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2021年01月20日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,16


「痴人の愛」本文 vol,16



ナオミは最初この家の「風景」を見ると、

「まあ、ハイカラだこと!あたしこういう家がいいわ」



と、大そう気に入った様子でした。

そして私も、彼女がそんなに喜んだのですぐ借りることに賛成したのです。



多分ナオミは、その子供らしい考えで、間取りの具合など実用的でなくっても、お伽噺の挿絵のような、一風変わった様式に好奇心を感じたのでしょう。確かにそれは呑気な青年と少女とが、なるたけ所帯じみない様に、遊びの心持ちで住まおうというにはいい家でした。



前の絵かきとモデル女もそういうつもりでここに暮らしていたのでしょうが、実際立った二人でいるなら、あのアトリエの一間だけでも、寝たり起きたり食ったりするには十分用が足りたのです。



                以上、「第二章」完







◆◆第三章◆◆



私がいよいよナオミを引き取って、その「お伽噺」の家へ移ったのは、五月下旬の事でしたろう。

入って見ると、思ったほどに不便でもなく、日当りのいい屋根裏の部屋からは海が眺められ、南を向いた前の空き地は花壇を作るのに都合が好く、家の近所を時々省線の電車が通るのが瑕(きず)でしたけれど、間にちょっとした田んぼが在るのでそれもそんなにやかましくはなく、先ずこれならば申し分のない住まいでした。



のみならず、何分そういう普通の人にハ不適当な家でしたから、思いのほかに家賃が安く、一般に物価が安いあの頃の事ではありましたが、敷金なしの月々二十圓というので、それも私には気に入りました。



「ナオミちゃん、これからお前は私の事を『河合さん』と呼ばないで、『譲治さん』とお呼び。そしてほんとに友達の様に暮らそうじゃないか」

と、引っ越した日に私は彼女に言い聞かせました。





引用書籍

谷崎潤一郎作「痴人の愛」

角川文庫刊



次回に続く。


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