2021年05月11日
コロナ、一般医が重症化防げ 〜ぜんそく治療など使用実績ある薬で〜
新型コロナウイルスの感染者数が増加を続けているため、政府は東京や大阪などに発令した緊急事態宣言を延長するとともに、対象に愛知、福岡両県を追加した。背景には、感染力が強く、重症化に至る確率の高い「英国株」と呼ばれる変異株の拡散があるとされている。診療の第一線からは「国民へのワクチン接種が行き渡るまでは、早期治療による重症化の防止に力を入れるしかない」として、一般の内科医が使い慣れた薬を用いての早期治療の重要性を訴える声が上がっている。
◇早期発見・治療が鉄則
現在の新型コロナウイルス治療の中心は肺炎が重症化した段階以降が中心だ。人工呼吸器などで呼吸を管理しながら肺炎の治療を進める一方で、免疫の過剰反応であるサイトカインストームや血栓形成などの誘発を防ぐのが基本になっている。ただ、感染が確認されても軽症段階までに投与する抗ウイルス薬などは存在していないため、症状の推移を見守るしかないのが実状だ。
「ウイルス感染症への治療の鉄則は、早期発見・早期治療によりウイルスの増殖を抑えて重症化させないこと。新型コロナウイルスも例外にすべきではない。そのためには一般開業医が在宅治療で使える治療法が重要だし、重症患者の増加による医療崩壊も防ぐことにつながる」
世界保健機関(WHO)のインフルエンザ対策委員を務めながら、「神奈川県警友会けいゆう病院」(横浜市)で感染制御に携わっている菅谷憲夫慶応大学客員教授はこう強調する。菅谷教授が提唱してきたのは新型コロナウイルスに対して効果が期待された抗ウイルス薬「アビガン」の早期投与だったが、現在ではより広く使える薬が出てきた、と言う。
◇早期治療にぜんそく治療薬
「最近、国際的な医療雑誌『Lancet Respiratory Medicine』に、気管支ぜんそく患者が症状を管理するために毎日使用している吸入ステロイド剤が新型コロナウイルスの早期治療に有効だという研究論文が掲載された。副作用も少なく、一般の内科でも日常診療で処方されている薬なので、供給的にも問題は少ないはずだ。治療効果が限定的でも、広く使うことで重症患者を減らし、医療負担の軽減には大きな効果が期待できる」
この研究は新型コロナウイルスの流行初期から気管支ぜんそくの患者の感染が少数だったことに着目。平均年齢45歳の新型コロナウイルスの軽症者(発症7日以内)約140人を対象に、半数の患者に1日2回吸入させた。評価基準は症状の増悪の有無で、症状悪化が起きて治療が必要になったのが吸入グループでは1人だったが、非吸入グループでは10人になった。さらに吸入グループは回復も早かった、という。
この論文について、ぜんそくに詳しい呼吸器内科医は「研究に使われた吸入ステロイドは1種類だが、他の吸入ステロイドでも効果は期待できるのではないか。もともと気管支の慢性炎症を抑えるための薬だから、咽頭部などウイルスによる炎症が起き始める部位の炎症を抑え、ステロイドによる抗ウイルス作用が加わって治療効果を上げたとみられる」と分析。その上で「年単位で毎日服用することを前提にした薬であり、副作用の心配も少ない。しかもアレルギー性ぜんそく以外でも、咳(せき)ぜんそくなどの短期治療でも一般外来で使われている」と話す。多くの内科医に使い慣れた薬であり、普及しやすいことが大きなメリットだ。
◇都医師会「イベルメクチンを」
一方、東京都医師会は、寄生虫疾患や皮膚疥癬(かいせん)の治療に用いられてきたイベルメクチンという薬を新型コロナウイルスの初期治療に使うように記者会見で訴えた。この薬の開発者でノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授を中心に同大学で、新型コロナウイルスの治療薬としての研究が進んでいるからだ。
会見を担当した鳥居明医師(疾病対策担当理事)は、「感染症の治療は早期発見・早期治療が鉄則。このためには、発症直後から使えて、専門医以外の一般医でも在宅の患者に処方できる薬が必要だ」と話す。
この背景には新型コロナウイルスの特徴がある。感染から発症、症状の増悪までの期間や経緯が患者の年齢や持病の有無などによって大きく異なる上、症状が進行した場合は重症肺炎など緊急対応が必要となる。
「新型コロナウイルスを疑って受診した患者がPCR検査で感染が確認されてしまうと、地元の保健所の管理になる。例え、かかりつけ医だったとしても診療に直接携われない。しかし、早期に使える治療薬があれば、それらを感染の初期に処方することにより、ある程度重症化を予防できる」。感染症法という制約もある中、地域できめ細かい医療を提供する可能性を、鳥居理事は強調する。(了)
(時事メディカルより引用)
喘息の薬が効くのか🤔
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◇早期発見・治療が鉄則
現在の新型コロナウイルス治療の中心は肺炎が重症化した段階以降が中心だ。人工呼吸器などで呼吸を管理しながら肺炎の治療を進める一方で、免疫の過剰反応であるサイトカインストームや血栓形成などの誘発を防ぐのが基本になっている。ただ、感染が確認されても軽症段階までに投与する抗ウイルス薬などは存在していないため、症状の推移を見守るしかないのが実状だ。
「ウイルス感染症への治療の鉄則は、早期発見・早期治療によりウイルスの増殖を抑えて重症化させないこと。新型コロナウイルスも例外にすべきではない。そのためには一般開業医が在宅治療で使える治療法が重要だし、重症患者の増加による医療崩壊も防ぐことにつながる」
世界保健機関(WHO)のインフルエンザ対策委員を務めながら、「神奈川県警友会けいゆう病院」(横浜市)で感染制御に携わっている菅谷憲夫慶応大学客員教授はこう強調する。菅谷教授が提唱してきたのは新型コロナウイルスに対して効果が期待された抗ウイルス薬「アビガン」の早期投与だったが、現在ではより広く使える薬が出てきた、と言う。
◇早期治療にぜんそく治療薬
「最近、国際的な医療雑誌『Lancet Respiratory Medicine』に、気管支ぜんそく患者が症状を管理するために毎日使用している吸入ステロイド剤が新型コロナウイルスの早期治療に有効だという研究論文が掲載された。副作用も少なく、一般の内科でも日常診療で処方されている薬なので、供給的にも問題は少ないはずだ。治療効果が限定的でも、広く使うことで重症患者を減らし、医療負担の軽減には大きな効果が期待できる」
この研究は新型コロナウイルスの流行初期から気管支ぜんそくの患者の感染が少数だったことに着目。平均年齢45歳の新型コロナウイルスの軽症者(発症7日以内)約140人を対象に、半数の患者に1日2回吸入させた。評価基準は症状の増悪の有無で、症状悪化が起きて治療が必要になったのが吸入グループでは1人だったが、非吸入グループでは10人になった。さらに吸入グループは回復も早かった、という。
この論文について、ぜんそくに詳しい呼吸器内科医は「研究に使われた吸入ステロイドは1種類だが、他の吸入ステロイドでも効果は期待できるのではないか。もともと気管支の慢性炎症を抑えるための薬だから、咽頭部などウイルスによる炎症が起き始める部位の炎症を抑え、ステロイドによる抗ウイルス作用が加わって治療効果を上げたとみられる」と分析。その上で「年単位で毎日服用することを前提にした薬であり、副作用の心配も少ない。しかもアレルギー性ぜんそく以外でも、咳(せき)ぜんそくなどの短期治療でも一般外来で使われている」と話す。多くの内科医に使い慣れた薬であり、普及しやすいことが大きなメリットだ。
◇都医師会「イベルメクチンを」
一方、東京都医師会は、寄生虫疾患や皮膚疥癬(かいせん)の治療に用いられてきたイベルメクチンという薬を新型コロナウイルスの初期治療に使うように記者会見で訴えた。この薬の開発者でノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授を中心に同大学で、新型コロナウイルスの治療薬としての研究が進んでいるからだ。
会見を担当した鳥居明医師(疾病対策担当理事)は、「感染症の治療は早期発見・早期治療が鉄則。このためには、発症直後から使えて、専門医以外の一般医でも在宅の患者に処方できる薬が必要だ」と話す。
この背景には新型コロナウイルスの特徴がある。感染から発症、症状の増悪までの期間や経緯が患者の年齢や持病の有無などによって大きく異なる上、症状が進行した場合は重症肺炎など緊急対応が必要となる。
「新型コロナウイルスを疑って受診した患者がPCR検査で感染が確認されてしまうと、地元の保健所の管理になる。例え、かかりつけ医だったとしても診療に直接携われない。しかし、早期に使える治療薬があれば、それらを感染の初期に処方することにより、ある程度重症化を予防できる」。感染症法という制約もある中、地域できめ細かい医療を提供する可能性を、鳥居理事は強調する。(了)
(時事メディカルより引用)
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