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2012年07月30日

―蛍煌・D― (半分の月がのぼる空・二次創作作品)







 こんばんは。土斑猫です。
 月曜日、ライトノベル「半分の月がのぼる空」二次創作の日です。
 毎度言ってますが、今回の作品、昔書きかけた一次創作の作品に「半月」の世界(と言うか、キャラクター)をはめ込んだものです。よって、半月の本来の世界観からはちょっとずれてると思われます。そこのところ、どうぞ御了承ください・・・。

 それではコメントレス


 どうもー 締め切り終えて久々に着てみたら結構記事が溜まっていますね、後でじっくり見させていただきます!

 げっびょうさん、お久しぶりです&ようこそ。締め切り、お疲れ様でした。 
 
 ニコ静に投稿とかで絵と文が両方できるとかすごいですね。今回の件で、画力だけあっても漫画が描けないということがイヤというほど分かりましたよ ハハハ。

 いや、どっちも中途半端なだけです。二兎追うものは一兎をも得ずというか虻蜂とらずというか・・・。
 漫画は難しいですよね。小生も学生の頃サークルで描いた事あるのでわかります。趣味でやってる事で、何でこんな苦労してんだと何度思った事か・・・(遠い目)


 いつか原作つきで漫画とか描いてみたいですね(チラッ

 な、何ですか!?その(チラッ、は。一体何を求められてるんだ!?小生は!?
 
 ―とまぁ、冗談はさておき、もし本気でやってみたいとの事でしたら、新作は今ちょっとアレですけど(ただいまアイディア枯渇中(汗))、このブログで掲載してる作品で御めがねにかなうのがあれば、どうぞ使ってくださいませ。
 そういうの、こっちも嬉し楽しいですし。やる時に一報いただければ後はノープロブレムです。
 まぁ、それ以前に小生の方のレベルがそちらのレベルに釣り合うかが問題ですが・・・。


 では、また。

 はい。いつでもどうぞ。お待ちしております。


半分の月がのぼる空〈5〉 long long walking under the half-moon (電撃文庫)

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                           ―6―

 ゴボッゴボゴボゴボ
 口の中に、たくさんの水が流れ込んでくる、。
 もがく手。
 だけど、空しく宙をかく。
 身体に密着する、“それ”の感触。
 身体を包む、水のそれよりもなお冷たい。
 “死”の冷感。
 “それ”があたしの身体を掴み、グイグイと池の深みへと引き込んでいく。
 もの凄い力。
 抵抗も出来ない。
 耳のそばで、それが囁く。

 おいで・・・
 おいで・・・
 こっちへ、おいで・・・

 水の中なのに、妙にはっきりと耳朶に響く“その声”。
 女の様な、男の様な、若い様な、老いた様な、奇妙な声。
 その声が囁く。

 行こう・・・
 行こう・・・
 一緒に、”逝こう”・・・

 グイッ
 身体がいっそう深く引き込まれる。
 苦しい。
 苦しい。
 いっそ、このまま身を委ねてしまった方が楽になれるかもしれない。
 そんな考えが頭を過ぎった時―

 「里香ー!!」

 聞こえた。
 はっきりと。
 彼の。
 彼の声。
 耳朶に纏わりついていた、“それ”の声がかき消える。
 萎えかけていた身体に、もう一度、命の火が灯る。
 途端、
 ドボンッ
 何か大きなものが、飛び込んでくる気配。
 そして―

 
 ―それより少し前の、林の中。
 「ちくしょう!!またここかよ!!」
 そんな叫びとともに、木の幹に拳が叩きつけられた。
 拳の主、戎崎裕一は焦っていた。
 固い幹を叩いた拳がビリビリと痛むが、その痛みすらも気にならない。
 何度歩いても。
 どれだけ歩いても。
 ぐるぐる同じ場所を巡るだけ。
 酷く、嫌な予感がしていた。
 今だに、秋庭里香の痕跡すら見つけられていない。
 何か。
 何か取り返しのつかない事が、起ころうとしている。
 そんな予感がしていた。
 「くっ!!」
 その予感を振り払おうと、もう一度踵を返したその時―
 フワッ
 視界の端を、何かが過ぎった。
 「え?」
 反射的に目がそれを追う。
 それは小さく淡い、黄緑の光。
 「・・・蛍・・・?」
 呟く戎崎裕一の前を、一匹の蛍が舞っていた。
 それは明滅を繰り返しながら、彼の目の前を飛び回る。
 鬱陶しく思って振り払うが、不思議と逃げようとしない。
 時折つい、と遠ざかり、そのまま消えるかと思いきや、くるりと回ってまた目の前を舞う。
 その動きに、戎崎裕一はふと意図を感じた。
 「・・・ついて来いってのか・・・?」
 本来なら、馬鹿げた話である。虫が、何らかの意図を持って人間を誘うなどありえない話だ。
 しかし、今の戎崎裕一は文字通り藁にもすがりたい思いであった。
 ものは試しと、光が誘う方へと足を向けてみる。
 すると、己の意図が通じた事を喜ぶ様に明滅し、蛍は道の奥へと飛んでいく。
 戎崎裕一が後を追うと、光はその先を飛び、足を止めると光も止まり、急かす様に明滅する。
 もう、間違いはなかった。
 戎崎裕一はその淡い光を見失わない様に、懐中電灯の明かりを消すと、足を速めてその後を追い始めた。

 
 蛍の後を追い始めてしばらく、戎崎裕一は周囲の風景がさっきまでとは違い始めている事に気がついた。
 はまり込んでいた林の迷路を抜けている。戎崎裕一がそう気づいた瞬間―
 バサッ
 突然目の前が開けた。
 それまで続いていた木々の列が途切れ、広い水面が広がっている。
 「池・・・だ・・・!!」
 戎崎裕一がそう言って、乱れた息を整えようとしたその時、
 バシャバシャッ
 突然聞こえた激しい水音に、戎崎裕一は驚いてその方向を見た。
 池の辺で、激しい水しぶきが立っている。
 「な、なんだ!?」
 懐中電灯を点けて、そこを照らす。
 明るい光が、飛び散るしぶきを照らし出す。
 その光の中に、見覚えのある黒髪が見えた。
 「――っ!!」
 それが何かを察した瞬間、戎崎裕一は弾かれた様に飛び出していた
 「里香―っ!!」
 叫びながら、池に飛び込んだ。
 激しいしぶきの中、水の中を手探りで探す。
 指の先が、柔らかいものに触れる。
 戎崎裕一は、迷う事なく、しっかりとそれを掴んだ。


 “彼”だ。
 “彼”が来てくれた。
 視界もろくに効かない中で、不思議とその事がはっきりと分かった
 あたしは夢中で、自由になる手を振った。
 それが、何かに当る。
 それまで身体を包んでいた冷たさとは違う、確かな熱を持った感触。
 無我夢中で、それを掴む。
 掴んだ手が、しっかりと握り返される。
 温かい腕が、身体に回される。
 力いっぱい、引かれる感覚。
 そして―
 ザパァアンッ
 身体が水の上へと引き出された。

 
 「ゲホッゴホッ、ゴホッ・・・」
 裕一に岸に引き上げられたあたしは、激しくむせ込みながら水を吐いた。
 「だ、大丈夫か?里香。」
 えずくあたしの背をさすりながら、裕一は心配そうにそう訊いてきた。
 「けほ・・・けほ・・・。」
 ひとしきり水を吐くと、呼吸は随分と楽になった。あたしは顔を上げて、裕一の顔を見る。
 そして―
 ドスンッ
 あたしは、身体を投げ出す様にして裕一に抱きついた。
 「裕一!!裕一!!」
 何度も叫びながら、裕一の身体を抱き締めた。
 裕一の、生きた人間の温もりが、“あれ”の冷たさに犯された身体に染み込んでくる。
 あたしはそれを貪る様に、裕一の身体を抱き締め続けた。
 「大丈夫、もう大丈夫だって。里香。」
 あやす様にそう言いながら、裕一も力いっぱいあたしを抱き締めてくれた。
 その腕の中で、あたしの身体の震えは少しづつ収まっていく。
 やがて、はぁ、と大きく息をつくと、あたしはようやくその身を裕一から離した。
 もっとも、手は裕一の服を掴んだままだけど。
 「里香、大丈夫か?身体、おかしくないか?」
 あたしが落ち着くのを待って、戎崎裕一はそう訊いてきた。
 左胸に手を当ててみる。
 まだ動悸は速かったけれど、それ以外に違和感は感じなかった。
 「うん・・・。大丈夫みたい・・・。」
 あたしがそう答えると、裕一は安心した様にはぁ、と息をついた。
 「一体どうしたんだよ。こんな池にはまるなんて、お前らしくないぞ?」
 「違う・・・。違うの・・・池の、池の中に何か・・・」
 怪訝そうに訊く彼に対し、答えるあたしの声音は今だに震えが収まらない。
 「池の中・・・?」
 裕一がそう言って池の方を見た時―

 行 かな  いで・・・

 「!!」
 「!?」
 池の中から、“それ”が聞こえた。
 幽かに、けれどはっきりと。
 ビクリと竦み上がるあたし。裕一も、驚いた顔で池を見つめている。
 あたし達の視線が、池の方へと向けられる。 
 空の月は、厚い雲に隠れたまま。
 辺りを覆うのは、じっとりと重い沈黙と、湿った様に粘つく夜闇。
 ピチョンと音を立てて、大きな波紋が水面に広がる。
 「・・・・・・。」
 「・・・・・・。」
 その闇の中で、あたし達はどちらともなしにまた抱き合った。
 そうやってお互いの存在を確認していないと、不安で仕方がなかった。
 ピチョン・・・
 また水音が響く。暗い水面に広がる大きな波紋。
 「り・・・里香、お前、さっき、何て言おうとしたんだ・・・?」
 裕一が訊いてくる。
 「そ・・・それは・・・」
 あたしは、自分に起こった事を彼に伝えた。
 夜闇の中でも、彼の顔が青ざめるのがはっきりと見えた。
 「ま・・・まじで・・・?」
 「こんな時に、冗談なんか言う訳ないでしょ。」
 ピチョーン
 また、音。
 だんだん、その頻度が多く、そして近くなってきている様な気がした。
 裕一が、ゴクリと唾を飲んだ。
 「逃げた方が、いいか・・・?」
 「う・・・うん・・・。」
 あたしがそう言うと、裕一は当たりをキョロキョロしだした。
 「どうしたの?」
 「いや、懐中電灯持ってたんだけど、さっきのゴタゴタでどっかやっちまった・・・。」
 「ええ、何ソレ!?こんな真っ暗なのに、灯りなしでどうすんのよ!?」
 「しょ、しょうがないだろ。さっきはあんな非常時だったんだから・・・」
 しどろもどろになる裕一。あたしがもっと食ってかかろうとしたその時―
 ピチャンッ
 また、水音。
 だけど、今度はさっきまでと違う。
 ずっと岸の近く。それも、誰かが水を踏んで立てる音の様に聞こえた。
 あたし達は思わず、池の方を見る。 
 上も下も、闇色に満たされた池。
 
 その暗い水面が、音もなくスゥーと持ち上がった。


                                                続く
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