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2017年09月02日

「高齢者を活かさない労働市場」という記事を読みました



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リタイアという言葉が出る訳のないラインナップ
 
 Yahooのしごと検索から、おしごとマガジンの記事を読みました。

  ・高齢者を活かさない労働市場 (おしごとマガジン)

 著者の大久保 幸夫氏はリクルートワークス研究所所長、人材サービス産業協議会の理事を務められており
 人材マネジメント、労働政策、キャリア論が専門です。
 要は労働者がいないと仕事があがったりになるわけなので、この方の口から「リタイア最高」なんて言葉は
 まず出てこないと思うべきです。

 ちなみに、下記ページにある大久保氏の著書リスト、ちょっと眩しくて直視できませんでした。
 いえ、もちろんビジネスマンには役に立つ著書なのだとは思いますが。

  ・リクルートワークス研究所 大久保所長のページ


 そもそも記事の出所が「Yahooしごと検索」や「おしごとマガジン」なのですから、仕事を続ける事が
 前提の記事であるのはあたりまえです。
 そこに私のようなアーリーリタイア志望者が噛み付くのは筋違いなのかもしれませんが、少し興味を
 引かれましたので、記事に取り上げさせていただきました。

要旨の流れ
 
 この記事の要旨の流れは以下の通りです。


  ・人口減少、慢性人手不足、寿命のさらなる伸びで、高齢者の労働力ニーズは高まっているはず
    ↓
  ・なのに実際は、高齢者の就業状況は芳しくない
    ↓
  ・高齢者の豊富な経験は、企業が欲しい人材ではないのか?
    ↓
  ・改正高年齢者雇用安定法で再雇用の道は開けたが、同時にロスタイムのような働き方になった
    ↓
  ・働いている高齢者もいるが、その能力を生かし切れていない
    ↓
  ・シニア人材を最大限活かすことができる会社が登場しないものか



 最後には解決策の草案を出すかと思えば、まさかのぶん投げでした。

 人口減少と慢性人手不足により、労働力ニーズが高まっているのは確かでしょう。
 (「高齢者」に限定してニーズが高まっているわけではないでしょうが、ここでは引用元の記事に倣って
  高齢者に関して取り上げることにします)

 にも関わらず就業状況が芳しくないというのは、なぜでしょうか?
 理由は簡単。どこかにミスマッチか需給ギャップが起きているからでしょう。


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改正高年齢者雇用安定法の功罪

 改正高年齢者雇用安定法は2013年に施行された法律で、年金支給年齢の引き上げに伴う高年齢者雇用対策
 として、会社に以下のいずれかの制度導入を義務づけるものです。

  @定年の廃止
  A継続雇用制度の導入
  B定年の定めの廃止


 年金支給年齢の引き上げについては、色々言いたい事もありますが脇に置いておきまして、年齢を
 引き上げるからには定年も引き上げなければならないという論法は妥当です。
 ただ、この法律の目的はあくまでも「年金支給までの無収入期間を回避する」であることに注意です。

 「多くの高齢者に戦力となってもらおう」という前向きな理由ではなく、支給年齢を引き上げるから
 仕方なく設定した後ろ向きの法律ですから、これで就業状況が改善されるわけがありません。

 そもそも、この法律による再雇用では年収がガタ落ちします(会社にもよるでしょうが)。
 60歳を超えたからという理由で年収を激減させておいて、「高齢者の豊富な経験が欲しいのです!」
 などという主張が通るわけがありません。
 しかも再雇用後は職制も異なるので、かつての部下の下で働くという状況も十分にあり得ます。
 この状況で、再雇用前と同じモチベーションを保てるような人はまずいないと言っていいでしょう。


 まさに今回の記事通り、改正高年齢者雇用安定法は高齢者の雇用を保証だけはしたものの、
 モチベーションを保てるような雇用方法ではなく、ロスタイムの働き方になってしまったということです。
 法律の趣旨がそうなのですから、当たり前の帰結ですが。

高齢者を活かす労働市場とは?

 実際、60歳を超えれば仕事の能力がそれまでと比べ劣ってくる人は多いと思いますので、その能力に
 応じて給料が減る、あるいは職制が落ちるというのは納得できることでしょう。
 そういった評価を行わず、一律に再雇用するからモチベーションを落とす結果となるわけです。

 とは言え、「職業」ではなく「会社」に勤める総合職で、さらに正社員の解雇が難しい日本においては
 各個人の能力を同一の物差しで測るのが難しいのも確かです(管理職はその訓練もしていません)。
 ですから、しばらくの間はこの状況は変化しないでしょう。残念ながら。


 では、高齢者を活かす労働市場というのは、いったいどのようなものでしょうか。
 ここから先は個人の思いつきですが、もし本当に高齢者の知見や経験を活かすということであれば、
 「会社」やら「再雇用」の枠に囚われる必要もないのではないか、と思います。

 つまるところ、クラウドワークです。
 今の高齢者にクラウドワークという考え方を浸透させるには時間が足りませんが、もう少し時間が経てば
 そういう働き方も一つの選択肢として市民権を得るのではないでしょうか。
 (高率の中抜きなど悪質な仲介業者を排除するため、国の監視は必要不可欠と思いますが)

 そうなれば、高齢者だけではなく色々な背景を持った色々な人が労働市場に参加できるようになります。
 自分の好きな時間に、好きな仕事(内勤・外勤含め)を組み合わせて働くことができるようになれば、
 政府の掲げる一億総活躍にも近づく事ができるのではないでしょうか。
 私だって、そういう働き方ができるならやってみたいです。


 ただこれは、企業にとっては困り事です。というのも、この働き方を実現しようとすると企業は

 「人材の囲い込みができない」
 「総合職として何でも命令できた社員がいなくなる」
 「副業を解禁しなければならない」


 という三重苦を背負うことになるからです。 
 実際にこんな話が現実味を帯びれば、経済界の反発は推して知るべし、でしょう。
 ただ、正規職員&非正規という区別が、労働市場への参入者を減らしているのは間違いないと思います。


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おわりに

 私はプロフィールの通り氷河期の生まれですが、数十年後に私が高齢者の仲間入りをする頃には
 「高齢者にもっと働いてもらおう」という風潮はより強くなってくるものと予想されます。
 年金も75歳選択制にしようとか、一億総活躍とか、要は人口減少により社会保障の破綻が現実のものに
 なってきたので、何とか労働者(≒納税者)を増やして延命しようということでしょう。

 であれば、どうするか。
 企業が副業を無制限に解禁し、労働者を定時で縛り付けるのをやめれば、労働市場は流動化します。
 (もちろん、この状況では「正社員」というものは存在しなくなります)。
 これは極端としても、まずは「本業と関係無い就業時間外の副業(起業)を解禁」はするべきでしょう。

 労働市場への参加者を増やすためには、多様化した働き方を認める必要があります。
 そして、労働力が増えることにより企業も益を得るわけですから、不利益の一部は企業が負担すべきです。
 (同様に、国も個人も受益者ですから、相応の不利益は負うべきです)。
 

 クラウドワークスでは国境が関係なくなるので、労働力が失われるという可能性もありますが、
 言葉の壁というのは思っている以上に厚く、日本国内における日本語の優位性は崩れないと考えます。
 (日本語の優位性のない職業は、とっくに海外に流出しています)
 税収についても、クラウドワークの収入から源泉徴収する仕組みがあれば、確保できるでしょう。

 このような働き方が現実のものとなれば、私の思うアーリーリタイア後の理想に近づきます。
 まだまだ超えるべき壁は多いと思いますし、このアイディアも穴だらけとは思いますが、一つの提言として
 記事にしてみました。


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