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2018年06月15日
長期の安定的な取引を前提とした協力関係
自動車産業で多く見られる
日本の企業間取引は、長期持続的で安定的だ、とよく言われます。
それは昔多くの研究者が、日本の自動車メーカーと部品メーカーの間の
系列取引を研究していたからです。
実際、トヨタ生産方式とも呼ばれるジャスト・イン・タイム(JIT)では、
後工程で使った部品の量だけを前工程で生産するかんばん方式がとられます。
このJITを基礎にしたフレキシブルな生産システムは
長期継続的で安定的な取引関係を前提にした部品メーカーの
協力なくしては成立しません。
さらに、部品メーカーはただ図面を与えられて
部品の製造だけを行う貸与図方式だけでなく、
部品の開発作業の一部も担当するという
承認図方式も広く採用されています。
部品メーカー側のエンジニアが
自動車メーカーの社内に常駐して、
自動車の開発・改良に協力するという
ゲスト・エンジニア制を導入している所もあります。
ただし現実は厳しく日本の自動車産業ですら、
部品メーカーの多くが長年にわたり選別・淘汰されてきました。
たまたま、現在のメーカーを見たときに
長期継続的で安定なところというだけです。
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2018年06月06日
製品の一生を3つのステージで表す
全ての商品が熟成し、衰退する?
製品のにも人と同じような一生があり、
導入期⇒成長期⇒成熟期・衰退期というステージが
あるというのが製品ライフ・サイクルの考え方です。
今ではほとんど見かけない
レコード、テープレコーダー、ブラウン管式テレビなど
製品として一生を終えたものを懐かしく思うはずです。
導入期には宣伝教育を含めて創業者的な先行投資が必要ですが、
成長期を迎えると、どんどん設備投資が必要になり、
マーケティング費用もかかります。
しかし成熟期に入ると、消耗や破損をおぎなう程度の投資で済むようになります。
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の
成長率とお金の関係はここから出てきた経験則です。
しかし、すべての商品が成熟し衰退するのは、果たして本当でしょうか?
鉄や石油にはライフサイクルはあるでしょうか?
さらには一度熟成したはずの製品がさらにもう一度サイクルを
はじめるなんてこともありそうです。
ハーバード・ビジネススクールのアバナシー氏らは
『インダストリアル・ルネサンス』で脱成熟化を唱えました。
例えば自動車ではT型フォードの時代で一度成熟し、
次に「走るリビングルーム」の時代、
さらに石油ショック後の日本車の時代と
何度ものサイクルが回っているといっています。
競争優位を見極めるための自社分析
企業を「活動の塊」とみるか、「資源の塊」とみるか
経営戦略論では、1970年代くらいから
企業内部の強み(Strengths)弱み(Weaknesses)と
市場環境における機会(Opportunities)
脅威(Threats)の適合という視点から、
競争優位獲得を分析する
SWOT分析がありました。
このうち企業内部の強み・弱みを見る場合、
企業を活動の塊とみるか
資源の塊とみるかで立場が分かれます。
ポーター氏は『競争優位の戦略』で
個別事業を活動に分解して価値連鎖を考えました。
価値連鎖を使って強み・弱みを表現した例としては
スマイル・カーブがあります。
横軸に価値連鎖を取り、
縦軸に付加価値を取ると、
価値連鎖の両端にある
製品企画開発/アフターサービスよりも、
中央の製造の方が収益性は低く、
笑った口の形になることを表したカーブです。
それに対してバーニー氏の『企業戦略』では、
資源ベース理論(RBV)に基づいて、
資源が競争優位をもたらすかに関する
@経済価値(value)
A希少性(rarity)
B模倣可能性(imitability)
C組織(organization)
に関する4つの問いに応えることで
資源の視点で強み弱みを分析しようという
VRIOフレームワークを提唱します。
ポーター氏は企業を「活動の塊」、
バーニー氏は企業を「資源の塊」ととらえたのです。
自社内部にあった競争優位の源泉
異質性と隔離メカニズム
1980年代に登場した資源ベース理論(RBV)は、
リカードのレントが発生する
メカニズムを明らかにしました。
まずはレントを生み出す資源のユニークさ、
@異質性が必要です。
例えば、青色LEDの開発に成功した日亜化学を例にしますと、
蛍光体メーカーなら出羽のユニークさです。
それまで誰もが光の三原色で
「赤+緑+青=白」だと思い込んでいました。
それを「赤+緑=黄」なので「黄+青=白」
つまり青色LEDと黄色に
発行する蛍光体だけで白にしたのです。
LED3色だけでなく青色LEDだけで
済む低電力の白色LEDは
カラー液晶携帯画面のバックライト
として爆発的に売れ始めます。
こうした異質性を維持させるには、
隔離メカニズムが必要になってきます。
もちろん多くの特許やノウハウで固めた
A模倣不可性は重要です。
しかし、それよりも功を奏したのは
クリーン・ルームが完備した工場を
先に作っておいたことでした。
工場建設には時間がかかるので、
このB競争の事前制限のおかげで、
爆発的に伸びる需要を一手に
引き受けることができました。
しかも青色LEDチップの製造装置は
自製していたので、製造装置に
C取引不可能性もあったのです。
この@異質性、A模倣不可能性、
B競争の事前制限、C取引不可能性が
競争優位の遇石となって、
日亜化学に高いレントを発生させたのです。