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2021年01月13日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊 vol,9

(^_-)-☆アスカミチル

更新連絡でっせー。

★1/7(木)から

以下の更新スタイル。



●毎週日曜

【三国志演義】朗読  

1動画(約15分朗読)  


午後9時までにアプロード。



◆月火水木金土

【痴人の愛】本文掲載

1日1記事(約800字掲載)


午後9時までにアプロード。

以上の通りです。

ヨロシク光るハート



[
「痴人の愛」本文 角川文庫刊 vol,9



で、一緒に遊びに行くときは、大概前の日に約束をして、決めた時間に公園のベンチとか、観音様のお堂の前とかで待ちあわせることにしたものですが、彼女は決して時間を違えたり、約束をすっぽかしたりしたことはありませんでした。



何かの都合で私の方が遅れたりして、

「あんまり待たせ過ぎたから、もう帰ってしまったかな」

と、案じながら行ってみると、やはりキチンとそこで待っています。



そして私の姿に気が付くと、不意と立上ってつかつかこちらへ歩いて来るのです。

「御免よ、ナオミちゃん、大分長いこと待っただろう」

私がそう言うと、



「えゝ、待ったわ」

と言うだけで、別に不平そうな様子もなく、怒っているらしくもないのでした。



ある時などは、ベンチに待っている約束だったのが、急に雨が降り出したので、どうしているかと思いながら出かけて行くと、

あの、池の側に或る何様だかの小さい祠の軒下にしゃがんで、それでもちゃんと待っていたのには、ひどくいじらしい気がしたことがありました。



そういう折の彼女の服装は、多分姉さんのお譲りらしい古ぼけた銘仙の衣類を着て、めりんす友禅の帯をしめて、髪の日本風の桃割れに結い、薄く白粉を塗っていました。



そしていつでも継ぎは当たっていましたけれど、小さな足にピッチリと嵌(は)まった、恰好のいい白足袋を穿(は)いていました。どういう訳で休みの日だけ日本髪にするのかと聞いてみても、

「内(うち)でそうしろと言うもんだから」

と、彼女は相変わらず詳しい説明はしませんでした。



「今夜は遅くなったから、家の前まで送って上げよう」

私は再々、そう言ったこともありましたが、



「いゝわ、直き近所だから一人で帰れるわ」

と言って、花屋敷の角まで来ると、きっとナオミは

「さよなら」

と言い捨てながら、千束町(せんぞくまち)の横町の方へバタバタ駆け込んでしまうのでした。

                          次回に続く。

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