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2021年01月19日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊 vol,14


「痴人の愛」本文 角川文庫刊 vol,14



もしもあの時分、うららかな五月の日曜日の朝などに、大森あたりの青葉の多い郊外の路を、肩を並べて歩いている会社員らしい一人の男と、桃割れに結ったみすぼらしい小娘の様子を、誰かが注意していたとしたら、まあどんな風に思えたでしょうか?



男の方は小娘を

「ナオミちゃん」

と呼び、



小娘の方は男を

「河合さん」

と呼びながら、



主従ともつかず、

兄妹ともつかず、



さればと云って夫婦とも友達ともつかぬ格好で、互いに少し遠慮しいしい語り合ったり、番地を訪ねたり、付近の景色を眺めたり、所々の生け垣や、邸の庭や、道端などに咲いている花の色香を振り返ったりして、晩春の長い一日を、あちらこちらと幸福そうに歩いていたこの二人は、定めし不思議な取り合わせだったに違いありません。



花の話で思い出すのは、彼女が大変西洋花を愛していて、私などにはよくわからないいろいろな花の名前、それも面倒な英語の名前をたくさん知っていたことでした。



カフェエに奉公していた時分に、花瓶の花を四十扱付けていたので自然に覚えたのだそうですが、通りすがりの門の中謎に、たまたま音質が在ったりすると、彼女は目ざとくも直ぐ立ち止まって、



「まあ綺麗な花!」

と、さも嬉しそうに叫んだものです。



「じゃ、ナオミちゃんは何の花が一番好きだね?」

と、尋ねてみた時、

「あたし、チューリップが一番好きよ」

と、彼女はそう言ったことがあります。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

中央公論社文庫刊



次回に続く。






















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