2024年06月16日
【短編小説】『訣別の雪辱戦(グラジマッチ)』6 -最終話-
⇒【第5話:ただ1人の家族】からの続き
<登場人物>
・アシュクリス(主人公)
・リヴィーズ(アシュクリスの妹)
・トリステス(姉妹の父、軍事大国No.1の戦士)
・イレーズ(姉妹の母、軍事大国No.1の魔法使い)
・ゼレシア(魔族軍トップ)
・メイレ(魔族軍幹部、ゼレシアの側近)
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【第6話:訣別を期して】
<とある軍事大国>
ゼレシア
『…これは…すさまじい戦闘の跡だ…。』
『おそらく王国1の戦士と魔法使いの仕業。』
『一体誰と戦っていたのだ?』
メイレ
『ゼレシア様、いつもの率先垂範はご立派です。』
『ですが、あなたは魔族軍のトップです。』
『最前線へ飛び込むのはお控えください。』
ゼレシア
『人間との和平締結までもう少しなのだ。』
『今は多少の無茶をさせてくれ。』
メイレ
『それは心得ています。』
『唯一、和平に反対する軍事大国…。』
『この国から我が国への侵攻さえ止められれば…。』
ゼレシア
『ああ、我らの悲願”世界平和”に近づく。』
メイレ
『それでもあなたに何かあっては困ります。』
『私のクビだって危ないんですからね?』
ゼレシア
『ははは、いつもすまない…ん?』
メイレ
『どうしました?』
ゼレシア
『誰か倒れている…。』
アシュクリス
(…ここは…?私…生きてる…?)
(リヴィーズ…ごめんね…巻き込んで…。)
(身体が動かない…。)
(このまま眼を閉じたら…。)
(…天国へ行けるかな…?)
ゼレシア
『メイレ!来てくれ!』
『2人を見つけた!』
メイレ
『例の声の主ですか?!』
ゼレシア
『…ああ、息はあるが…ひどいケガだ…。』
アシュクリス
(天使さんの声…?)
(もう天国に着いたの…?)
メイレ
『すぐに回復魔法をかけます!』
アシュクリス
(私…望まれて生まれたのかな…?)
(幸せだったのかな…?)
ゼレシア
『最大で頼む!』
パァァ
アシュクリス
(お母さんに抱っこされたかったな…。)
ゼレシア
『…目を覚ませ…!』
アシュクリス
(お父さんになでなでしてもらいたかったな…。)
メイレ
『お願い…間に合って…!』
アシュクリス
(今度…生まれ変わったら…。)
(1回くらい、親から愛されてみたい…な…。)
ーー
<2年後、魔族の国>
ゼレシア
『この2年で、ほぼすべての国と和平を結べた。』
『あの悪政で名高い王国を除いてな。』
メイレ
『人間と魔族との垣根もなくなってきました。』
『共存への道は近づいていますが…。』
ゼレシア
『軍事大国からの侵攻が止む気配がないな…。』
『防衛戦線は厳しいか?』
メイレ
『はい…辛うじて持ちこたえていますが…。』
『特に敵方の幹部2人が強過ぎます。』
ゼレシア
『例の戦士と魔法使いか…。』
アシュクリス
「お父さん、私たちが止めるよ。」
リヴィーズ
『お母さん、私たちの出撃の手続きして?』
メイレ
『私はまだ独身よ。』
『お姉さんって呼んでっていつも言ってるでしょ?』
リヴィーズ
『お姉ちゃん、お願い!』
メイレ
『し、仕方ないね///(照)』
ゼレシア
『待て待て。』
『かわいい娘2人を前線へ出すわけには…。』
アシュクリス
「過保護だなぁ。」
「お父さんは人のこと言えないでしょ?」
「側近を振り切って前線に飛び込んでばっかり(笑)」
リヴィーズ
『それで私たちを拾ってきたんだよね(笑)』
メイレ
『うぅ…また胃痛が(苦笑)』
ゼレシア
『メイレにはすまないと思っている(汗)』
『しかし2人には戦いづらくないか?』
『仮にも生みの親だろう?』
アシュクリス
「大丈夫だよ。」
「私たちには最初から人間の親なんていない。」
リヴィーズ
『みんなを苦しめるヤツらを止めてくるよ。』
『奴らが私たちを”居候”と罵った恨みも晴らさせて?』
ゼレシア
『それはいいが、ケガでもしたら…。』
アシュクリス
「やだなぁ、私はもう元・人間だよ?」
「人間の攻撃なんかでやられたりしないよ。」
リヴィーズ
『2年前は何もできなかったけど…。』
『悔しくて強くなったんだよ!』
ゼレシア
『わかった。』
『それで2人が納得するなら行ってくれ。』
メイレ
『…悔いのないようにね?』
リヴィーズ
『ありがと。』
アシュクリス
「今度こそ、勝って果たしてくるよ。」
「毒親という”哀しきモンスターとの訣別”を。」
ーーーーーENDーーーーー
⇒本作のサイドストーリー
『哀別の贈り物(パートギフト)』全3話
⇒他作品
『転生の決闘場(デュエルアリーナ)』全5話
『500年後の邂逅』全4話
『反出生の青き幸』全4話
⇒この小説のPV
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