2016年08月14日
花の歌(ランゲ)&プティ・ガトー・アソルティ
美しい人が弾く美しいワルツ
私がまだ中学生だったころのお話です。
父の転勤で家族で引っ越しをしてきたのが、瀬戸内海を臨む小さな町でした。
それまでは他県にある、いわゆるマンモス学校に通っていたのですが、なんと転校先は一学年一クラス!
校舎は木造で、それはそれは「二十四の瞳」さながらの世界。
設備も整い、活動クラブ数もたくさんあった以前の学校とはあまりにも違う田舎の環境に、私は少なからずカルチャーショックを受けました。
前の学校では吹奏楽部に入り、充実した学校生活を送っていたのです。
それに引き換え、この学校には陸上部、バレー部、そして卓球部の三つしかないなんて。
しかも私は運動音痴と来たもんです。
でもありがたいことに、クラスメートとは割と早く打ち解けることができました。みんな純朴で、転校生の私にとても親切だったのです。
その中で、ひときわ綺麗な女子生徒がいました。Kさんです。
Kさんも、私より数年前に関東のほうから転校してきたそうで、言葉もいわゆる標準語に近く、上品な雰囲気の人でした。
切れ長の大きなお目目に整ったお顔立ち。身長は160センチほどあったかな?
スラリとして、綺麗に切りそろえたミディアムボブがとても良く似合っていました。
ある日のこと。休憩時間に友達数人とピアノを弾きに音楽室に行きました。とはいえ、まともに弾けるのは数えるほどしかいません。
誰かが「そういえば、Kさんピアノ習っとたんじゃない?弾いてみて〜!」と言いました。
奥ゆかしいKさんは「ええ〜?でももうやめちゃったし、あんまりうまくは弾けないよ〜。恥ずかしいわ。」と躊躇しています。
「大丈夫よ〜。うちらほとんど弾けんのんじゃけ。」
みんなにせかされて、彼女はやっと椅子に座りました。
「じゃあ、ピアノの発表会で弾いた曲やってみるね。」
そして彼女は鍵盤に指を置きました。
三拍子・・ワルツでした。初めて聴く曲です。
Kさんの表情はいつしか真剣になり、その凛とした横顔にまた惚れ惚れします。
みんなもいつしか無言になり、彼女の奏でる音楽にじっと聴き入っていました。
私はとても感動しました。彼女のピアノは、私が転校してきてからずっと封印してきた音楽への憧れを呼び覚ませてくれたような気すらしたからです。
私も当時は生意気盛りの多感なお年頃。(クラシックなんて、こんな田舎には似合わないわっ!)な〜んて思っていたのです。
そろそろ曲が終わるころ、チャイムが鳴ってしまいました。残念!
「この曲すごくいいね〜。なんて曲?」と聞くとKさんは、
「ランゲの花の歌っていうんだよ。」と教えてくれました。
数日後、バスに乗って街中の楽器店に、この花のワルツの楽譜を買いに行ったことはいうまでもありません。
実は私はピアノの先生が怖くて、ソナチネあたりでレッスンをやめてしまったという前科者(笑)なのですが、これだけは頑張って何度も練習しました。
あこがれのKさんに近づきたくて・・・。
今でもこの曲を聴くと、まるでお花のように美しかったKさんのことを思い出します。
そして、あの頃の悩み多きティーンエイジャーだった自分自身の姿と共に・・・。❀
ランゲ:花の歌
ランゲは19世紀ドイツの作曲家でありピアニストでした。400曲以上の作品は、ほとんどがサロンで演奏されるようなピアノの小品です。優雅な音楽が多く、当時とても人気があったそうです.
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ぜひお紅茶と一緒に食べてみますね。
(野球を見ながら)