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2019年06月17日
銃規制を扱う社会派映画『女神の見えざる手』、米世論を二分したらつ腕女性ロビイスト!
ジェシカ・チャステインといえば有名な『ゼロ・ダーク・サーティ』ですが、以降も主演する話題作が続いています。
『ユダヤ人を救った動物園 〜アントニーナが愛した命〜』(The Zookeeper's Wife)、『モリーズ・ゲーム』(Molly's Game)はいずれも2017年。
2019年の『X-MEN: ダーク・フェニックス』(X-Men: Dark Phoenix)は主演ではありませんが、珍しい悪役で存在感を見せています。
いずれも共通点は「強い女性」。今作もまた、「ミス・スローン」(原題:Miss Sloane)というしたたかなロビイストとして登場します。
あらすじ・物語の背景
ロビイストとは、特定の団体や個人のために議員などの政策決定者に働きかけ、時にメディアと世論を動かし、雇い主に利益をもたらす専門家のこと。
中でもミス・スローンは、請け負った以上、勝つことへの執着度は天下一品でした。
彼女の今回のテーマは、米世論を二分する「銃規制」。
常に政治的背景がつきまう中、新たに雇われたロビー会社のシュミット(マーク・ストロング)とタッグを組みます…。
あらすじ・ここが見どころ
(引用:
https://www.facebook.com/misssloaneJP/)
◇切れ味の鋭い頭脳戦!
スローンが立ち向かうのは、銃規制に反対する「銃擁護派」の団体や議員たち。
見どころはなんといっても、彼女の持ち前の必勝精神。切れ味の鋭い頭脳戦で切り崩しにかかります。今が旬のジェシカ・チャステインにはピッタリの役どころ。
雇い主のシュミットや、社員のエズメ・マヌチャリアン(ググ・バサ・ロー)の協力を得つつ闘うのですが、スローンのやり方はちょっと違っていました。
◇奏功する手段を選ばないやり方
彼女のやり方は、勝つためには手段を選ばないこと。
たとえば、盗聴や盗撮などを扱う非公式チームを使ったり、過去の銃乱射事件で被害者だった社員エズメを使って、マスコミ向けキャンペーンの顔にしたりしたのです。
作戦は奏功し、賛成する議員数も増え世論は次第に銃規制を賛成する方向へと動き始めます。
しかし、この映画の醍醐味とさらなる見どころはここから!
そこに銃規制反対派が取った策は、スローンがそれまで行ったさまざまな活動のアラ捜しでした。
◇違法性を問われて公聴会へ
反対派が指摘したのは、スローンの取ったなりふりかまわぬ策の違法性。
結果、スローンは上院倫理規定違反に関する聴聞会にかけられることになってしまいます。
聴聞会で次々と突きつけられる、スローンに不利な証拠書類。
あげくの果てには、なんと彼女の性生活のスキャンダルまで暴露されます。
あの強かったスローンが睡眠障害まで起こし出したのです…。
クライマックスからエンディングへ
(最後のネタバレなし)聴聞会も大詰めに。最後にスローンは発言機会を与えられます。
圧倒的に不利な状況に追い込まれ中で、スローンが行う弁明をしっかり聞いて下さい。
協力者まで敵に回し、また自分自信を犠牲にしてまでも取り組んだ銃規制へのプロセスが公開されるのです。
騒然となる公聴会!本当に「手段を選ばない」とはこういうことだったのかと。
最後のドンデン返しでは、彼女の本当の味方がわかり、さらに驚かされます。
感想とおすすめ度
日本では馴染みの少ないロビー活動と法的な背景のある映画なので、ちょっと難解な点もありますが、この記事で予備知識をもって見るとスッと落ちて来るでは?
いずれにしろ、いつもカッコ良いジェシカ・チャステインが見られます。
ぜひ、期待してご覧になって下さい。
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2019年06月16日
ダイアン・クルーガー『女は二度決断する』は、テロリスト復讐した女性の悲しすぎる結末!
邦画タイトル『女は二度決断する』では伺えない、悲しすぎるヒューマンドラマです。
ドイツ映画で原題は、「Aus dem Nichts」。
「何もないところから」「どこからともなく」といった意味で、テロによる被害者の虚しさを表現する原題の方がぴったりきます。
主演は、数少ないドイツ出身の女優ダイアン・クルーガー。シビアな役どころの似合う女優です。
今作での、感情表現が凄い彼女の演技は、第70回カンヌ国際映画祭で主演女優賞を獲得しています。
あらすじ・ストーリーの背景
愛する夫と子どもと、3人で幸せに暮らしていたカティヤ(ダイアン・クルーガー)。
ある日突然、彼女はテロと思われる爆破で、一瞬にして最愛の家族2人を亡くしてしまいます。
ところが偶然にも、カティアは現場で爆破犯人らしき人物を直前に目撃。
失意の中にも勇気を振り絞り、テロ実行犯に罪を認めさせるため法廷闘争に挑みます。
天国から地獄へ落とされた彼女の慰めは、それしかありませんでした…。
あらすじ・映画の見どころ
◇容疑者が逮捕されたものの
事件は大きく取り上げられ、素早く動いた警察は容疑者の夫婦を逮捕。
二人は、ドイツで暗躍する、極右ネオナチグループの一員でした。
実行犯の裏付けのため、警察は被害者との関連で、妻であり母親のカティアからを事情聴取をします。
しかし、聞かれることは亡くなった夫ヌーリ(ヌーマン・アチャル)の過去の麻薬犯罪歴に関することばかり。
容疑者を断罪する真相には迫らず、カティアの苛立ちは募る一方でした。
◇法廷闘争の行方は?
容疑者は逮捕されたものの完全否認し、事件は法廷闘争へと移ります。
裁判の流れは、はじめは容疑者の犯行を立証する方向へと。
ひとつは、カティヤ自身の爆破当日の目撃証言。もうひとつは、容疑者夫婦の父親証言として、息子が自宅で爆弾を造っていたという発言でした。
しかし、容疑者夫婦側から驚くべき証言者が出てきたのです。
ホテル経営者の証言で、容疑者夫婦は当日ギリシャで宿泊していたとアリバイを証明。
◇追い込まれて行くカティア
さらに、容疑者側の弁護士は、カティアが夫と子供を亡くし自暴自棄になっていた時の麻薬使用を指摘。
それを根拠とした麻薬の常習性から、目撃証言は妄想だと言われたのです。
間違いなく容疑者の顔を現場で見て、自信のあったカティヤは怒り狂うことに。
容疑者夫婦が嫌疑不十分となる中、カティアは裁判の裏でうごめく罠を感じ始めるのでした…。
クライマックスからエンディングへ
(最後のネタバレなし)カティアの最初の「決断」は、亡き夫と子どもを弔うため必ず実行犯を有罪にするという執念。
「二度目の決断」は、もう裁判なんか当てにできないと考え、テロ犯を裁くのは自分しかいないという決心。
ダイアン・クルーガーの面目躍如。決断の凄みがにじみ出るクライマックスです
まさに邦画のタイトル通りですが、実はこの映画、予期せぬ「三度目の決断」が待っていたのです。
感想とおすすめ度
(引用:
https://www.facebook.com/LesFilmsdeFatihAkin/)
ダイアン・クルーガーが一番印象深い映画は、「イングロリアス・バスターズ」。
第二次大戦中のドイツ側に潜入したスパイの、ギリギリの演技が凄かった!
今作でもギリギリ感に浸れます。ぜひ、ご覧下さい。
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2019年06月14日
「Me Before You」の意味に涙。実話『世界一キライなあなたに』は究極のラブストーリー
『世界一キライなあなたに』の原題は、「Me Before You」。
直訳すれば「あなたの前の私」。見終わった後は、「あなたとしっかり向き合う私」の意訳の深さがよくわかります。
主演のエミリア・クラークといえば、ドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』が最も有名。
最近(2018年)では、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』に登場しています。
さて、今作では「健気な可愛さ」がピッタリとくる恋人役で好演。
泣けそうになるが、泣かずにグッとこらえて応援して上げたくなるラブ・ストーリーです。
あらすじ・物語の背景
不治の身体障害を理由に、安楽死を切望する男性ウィリアム・トレイナー「愛称ウィル」(サム・クラフリン)と、彼に最後まで寄り添ってあげた女性、ルイーザ・クラーク「愛称ルー」(エミリア・クラーク)の物語です。
邦画のタイトル「世界一キライなあなたに」は、ルーのウィルに向けられた気持ちそのもの。
二人が出会った当初から、ウィルはずっと殻にこもり、誰にもこころを開こうとしない「大きらいな」存在だったのです…。
あらすじ・ここが見どころ
(引用:facebook.com/MeBeforeYouMovie/)
◇お世話係を引き受けたものの…
前職を失業し、新たに仕事探しをしていたルーがやっと見つけたのは、身体障碍者のお世話係。
高給と聞き飛びついたものの、お世話する男性ウィルの余命は半年と両親から説明を受けます。
ショックだったものの、大家族の稼ぎ頭であったルーはやむなく引き受けることに。
しかし、初対面の紹介からウィルはまったく不愛想で心を開く様子もありません。
◇憎まれ口ばかりの日々…
はじめて接するウィルの様子は、2年前の交通事故で下半身不随となり車いすの状態。
しかも脊髄損傷で、体温調節ができない体になっていました。
仕事は、話相手になるだけでいいというものの、口を開けば憎まれ口ばかり。初日から、「こんな仕事、私にできるのかしら?」という状態でした。
悩みながらも、とりあえずウィルと接していく痛々しいルーの日々が続きます。
◇好きな映画はゲイポルノ?
そんな中、ルーには持ち前の健気な明るさがあり、ウィルに少しずつ届いている気配も。
この辺りの、エミリア・クラークの一生懸命さの演技は秀逸なので、じっくり鑑賞して下さい。
二人の雰囲気が好転し出すのは、ある時、ルーがウィルに好きな映画を尋ねるシーン。
そこで、ウィルはルーをからかうため、ゲイポルノだと軽口をたたいたのです。
いつも真剣で真面目に取り合い、ウィルの答えに驚きを隠せないルー。
ウィルが、次第に心を開き出したのはそんなルーのまじめな態度でした…。
クライマックスからエンディングへ
(最後のネタバレなし)お互いこころが通じ合い、認め合い出した二人の関係。
しかし、ウィルには誰に対しても絶対に譲ろうとしないことがひとつありました。
それは、ウィルの当初からの決心、「安楽死」という選択肢。
実行してくれる施設との契約で、その日は確実に近づいてきていたのです。
ルーがそんなウィルに対して取った決心に涙が止まりません…。
感想とおすすめ度
「安楽死」という、出口のない映画の設定は非常に重たいものがあり、つい暗くて苦しい気持ちになりがちです。
実際そうでした。しかしこの映画で救われるのは、冒頭に述べたルーの健気さ。
そしてもうひとつ、ルーのなんとも底抜けに明るいファッションが絶妙のスパイスとして効いています!
ぜひ、ご覧下さい。
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ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日 / 原タイトル:ME BEFORE YOU (集英社文庫)[本/雑誌] / ジョジョ・モイーズ/著 最所篤子/訳 |
2019年06月07日
『セブン・シスターズ』は、1人7役。「水曜日が消えた」のモデルとなったSF映画
主演のノオミ・ラパスは、SF映画「プロメテウス」での印象の強い人がいるかもしれません。
体当たり的演技でショッキングな場面も登場しましたが、今作のSFもちょっとシビレます。
人口過多のため、どこかの国以上に徹底した「一人っ子政策」を管理する未来社会が舞台。
二人以上子どもができた場合は、国の「児童分配局」に子どもを預け、食糧事情が改善されるまで冷凍保存しておくという驚くべき政策をとっていました。
ところが、遺伝子組み換えで栽培された作物の影響で、多胎児が増加。
主人公の生まれたセットマン家は、なんと一卵性の七つ子だったのです…。
あらすじ・映画の背景
セットマン家の祖父テレンス・セットマン(ウィレム・デフォー)は、可愛い孫の7人姉妹から一人だけを選ぶなんて到底できません。
テレンスは政府に隠れて、7人とも自宅に匿って育てることを決意。そして大人になった時、家にはカレン・セットマン(ノオミ・ラパス)という、銀行に勤める女性しかいないように仕組みます。
つまり、カレンという1人の人間は七つの顔を持つことになったのです。
主演のノオミ・ラパスが、性格の違う7人姉妹を演じ分けます…。
あらすじ・見どころ
(引用:
https://www.facebook.com/WhatHappenedToMondayNetFlix/)
◇曜日ごとの名前がついた7人
7人姉妹の名前は、Monday、Tuesday、Wednesday…そして最後のSundayまで、曜日名をそのまま命名。
二人以上が一緒にいるところが世間にバレると当局から摘発を受けるため、外出は一日ひとり。名前の通り、曜日ごとの交代をルールとしました。
帰宅するたびにその日の出来事を、全員で共有し隠し通していたのです。
しかし、本来性格の違う「カレン」が一旦外に出ると、彼女をよく知る人たちと当然行き違いが。
結果、児童分配局に怪しまれ出したのです。
◇What Happened to Monday?
そんな中、月曜日に出勤したMondayが帰って来ないという事態が起こったのです!
終日家にいた他の6人は、はじめての出来事に戸惑いを隠せません。
ちなみに、映画の原題の「What Happened to Monday?」(いったいMondayになにがあったの?)はここからきています。
翌日、ついに「外出は一日ひとり」のルールを破って、TuesdayがMondayの行方を捜しに出ます。
◇秘密を嗅ぎつけた刺殺エージェント
もしTuesdayがMondayを見つけても、二人一緒にいるところを見られてはこれまでのウソがバレてしまいます。
一方、セットマン家の秘密を嗅ぎつけた児童分配局は、刺殺エージェントを派遣し必死にカレンを捜索。
序盤が不思議なSFミステリーだったのが、中盤からエージェントと逃げるカレン(たち)を抹殺するバイオレンス映画の様相を呈してきます…。
クライマックスからエンディングへ
(最後のネタバレなし)刺殺エージェントと戦いながらもMondayを探すTuesday。しかし、Tuesdayの行方もわからなくなり、続いて追跡するWednesday…。
それぞれが足跡をたどりながらわかってくるのが、7人で共有していた情報以外に持っていた「カレン」の秘密。
7人それぞれの個性は、お互いに知らないところで周囲には怪しまれていたのを、いまさらながら知ることになるのです。
感想とおすすめ度
少しネタバレですが、残念ながら可愛かった7人姉妹は次々と惨殺されていきます。
残るのは何人?誰が生き残るの?誰か生き残ってくれ〜と力が入ります(笑)。
SF映画ならではのユニークな着想をたっぷり楽しんで下さい。
また、7人を演じ分けたノオミ・ラパスのインタビューも紹介しましたのでぜひ参考に!
2019年06月05日
『オーシャンズ8』愉快なキャストが集合!女ばかりの犯罪集団が狙ったカルティエとは?
「オーシャンズ」と言えば、思い出すのは「オーシャンズ11、12、13」の3部作という人もいるのでは?
ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、アンディ・ガルシア、マット・デイモンなど、そうそうたるキャストが演じた犯罪集団の映画です。
この時のリーダーは、ジョージ・クルーニー扮するダニー・オーシャン。
今作の「オーシャンズ8」(Ocean's Eight)は、前作シリーズとは趣を変えて再結成。
リーダーの名前は「デビー・オーシャン」(サンドラ・ブロック)。彼女は、ダニーの妹だったのです!
あらすじ・物語の背景
大女優サンドラ・ブロック演じるデビーが仕切るのは女性ばかりの8人チーム。その貫禄で、派手に、そして華麗にやらかしてくれます。
映画の冒頭は、5年の刑期を終えたデビーの出所シーンから。
「もう二度と悪いことはしません!」と言って、看守に挨拶し出所するデビー。
とんでもない、デビーにはこの牢獄にいる5年間、練りに練った犯罪計画があったのです…。
あらすじ・ここが見どころ
(引用:
https://www.facebook.com/oceans8movie/)
◇出所後、一番先に向かったところ!
「犯罪に手を染めた以前の連中とは、一切縁を切ります!」
それは真っ赤なウソでした。
出所したデビーが真っ先に向かったのは、過去に手を組んでいた最も信頼できる相棒ルー(ケイト・ブランシェット)。
久々の再会、デビーはルーにある大きなヤマを打ち明け、一緒にやらないかと持ち掛けます。
◇計画実現に集めた女性たちとは?
デビーの計画とは、世界的大ファッション祭典に出品される、カルティエ「トゥーサン」を盗み出そうというもの。
そのダイヤモンドは、1億5千万ドルという値が付いています。
デビーとルーは、決行のためかつての知り合いをたどり集めたのが、女性ばかりの犯罪専門職6人。
会場潜入にふさわしい大女優のダフネ(アン・ハサウェイ)、贋作加工を専門とするアミーダ、常習詐欺のハスラーであるコンスタンス、見た目主婦だが盗品をさばくタミー、天才ハッカーのナインボール、落ち目のファッションデザイナーのローズという、仕事集団のラインナップ!
◇個性派キャラの8人!
この映画のテーマはもちろん、大犯罪!
一方で、個性派キャラの8人がそれぞれの専門分野で知恵を出し、いかにして宝石奪取を実現するかが見どころです。
もちろん、仕事はキッチリ。しかし、どこか拍子抜けしたところがコミカルに描かれていて、ハラハラ・ドキドキ感もたっぷり。
さあ、最高難度のセキュリティーはどんな手法で破られていくのでしょうか?
クライマックスからエンディングへ(最後のネタバレなし)
この映画の見どころは、もうひとつの仕掛け。
それは、単にカルティエ「トゥーサン」の略奪だけではない別の目的です。
なぜ、デビーは5年もの刑期で投獄されなければならなかったのか。つまり、デビーはこのヤマで、過去に自分を陥れた者への復讐も忘れていなかったのです…。
感想とおすすめ度
謎解きの面白さ、登場する8人の面々の個性、テンポよく進んで行く強奪計画、そして最後はリーダーであるデビーのちょっと悲しいお話ということで、退屈しない2時間です。
サンドラ・ブロックも、ケイト・ブランシェットもなかなかカッコいいですよ!
ぜひ!
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2019年06月03日
女性監督が描く、映画『ビガイルド 欲望のめざめ』。総がかりで男を抹殺する話!
なにやら妖しいタイトル。原題は、「The Beguiled」。
意味は、「だます」「欺く」「楽しませる」「喜ばせる」「魅了する」など。どれが一番適切かといえば、全部まとめてピッタリくる感じです。
ただ、邦題の「欲望のめざめ」は逆に矮小感があってちょっと本質を外した感じも。
この映画の見どころは、シチュエーションの面白さ、全体の映像、そして登場人物のさまざまな個性が際立って物語が進むところです。
あらすじ・物語の背景
アメリカ南北戦争時代、南部の静かな森にある女学園で起こった出来事。
寄宿舎には園長のマーサ・ファーンズワース(ニコール・キッドマン)、教師のエドウィナ・ダブニー(キルスティン・ダンスト)、そして帰省せずに残っていた女生徒5名。
森のキノコ採取に出かけた生徒の1人エミリーは、戦線を離脱した負傷兵ジョン・マクバニー伍長(コリン・ファレル)を発見します。
治療してあげようと、急いで宿舎に連れて帰ったのはいいのですが、男子禁制の学園で、しかも敵方の北軍の兵士を結果的にかくまうことになってしまいます…。
あらすじ・ここが見どころ
(引用:
https://www.facebook.com/BeguiledMovie/)(前列中央は監督のソフィア・コッポラ〉
◇手厚く治療される伍長
女性ばかり7人のところに担ぎ込まれたマクバニー伍長。
マーサ園長は、キリスト教の慈悲の精神で傷が癒えるまで、みんな協力して伍長の治療に当たるよう指示。
しかし、伍長は感謝する一方で、いつ南軍に引き渡されるか気が気でありません。
当初は、お互いに疑心暗鬼でしたが、それぞれの人柄がわかりはじめ次第に打ち解けていきます。
◇緩み始める学園の秩序
しばらくすると、学園内に微妙な変化が現れ始めます。
それは、若い男性を間近で世話をする女性たちの視線に変化が出てきたこと。
また、伍長自身も回復するにつれ、学園の女性たちに興味を持ち出したことでした。
その結果、園長の元、規律正しく運営されていた学園の秩序が次第に緩み始めたのです。
◇伍長に媚びを売る女生徒たち
伍長が元気になり出した頃には、全員で食事会が開催されるようになります。
若い女生徒たちは伍長のことが気になって仕方ありません。
一番年長のアリシア(エル・ファニング)は特に積極的です。そして、生徒どころかエドウィナ先生も気持ちが抑えられません。
そんな雰囲気を察したマーサ園長は、自制させようと厳しくしつけるのですが、園長自身も伍長に接する態度が明らかに違ってきたのです…。
クライマックスからエンディングへ
(最後のネタバレなし)そんなある晩、事件が突然に起こります!
どうも伍長が自分の部屋から抜け出し、積極的だったアリシアの部屋に忍び入っていたようです。
見つけたのはエドウィナ先生!先生は伍長が自分の部屋に来てくれるものとばかり思っていた矢先に遭遇!
暗闇の中で動転しぶつかる二人。そして、伍長は弾みで階段から落下してしまうのでした!
感想とおすすめ度
最後のドンデン返しでは、静かだった女だけの寄宿舎が「恐ろしい館」に変わっていきます。
騒ぎを聞き駆けつけたマーサ園長。再び負傷した伍長の治療に当たるのですが、彼女は平和な学園を取り戻そうとある決心をするのでした。
一体、なにを決心したのか、最後まで楽しめる出来上がりでおすすめです!
2019年06月02日
『エクス・マキナ』が怖い本当の理由、AI搭載の女型ヒューマノイドに騙される
原題は「Ex Machina」。
あえてラテン語でつけた「機械仕掛け」というタイトルが皮肉に思えるこの作品。
AI(人工知能)を扱ったSF映画です。
しかし、AIだからといってSFという脈絡はありません。なぜなら、あと数年のうちにきっとこんなことが起こるかもしれないからです。
AIの試作品の完成度を確認するのは人間?
テーマは、人工知能を搭載した女型ヒューマノイドの試作品を調べるという、いかにもありそうな話。
しかし、人間に限りなく近づけた「作品?」の完成度を調べるのが人間となると、仮にAIの方が勝っていたらどうなるの?
テストを任されたのは若手プログラマーのケイレブ・スミス(ドーナル・グリーソン)。
「エヴァ」(アリシア・ヴィキャンデル)と名付けられたヒューマノイドと対峙していく中で、その完成度が見えてきます…。
チューリングテストとは?『エクス・マキナ』の見どころ
◇ヒューマノイドをスケルトン仕様にする意味
ケイレブは大手検索サイト企業のプログラマーで、社長ネイサン・ベイトマン(オスカー・アイザック)が募集した研究助手に当選。
仕事は、社長が秘密裡に開発したAIロボット「エヴァ」のチューリングテスト。直接エヴァと接して、人間として違和感がないかどうかを確認することでした。
ケイレブは、はじめて会ったエヴァの姿に驚きます。女性とわかる優し気な顔以外は、なんと体の内部が透けて見えるスケルトン仕様だったのです。
それはあえて、機械を人間と思わせないためなのでしょうか?
すでに言語機能が完ぺきなエヴァは、ケイレブとコミュニケーションを取り始めます。
◇AIと会話する人間を監視するのも人間
エヴァは自己紹介したあと、「ネイサン以外の人間に会うのは初めて」だと。
ケイレブも、自分自身の生い立ちなどをエヴァに伝えていきます。
およそ、ロボットと人間との会話と思えない自然なやりとりが続く二人(?)。
ただ、このやりとりをネイサンはモニターによってチェックするのでした。
◇AIにウソをつける能力はあるのか?
そんなある時、突然、部屋の電気が消えます!
驚いたのはケイレブ。電気が消えたこともあるが、次にエヴァが自分に囁いた言葉にさらに驚きます。
「信用しないで、ネイサンの言うことを」。
まさか、エヴァは電気が消えてモニターが作動していないことを知っていたのでしょうか?
人間はAIのついたウソを見破れるのか?映画のクライマックス
ケイレブは、もしかしたらエヴァの完成度は人間並み、いやそれ以上かもしれないと思い始めます。
そして、いつも部屋に閉じ込められた状態のエヴァに対して、ケイレブが尋ねます。
「外に出たら、どこか行きたいところはある?」
エヴァの答えを聞き、ケイレブはエヴァにのめり込んで行くことに…。
人間以上の知恵をもつヒューマノイドを演じる女優
この映画で一躍有名になったエヴァ役のアリシア・ヴィキャンデル。
愛くるしい表情を維持しながら、感情を一切入れないヒューマノイドを好演。しかし、途中から「機械仕掛け」どころか人間以上?に変貌する様子はスゴイのひと言!
この映画が、SFスリラーとも言われる理由が最後に!
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2019年05月30日
クリスマスは、映画『キャロル』。ケイト・ブランシェットの50年代ファッションに堪能!
「キャロル」(原題:Carol)といえば、思い出すのはクリスマス。
この映画のタイトル「キャロル」は、主人公のキャロル・エアード(ケイト・ブランシェット)からきています。
そしてもうひとりのキャストは、テレーズ・ベリベット(ルーニー・マーラ)。
ともに演技派女優の共演となったこの映画は、クリスマスプレゼントでにぎわう百貨店での出会いが発端。不思議な縁に導かれるように二人は愛を深めていきます…。
あらすじ・メインキャラクター
キャロルは豪華なファーコートに身を包んだ中年女性。クリスマスプレゼントを求めてやってきた百貨店で、店員のテレーズに応対してもらいます。
若くて可愛いテレーズですが、どこか垢ぬけのしない彼女。
店員の立場を忘れ、キャロルの洗練された装いや品の良い身のこなしが気になって仕方ありません。
時代背景は1950年代。当時のニューヨーク百貨店の様子やレトロファッションも見どころのひとつ。
❖同年代のファッション⇒「ブルックリン」
さて、店員と顧客のまま終わるはずだった二人の女性。が、ふとしたきっかけで付き合い始めることに…。
あらすじ・見どころ
(引用:
https://www.facebook.com/carolmovie/)
◇気持ちを高ぶらせるテレーズ
二人をその後も結び付けたきっかけは、陳列ケースに置き忘れたキャロルの手袋。
忘れ物係に届ければ済んだはずなのに、なぜか迷うテレーズ。配達依頼品を受けた伝票に、キャロルの住所があるのをテレーズは知っていました。
なぜか気持ちの高ぶりを感じながら、テレーズはキャロル宛に手袋を送り届けたのです。
◇初対面の食事に誘われる…
間もなく、キャロルから返事がきます。
今回のお礼に、テレーズを食事に誘いたいと言ってきました。
もちろん初対面。しかし、二人は売場で出会った時の視線を思い出しながら、お互いのことを語り始めるのです。
キャロルが打ち明けたのは、うまく行かない夫とのことや、子どもを巡る親権問題など。
◇二人の満たされない気持ちは?
一方のテレーズも、付き合っている恋人はいるが、どうもしっくりいっていないことを話します。
満たされないそれぞれの境遇を話しながら、どこか惹かれ合う二人。
見どころは、二人のセリフは少なくても視線や表情でそれが語られるところです。
そして、二人は示し合わせたかのように、気分転換のため旅行に出ることに。
クライマックスからエンディングへ
(最後のネタバレなし)開放されたかのように旅を楽しむ二人。しかし、二人のただならぬ関係は期せずして、キャロルの夫ハージ、そしてテレーズの恋人リチャードに気付かれることに。
夫と離婚協議中だったキャロルは、子どもの親権を放棄せざるを得ない状況に追い込まれます。
また、キャロルの過去が暴かれ自暴自棄になり、キャロルは思わずテレーズに八つ当たり。
キャロルの電話にテレーズが泣き崩れていくシーンは、きっと女優ルーニー・マーラの凄さを確認することになるでしょう。
感想とおすすめ度
二人は、同性愛です。
しかしこの映画は、1950年代でありながらも、二人の関係が特殊なものだと思わせていません。
ふとしたきっかけで付き合いはじめ、その後お互いに求めあったり避け合ったりする、上質な恋愛映画として見ると面白いのではないでしょうか。
余韻の残るラストシーンは最高!ぜひ、ご覧になって下さい。