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菌類
ロボットアニメ歴は20年くらい、ただし休止期間長が長く初心者以上上級者以下。
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2020年04月07日

リアルロボットのリアリティって何よ、ロボットアニメのリアリティの限界について考える

タイトルの通りになります、リアルロボットのリアルってなんなのという話と、リアルロボットというジャンルがそのリアリティの追求によって限界が来てしまったという私の仮説です。

元々別のジャンルに対する考察をロボットアニメに流用したものなので、大半のジャンルに適応可能…だと思います。

要はリアリティなんて所詮主観的なもの、経験的なものだから個人差が有るしそれ以上に世代差が有る、性差もある、更に主観的、経験的であるが故に理論とズレが生じる、なのでどこかで破綻する、という話。

リアルは学問(知識)から、リアリティは経験から

リアリティというのは見ている側がリアルだと感じる事、リアルとは少し違います。要はリアルっぽければリアリティがあるということ。
おなじみ大河原氏が、ザクの動力パイプは弱点が露出しているのでリアルではないが、人は自分が見慣れているものを見るとリアリティを感じる的なことを著書で言っていました。まさに私が言いたかったことです、経験と理論は往々にして矛盾します、主観的に感じている事と理論的に正しいことは往々にして矛盾します、だから迷信みたいなものが産まれるんです、視聴者が人間である以上これは避けられないこと。

リアリティというのは例えば「こんな事があった」「こんな人居た」みたいに経験が絡んできます。
例えばアニメの宇宙描写、音は有るわ破片が飛び散るのに艦隊の密度は高すぎるわスペースシャトルですら2万8000kmで飛んでるのに遅すぎるわといろいろ問題だらけ。
でも視聴者は全員宇宙に行ったことがないので嘘だと知識がない限り判断できない、経験では嘘だってわからない、こういった理論的に間違ってるが視聴者がリアリティがないと感じられない現象が発生します。

リアリティと問題意識…問題意識から産まれるリアリティ

リアリティは経験とは別に、問題意識からも生まれると私は考えます。興味関心と言い換えてもいいですが、知識から来るリアルと経験から来るリアリティの中間的な性質がこれ。なんとなく注目している、なんとなく接している情報はなんとなく気になります、なんとなく考えます。
自分が問題だと感じていることをある作品が取り入れて、理論的に間違っていても、それについて何か語っていればそれはリアリティが有るのである、知識は乏しいが問題意識の有る分野というのは、時期によって変わる、そしてそう言ったものは様々な形を取って一種の流行を作りやすい。
逆に自分が問題だと感じていない、無関心なことを徹底的にリアルに描写しても、リアルと感じるフックがないので自分の中を素通りします。

そして問題意識は多種多様、なのでリアリティの有るテーマというのは受けが悪い、しかも問題意識は一面敵になりがちで、現実の現象には複数の問題が絡み合っている、なので創作物で何かしら問題をテーマに取り上げる限り、尺が長くなるほどボロが出る、つまり一面でリアリティがありながら別の面でリアリティが無くなってくる。
わかりやすいのが環境問題でしょうか、公害病が問題だった時期は「地球が汚れきって世界中が公害病みたいな状態になった未来の地球」的なSF描写にリアリティがありました、所が公害病から別の環境問題に入れ替わると、汚染された地球と言うイメージは遠ざかります。

経験から来るリアリティの限界

経験というのは一人一人違います、また世代ごとに違いますし、層によって違います。なので、リアリティは共有されないんです。その人物の生きた時代、経験、共有される常識、それらの複合としてリアリティは個人個人の間に産まれます。
だからリアルロボット全盛期は視聴者層が単一よりだったために、比較的リアリティを視聴者が共有していたためにまだなんとかなった。
しかし90年代に入ると昔からの層と現在のリアリティに矛盾が生じるんですよ、だからリアリティの共有が出来なくなる。
私の経験上20歳の年齢差が有るとリアリティは共有できないなって考えます、仕事に対する考えでも技術に対する考えでも。
世代ごとの経験ってバラバラです、受験勉強、氷河期、校内暴力、過去に色々あったみたいですが、学生の段階でもうあり方がバラバラ。

リアルロボットを支えた2つのリアリティ

第二次世界大戦&冷戦です。ついでに技術革新とか経済成長とか色々。

リアルロボットの時代は、80年代前半くらいとされています、ちょうどおしんが流行った時代、この時代はまだ戦中世代がたくさん残っており、それが戦中〜戦後の混乱を描いたおしんがヒットした原因、おしんにリアリティがあった時代…と聞いたことがあります(事実は知らない)。
また冷戦の途中であり、2大勢力がいつ戦争を始めるかと言うこと、また2つの思想の対立などがリアリティがあった時代。
更にSFであれば、まだ冷戦の一環出会った宇宙開発競争の残り香があった時期なので、SF的な物に対する需要が今よりもあった頃。
所謂この時代のリアルロボットとされる作品は何かしら、第二次世界大戦〜冷戦、若しくはSF無いし宇宙的な要素が散見されます。
ボトムズなんかはモロですね、ギルガメス、バララントの関係から100年戦争、更にクメンのベトナム戦争感など。

要はリアルロボットのリアルというのは、当時のリアルの反映、なので少なくとも冷戦が終わった段階で、リアルのあり方は大幅に変化してしまっていた。
とは言え冷戦というのはすべての日本人が何かしらの形で知っているテーマであり、意見が違えども認識はしていたテーマだった、だからこそリアルロボットはあり得たのではないでしょうか、それ以降になると、視聴者すべてがそのテーマを共有するのが難しくなっと考えます。
90年代になるとリアルロボットは80年代の形式を守るか、現在のリアルを追い求めるかその中間かで別れていったように感じます、そして空中分解。

戦争の記憶と冷戦が、リアルロボットのリアリティを支えていたので、記憶が薄まり冷戦が終わったら、リアルロボットのリアリティが迷子になってしまったということ。


共有される常識とリアリティ

これはリアリティとは別の問題も孕んでます、例えば西洋の作品は「みんな聖書くらいは読んでる」ことを前提に作られています、これが〜がなぜ日本で売れないかの原因の一つになっていると私は考えます。
これは宗教単位での話ですが、先に書いた問題も含めて、その集団だけで共有されている常識というものは多々あります、そしてその常識もリアリティの原因になります、その常識を持っている集団ならその時にその行動をするということが、別の集団ではありえないなんてのは多々あります、それらもリアリティに直結します。ありえない、ありえるは個人差どころか集団差が大きい、そして人は他人にはなれないのでそれがわからない、だから会話も成立しない。


知識から来るリアルの限界

私の場合歴史が専門です(一応)、なのでまあ歴史は一般人よりは知識が有ると思いますよ。歴史を学ぶと歴史に関係する分野にも首を突っ込む事になります。なのでその範囲の知識はありますが、その範囲外になるとわかりません。
要は人は一面的なリアルしか理解できないんですよ、作る側も消費する側も、だから限界が発生する、100%そういった問題を拾い切るのは難しい、特に社会的なテーマが有れば有るほど、現代における2人の関係までならなんとかなるものの、架空世界における多人数の関係になるとまず無理。
先に書いた認識、意識の差異に経験の差異に知識の差異が加わった結果、リアリティを感じる範囲というのが人によっててんでばらばらになるんですよ。

大抵の人は知識の量、つまり頭がいいか悪いかで考えたがります、私は知識の体系の差が大きいと言う考え、これは私が歴史分野で、この分野は素人とそうでない人間、専門的に学んだ人間とそうでない人間でかなり差が有るんですよ、一見楽なテーマだから舐められるんですが。範囲が広すぎるんです、だから専門外の範囲も広い。思想史とか哲学ですし、そんなものです。

私は常日頃から言っているのですが、他人がなぜ理解できないか理解できない時は、自分が理解できないものについて考えなさいって。


リアルは手段か目的か

これは、リアルを追求することがあくまで作品を盛り上げるスパイスなのか、それそのものが目的なのかという事。大体初期はスパイスです、所が時代が下ってくると別れてきます、あくまで作品を楽しませるため、作品ほホントっぽく見せるためのハッタリアルか、本物そのものにするためのリアルか、後者は先に書いたように、その経験や知識体系が有る人間以外には嘘か本当かわからないんです、だから世間にそれが共有されてないと意味が無くなってくる、だからよくわからないことになる。

形式主義と思想主義

要はそのジャンルを成り立たせるのに、そのジャンルの形式を取っていればそのジャンルか、そのジャンルの思想を取っていればそのジャンルかという話。
要は「リアルロボットとされる記号を全力でぶち込んだけどリアル、リアリティにはこだわってない作品」と「リアル、リアリティにこだわっても形式にはこだわらない作品」が出てきてしまう、これはありとあらゆるジャンルに言える事で、多くのジャンルが形式と思想の対立の前にあえなく崩れていった。形式主義に陥るとその形式以外認められなくなるし、思想主義に陥るとジャンルの範囲や定義がぐちゃぐちゃになる。


リアリティが無い→リアリティが有る、嘘をリアルに描く事の限界

よく言われるのが無能描写や混乱描写、現実にはもっと秩序だって行動するはず→実際に似たような事が起こったらヤバイくらい大混乱した、みたいな事。

結論・客が同質の集団だからこそ可能なリアリティの追求

要は客が同世代同年齢、同一の経験が有る、同一の家庭環境、同一の学歴で知識体系の中に生きている、同一の性別、同一の民族、同一の宗教、同一の文化、同一の技術…と同一性が高ければ高いほど、リアリティの範囲も固定化させやすいので、リアリティの追求がやりやすい、皆似たようなことを考えているから、リアリティが有ると感じられる範囲も特定しやすい。所が客がバラけ始めると問題が生じる、客によって意識の差が大きいために(こんなに俺と地球人で意識の差があるとは思わなかった…!byアトリーム星人)有る客にとってはリアリティを感じても、別の客はリアリティがないと憤慨する。

リアルロボットで最初にその問題が目に見える形で発生したのは案外ガンダムSF論争なんじゃないでしょうかね、ただあの時は批判者側が外部の人間だったからあまり問題がなかった。客ではない外部の人間に批判されてもそれが規制レベルにまで発展しない限りあまり問題ないんですよ、創作物って。内部批判が怖いんです、コミュニティ崩壊に繋がりますから、シリーズ物が長くなると発生します。

これってロボットアニメの話じゃないですねもう。

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