2019年04月13日
家庭裁判所へ戸籍改名の申立をしたときの話。
僕は戸籍改名したことがあります。
旧名:『航(ワタル)』
現在の名前:『理琉(ワタル)』
この通り、読み方はそのままで、漢字だけ変えました。
僕の周りに名前を変えたことのある人はいないので、
わりと珍しい経験かもしれません。
せっかくなので、戸籍改名の経緯や手続き、
そのときの心情をシェアしたいと思います。
ー目次ー
戸籍改名する方法は、
「家庭裁判所への申立を行う」です。
大まかな流れは以下のとおりです。
@家庭裁判所へ「名の変更届」を申し立てる
A必要書類を持って裁判所へ行き、質疑応答を受ける
B申立が受理/却下されるのを待つ
僕の場合は手続きから受理まで、あっさり進みました。
この辺は各裁判所や、申立人の事情によって変わると思います。
※詳しい内容は裁判所のWebサイトをご参照ください。
裁判所 名の変更許可
以下は僕が経験した、申立から受理までの流れです。
戸籍改名するには以下の書類を用意します。
・戸籍謄本
・収入印紙800円分(申立書に貼る)
・郵便切手(裁判所からの返信封筒に使用)
・※名の変更をする理由※
・新しい名前
申立用紙は裁判所のWebサイトからダウンロード可能です。
申立する日取りをどうやって決めたのかは、
残念ながら忘れてしまいました(泣)
確か、最初は代表の電話番号へ連絡しました。
おそらく郵送なども可能です。(要確認)
申立の日取りが決まったら、いよいよ裁判所へ出撃です。
僕は札幌在住なので、札幌家庭裁判所へ行きました。
通される部屋は個室か、小さめの会議室です。
ドラマで描かれるような「法廷」ではありません。
「多くの傍聴人がいる」
「検察官や弁護士が目を光らせている」
「中央に裁判官が鎮座している」
みたいな大裁判ではないので、ご安心ください。
質疑応答でいちばん重要なのは、
「名の変更をする理由を熱く伝えること」です。
おそらく、これが受理と却下を分けるポイントです。
僕が理由として訴えたのは、
「名付け親から受けた精神的苦痛と、当時を思い出す心的外傷」です。
数人の職員さんが立ち会いましたが、
詰問や𠮟責はまったくありませんでした。
これも場所と事情によるでしょうが、
「正当な理由」と「名前を変えたいという強い意志」を
自信を持って伝えれば大丈夫です。
裁判所でのやり取りが終わったら、あとは結果を待つのみです。
期間は数週間〜数ヶ月、郵送でのお知らせです。
僕の場合は
2016年11月に裁判所へ申立を行い、
2週間後に「受理」の通知が届きました。
なお、「苗字の変更」は「名の変更」よりも難しいそうです。
名の変更の理由として多いのは、
・親族に同名の人がいてややこしい
・キラキラネームによる日常生活への支障
・長年使っていてニックネームで通っている
・人名に使用してはいけない漢字が使われている
ですが、苗字の場合は
「戸籍を変える決定的な理由には該当しない」と
却下される場合が多いそうです。
無事に戸籍改名が受理された後は、
いろいろな名義変更の手続きが必要です。
具体的には
・通帳
・クレジットカード
・各種支払名義
・郵送物
などです。
結婚して姓が変わるときの手続きとほぼ同じです。
直ちに不便になることはありませんが、
通帳とクレジットカードの名前は早めに変更した方がいいです。
一時的に使えなくなる可能性があるためです。
僕はクレジットカードの名義変更を忘れても使えましたが、
おそらく「読み方が変わらなかったから」です。
漢字も読み方も一新した方は、すぐの変更届をおすすめします。
僕が戸籍改名したのは、
「父親に付けられた名前を捨てたかったから」です。
僕の父親は、いわゆる「毒親」の要素を強く持っています。
・威圧的、一方通行
・話が通じない、会話が成り立たない
・公共の場でもかまわず大声で罵倒
・怒鳴るか説教するとき以外は無関心
など、僕にとって
「心の安全基地」にも「子どもの理解者」にもなり得ない人物です。
今となっては、
父親だけが一方的に悪いなどと言うつもりはありません。
それでも僕にとって父親は「危険な外敵」であり、
父親に付けられた名前は「忌み名」でした。
『信頼できない、理解者でもない人間に、
僕のアイデンティティの1つを決められたくない』
僕の中にはずっと、そんな怒りが渦巻いていました。
だから、父親に付けられた名前を捨てることは、
「父親の呪縛から解放されたい」という抵抗でした。
父親も苦しかったことは見ればわかります。
心の余裕も、祖父母からの愛情も、
不足していたことは理解します。
ただ、100歩ゆずって父親の態度が
「不器用な愛情」だったとしても、
僕には伝わってきませんでした。
本心がどんなに神聖でも、それと正反対の接し方をして、
子どもに「愛情を察しろ」と要求するのは違うと思います。
そして僕自身も、親への憎しみに囚われている限り、
「自分の人生など、何も始まっていない」と気づきました。
この申立が受理されたのは、
その気持ちを担当職員さんに伝えられたからだと思います。
親への怒りや憎しみという動機で改名すると、
その後しばらく「大きな罪悪感」と闘うことになります。
確かに、僕の親は「子どもにとって毒になる親」でした。
ですが、子どもに付ける名前に何の願いも込めない親など、
そうはいないでしょう。
誰かに付けられた名前を捨てることは、
その人が込めた思いも捨てることです。
改名の動機が命名者との確執であれば、
「自分は名付けた者の思いを踏みにじったのではないか」
という罪悪感を避けては通れないでしょう。
戸籍謄本を取ると、
僕の旧名欄には「変更済」と記載されています。
今後、役所で戸籍謄本を受け取るたびに、
罪悪感や後悔と向き合うことになります。
親にとって、自分がつけた名前を捨てられることが
どれだけショックなのかも想像させられます。
好きの反対は無関心、
怒りや憎しみは、愛情や期待の裏返しです。
親を100%嫌いになれない自分への自責とも闘います。
「家族との確執を乗り越えるため」
それは立派な改名の動機です。
どうか、その後に襲ってくる罪悪感にも打ち勝ってほしいです。
「親はいつか子どもの気持ちに共感できるように変わる」
「親はいつかわかってくれる」
子どもが苦しむのは、
そんな親への期待を捨て切れないからです。
残念ながらそれが叶うことはほとんどありません。
変われる親なら、とっくに謝るなり本を読むなりしているはずです。
確かに、親が付けた名前を捨てることは、
親への期待を捨てる助けになります。
が、
名前を変えても
「自分に刻み込まれた記憶」と
「あの人が親という事実」は消せません。
怒りや憎しみが強いほど、
罪悪感や後悔、自責の念との闘いは熾烈を極めます。
それでも、僕は戸籍改名が受理されて
本当に良かったと思っています。
もがき苦しんでいた
「親への怒りに囚われた自分」を殺せたからです。
戸籍改名をお考えの方へ。
もし改名したことを親から責められたら、
それは「あなた方の長年の行いの結果」です。
もし親が
「親不孝」
「育ててやったのに」
などと言うなら、
「そういう考えだから子どもに名前を捨てられる」んです。
あなたは過去と向き合い、
自分の人生を始める決意ができたんです。
親ができなかった、その決意が。
後悔も罪悪感も、すべて引き連れて、
新しい"自分の"人生を始められることを願っています。
旧名:『航(ワタル)』
現在の名前:『理琉(ワタル)』
この通り、読み方はそのままで、漢字だけ変えました。
僕の周りに名前を変えたことのある人はいないので、
わりと珍しい経験かもしれません。
せっかくなので、戸籍改名の経緯や手続き、
そのときの心情をシェアしたいと思います。
ー目次ー
- 戸籍改名の方法
- 戸籍改名の申立から受理までの経緯
@家庭裁判所へ「名の変更届」を申し立てる
A必要書類を持って裁判所へ行き、質疑応答を受ける
B申立が受理/却下されるのを待つ - 戸籍改名が受理された後でやること
- 戸籍改名した理由
- 戸籍改名後は罪悪感との闘い
- 戸籍改名をお考えの方へ
1.戸籍改名の方法
戸籍改名する方法は、
「家庭裁判所への申立を行う」です。
大まかな流れは以下のとおりです。
@家庭裁判所へ「名の変更届」を申し立てる
A必要書類を持って裁判所へ行き、質疑応答を受ける
B申立が受理/却下されるのを待つ
僕の場合は手続きから受理まで、あっさり進みました。
この辺は各裁判所や、申立人の事情によって変わると思います。
※詳しい内容は裁判所のWebサイトをご参照ください。
裁判所 名の変更許可
2.戸籍改名の申立から受理までの経緯
以下は僕が経験した、申立から受理までの流れです。
@家庭裁判所へ「名の変更届」を申し立てる
戸籍改名するには以下の書類を用意します。
・戸籍謄本
・収入印紙800円分(申立書に貼る)
・郵便切手(裁判所からの返信封筒に使用)
・※名の変更をする理由※
・新しい名前
申立用紙は裁判所のWebサイトからダウンロード可能です。
申立する日取りをどうやって決めたのかは、
残念ながら忘れてしまいました(泣)
確か、最初は代表の電話番号へ連絡しました。
おそらく郵送なども可能です。(要確認)
A必要書類を持って裁判所へ行き、質疑応答を受ける
申立の日取りが決まったら、いよいよ裁判所へ出撃です。
僕は札幌在住なので、札幌家庭裁判所へ行きました。
通される部屋は個室か、小さめの会議室です。
ドラマで描かれるような「法廷」ではありません。
「多くの傍聴人がいる」
「検察官や弁護士が目を光らせている」
「中央に裁判官が鎮座している」
みたいな大裁判ではないので、ご安心ください。
質疑応答でいちばん重要なのは、
「名の変更をする理由を熱く伝えること」です。
おそらく、これが受理と却下を分けるポイントです。
僕が理由として訴えたのは、
「名付け親から受けた精神的苦痛と、当時を思い出す心的外傷」です。
数人の職員さんが立ち会いましたが、
詰問や𠮟責はまったくありませんでした。
これも場所と事情によるでしょうが、
「正当な理由」と「名前を変えたいという強い意志」を
自信を持って伝えれば大丈夫です。
B申立が受理/却下されるのを待つ
裁判所でのやり取りが終わったら、あとは結果を待つのみです。
期間は数週間〜数ヶ月、郵送でのお知らせです。
僕の場合は
2016年11月に裁判所へ申立を行い、
2週間後に「受理」の通知が届きました。
なお、「苗字の変更」は「名の変更」よりも難しいそうです。
名の変更の理由として多いのは、
・親族に同名の人がいてややこしい
・キラキラネームによる日常生活への支障
・長年使っていてニックネームで通っている
・人名に使用してはいけない漢字が使われている
ですが、苗字の場合は
「戸籍を変える決定的な理由には該当しない」と
却下される場合が多いそうです。
3.戸籍改名が受理された後でやること
無事に戸籍改名が受理された後は、
いろいろな名義変更の手続きが必要です。
具体的には
・通帳
・クレジットカード
・各種支払名義
・郵送物
などです。
結婚して姓が変わるときの手続きとほぼ同じです。
直ちに不便になることはありませんが、
通帳とクレジットカードの名前は早めに変更した方がいいです。
一時的に使えなくなる可能性があるためです。
僕はクレジットカードの名義変更を忘れても使えましたが、
おそらく「読み方が変わらなかったから」です。
漢字も読み方も一新した方は、すぐの変更届をおすすめします。
4.戸籍改名した理由
僕が戸籍改名したのは、
「父親に付けられた名前を捨てたかったから」です。
僕の父親は、いわゆる「毒親」の要素を強く持っています。
・威圧的、一方通行
・話が通じない、会話が成り立たない
・公共の場でもかまわず大声で罵倒
・怒鳴るか説教するとき以外は無関心
など、僕にとって
「心の安全基地」にも「子どもの理解者」にもなり得ない人物です。
今となっては、
父親だけが一方的に悪いなどと言うつもりはありません。
それでも僕にとって父親は「危険な外敵」であり、
父親に付けられた名前は「忌み名」でした。
『信頼できない、理解者でもない人間に、
僕のアイデンティティの1つを決められたくない』
僕の中にはずっと、そんな怒りが渦巻いていました。
だから、父親に付けられた名前を捨てることは、
「父親の呪縛から解放されたい」という抵抗でした。
父親も苦しかったことは見ればわかります。
心の余裕も、祖父母からの愛情も、
不足していたことは理解します。
ただ、100歩ゆずって父親の態度が
「不器用な愛情」だったとしても、
僕には伝わってきませんでした。
本心がどんなに神聖でも、それと正反対の接し方をして、
子どもに「愛情を察しろ」と要求するのは違うと思います。
そして僕自身も、親への憎しみに囚われている限り、
「自分の人生など、何も始まっていない」と気づきました。
この申立が受理されたのは、
その気持ちを担当職員さんに伝えられたからだと思います。
5.戸籍改名後は罪悪感との闘い
親への怒りや憎しみという動機で改名すると、
その後しばらく「大きな罪悪感」と闘うことになります。
確かに、僕の親は「子どもにとって毒になる親」でした。
ですが、子どもに付ける名前に何の願いも込めない親など、
そうはいないでしょう。
誰かに付けられた名前を捨てることは、
その人が込めた思いも捨てることです。
改名の動機が命名者との確執であれば、
「自分は名付けた者の思いを踏みにじったのではないか」
という罪悪感を避けては通れないでしょう。
戸籍謄本を取ると、
僕の旧名欄には「変更済」と記載されています。
今後、役所で戸籍謄本を受け取るたびに、
罪悪感や後悔と向き合うことになります。
親にとって、自分がつけた名前を捨てられることが
どれだけショックなのかも想像させられます。
好きの反対は無関心、
怒りや憎しみは、愛情や期待の裏返しです。
親を100%嫌いになれない自分への自責とも闘います。
「家族との確執を乗り越えるため」
それは立派な改名の動機です。
どうか、その後に襲ってくる罪悪感にも打ち勝ってほしいです。
6.戸籍改名をお考えの方へ
「親はいつか子どもの気持ちに共感できるように変わる」
「親はいつかわかってくれる」
子どもが苦しむのは、
そんな親への期待を捨て切れないからです。
残念ながらそれが叶うことはほとんどありません。
変われる親なら、とっくに謝るなり本を読むなりしているはずです。
確かに、親が付けた名前を捨てることは、
親への期待を捨てる助けになります。
が、
名前を変えても
「自分に刻み込まれた記憶」と
「あの人が親という事実」は消せません。
怒りや憎しみが強いほど、
罪悪感や後悔、自責の念との闘いは熾烈を極めます。
それでも、僕は戸籍改名が受理されて
本当に良かったと思っています。
もがき苦しんでいた
「親への怒りに囚われた自分」を殺せたからです。
戸籍改名をお考えの方へ。
もし改名したことを親から責められたら、
それは「あなた方の長年の行いの結果」です。
もし親が
「親不孝」
「育ててやったのに」
などと言うなら、
「そういう考えだから子どもに名前を捨てられる」んです。
あなたは過去と向き合い、
自分の人生を始める決意ができたんです。
親ができなかった、その決意が。
果てしない闇の向こうに Oh, oh 手を伸ばそう
癒える事ない痛みなら いっそ引き連れて
Mr.Children『Tomorrow never knows』 歌詞より
後悔も罪悪感も、すべて引き連れて、
新しい"自分の"人生を始められることを願っています。
リンク
リンク
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/8718417
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック