2020年03月20日
一度もパートに出なかった母が抱えていたのは、不安と無力感と自己否定。
父の定年退職を数年後に控えたある日、
母は口を滑らせ、僕のことを”居候”と言った。
→「”居候”という言葉が嫌い。」
一方で、僕が今している仕事の話になると、
母はいつも「そう…私なんて働いてないから」と呟いた。
どうして母はこんなことを言ったんだろうと考える中で、
最近、この2つの発言がつながった。
ずっと専業主婦だった母は、外へ働きに出るのが怖かったんだ。
「どうせ私なんて働けない」と自己否定していたんだ。
”居候”発言について、疎遠になる前に少しだけ聞いた。
すると、母はこう答えた。
「お父さんがあと2年で定年で、経済的に余裕がなかったからよ」
今でも許せないけど、理解はした。
「私は稼いでないし、お父さんの定年後どうしよう」
という不安が背景にあったことを。
ただ、僕はこの時、
「パートでもやってみたらどう?」
という提案を言いかけて飲み込んでしまった。
同居する妹弟は成人し、それぞれ働いてるんだから、
新しいことを始めるついでにアルバイトでもすればいいのに。
そう思っただけで、僕は勇気が出ず、言葉にできなかった。
母は結局、外に働きに行かず、専業主婦を続けた。
というより、僕の目には”できなかった”ように映った。
なぜか。
あの頃の母はきっと、
父の定年退職による今後の生活の不安よりも、
ずっと専業主婦の自分が外で働けるか不安の方が大きかったから。
「どうせ私なんて働けない。」
「今さら雇ってくれるところなんてない。」
「私なんてずっと専業主婦で、稼ぐ力なんてない。」
母は新しいことを始めるのが怖かったんだ。
実は自尊心が低く、自分への無力感でいっぱいだったんだ。
だとしたら、実質的に父の収入で生活している母は、
自分のことも”居候”だと思ってたんじゃないの?
僕に吐き捨てた”居候”という言葉は
実は自分に向けて言ったんじゃないの?
稼いでいない自分、無力な自分を責めたい、
だけど、今さらパートを始める決断は怖い。
だから、自分を責めるため、
同じように稼げなくて実家に出入りしていた息子に
自分の無力感を投影していたんだと思う。
→「どうしてあんな男と結婚したんだよ」。
当時の状況を理解するほどに、
母の言動が急速に1本の線につながっていった。
ここまで書いたのは、”たぶんこういう背景”という推測。
それでも、過去の怒りや悲しみに意味を見出すのは、
無理に親を許したり、「仕方なかった」と諦めるためじゃない。
母を理解し、自分が前に進むため。
いつか、腹を割って話すことがあってもなくても、
親の背景を、理由を理解し、受け入れて前に進むため。
母は口を滑らせ、僕のことを”居候”と言った。
→「”居候”という言葉が嫌い。」
一方で、僕が今している仕事の話になると、
母はいつも「そう…私なんて働いてないから」と呟いた。
どうして母はこんなことを言ったんだろうと考える中で、
最近、この2つの発言がつながった。
ずっと専業主婦だった母は、外へ働きに出るのが怖かったんだ。
「どうせ私なんて働けない」と自己否定していたんだ。
父の定年退職を控え、今後の生活が不安
”居候”発言について、疎遠になる前に少しだけ聞いた。
すると、母はこう答えた。
「お父さんがあと2年で定年で、経済的に余裕がなかったからよ」
今でも許せないけど、理解はした。
「私は稼いでないし、お父さんの定年後どうしよう」
という不安が背景にあったことを。
言いかけて飲み込んだ「パートでもやってみたら?」
ただ、僕はこの時、
「パートでもやってみたらどう?」
という提案を言いかけて飲み込んでしまった。
同居する妹弟は成人し、それぞれ働いてるんだから、
新しいことを始めるついでにアルバイトでもすればいいのに。
そう思っただけで、僕は勇気が出ず、言葉にできなかった。
母は新しいことを始めるのが怖かった
母は結局、外に働きに行かず、専業主婦を続けた。
というより、僕の目には”できなかった”ように映った。
なぜか。
あの頃の母はきっと、
父の定年退職による今後の生活の不安よりも、
ずっと専業主婦の自分が外で働けるか不安の方が大きかったから。
「どうせ私なんて働けない。」
「今さら雇ってくれるところなんてない。」
「私なんてずっと専業主婦で、稼ぐ力なんてない。」
母は新しいことを始めるのが怖かったんだ。
実は自尊心が低く、自分への無力感でいっぱいだったんだ。
実は”居候”は自分を責めるために言った?
だとしたら、実質的に父の収入で生活している母は、
自分のことも”居候”だと思ってたんじゃないの?
僕に吐き捨てた”居候”という言葉は
実は自分に向けて言ったんじゃないの?
稼いでいない自分、無力な自分を責めたい、
だけど、今さらパートを始める決断は怖い。
だから、自分を責めるため、
同じように稼げなくて実家に出入りしていた息子に
自分の無力感を投影していたんだと思う。
→「どうしてあんな男と結婚したんだよ」。
当時の状況を理解するほどに、
母の言動が急速に1本の線につながっていった。
過去の怒りや悲しみに、意味を見出す
過去に意味を見いだすというのは、単に
「あれでよかったんだよ」と言ってただ過去を肯定することではないし、
過去に起きた出来事の事実を否定することでももちろんありません。
「過去に負った心の痛みを、自分の強さとともに認識する」
ということです。
『不幸にする親』終章 より
ここまで書いたのは、”たぶんこういう背景”という推測。
それでも、過去の怒りや悲しみに意味を見出すのは、
無理に親を許したり、「仕方なかった」と諦めるためじゃない。
母を理解し、自分が前に進むため。
いつか、腹を割って話すことがあってもなくても、
親の背景を、理由を理解し、受け入れて前に進むため。
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