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2021年01月31日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,35


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,35



日記の事で話しが横道へ外(そ)れましたが、とにかくそれに依って見ると、私と彼女とが切っても切れない関係になったのは、大森へ来てから第二年目の四月の二十六日なのです。



もっとも二人の間には言わず語らず「了解」が出来ていたのですから、極めて自然にどちらがどちらを誘惑するのでもなく、殆どこれと言う言葉一つ交わさないで、暗黙の裡にそういう結果になったのです。



それから彼女は私の耳に口をつけて、

「譲治さん、きっとあたしを捨てないでね」

と言いました。



「捨てるなんて、ーーーそんなことは決してないから安心おしよ。ナオミちゃんには僕の心がよく分かっているだろうが、・・・・・・」

「ええ、そりゃ分っているけれど、・・・・・・」



「じゃ、いつから分かっていた?」

「さあ、いつからだか、・・・・・・」



「僕がお前を引き取って世話をすると言った時に、ナオミちゃんは僕をどういう風に思った?−−−お前を立派な者にして、行く行くお前と結婚するつもりじゃないかと、そういう風に思わなかった?」

「そりゃ、そういうつもりなのかしらと思ったけれど、・・・・・・」



「じゃナオミちゃんも僕の奥さんになってもいい気で来てくれたんだね」

そして私は彼女の返事を待つまでもなく、力一杯彼女を強く抱きしめながらつづけました。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊



次回に続く。









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