2015年06月24日
A 「運動の力」が足りない 介入研究の掟と地域保健実践とのジレンマ 第18回 日本運動疫学会 学術総会に参加しました。
テーマ :結集と創造 ―Active Living for All―
日 時 : 2015年6月20日(土)13:00〜19:30、21日(日)9:00〜15:30
場 所 : 中京大学 名古屋キャンパス 1号館
特別企画シンポジウム
: 東京オリンピック・パラリンピック・レガシーと身体活動・運動・スポーツの推進−学術はどう貢献できるか
座長:岡 浩一朗(早稲田大学)、井上 茂(東京医科大学)
基調講演:スポーツには世界と未来を変える力がある
布村幸彦(公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会副事務総長)
演者・演題 間野 義之(早稲田大学):オリンピック・パラリンピック・レガシーとは
Adrian Bauman(Sydney University):What is the evidence for physical activity promotion before and after Olympic/Paralympic Games – expectations for Tokyo 2020<Skype出演>
鎌田 真光(ハーバード大学、国立健康・栄養研究所):東京オリンピック・パラリンピックに向けて運動疫学の果たす役割
D 東京オリンピック・パラリンピックはメガイベントとしてスポーツの宣伝効果は認められるが、一般市民の身体活動の推進に寄与するには複数のセクターが共同して取り組む必要がある。
つまり、東京オリンピック・パラリンピックの開催が一般市民、特に運動習慣の無い方達の「運動を始めるきっかけ」にはならないので、地域保健・健康増進に関わる専門職が連携し、別に仕掛けをする必要があるということです。
基調講演
座長:田中 茂穂(国立健康・栄養研究所)
岡 浩一朗(早稲田大学):座位行動の科学
E長時間の座位活動が、肥満、体重増加、2型糖尿病、一部のがん、冠動脈疾患発症との関連がある。座位活動時間を減らし、立位・歩行時間を増やす工夫と仕掛けが求められている。
学術委員会企画 教育講演@
座長:澤田 亨(国立健康・栄養研究所)
中田 由夫(筑波大学):健康づくり介入研究の実施方法および留意点
F 健康づくり介入研究を行ううえで、もっとも簡単なのは、
単群試験(single-arm trialあるいはbefore-after study)ですが、
介入効果を示したことにはなりません。なぜならば、
評価項目の変化は必ずしも介入効果のみを反映したものではなく、
介入とは別の食事や季節変動、慣れや期待に応えようとする一時的頑張り等が
影響している可能性があるからです。
介入の有効性を検証するには、
対照群の設定が不可欠です。
しかしながら、介入しない対照群の設定には、
多くの手間と人と経費が必要になります。
地方自治体の地域保健事業は予算も人も減少傾向にあり、
対照群を設定した介入研究に取り組む余裕は中々ありません。
今回私が発表した実践研究は、単群試験(before-after study)です。
対象者も一教室20名未満です。
現実日本の多くの自治体での取り組みはそんなもんです。
ですから、単群試験に取り組みつつ、そのデータを累積し、
将来の比較対照試験を目指すのが現実的な保健事業だと思います。
関金モデルでは評価の基準を「行動変容の実行と継続」にフォーカスしました。
つまり、自主活動の総活動日数と延参加者数の増加を評価しました。
これら健康行動の量の増加が成果です。
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