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2021年03月15日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,82


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,82



私のようなぶきっちょな、ダンスなどという華やかな雰囲気にはもっとも不適当であるべき男が、ナオミのためとは言いながら、どうしてその後飽きもしないで、ふぃと月も二月も稽古に通う気になったか。



私はあえて白状しますが、それは確かにシュレムスカヤ夫人というものがあったからです。毎月曜日と金曜日の午後、夫人の腕に抱かれて踊ること。そのほんの一時間が、いつの間にか私の何よりの楽しみと鳴っていたのです。



私は夫人の前に出ると、全くナオミの存在を忘れました。その一時間はたとえば芳烈な酒の様に、私を酔わせずには置きませんでした。

「譲治さんは思いのほか熱心ね、時(じ)きいやになるかと思ったら。」
「どうして?」



「だって、僕にダンスが出来るかなァなんて言ったじゃないの」
ですから私は、そんな話が出る度に、何だかナオミに済まないような気がしました。



「やれそうもないと思ったけれど、やってみると愉快なもんだね。それにドクトルの言い草じゃないが、非常に体の運動になる」
「それ御覧なさいな、だから何でも考えていないで、やって見るもんだわ」



と、ナオミは私の心の秘密には気が付かないで、そう言って笑うのでした。

さて、大分稽古を積んだからもうそろそろよかろうというので、始めて私たちが銀座のカフェェ・エルドラドオへ出かけたのは、その年の冬の事でした。



まだその時分、東京にはダンス・ホールがそう沢山なかったので、帝国ホテルや花月園を除いたら、そのカフェエがその頃漸(ようや)くやり出したくらいのものだったでしょう。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊



次回に続く。


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