新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2021年09月12日
「患者を助ける」医療の原点 「患者を選ばない」医師の誇り
2021/09/12
昨日リモートで
第 19回病院経営の質向上研究会 〜研究者と実践者の対話による〜
に参加しました。
テーマは「新型コロナウイルス感染症による 病院経営への影響と対策」です
開会の挨拶 14:00〜14:10 田川市病院事業管理者(元) 齋藤 貴生
講 演14:10〜16:50 座長:九州大学大学院医療経営・管理学講座教授 馬場園 明
「コロナ感染症と福岡県及び福岡県医師会」(14:10〜15:00)
演 者:福岡県コロナ調整本部長・福岡県医師会参与 上野 道雄
座長:日本赤十字社福岡赤十字病院名誉院長 寺坂 禮冶
福岡県でのコロナ対策の変遷について伺いました。
@福岡県民に安全な医療を提供する
Aコロナ医療と地域医療とのバランスを図る Bコロナ医療の手順を見直して効率的に医療資源を投入するCホテルを整備し、準医療施設として軽症、無症候患者を収容
◎ホテルを安全な準医療施設にする条件
医師(JMAT)と看護師が常駐して、酸素飽和度計を整備する ホテル入所基準を定め、ゾーニングで隔離体制を整える 地元住民の理解を得る。支援業務を県職員が担うホテルの入所者は軽症・無症候患者に限る
◎保健所とコロナ対応
保健所はコロナ患者の急増で過剰な負荷を受けた 保健所業務が滞り、在宅に患者が溢れた 宿泊病床への紹介は少なく、空室が目立った 患者のホテルへの搬送は大変な負担であった 保健所が公用車で陽性患者の搬送を行う?? 保健所は電話で患者の健康調査と疫学調査を行う 酸素飽和度を測定せずに、病状の判定はできない 保健所からの連絡を待つコロナ陽性患者が垣間見られた 保健所の使命はコロナ患者の速やかで適切なトリアージ
◎第5波の医療提供体制
・ 高齢者へのワクチン接種が進み、高齢者の感染、重症化 のリスクは緩和 ・ デルタ株は悪性度と感染力が強く、中高年以下への感染 拡大が危惧され、中等症患者への対応が迫られる。 病院病床と宿泊病床、病院病床間の機能分化と強化を図る 感染拡大期には軽症患者はホテル、中等症患者は病院が担う 機能分化の成否のカギは保健所のトリアージ 感染のステージに応じた搬送規準を病院、保健所、消防が共有する 各病院には感染の拡大期(短期間)、最大限の病床提供をお願いした 第4波の感染者数を越える可能性が憂慮される 病院と宿泊病床の機能分化に向けて
☆コロナ感染拡大に伴い、県医師会として県民と医療従事者その他関係者の命を守るために、日々体制の更新に取り組まれていることがよくわかりました。
「重症 COVID-19 患者管理と救急医療」(15:00〜15:50)
演 者:福岡大学医学部救急救命センター診療部長・教授 石倉 宏恭 休 憩 15:50〜16:00
座長:製鉄記念八幡病院理事長 土橋 卓也
コロナの感染症治療におけるとECMO(体外式膜型人工肺)の役割について伺いました
ECMOは可逆性重症呼吸不全に対して、早期に行うことにより予後を改善できる可能性があり、徹底した肺保護戦略である。
Awake ECMO 患者は覚醒させる! その為には快適さが最も重要
例・好きなアイスクリームが食べられる 病院の駐車場から花見をする
福岡大学病院ECMOセンターでの取り組み
先ずは人工呼吸と腹臥位療法で対応し、症状に応じてECMO使う
ECMO導入のための施設条件
@ 高い技術力 血管に管を挿入し、ポンプの設定管理を行う
A チーム医療 管理に優れた医師・看護師・臨床工学技士
B 患者の集約化 装置・部材・導入・管理できるスタッフは単施設では限りがある
結語 COVID-19は単なる呼吸器疾患ではない
多彩な合併症を発症する全身疾患です
災害として向き合いましょう
その為には、スタッフを養成し協力連携体制を作りましょう
「新型コロナが明らかにしたある急性期病院の経営の質」(16:00〜16:50)
演 者:福岡県済生会八幡総合病院院長 北村 昌之
ウイルスの特徴@ 1. 自分で移動できない。 2. 自己増殖できない。 3. 一部の例外を除いてnon permissible agentである A熱に弱い(遺伝子をたんぱく質が覆ている(カプシッ ド)ため)が乾燥に強い 大きさは細菌の100分の1と小さく、光学顕微鏡で は見えない。 臓器特異性あり。(Target Organ) 一次ウイルス血症(Primary Viremia)、二次ウイルス 血症 外套(Envelope)を持つウイルスはアルコールや界面 活性剤で死滅
COVID-19の臨床的特徴と厄介な事 無症状者が多い。 無症状でも感染源となる。 RNAウイルスで変異が多い。 ウイルス干渉
済生会八幡総合病院の理念
病院職員は、高い志を持ち「心温まる思いやり の病院」を実践する(基本方針) 4つの思いやり 病む人への思いやり 職場同僚への思いやり 地域の人への思いやり 地球・自然・命への思いやり
新型コロナウイルスへの対応 (誰が何に対応するべきか) • 感染症(疫学) ⇒ パンデミックの収束(伝染性・ 伝搬様式) • ウイルス学 ⇒ ワクチン、抗ウイルス薬 • 呼吸器疾患 • (治療)ARDS+(血栓症) ⇒ 人工呼吸・ECMO
第5波
1. 患者の平均年齢は圧倒的に若くなり、入院期間は短縮さ れ、退院時は歩いて帰る患者が増加。 2. 当院では、ほとんどの患者の受け入れを断わらず、夜間、早朝、土曜日、日・祭日の、状態が悪化した患者も受け入れている。
☆コロナに対する方針
「患者を助ける」医療の原点 「患者を選ばない」医師の誇り
ポスト・コロナへの提言
〜task shifting〜 医療に求められる安全性、より質の高い医療へ要求を満 たすためには、従来の職種間業務の分担では、非効率的 である。 規制改革により、より柔軟性のある働き方改革を目指す ことは、目指すべき正しい方向であると考える。 チーム医療の重要性
対話形式の討議 16:50〜17:30 司会:九州大学大学院医療経営・管理学講座教授 馬場園 明 田川市病院事業管理者(元) 齋藤 貴生 対話参加者 講演者、座長 当日出席者
◎討議では、コロナ対応のみならず、地域の医療関係者の協議を通じて病床の機能分化と連携を進め、効率的な医療提供体制を実現する取組み「福岡県地域医療構想」の具体的取組を推し進めるべきだという意見が多くみられました。
閉会の挨拶 17:30〜17:40 医療法人豊資会理事長 加野 資典