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2021年01月31日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,37


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,37





と、ただそう言っただけでした。

で、おおっぴらの結婚はニ三年先の事にしても、籍だけは早くこちらへ入れて置きたいと思ったので、

千束町(せんぞくまち)の方にもすぐ掛け合いましたが、これはもともと呑気な母や兄たちですから、訳なく済んでしまいました。



呑気ではあるが、そう腹の黒い人達ではなかったと見えて、欲にからんだようなことは何一つ言いませんでした。

そうなってから、私とナオミとの親密さが急速度に展開したのは言うまでもありません。



まだ世間で知る者も無く、うわべはやはり友達のようにしていましたが、もう私たちは誰に憚(はばか)る所もない法律上の夫婦だったのです。



「ねえ、ナオミちゃん」

と、私は或る時彼女に言いました。



「僕とお前はこれから先も友達みたいに暮らそうじゃないか、いつまで立っても。ーーー」

「じゃいつまで立ってもあたしのことを『ナオミちゃん』と呼んでくれる?」



「そりゃそうさ、それとも『奥さん』と呼んであげようか?」

「いやだわ、あたしーーー」



「そうでなけりゃ『ナオミさん』にしょうか?」

「さんはいやだわ、やっぱりちゃんの方がいいわ、あたしがさんにして頂戴って言うまでは」



「そうすると僕も永久に『譲治さん』だね」

「そりゃそうだわ、外に呼び方はありゃしないもの」





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊




次回に続く。








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