2021年02月23日
『無治療寛解維持』を目指す慢性骨髄性白血病
無治療寛解が目標となりつつある慢性骨髄性白血病
慢性骨髄性白血病(CML)の治療は、分子標的薬(TKI)の登場によって劇的に改善され、もはや骨髄移植も行われなくなり、分子標的薬を内服することで90%以上の患者さんの長期予後が約束されるようになりました。
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CML治療の歴史を振り返ると、初めて症例が報告されたのが1845年、1960年代にフィラデルフィア染色体が発見され、その後、BCR-ABL1遺伝子の発見があり、BCR-ABL1チロシンキナーゼがCMLの発症に関わっていることが1990年に明らかになった。
そして、BCR-ABL1チロシンキナーゼを特異的に阻害するTKI(分子標的薬)であるイマチニブ(薬名 グリベック)が開発された。日本では2001年に使用できるようになり、現在の標準治療となっています。
それ以降第2世代TKIのニロチニブやダサチニブ、ボスチニブが開発された。
CMLは適切な診断と治療を行うことで、現在は不治の病ではなくなりつつあります。
イマチニブなどのTKIを中止する研究が進む
イマチニブなどのTKIによって長期生存を得ることは出来たが、白血病細胞が死んだわけではなく「治療を中断することは不可能であると考えられてきた」イマチニブ内服中止の前向き試験で、長期にイマチニブ治療を受けた患者の40%は治療を中止しても再発しないというものだった。
更にオーストラリアでの試験でも同様の結果が得られた。
国内でもイマチニブ中止例の調査を行ったところ、治療を中止しても再発しない『無治療寛解(Treatment Free Remission : TFR)』には、24ヶ月以上の分子遺伝学的完全寛解(CMR)が必要であることが示された。
さらに、イマチニブの長期治療を受けたCML患者の6割以上で、3年以上の無治療寛解(TFR)を達成することが証明された。
そして、治療中止直前の分子遺伝学的寛解の深さが、中止後の再発に最も関係することが分かった。
また、無治療寛解(TFR)に至った割合とイマチニブなどのTKIの服用期間には相関関係がある。服用期間が長いほど深い寛解を達成することが分かった。
イマチニブ中止して、ほとんどの再発例は中止後6〜7ヶ月以内に再発しており、中止前の分子遺伝学的寛解の深さが深いほど再発の期間が長いことが示唆され、7ヶ月以降も再発しないためには、ほぼ増殖能力がなくなるレベル以下にするという考え方が提唱されている。「これがほぼ幹細胞が駆逐された状態に近いのかもしれない」と考えられている。
慢性骨髄性白血病(CML)の治療は、以前であれば急性転化させないことが重要な目標だったが、最近では無治療寛解(TFR)が現実的な目標になりつつあります。
僕自身、2017年7月以降3年7ヶ月間(2021年2月現在)『無治療寛解(TFR)』の状態を維持し続けています。
2008年5月慢性骨髄性白血病と診断されて、イマチニブ(グリベック)を処方されて服用して以来、およそ10年間ずっと安定した数値を維持し続けていました。
そして、イマチニブ中止を主治医から打診されて快諾しました。
以降現在に至るまで、安定した状態のまま生活出来ているので、白血病患者であることすら忘れてしまいそうです。
一日も早く主治医から「おめでとうございます、完治しましたね!」と言われることを願いたいですね。
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