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2019年04月25日

働き方に関する雑記:我々は「絶滅危惧種」なのか?



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会社は合理性を憎んでいる?

 今回は雑記です。
 マネーポストになかなか興味深い記事がありました。
 橘玲氏の最新刊「働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる」に関する記事です。

  ・世界では「絶滅危惧種」、日本のサラリーマンの特殊性とは (マネーポスト)


 橘氏が「日本の生産性が低いのは、日本人が合理性を憎んでいるから」とツイートしたところ、大きな反響
 を呼んだとのこと。
 職場の不合理な状況、「これではよくない」と思っていても、それを変えることができないという苦しみが
 ツイートへのコメントという形で洗われたのではないか、と語られていました。


 例えば会社の経営陣に「合理性は嫌いですか?」と問えば、NOという答えは返ってこないでしょう。
 しかし、にも関わらず無駄な会議や手続きが多い現状を変えようとしないのであれば、口では何と言っても
 行動で合理性を嫌っているのは明らかです。

 (実際、私のいる会社でもそういった空気はあります)
 ですから、橘氏の発言は多くの点で正しいと思います。

 ただそもそもを言ってしまえば、合理性は手段であって目的ではないはずです。
 合理性そのものに善悪はありません。


 そういう私自身はどうかと言えば、合理的であるべき場合とそうでない場合がある、と考えます。
 自分自身の思考はなるべく合理的であるように努めてはいますが、行動は合理的でない場合があります。
 大事なのはどういった選択肢を選んだとしても、そのメリットとデメリットを正しく認識し、それを自分の
 責任として呑み込む姿勢だと思っています。


  s-solitaire-1294488_960_720.jpg

働き方のバージョン

 橘氏は前述の書籍の中で、働き方を以下のように定義されています。

・働き方「1.0」=年功序列・終身雇用の日本的雇用慣行
・働き方「2.0」=成果主義に基づいたグローバルスタンダード
・働き方「3.0」=プロジェクト単位でスペシャリストが離合集散するシリコンバレー型
・働き方「4.0」=フリーエージェント(ギグエコノミー)※組織に所属しない働き方
・働き方「5.0」=機械がすべての仕事を行なうユートピア/ディストピア

 そして、日本が進めようとしているのは1.0から2.0へのバージョンアップ。
 しかし世界はすでに3.0から4.0へのバージョンアップを目指しており、例え2.0へのバージョンアップができ
 たとしても、世界にはまったく追いつけないとのこと。
 そして、1.0の世界に長く押し込められた機能不全が日本人から生産性と労働における悲劇を生んでいる、と
 コメントされています。

 ここでも、常に世界を追うのが正しいのか? という議論は必要でしょう。
 ただ、少なくとも世界と勝負するグローバル企業であるならば、ビジネスのやり方や働き方についても世界
 の潮流に合わせなければ戦いに勝つことは覚束ないと思います。
 (逆に言えば、日本国内だけを相手にするのなら、働き方を変える必要は薄れると思います)


 経営層の視点で考えれば、ここで問題になるのは日本の解雇規制。
 年功序列・終身雇用が崩壊したとは言え、解雇規制がきつい日本においては、働き方をバージョン3.0以上に
 上げることは難しいと思います。
 その事は最近、経団連会長も言っていましたね。もっともこちらは解雇規制を弱めるための布石としての発
 言であり、働き方のバージョンを上げようとしているかどうかは疑問ですが。


  ・経団連会長“終身雇用を続けるのは難しい”
  (Yahooニュース、動画+音声があります)

働き方の問題と、ブラック企業の問題の類似点

 こういった考え方は、良く言われるブラック企業問題にも関連しています。

 法律に違反する企業を擁護することはありませんが、もしも実際法律に違反している企業が一斉に労基から
 取り締まりを受けたらどうなるかと想像すると、その向こうにあるのはバラ色の未来ではないと思います。

 本当にそんなことになれば、労働者の大多数が働く中小零細企業の多くが潰れると推測されます。
 結果、失業率は上がり大企業にも影響は出て、経済全体どころか治安問題にまで発展しかねません。
 だからこそ法律では決まっていても、運用(取り締まり)で手加減をしているのでしょう。
 その状況を良いとは言いませんが、何事にも建前と本音は必要ということであり、違法と合法は二元論で決
 まるものではない
、と私は考えています。
 (「当社は労働基準法を採用していない」と言い切るような会社まで延命しろというわけではありません)

 結局のところ、ブラック企業の問題は徐々に解消はしても、一気に解決する手段はありません。
 ブラックが潰れてもすぐにホワイトな会社がその後釜に座るというわけではないからです。いずれ時間が解
 決するかもしれませんが、それまでは失業者が溢れ供給が止まるだけでしょう。


 同様に働き方の問題もすぐに解決はしないでしょうし、もし解決することがあったとしたらその時は解雇規
 制が大幅に緩和されることとセットになる
と思います。
 その時に、「私は実力が十分にある」と胸を張れる人はどれだけいるでしょうか?
 少なくとも私は、そこまでの自信は持ち合わせていません。

 結局のところ、いくら現状が停滞していたとしても、そこから何かを変えようとすれば痛みが伴うもの。
 そしてその痛みはたいていの場合、経営層ではなく労働者側に降りかかることになると思われます。
 (回り回って経営層も痛みを受けることにはなるかもしれませんが)
 だからこそ、労働者側には自衛と準備が必要なのだと考えています。

労働者としての考え方

 日本のサラリーマンは「絶滅危惧種」だ、という記事から始まったこの雑記ですが、私は絶滅危惧種が悪い
 とは思っていません。それはむしろ多様性の一種です。
 ただ日本における従来の働き方はグローバルで勝負するのに不利だ、というだけの話です。それを自覚し、
 変えるのは会社組織の課題であり、労働者個人に帰属する課題ではありません。

 また別に、誰も彼もが勝負しなければならないというものではないでしょう。
 私だったら、確実に勝てる時か、もしくはイカサマができる時以外は勝負をしません。「戦わない」という
 のも選択肢の一つだからです。


 ただそうは言っても、勝てないまでも生き延びることは必要です。
 会社勤めの労働者としての最適解は、周りを巻き込んで努力を重ね、職場の労働環境をバージョン1.0から
 上げることではありません。

 周りの環境ではなく自分自身のバージョンとレベルを上げて、いつでもバージョン3.0や4.0の働き方をでき
 るようにしておき、その上で会社に所属してバージョン1.0のメリットのみを享受することだと思います。
 少なくとも私はそう考え、そう行動するようにしています。



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