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b.じゃあ次は日本史という事で、吉岡先生お願いします、
a.「コラ、ちゃんと前向け、かまくらばくふのしぇいりつ(鎌倉幕府の成立)」、先生どうされてるかなあ今ごろ、まったく勉強しなかったな高校時代、書見台に立てかけた教科書を目隠しに、好きな文庫本を熱心に読みふけっていた若き青春の日々・・・
b.で、なぜか、いきなり全部すっ飛ばして最終楽章、いいんすかそんな乱暴なことして、高尚なクラシック音楽の世界で、
a.それでいいのだ、ワシはこの最終楽章が一番気に入っているのだ、だから前半の3楽章は後回しなのだ、
b.ではバカボンパパ、メンデルスゾーン作曲、交響曲第3番「スコットランド」の第4楽章をよろしくお願いします、
a.クレンペラー盤だと12分かかる第4楽章、8分と4分でハッキリふたつ、違った味が楽しめるのだ、
b.というと、
a.最初の8分(30分4秒〜38分27秒)は旅先の印象。嵐のエディンバラ城や廃墟の城跡ごしに心細く眺める北の海。旅先の不安や感動・・・
じっさい心細いなあ
b.ラスト4分は?
a.8分27秒から最後のフィナーレ、突然、まったく別の曲みたいに気分が晴れ晴れして盛り上がりだす、
b.こう言っちゃなんだけど、いつまでも陰気なスコットランドには長居できねえ、花王のバブ入れたお家のお風呂が恋しいよう、ってことすか、
a.19世紀ドイツの風呂事情はよく分からんが、人生初の海外旅行、懐かしい我が家へ帰れる嬉しさにあふれてるようだ、
b.じゃあドーバー海峡渡りながら、この曲流れたかもしれませんね、心の中で、
a.ところで、スコットランドから帰って、すぐ作曲に取りかかる弱冠ハタチの若者メンデルスゾーン、長い中断ののち完成は13年後か、そりゃ、どっかつながり悪くなるわな、
b.で、つながり悪くいきなり始まる、晴れがましいフィナーレですが、
a.40分26秒と30秒の二回、クレンペラーの踏んばる声が入ってる、ホルンが高らかに吠えるとこ、ほらそこじゃ、聞こえるじゃろ、
b.そうかなあ、そう言われたらそうも聞こえるけど、ま、どうでも良いじゃないすか、
a.いや、ここにクレンペラーマジックが隠されておる、例によってさり気なく地味にやってるけど、ホルンがしっかり全体を押しとどめて立ち上がる、というか、同じ箇所は少し手前、40分10秒と14秒にも登場するんだが、
a.どういうことです?
a.ふつうスローテンポだと全体がドターと重くべたついて地面を這うようになるんだ、「千と千尋」に出てくるドロドロに汚れた川の神様みたいに、
b.それがクレンペラーの手にかかると、
a.このホルンの雄叫びが遅く重い流れをしっかり区切って高さを出すというか、節目をつけるというか、重厚でいて透明というか、クスリ湯でスッキリして砂金のこして飛び去っていくというか、
b.「よきかな〜」
a.ホルンを中心に音響全体がしっかり区切れるというか、説明しづらいわ、
b.まあ、そんなとこらしいです、あとは各自で感じ取っていただければと、
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超お買い得なCD10枚組のCD2に収録のスコットランドシンフォニー。メンデルスゾーンていうとバイオリン協奏曲なんかで甘ったるいイメージがあるけれど、クレンペラーが鳴らすメンデルスゾーンにはそんなイメージのかけらもない。これはドボルザークの「新世界」(CD8)やチャイコフスキーの「悲愴」(CD9)にも言えるけど、ベタな通俗的名曲に対して、本気で真正面から立ち向かう巨匠の演奏からは、初めて聴くような新鮮な驚きと感動が伝わってくる!