2021年11月22日
「気圧が低くなってくるとつらい!」という人も多い「片頭痛」…そもそもどうして痛いの?
昔から「神経痛が始まると雨が降る」などという話をするお年寄りはたまにいた。医学的な検証がどこまでされているのかは不明だが、気圧の変化が人体に何らかの影響を持っていることは、よく話題に上がるテーマである。
そんな中、神経痛ではなく「片頭痛」が気圧の変化に連動する、という話を耳にした。
国内だけで推定840万人の患者がいるとされる片頭痛。その「痛み」と「気圧」をつなぐのは、大古の人間に備わっていた“ある器官”の名残だというのだが……。
◆
「いま、どこかで台風が発生しました」
天気図を見ることもなく、とある患者がそう宣言。そして発言した当人は、宣言の翌日に激烈な頭痛に見舞われ、調べて見ると言った通りの時刻に、フィリピン沖の海上で台風が生まれていた――。
神経内科や脳神経外科には、こんな不思議な現象を目の当たりにした医師が、意外に少なくないという。
獨協医科大学副学長で脳神経内科が専門の平田幸一医師もその一人。
「片頭痛の発症因子はいくつかあります。多いのは特定の音や光、匂いなど。他にも精神的なストレスや空腹などが引き金になって片頭痛を引き起こすことも分かっています。そしてじつは、“気圧の変化”も因子の一つなのです」
「そういうものだ」となっている気圧と頭痛の関係
気圧の変化が片頭痛の発症と何らかの関係があることは、頭痛を専門とする医師の間では昔から言われていたし、医学の教科書にも載っている。
しかし、その関係を裏付ける研究はほとんどなく、「そういうものだ」と納得するしかなかったのだ。
そこで平田医師は、約200人の片頭痛患者に片頭痛の発症状況を克明に記録してもらい、それを気象台の発表する気象データと照合してみた。すると、片頭痛の発症と気象の変化がリンクしている人の存在が浮かび上がってきたのだという。
「片頭痛患者のうち、およそ6割の人が何らかの形で気象条件が関与していることが分かりました。いずれも『頭痛が起きた翌日に気圧が下がる』という共通の現象が見て取れたのです」
一歩前進した「気圧の変化と片頭痛」の関係。だが、そもそもなぜそんな現象が起きるのだろう。
そもそも「片頭痛」ってなに?
その疑問を解く前に、片頭痛という病気についておさらいをしておきたい。
「ズキン、ズキン」という拍動性の強い痛みを引き起こすこの頭痛は、まだそのメカニズムが解明し尽くされているわけでもない。
収縮した血管が拡張して、そこを血流が通るときに痛みが起きるという「血管説」、あるいは神経伝達物質のセロトニンが減少して痛みが起きるという「セロトニン説」、さらには血管に起きた炎症を三叉神経が感じ取って、脳に“痛み”として知らせることで起きるという「三叉神経説」など、この病気については様々な学説が語られてきた(現在はほぼ「三叉神経血管説」で合意が得られているという)。
発症のメカニズムは別として、一つ言えることは「片頭痛はかなり痛い」ということ。
その程度こそ個人差があるが、あまりの激痛に身動きが取れなくなり、ただうずくまって痛みが治まるのを待つだけの人もいる。
外出中に頭痛発作が起きればさらに事態は深刻で、激しい痛みに苦しむ様子を見た周囲の人が救急車を呼ぶことも珍しいことではない。
そもそも「痛み」とは何のために起きるのか――。
本来「痛み」とは、体のどこかに「よくないこと」が起きていることを当人に報せるための現象だ。
体の表面のキズなら見てわかるが、体の内部だと異常が起きても見えないので気付きようがない。そこで「痛み」が登場する。
胃に炎症が起きていれば「胃痛」として、歯の根っこで神経が侵されていれば「歯痛」として、異常の発生を報せてくれる。痛いのはつらいから、その人は何らかの手当てをする。それによって体に起きている異常を修復し、正常な状態に戻すことができるのだ。
当然頭痛は頭のどこかに「よくないこと」が起きていることを訴えているはずなのだが、片頭痛の人の頭を調べても、これといった異常は見当たらない。先に挙げた炎症の可能性はあるものの、それを伝えるにはあまりにも痛みが大き過ぎる。
そこで今回のテーマの「気圧の変化」が浮上する。
気圧の変化と身体の変化
平田幸一医師が続ける。
「台風だけでなく“雷”の発生を片頭痛で予測する人もいます。なぜそんなことができるのかと言えば、それはその人に備わった“感知能力”によるもの。
これだけ天気予報が正確になった現代からしてみれば必要性を感じづらいかもしれませんが、これが太古の昔であればどうでしょうか。
環境の変化を感知することは、いまと違って安全に身を隠す頑丈な建物を持たなかった原始人にとって、 “生命にかかわる”重要な問題です。それをいち早く察知して、少しでも命の助かる行動をとることの重要性は、現代とは比較にならなかったはず。
“頭痛”というつらい症状のあとに嵐が来る――という経験を繰り返すことで、事前に身を守る準備ができる。つまり一種の天気予報だった可能性は捨てきれません」
動物や魚、昆虫の中には「ロレンチーニ器官」という感覚器を持つものがある。この器官は微弱な電位差を感知し、これによって暗闇でも障害物との衝突を避けたり、獲物を捕らえることができる。
天気予報のなかった大昔の人間は、これと同じ機能を持っていたのかもしれない――というのが平田医師の推理だ。
もちろんさらなる検証は必要だが、文明を持ち、悪天候でも安全に暮らせるようになるにつれ、この危険察知機能は退化していった。しかし、一部の人にこの機能の一部が残った、と考えると、たしかに辻褄は合ってくる。
中には地殻の変動という危険、つまり「地震」を片頭痛によって察知する人もいるという。
「私の患者の中にも、東日本大震災の発生を直前に察知して片頭痛の発作を起こしたという人は複数います。それを信じるか否かは別として、そのような片頭痛患者は、気圧の変化や音や匂いなど、いくつかの発症要因を複合的に持っていることが多いのです」
じつは新薬も…
片頭痛による台風の予知能力が解明されたとしても、片頭痛は痛い。仮に“予知能力”がついてくるとしても、気象観測技術が高度に発達したいま、台風発生を伝えるために頭を痛めるのは合理的とは言えない。
日本では今年、片頭痛の発症を予防する3つの新しい治療薬が臨床導入された。薬価が高いのが頭痛の種だが、これまで激痛に苦しめられてきた患者にとっては朗報だ。
少なくとも台風の予知のために頭痛を我慢するのは得策ではない。それは気象庁に任せて、次の発作が来る前に、医療機関の「頭痛外来」などを受診することをお勧めします。文春オンライン(長田 昭二)
(ニコニコニュースより引用)
片頭痛は辛いよねー
気圧の変化でも症状が出るんだね🤔
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そんな中、神経痛ではなく「片頭痛」が気圧の変化に連動する、という話を耳にした。
国内だけで推定840万人の患者がいるとされる片頭痛。その「痛み」と「気圧」をつなぐのは、大古の人間に備わっていた“ある器官”の名残だというのだが……。
◆
「いま、どこかで台風が発生しました」
天気図を見ることもなく、とある患者がそう宣言。そして発言した当人は、宣言の翌日に激烈な頭痛に見舞われ、調べて見ると言った通りの時刻に、フィリピン沖の海上で台風が生まれていた――。
神経内科や脳神経外科には、こんな不思議な現象を目の当たりにした医師が、意外に少なくないという。
獨協医科大学副学長で脳神経内科が専門の平田幸一医師もその一人。
「片頭痛の発症因子はいくつかあります。多いのは特定の音や光、匂いなど。他にも精神的なストレスや空腹などが引き金になって片頭痛を引き起こすことも分かっています。そしてじつは、“気圧の変化”も因子の一つなのです」
「そういうものだ」となっている気圧と頭痛の関係
気圧の変化が片頭痛の発症と何らかの関係があることは、頭痛を専門とする医師の間では昔から言われていたし、医学の教科書にも載っている。
しかし、その関係を裏付ける研究はほとんどなく、「そういうものだ」と納得するしかなかったのだ。
そこで平田医師は、約200人の片頭痛患者に片頭痛の発症状況を克明に記録してもらい、それを気象台の発表する気象データと照合してみた。すると、片頭痛の発症と気象の変化がリンクしている人の存在が浮かび上がってきたのだという。
「片頭痛患者のうち、およそ6割の人が何らかの形で気象条件が関与していることが分かりました。いずれも『頭痛が起きた翌日に気圧が下がる』という共通の現象が見て取れたのです」
一歩前進した「気圧の変化と片頭痛」の関係。だが、そもそもなぜそんな現象が起きるのだろう。
そもそも「片頭痛」ってなに?
その疑問を解く前に、片頭痛という病気についておさらいをしておきたい。
「ズキン、ズキン」という拍動性の強い痛みを引き起こすこの頭痛は、まだそのメカニズムが解明し尽くされているわけでもない。
収縮した血管が拡張して、そこを血流が通るときに痛みが起きるという「血管説」、あるいは神経伝達物質のセロトニンが減少して痛みが起きるという「セロトニン説」、さらには血管に起きた炎症を三叉神経が感じ取って、脳に“痛み”として知らせることで起きるという「三叉神経説」など、この病気については様々な学説が語られてきた(現在はほぼ「三叉神経血管説」で合意が得られているという)。
発症のメカニズムは別として、一つ言えることは「片頭痛はかなり痛い」ということ。
その程度こそ個人差があるが、あまりの激痛に身動きが取れなくなり、ただうずくまって痛みが治まるのを待つだけの人もいる。
外出中に頭痛発作が起きればさらに事態は深刻で、激しい痛みに苦しむ様子を見た周囲の人が救急車を呼ぶことも珍しいことではない。
そもそも「痛み」とは何のために起きるのか――。
本来「痛み」とは、体のどこかに「よくないこと」が起きていることを当人に報せるための現象だ。
体の表面のキズなら見てわかるが、体の内部だと異常が起きても見えないので気付きようがない。そこで「痛み」が登場する。
胃に炎症が起きていれば「胃痛」として、歯の根っこで神経が侵されていれば「歯痛」として、異常の発生を報せてくれる。痛いのはつらいから、その人は何らかの手当てをする。それによって体に起きている異常を修復し、正常な状態に戻すことができるのだ。
当然頭痛は頭のどこかに「よくないこと」が起きていることを訴えているはずなのだが、片頭痛の人の頭を調べても、これといった異常は見当たらない。先に挙げた炎症の可能性はあるものの、それを伝えるにはあまりにも痛みが大き過ぎる。
そこで今回のテーマの「気圧の変化」が浮上する。
気圧の変化と身体の変化
平田幸一医師が続ける。
「台風だけでなく“雷”の発生を片頭痛で予測する人もいます。なぜそんなことができるのかと言えば、それはその人に備わった“感知能力”によるもの。
これだけ天気予報が正確になった現代からしてみれば必要性を感じづらいかもしれませんが、これが太古の昔であればどうでしょうか。
環境の変化を感知することは、いまと違って安全に身を隠す頑丈な建物を持たなかった原始人にとって、 “生命にかかわる”重要な問題です。それをいち早く察知して、少しでも命の助かる行動をとることの重要性は、現代とは比較にならなかったはず。
“頭痛”というつらい症状のあとに嵐が来る――という経験を繰り返すことで、事前に身を守る準備ができる。つまり一種の天気予報だった可能性は捨てきれません」
動物や魚、昆虫の中には「ロレンチーニ器官」という感覚器を持つものがある。この器官は微弱な電位差を感知し、これによって暗闇でも障害物との衝突を避けたり、獲物を捕らえることができる。
天気予報のなかった大昔の人間は、これと同じ機能を持っていたのかもしれない――というのが平田医師の推理だ。
もちろんさらなる検証は必要だが、文明を持ち、悪天候でも安全に暮らせるようになるにつれ、この危険察知機能は退化していった。しかし、一部の人にこの機能の一部が残った、と考えると、たしかに辻褄は合ってくる。
中には地殻の変動という危険、つまり「地震」を片頭痛によって察知する人もいるという。
「私の患者の中にも、東日本大震災の発生を直前に察知して片頭痛の発作を起こしたという人は複数います。それを信じるか否かは別として、そのような片頭痛患者は、気圧の変化や音や匂いなど、いくつかの発症要因を複合的に持っていることが多いのです」
じつは新薬も…
片頭痛による台風の予知能力が解明されたとしても、片頭痛は痛い。仮に“予知能力”がついてくるとしても、気象観測技術が高度に発達したいま、台風発生を伝えるために頭を痛めるのは合理的とは言えない。
日本では今年、片頭痛の発症を予防する3つの新しい治療薬が臨床導入された。薬価が高いのが頭痛の種だが、これまで激痛に苦しめられてきた患者にとっては朗報だ。
少なくとも台風の予知のために頭痛を我慢するのは得策ではない。それは気象庁に任せて、次の発作が来る前に、医療機関の「頭痛外来」などを受診することをお勧めします。文春オンライン(長田 昭二)
(ニコニコニュースより引用)
片頭痛は辛いよねー
気圧の変化でも症状が出るんだね🤔
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