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2021年01月08日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊 vol,5

「痴人の愛」本文 角川文庫刊 vol,5



そのくらいなら、何故相当な所から嫁を迎えて、正式な家庭を作ろうとしなかったのか?

これに就いては少し委しく話さなければなりませんが、一体私は常識的な人間で、突飛なことは嫌いな方だし、出来もしなかったのですけれど、しかし不思議に、結婚についてかなり進んだ、ハイカラな意見を持っていました。



「結婚」というと世間の人は大そうことを堅苦しく、儀式張らせる傾向がある。まず第一に橋渡しというものがあって、それとなく双方の考えをあたってみる。



次には「見合い」ということをする。さてその上で双方に不服が無ければ改めて媒人(なこうど)を立て、結納を取り交わし、五荷(か)とか七荷とか、十三荷とか、花嫁の荷物を婚家へ運ぶ。



それから輿入れ、新婚旅行。里帰り、・・・・・・と随分面倒な手続きを踏みますが、そういうことがどうも私は嫌いでした。結婚するならもっと簡単な、自由形式でしたいものだと考えていました。



あの時分、もし私が結婚したいなら候補者は大勢あったことでしょう。田舎者ではありますけれども、体格は頑丈だし、品行は方正だし、そう言ってはオカシイが男前も普通であるし、会社の信用もあったのですから、誰でも喜んで世話をしてくれたでしょう。



が、実のところ、この「世話をされる」と言うことがイヤなのだから、仕方がありませんでした。

たといいかなる美人があっても一度や二度の見合いでもって、お互いの意気や性質が分かるはずはない。



「まあ、あれならば」とか、「ちょっときれいだ」とかいうくらいな、ほんの一時の心持ちで一生の伴侶を決めるなんて、そんな馬鹿なことが出来るものじゃない。



それから思えばナオミのような少女を家に引き取って、徐(おもむろ)にその成長を見届けてから、気に入ったらば妻にもらうという方法が一番いい。何も私は財産家の娘だの、教育のある偉い女が欲しいわけではないのですから、それで沢山なのでした。
                                                                         次回に続く。
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