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2018年02月20日
「ローマ法王」はなぜ呼び捨てか
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前回に続いて新聞記事の中の肩書きについてです。
新聞記事では、原則として人名には肩書きや敬称を付けます。
昨日お伝えしたような運動記事のほか、大きな政治の動きを検証する記事などでは「敬称略」が許されます。
肩書きを何度も付けると字数が増えてしまうことが大きな理由ですが、敬称を取ると記事に緊迫感が出てくるという効果もあります。
肩書きには、「首相」、「社長」などの役職名のほか、刑事事件の「容疑者」、「被告」のように、その人物の地位を示すものもあります。
以前に「『首相』は法律違反?」という記事で、本来は「内閣総理大臣」が正しく、厳密には「首相」という肩書きは存在しないということを書きました。
「容疑者」「被告」も同様です。法律用語としてはそれぞれ「被疑者」「被告人」。「被疑者」は「被害者」と発音上も表記上も混乱が生じやすいということが理由。「被告」の方は字数を減らしたということでしょう。
昔は、事件の記事で警察に逮捕されると、呼び捨てにすることが普通でした。
警察に捕まると、すでに新聞紙上で犯罪者扱いされていたわけです。
田中角栄元首相が逮捕されたときから変わったという説がありますが、念のため確認してみましたが、やはり違います。
確かに自民党議員や秘書ら関係者から「総理大臣経験者を呼び捨てにするのはいかがなものか」という声が上がっていたのは事実で、新聞社の間でも議論はあったようです。ネットに出ている当時の号外の画像を見ると毎日新聞は「前首相田中角栄」「田中」と呼び捨てです。一方、朝日は「田中角栄前首相」「田中前首相」となっています。
「容疑者」が定着したのは、逮捕された人の人権を尊重するムードが高まった1980年代後半から。
最近、私の記憶がかなりいい加減になってきているので間違っているかもしれませんが、裁判で死刑判決を受けた方の無罪が確定したことがきっかけになったのではなかったかなと思います。それと、米ロサンゼルスで起きた日本人女性の殺害事件で犯行を疑われた日本人男性に対する報道に行きすぎがあったことも影響しました。
そういえば、もうかなり前のことですが、アイドルグループの人気者が警察に逮捕されたときは、「容疑者」ではなく「メンバー」という奇妙な呼称も使われました。ただし、これは放送局だけ。テレビに対する所属芸能事務所の力が強く、配慮したといわれていますね。
全く異なる理由でやや不自然な肩書きの配置になっているのがローマ法王。
日本の新聞では、「フランシスコ法王」と「法王フランシスコ」の二通りがあります。
朝日新聞、毎日新聞は「フランシスコ法王」。
https://digital.asahi.com/articles/ASL2574Z6L25UHBI020.html
https://mainichi.jp/articles/20170206/k00/00e/030/177000c
共同通信、日本経済新聞などは「法王フランシスコ」。
http://www.sanspo.com/pyeongchang2018/news/20180207/pye18020721030047-n1.html
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26566300W8A200C1EAF000/
「フランシスコ法王」の方が日本語としては自然だと思います。法王が前に来ていると呼び捨てにしているようですね。
しかし、歴代法王のことを「法王ヨハネ・パウロ2世」などと呼んできたので、これまでの慣習に従えば多数派の「法王フランシスコ」の方が良いということになります。
ところが、そもそも「法王」自体に問題があるようです。
日本のカトリック教会をとりまとめる日本カトリック中央協議会のサイトには、「(1981年から法王ではなく)『教皇』に統一することにしました」と書いています。
https://www.cbcj.catholic.jp/faq/popeofrome/
そして、さらに確認すると、このサイト内では「教皇フランシスコ」と書かれていました。
https://www.cbcj.catholic.jp/2017/02/13/12254/
共同通信などが日本語としては不自然な「法王フランシスコ」を採用しているのは、ここに根拠があったようです。
引き続き質問をお待ちしています。
下のコメント欄にお書きください。
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新聞記事では、原則として人名には肩書きや敬称を付けます。
昨日お伝えしたような運動記事のほか、大きな政治の動きを検証する記事などでは「敬称略」が許されます。
肩書きを何度も付けると字数が増えてしまうことが大きな理由ですが、敬称を取ると記事に緊迫感が出てくるという効果もあります。
肩書きには、「首相」、「社長」などの役職名のほか、刑事事件の「容疑者」、「被告」のように、その人物の地位を示すものもあります。
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「容疑者」「被告」も同様です。法律用語としてはそれぞれ「被疑者」「被告人」。「被疑者」は「被害者」と発音上も表記上も混乱が生じやすいということが理由。「被告」の方は字数を減らしたということでしょう。
昔は、事件の記事で警察に逮捕されると、呼び捨てにすることが普通でした。
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田中角栄元首相が逮捕されたときから変わったという説がありますが、念のため確認してみましたが、やはり違います。
確かに自民党議員や秘書ら関係者から「総理大臣経験者を呼び捨てにするのはいかがなものか」という声が上がっていたのは事実で、新聞社の間でも議論はあったようです。ネットに出ている当時の号外の画像を見ると毎日新聞は「前首相田中角栄」「田中」と呼び捨てです。一方、朝日は「田中角栄前首相」「田中前首相」となっています。
「容疑者」が定着したのは、逮捕された人の人権を尊重するムードが高まった1980年代後半から。
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日本の新聞では、「フランシスコ法王」と「法王フランシスコ」の二通りがあります。
朝日新聞、毎日新聞は「フランシスコ法王」。
https://digital.asahi.com/articles/ASL2574Z6L25UHBI020.html
https://mainichi.jp/articles/20170206/k00/00e/030/177000c
共同通信、日本経済新聞などは「法王フランシスコ」。
http://www.sanspo.com/pyeongchang2018/news/20180207/pye18020721030047-n1.html
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26566300W8A200C1EAF000/
「フランシスコ法王」の方が日本語としては自然だと思います。法王が前に来ていると呼び捨てにしているようですね。
しかし、歴代法王のことを「法王ヨハネ・パウロ2世」などと呼んできたので、これまでの慣習に従えば多数派の「法王フランシスコ」の方が良いということになります。
ところが、そもそも「法王」自体に問題があるようです。
日本のカトリック教会をとりまとめる日本カトリック中央協議会のサイトには、「(1981年から法王ではなく)『教皇』に統一することにしました」と書いています。
https://www.cbcj.catholic.jp/faq/popeofrome/
そして、さらに確認すると、このサイト内では「教皇フランシスコ」と書かれていました。
https://www.cbcj.catholic.jp/2017/02/13/12254/
共同通信などが日本語としては不自然な「法王フランシスコ」を採用しているのは、ここに根拠があったようです。
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