2016年09月18日
今、話題の土壌汚染 | 仙台市内の土壌汚染対策法に基づく要措置区域のご紹介
1.はじめに
現在、東京都の豊洲新市場予定地では土壌汚染対策でゴタゴタになっています。もともとこの土地は東京ガスの工場敷地です。石炭から都市ガスを製造する過程において生成された副産物などによるもので、7つの物質(ベンゼン、シアン化合物、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウム)によって、土壌及び地下水が汚染されています。
元々のいわく付きの土地だったので、土壌が汚染されているのは仕方ないですね。ただし、土壌汚染対策をしっかり行えば問題ないと思います。今回は、この話題の土壌汚染について、自分が住んでいる仙台市内にどの程度存在するのかを調べてみました。
※中国の土壌汚染の状態です。本稿とは無関係です。
2.土壌汚染対策法に基づく区域の指定
少し真面目な話しになりますが、土壌汚染対策法とその法律に基づく区域の指定について簡単に解説します。
土壌汚染対策法(以下、土対法という。)はかなり新しい法律です。土壌汚染対策法の施行は平成15年2月です。土対法に基づく土壌汚染の調査は、以下の場合に該当する場合に調査を行います。
@有害物質使用特定施設の使用を廃止するとき(法第3条)
A一定規模(3,000m2)以上の土地の形質変更の届出の際に、土壌汚染のおそれがあると都道府県知事等が認めるとき(法第4条)
B土壌汚染により健康被害を生ずるおそれがあると都道府県知事等が認めるとき(法第5条)
区域の指定については、上記の調査結果で基準を超えていた場合、都道府県知事等はその土地を健康被害のおそれの有無に応じて、「要措置区域」又は「形質変更時要届出区域」に指定します。
要するに、平成15年2月以降で上記の@〜Bの場合が当てはまる土地のみが調査対象です。都道府県等のサイトに公表されている情報は、原則平成15年以前の土地は含まれていないと考えて下さい。
「要措置区域」又は「形質変更時要届出区域」の分け方は、「土壌溶出基準有害物質」があり、「健康被害のおそれがあるか、ないか」で区分されます。「ある場合」は「要措置区域(法第6条) 」に指定、「ない場合」は「形質変更時要届出区域(法第11条) 」に指定されます。
「健康被害のおそれがあるか、ないか」の考え方は、「周辺の土地において地下水の飲用等があるかどうか」、「人が立ち入ることができる土地かどうか」で「ある」、「なし」を検討します。
「要措置区域(法第6条)」に指定されると、「汚染の除去等の措置を都道府県知事等が指示(法第7条)、土地の形質変更の原則禁止(法第9条)」の規制がかかります。
3.仙台市内の土対法に基づく要措置区域
では、仙台市内の土対法に基づく「要措置区域」がどこにあるかをご紹介します。
仙台市のサイトで公表されている場所です。仙台市のサイトの情報をもとに、具体的な場所について、以下に掲載します。なお、以下の場所は、土壌は汚染されていますが、法律に基づいてきちんと管理されている場所です。「要措置区域」=「危険な場所」ではないことをご理解ください。
(1)あすと長町地区(仙台市立病院敷地)
この場所は、超有名な土壌汚染の場所です。基準を超過した特定有害物質の種類は「砒素及びその化合物」です。元々東北電力の子会社の電線を作る工場があった場所です。
(2)若林区若林二丁目
若林区若林二丁目のヨークベニマル等が複合店舗がある場所です。基準を超過した特定有害物質の種類は「砒素及びその化合物、ふっ素及びその化合物」です。
(3)青葉区あけぼの町101番6並びに葉山町501番4他
青葉区の北仙台駅の裏側の土地です。下の航空写真のとおり、敷地は空地となっています。基準を超過した特定有害物質の種類は「四塩化炭素、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ベンゼン、ふっ素及びその化合物」です。
(4)宮城野区榴岡一丁目11番6の一部
JR仙台駅の東口開発の敷地です。基準を超過した特定有害物質の種類は「鉛及びその化合物」です。
(5)青葉区支倉町147番19及び147番20の全部並びに147番1及び147番24の各一部
青葉区支倉町の敷地です。基準を超過した特定有害物質の種類は「テトラクロロエチレン」です。テトラクロロエチレンはクリーニング屋さんから良く出ます。
4.土対法に基づく要措置区域
この法律に基づいて、公表されている土地は土壌汚染対策をきちんと講じている場所です(多くの場所はふ)。土壌汚染対策は非常にお金がかかりますので、公表されているところは相当まともな場所であると考えるべきです。
皆さんが納得できないと思うことは、「要措置区域」に指定されても、「敷地の土を全て入れ替える等の抜本的な土壌汚染を講じていない」からだと考えます。多くの区域は、「立入禁止措置」や「封じ込め措置」に留まっています。
問題なのは、地形の改変(地面をほじくり返す等の行為)を行っていながら、届け出を行っていない場所です。仙台市内だけでも相当な数があると考えた方が良いです。
5.自然由来の重金属汚染について
土壌汚染で問題となる物質は、重金属等は比重が5.0以上、あるいは4.0以上の金属です。特に砒素は自然界に普通に存在するもので、世界中に存在し、人の体内にも微量に存在する物質です。そのため、自然由来の汚染については、土対法の対象外とされていました。
しかし、健康被害防止の観点から、自然的原因により有害物質が含まれる土壌とそれ以外の汚染土壌とを区別する理由がないため、2010年4月に土対法が改正され、自然由来の土壌汚染も法の対象になりました。形質変更時要届出区域のうち自然的条件からみて基準に適合しない土地は、自然由来特例区域となります。場合によっては、汚染物質の拡散防止対策が必要です。
道路工事や造成工事等で山を切ったり、トンネルを作ったりすると、自然由来の重金属が出ることが良くあります。特徴として、石炭(亜炭含む)、天然ガスが良く採れる場所や金、銀、銅、鉛等の鉱山跡地では重金属の汚染がひどいです。
6.土壌が汚染されているかを確認する方法
自分の土地、もしくはこれから購入しようとする土地の土壌が汚染されているか否かを確認する方法は、その土地の面積が広い場合は、都道府県等の自治体のサイトもしくは公報で確認できます。
それ以外の方法としては、国土地理院の古い地形図を確認して、その土地が元々どのような用途に使われていた土地であったかを確認する方法が良いです。工場、鉱山、病院、大学のマークがあったり、旧国鉄の跡地、旧日本軍・自衛隊や在日米軍の兵器工場、基地の場合は土壌汚染があると考えた方が良いです。特に旧日本軍の兵器工場跡地は土壌汚染の見本市のような状況です。
茨城県神栖市の飲用井戸で高濃度砒素によって砒素中毒を起こした事件は旧日本軍の施設の砒素ではないかと言われていましたが、環境省は「国内における毒ガス弾等に関する総合調査検討会」を開催し、神栖市で地下水が有機砒素で汚染された問題で、汚染の原因は旧日本軍の毒ガス兵器ではないという調査報告を発表しました。
また、土対法の対象外ですが、ガソリンスタンドの跡地も油で地下が汚染されています。
7.土対法以外の土壌汚染に関連する法律
土壌汚染に関連する法律として、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、「下水道法」、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)」、「宅地建物取引業法(その土地がどのような土地であったか説明義務がある)」、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(対象物質はカドミウム、砒素、銅とそれらの化合物、特に日本はカドミウムの規制が諸外国と比べて緩いです。カドミウムを多く体内に入れるとイタイイタイ病になります。銅は足尾銅山の足尾鉱毒事件がきっかけです。」、「ダイオキシン類対策特別措置法」、「水質汚濁防止法(地下水の汚染の防止)」、「土砂条例」があります。
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