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2021年01月14日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊 vol,10

(^_-)-☆アスカミチル

更新連絡でっせー。

★1/7(木)から

以下の更新スタイル。




●毎週日曜

【三国志演義】朗読  

1動画(約15分朗読)  

午後9時までにアプロード。


◆月火水木金土

【痴人の愛】本文掲載

1日1記事(約800字掲載

午後9時までにアプロード。



以上の通りです。

ヨロシク
光るハート


「痴人の愛」本文 角川文庫刊 vol,10


そうです、あの頃の事をあまりくどくど記す必要はありませんが、一度私は、やや打ち解けて、彼女とゆっくり話をした折がありましたっけ。



それは何でもしとしとと春雨の降る、生暖かい四月の末の宵だったでしょう。
ちょうどその晩はカフェが暇で、大そう静かだったので、私は長いことテーブルに構えて、
チビチビ酒を飲んでいました。



こう言うと、ひどく酒飲みの様ですけれど、実は私は甚だ下戸の方なので、時間つぶしに、女の飲むむような甘いコクテルを拵えて貰って、それをほんの一口ずつ、舐めるようにすすっていたのに過ぎないのですが、そこへ彼女が料理を運んでくれたので、



「ナオミちゃん、まあちょっとそこへおかけ」
と、幾らか酔った勢いでそう言いました。

「なあに」
と言って、ナオミはおとなしく私の側に腰をおろし、私がポケットから敷島を出すと、スグにマッチを擦ってくれました。



「まあ、いいだろう、ここで少うししゃべって行っても。今夜はあまりいそがしくもなさそうだから」
「ええ、こんなことはめったにありはしないのよ」



「いつもそんなに忙しいかい?」
「忙しいわ、朝から晩まで、本を読む暇もありゃしないわ」



「じゃあナオミちゃんは、本を読むのが好きなんだね」
「ええ、好きだわ」



「一体どんなものを読むのさ」
「いろいろな雑誌を見るわ、読む物なら何でもいいの」

「そりゃ感心だ、そんなに本が読みたかったら、女学校へでも行けばいいのに」
私はわざとそう言って、ナオミの顔を覗き込むと、彼女は癪に酌に触ったのか、つんと済まして、あらぬ方角をじっと視つめているようでしたが、その眼の中には、明らかに悲しいような遣る瀬ないような色が浮かんでいるのでした。


                              次回に続く。













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