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2021年01月06日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊 vol,3

(^_-)-☆アスカミチル
更新連絡でっせ〜〜〜

ラーメン食パンカップ日本茶寿司小顔マナーモードジュエリーダイヤ

★1/7(木)から

以下の更新スタイル。

●毎週日曜

【三国志演義】朗読  

1動画(約15分朗読)  

午後9時までにアプロード。

◆月火水木金土

【痴人の愛】本文掲載

1日1記事(約800字掲載)

午後9時までにアプロード。

以上の通りです。

ヨロシク光るハート



「痴人の愛」本文 角川文庫刊 vol,3



恐らくナオミ自身にしたって、あの頃はただ何事も霧中で過ごしたというだけでしょう。が、ハタから見た感じを言えば、どっちかと言うと、陰鬱な、無口な児のように思えました。顔色なども少し青みを帯びていて、譬えばこう、無色透明な板ガラスを何枚も重ねたような、深く沈んだ色合いをしていて、健康そうではありませんでした。



これは一つにはまだ奉公に来たてだったので、外の女給のようにお白粉もつけず、お客や朋輩にも馴染みが薄く、隅の方に小さくなって、黙ってチョコチョコ働いていたものだから、そんな風に見えたのでしょう。そして彼女が悧巧そうに感ぜられたのも、やっぱりそのせいだったかも知れません。





ここで私は、私自身の経歴を説明しておく必要がありますが、私は当時月給百五十圓を貰っている或る電気会社の技師でした。

私の生まれは栃木県の宇都宮在で、国の中学校を卒業すると東京へ来て蔵前の高等工業へはいり、そこを出てから間もなく技師になったのです。そして日曜を除く外は、毎日芝口の下宿屋から大井町の会社へ通っていました。



一人で下宿住まいをしていて、百五十圓の月給を貰っていたのですから、私の生活はかなり楽でした。

それに私は、総領息子ではありましたけれども、郷里の方の親やきょうだいへ仕送りをする義務はありませんでした。



というのは、実家は相当に大きく農業を営んでいて、もう父親は居ませんでしたが、年老いた母親と、忠実な叔父夫婦とが、万事を切り盛りしていてくれたので、私は全く自由な境涯にあったのです。

が、さればといって道楽をするのでもありませんでした。



まず模範的なサラリー・マン、質素で、真面目で、あんまり曲が無さすぎるほど凡庸で、何の不平も不満もなく日々の仕事を勤めている、当時の私は大方そんな風だったでしょう。

「河合譲治(かわいじょうじ)君」といえば、会社の中でも「君子」という評判があったくらいですから。

                             次回に続く。

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