2019年07月18日
暗号資産「リブラ」の規制とフェイスブックの対応
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アメリカの証取委の動き
フェイスブック社の仮想通貨(暗号資産)「リブラ」の話題です。
リブラはスマートフォン上でやりとりされる仮想通貨で、海外送金や物品・サービスの支払いに使えるだけ
でなく、ドルなどの通貨と交換することができます。
運営団体はスイスに置き、(建前上は)フェイスブックは関与しません。
おそらくフェイスブックは、リブラの流通による購買ビッグデータを儲けの種にするのでしょう。
リブラを利用した貸付も考えられますが、焦げ付いた時の回収労力を考えるとあまり有利なビジネスモデル
ではないように思えます。
だからと言って発展途上国でP2P(個人間)貸付を始めたら火薬庫になるのは目に見えていますし、将来的
にはともかく短期的にはやらないのでは? と考えています。
(もしかしたらフェイスブックと関係ない野良サービスが、炎上上等でやるかもしれませんが)
そのリブラの話題です。
数日前、アメリカの証取委がリブラ規制を検討しているという話題がありました。
文面では「調べている」ですが、これはもう規制する気満々ということでしょう。
米証取委、リブラ規制か
ダウ・ジョーンズ通信は13日、米証券取引委員会(SEC)が米交流サイト大手フェイスブックが計画する暗号資産(仮想通貨)「リブラ」について、規制対象に当たるかどうかを調べていると報じた。
(https://this.kiji.is/522791072452428897 より引用)
財務長官の会見
そしてこれに続いて、アメリカのムニューシン外務長官も記者会見を行いました。
リブラの規制方針について言及しています。
米、FB仮想通貨を規制 財務長官「深刻な懸念」
ムニューシン米財務長官は15日記者会見し、米フェイスブック(FB)が来年前半の発行を目指す暗号資産(仮想通貨)「リブラ」が不正利用される可能性があり、「深刻な懸念がある」と表明。その上で「銀行と同じように扱う」と述べ、財務省の規制対象に入るとの認識を示した。
(https://this.kiji.is/523605303167108193 より引用)
ドルやユーロなどの基軸通貨バスケットと互換性を持つ通過ですから、銀行と同様に扱い規制・監視対象に
するというのは妥当だと思います。
むしろ他の仮想通貨のように大幅な値動きがない分、マネーロンダリングやテロ資金としては使いやすいと
いう見方もできるでしょう。
フェイスブックの対応は妥当でしょう
これを受けてフェイスブック社は、関係当局の承認が得られるまで発行を始めないと発表しました。
アメリカに正面切ってケンカを売るのは愚行にすぎませんので、これも当然のことだと思います。
リブラ、当局承認まで発行せず FB幹部が議会証言へ
フェイスブックのデジタル通貨「リブラ」の構想に関して米上院が16日に開く公聴会での同社幹部の冒頭証言の要旨が15日、明らかになった。規制当局の承認を受けるまでリブラを使った金融サービスを提供しないと明言する内容だ。米金融当局は同構想の審査に1年以上かかるとの見通しを示しており、同社が2020年前半とするサービス開始は遅れる可能性が強まった。
(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47363810W9A710C1000000/ より引用)
一方でこの動きは、フェイスブック社がリブラ発行に関して、アメリカの管理を受け入れたという解釈も
できると思います。
それであれば、リブラが今後普及する可能性も出てきたのではないでしょうか。
暗号資産(仮想通貨)は、既存の通貨と対立する存在ではないというのが私の考えです。
(正確には、既存通貨と対立したら潰されるという考えですが)
今回リブラがアメリカ証取委の通告を受け入れたということは、今後の「実際に流通する」暗号資産の行く
末を占う上で一つの転機になるかもしれない、と考えています。
そういえば、この一連の動きを受けてリブラへの期待が少し後退したことを受け、ビットコインをはじめと
する仮想通貨も値を下げているとか。
ビットコイン他の既存仮想通貨とリブラとは立脚するところがまるで異なるだけに、もしリブラが正式に
サービスを開始した際にどんな棲み分けが起こるのかについても興味は尽きません。
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posted by SALLOW at 11:00
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何回か記事にして、ようやく意見がまとまってきました。
マネロンやテロ資金について、本人確認されたユーザでなければ手に入らないのであれば、法定通貨と同等以下の危険性しかないというのも同意いたします。
ただ、本人確認を厳格に行うということは、リブラの入り口で門前払いをするユーザが増えるということ。民間企業ではそこの抑えが効かなくなる恐れがあるため、銀行と同様の最高レベルの規制をかけるというのが当局の「建前」なのでしょう。
本音についてはおっしゃる通り、というか透けて見える通り、彼らは自らのコントロールできない金融勢力を認めることはありません。なので、リブラがどうやって折り合いをつけていくかに興味あります。
yos 様
国家における通貨発行権は強大な力ですから、それを脅かす相手にはこのくらいの過剰反応をするものと思います。言ってみれば軍隊みたいなものです。
なので彼らの言う規制の内容というのは「グローバル銀行と同様の最高レベルの監視体制」と表面上では言っていますが、実際にはFRBやECBなどの要請に協力するようなものにしたいのではないでしょうか。
G7がまとめて拒否反応を示すということは、そういうことなのかと推測しています。
ちょっと大袈裟な気もします。
規制の枠さえキッチリ決めれば従うと思います。
むしろさっさと規制の内容を決めてしまえばいいのに、決めない所がダメダメな感じがします。
運用を統括するLibra協会という中央集権的組織があり、また取引所でKYC(本人確認)されたユーザーが米ドルなど法定通貨と交換することで初めてLibraを手にすることが出来ます。
マネーローンダリングについては法定通貨より危険性が低いのではないでしょうか。
個人情報保護については、Libra協会参加の各企業間でどのように取り決められるかでしょうが昨今の情勢に鑑みて、無謀なことはしないと思います。
議会はこの辺の仕組みが分かっておらず、徒に不安がっているように見えます。
金融当局的に一番気になるのは当局の金融政策に影響を及ぼす、もっと言えば無効化してしまう勢力になることであり、そこに規制の網を掛けたいのが本音でしょう。