「保証金1千万ウォン・約93万円+毎月30〜50万ウォン・約2万8千円〜4万7千円前後」が必要と為る。保証金は日本の敷金と同じ様に、基本的には退去時に全額返却される。
 韓国では、半地下部屋以外にも「住居貧困層」に分類される住居がある。一つは「屋根部屋」だ。屋上に建てた仮設住宅で、韓流ドラマに好く登場する。韓流ドラマではソウル市内の夜景が見下ろせるロマンチックな場所として描かれるが、実際には夏は暑く冬は寒い・・・上水施設や暖房施設も劣悪だ。

 もう一つは「考試院」大学街や塾街で好く見掛ける受験生向けの貸し部屋の事だ。日本で言うと寮を連想させる様な狭い部屋が集まって居る住居だ。考試院は住宅では亡く「近隣生活施設」に分類される為に、住宅法の影響を受け無い。その為、10平方メートル以下のワンルームが多く、窓が無かったり、部屋の真ん中に柱があったりする部屋もある。
 韓国では、地下部屋・半地下部屋、屋根部屋、考試院等に居住する世帯は「住居貧困層」に分類される。夫々頭文字を取って「地屋考(チオッコ)」とも呼ばれるが「地獄の苦み(チオッコ)」と発音が同じで悲惨さが感じられるネーミングだ。

 疑問2 パク社長の大邸宅の幾ら?

 半地下に住む一家が徐々にパラサイトして行くのが、グローバルIT企業を経営するパク社長の大豪邸。韓国の超富裕層を象徴する邸宅は、閑静な住宅街の坂道を登ってヤッと辿り着く。このパク社長の邸宅も全羅北道全州に建てられたセットだ。
 韓国メディアによると、セットとして作られたパク社長の邸宅の敷地は約600坪、1階床面積は約200坪。もし、実際にこの様な大邸宅がソウルにある場合、売買価格はどれ位だろうか。映画に登場する幾つかのシーンを参考に、ソウルの富裕層が住む代表的な「富村」城北区に邸宅が有ると想定すると「売買価格は100億ウォン・約9億3千万円を超えるだろう」とする不動産専門家の意見が紹介された事がある。

 実際に、パク社長の様な超富裕層が最も多く住んで居る処は、漢江が一番好く見下ろせる龍山区漢南洞だ。韓国の週刊誌が報道した「2018年1月の国土交通部の資料」によると、漢南洞とその付近には、韓国を代表する財閥の「サムスン」家が計10軒の邸宅を持って居て、他にも「SKグループ」崔泰源会長等の邸宅が集まって居る。
 この不動産資産の不平等コソが、韓国人が感じる最も深刻な格差問題だ。進歩派経済団体の「経済正義実践市民連合(経実連)」の資料によると、韓国上位1%の11万人は92万戸の住宅を保有して居り、30の賃貸業者が1万1000世帯を保有して居る。一方、韓国国民の70%に当たる3600万人は、一坪の土地も持って居ないと云う。

 疑問3 ギテクの息子はどうして4度も大学に落ちたのか?
 
 ギテクの長男ギウ(チェ・ウシク)は、パク社長の娘である女子高生の英語の家庭教師をする程勉強が出来て、アッと云う間にパク社長宅へのパラサイト計画を立てる程頭も切れる。そんな彼は、4度も大学入試に失敗した設定と為って居る。何故4回も失敗するのか?ソモソモそこ迄して、何故大学入試に挑戦し続けるのだろうか?

 先ず、韓国の大学入試制度に付いて説明しよう。韓国の大学は「修能」と云われる大学入学の為の共通試験の点数だけで入学出来る「定時」(定時募集)で3割程度、残りの7割は修能の前に行われる「随時」(随時募集)と云う入学選考によって入学生が選ばれる。
 「随時」の選考方法は様々だが、最も多く使われるのが「学生簿総合選考」(学総)方式だ。高校内申を含めて多様な活動に夫々点数が付けられ、各大学は受験生が得た総合点数を参考にして新入生を受け入れる。趣旨は「どれ程充実した高校生活を送ったか」を評価する為のもので、ボランティア活動や部活等課外活動の他に、受賞実績等も評価の対象に為る。

 結果的には、この複雑な評価方法に対応する為、高額な授業料の懸かる名門塾の指導が必要に為ってしまった。「随時」に必要な自己紹介書を作成して呉れる塾や、点数を稼ぐ効果的な校内活動を指導するコンサルティング塾が人気だ。更には、富裕層の子供達の間では、曹国前法相の娘の不正入試疑惑に見られる様に、親のコネを使った様々な小細工が蔓延する様に為った。
 結局の処「パラサイト」のギウの様な庶民の子供は、只管試験勉強に没頭して、只でサエ競争率が高まる一方の「定時」にしがみ付くしか無い。では何故、ギウは4回も落ちながら大学進学を諦め無いのだろうか。それは、好い大学を出て好い就職に着か無い限り、今の様な貧困な生活から抜け出す事は不可能だと思って居るからに違い無い。

 韓国社会は、1997年のIMF危機以降、中産階級が消滅して一握りの上流層と庶民に分かれてしまった。この様な格差社会で、韓国の庶民に取っては、教育コソが今の格差を乗り越えられる唯一の手段だと考えられて居る。ギウも、矢張り名門大学を卒業して大手企業に就職する事を夢見て居たかも知れ無い。
 韓国の激しい学歴社会に付いては、文春オンラインの別の記事(「映画『パラサイト』では判ら無い韓国『超格差』社会」)でも詳しく解説した。

 疑問4 警備員募集に500人が集まったと云うのは本当か?

 半地下家族の家長であるギテクは、2度も商売に失敗した後、真面な職に就いて無い。韓国において失業は大きな社会問題に為って居る。ギテクも、映画で「警備員1人を募集すると、大卒者等、500人も殺到する時代だ」と家族に語って居る。
 既に低成長時代に突入して居る韓国では、現在若年層の失業がクローズアップされて居るが、実際最も深刻なのは家庭を背負って居る中年層の失業だ。韓国では、2020年1月現在、中年の就職率が50ヵ月連続マイナスだ。経済の悪化に伴って製造業等の雇用が減少して居り、自営業者もギテクの様に倒産の危険に直面して居る。

 職場を失った中年達に取って警備員は確かに人気職種だ。2019年12月にインターネットの就職斡旋サイトを調べてみると「月給160万ウォン(約15万円)で1年契約」と云う条件の警備員1人を募集するのに59人が応募して居た。しかも、この中の29人は大学及び大学院卒業者だった。
 更に2019年、釜山に在る証券博物館で2人の警備員を募集した際には、計553名(大卒以上の者が331人)が応募し、大企業並みの高い競争率と為った事も在った。映画で語られた「1人の警備員募集に500人が集まった」と云うエピソードは十分在り得る話なのだ。

 疑問5 半地下生活の人々の「匂い」とは?
 
 半地下に住むギテクの一家は、長男ギウが家庭教師としてパク社長宅に雇われたのを皮切りに、家族である事を隠して父が運転手、母が家政婦として夫々邸宅に入り込んで行く。しかし、パク社長の息子に、ギテクの家族から同じ「匂い」がする事を指摘されてしまう場面がある。
 映画では、この「匂い」が貧困を描く上で重要な役割を果たして居るが、韓国社会において階層によって「匂い」の違いは有るのだろうか。

 先ず、ギテクの家族が住んで居る半地下部屋は、窓が小さく日差しが殆ど入ら無い。梅雨の時はカビ臭いかも知れない。更に風通しも悪い。又映画では、ギテクの半地下の外壁に小便をしたり嘔吐したりする人も居た。しかし、その匂いが人に付くだろうか? 
 私は韓国に住んで居るが、地下鉄や街で出会う人々から、コンな匂いを嗅いだ事は無い。只、私がハッキリ言えるのは、韓国のお金持ちからは良い匂いがすると云う事だ。ライターと云う仕事柄、ビジネスに成功した中年男性に好く会うが、彼等の大半は香水を使って居る。

 2015年の韓国の食品医薬品安全処の調査によると、韓国人男性の46.3%が香水を使用すると答えた。韓国の男性は香水だけで無く化粧品も積極的に使って居る。同調査では、韓国男性は月平均13.3個の化粧品を使用して居ると云う。「外見も競争力」と思われる韓国では、汗等生活の匂いが「貧困の匂い」が思われて居るのかも知れない。
 この問題に付いては、ポン・ジュノ監督が韓国メディアと行った以下のインタビュー内容を参考して頂きたい。


 「韓国社会で、金持ちと貧しい人の動線を見ると、実は余り重なら無い。行く食堂も夫々違うし、飛行機に乗ってたとしても、ファーストクラスとエコノミークラスだから、何時も空間が分かれて居る。しかし、本作は、主人公の息子が家庭教師として初めて金持ちの家に入り、金持ちと貧しい者が互いの匂いを嗅ぎ合える程、非常に近い距離に置かれ、お互いの線をギリギリ侵犯する・・・そんな話だ。それで、匂いと云う新しい映画的装置がストーリーに取って非常に大きな機能をする。
 匂いと云うのは、実は人間の状況や立場が表れるのではないか。一日中キツイ労働をすれば、体から汗の匂いがするのが当然で……。そう云ったものに対して守ら無ければ為ら無い最低限の、人間に対する礼儀があるのではないだろうか。(本作では)そう云った人間に対する礼儀が崩れる瞬間を取り扱った」


                    以上














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