2019年05月23日
「7th AVE.」崎谷健次郎が描くセブンスアベニューはジグソパズルのよう【1988年】
写真出典 FreePhoto by との ( photolibrary )
「7th AVE.」 崎谷健次郎 from album Realism
崎谷健次郎さんのセカンドアルバム「Realism」!
1980年代の空気と躍動をクールに凝縮している名盤です。
その中に収録されている「7th AVE.」は、リマスター盤が楽しみだった曲の一つ。ベースとギターが、とてもリズミカルで、うねっていながら鋭さを持っています。
ライブ感あふれる演奏は、まさにGROOVEの極致と言えるでしょう。日本人だからこそ思い描くことのできる、ニューヨーク・マンハッタンの情景かもしれません。
あの時代、誰もがニューヨークに対して、特別な想いを抱いていたのではないでしょうか。
もちろん、日本が好きな人も、ヨーロッパが好きな人も、好き嫌いは人それぞれです。
そのうえで、『いつも存在が、そこにある』それがニューヨークであり、マンハッタンの摩天楼です。
好き嫌いを問わず、気にならないわけがない存在と言いますか。
いつも私たちは遠くから眺めていたわけです。
街の景色というより、街で暮らす人々というか。
ニューヨークを舞台にした映画で、私たちの多くが「行ったことないけれど知っている」という状況や感覚になっていたと思います。
ニューヨークも、マンハッタンも、当時は世界で唯一無二の摩天楼だったのではないでしょうか。
現在は、東京も負けていませんし、むしろ現代は世界中に摩天楼の大都会は存在していますので、わざわざ比較することがナンセンスです。
そこなんです。
崎谷健次郎さんの「7th AVE.」は、ニューヨークもマンハッタンも、セブンスアベニューも、さらりと描ききってしまっているのです。憧れや畏怖とは別の、もっと日常的なエモーションです。
それがわかるのが歌詞。
タイトルを知らなければ、そのまんま「東京」にも「大阪」にも、あるいはアゼルバイジャンの都会にも馴染む世界が描かれています。
実際のセブンスアベニューを知っている人は、リアルに景色を思い浮かべるでしょう。
実際のセブンスアベニューを知らなくても、その人の知っている都会や憧れている街など、精神的に身近な景色として思い描けるように設計されています。
音楽と歌詞が、都市計画の設計図みたいにも思えてきます。
緻密で、クールで。
やや無機質なサウンドも、超クール。
なのに、生々しい歌声と、ややシャウト気味に感じられる歌唱が、リアルな人間の存在を浮かび上がらせます。すごいです。生身の人間の叫びと表情が、すぐそこにあるみたいです。
1988年にリリースされた「Realism」は、肌で感じる空気や街の匂い、行き交う人々がまとう香りでさえもが、ほどよい距離感で伝わって来ました。でもそれは、ガラス越しに見ている感じです。
2019年の「リアリズム・アンソロジー」では、格段に音が良くなることで、ガラスが取っ払われています。すごいです。街の振動も、人の鼓動も、ありとあらゆる要素が人間の五感を直撃します。
しかも、歌詞を味わいながら第六感を発動させれば、それはもう奥行きの深い感情を体験できるのです。
音楽って、すごいな。
自分の中にある、さまざまな感情が、パズルのピースのようだなと感じられることって、ありませんか?
はめようとしても、はまらない。そんな、もどかしさ。
美しい音楽は、パズルのピースを、自然に、勝手に、繋げてしまいます。
ほら。頭の中で、散らかったままになっていた、さまざまな感情。その断片たちが、きれいに整然と、かたづけられていくのを感じませんか。
崎谷健次郎さんの「7th AVE.」を聴いていると、自分の脳内世界がクリアになっていきます。
記憶が断捨離されてしまうのではなく、あるべき姿に組み合わされて、とてもスマートに仕上がる感じです。
まるでゴミのようにうずたかく積みあがっていた断片が、いまは一枚の美しいピクチャーに仕上がって、壁に勘ざることができるほどです。
時間を超えて、実感できる旋律の美しさ、それゆえの調合。
未体験の方は、ぜひ実際に聴いてみて、あなたの記憶の断片たちを整えてもらってみてください。調合されます。
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