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2023年04月20日

私だけの特捜最前線→80「特命ヘリ緊急発進! 〜これぞ本格派刑事ドラマという緊迫のストーリー」

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※このコラムはネタバレがあります。

特捜最前線は社会派ドラマとか、人情派ドラマとか言われがちですが、今回紹介する「特命ヘリ緊急発進!」は、ラストまで手に汗握る本格派の刑事ドラマというストーリーを見せてくれます。

この回の主役は神代課長(二谷英明)ですが、カンコを含む特命課全員に見せ場があり、スリリングかつサスペンスあふれる展開は、長坂秀佳脚本の中でも屈指のドラマと言っていいでしょう。

証言者抹殺を狙う暗殺者VS特命課

空港で不審な外国人を見つけ、とっさに尾行を開始した神代。その外国人はグリーンベレー(アメリカ陸軍特殊部隊群)に所属していたことがある暗殺者だとわかり、特命課全員が一気に緊迫感に包まれます。

外国人はレンタカーで都内のあちこちを移動しますが、神代は漏らさず追っていきます。ライフルを入手した謝礼を包んだ英字新聞と、彼の行動範囲から、特命課は狙われている人物を探り当てます。

その人物はアメリカの政府高官がからむ汚職事件の証言をするため、裁判所に出廷する予定になっていました。陸路では狙撃の危険があるとして、神代は特命ヘリを緊急出動させるのです。

外国人は、デートクラブの女を通して愛人に催涙ガス入りのライターを渡し、愛人はヘリを操縦する紅林刑事(横光克彦)のライターとすり替えます。操縦中にライターを使えば・・・これが真の狙いでした。

紅林に無線で危険を知らせようとする神代。しかし、共犯者が妨害電波を発信させて無線が使えません。証言者が葉巻をくわえ、紅林に火を求めます。すり替えられたライターとは知らない紅林は・・・

結局、危機一髪のところで紅林に危険を知らせることができ、紅林は無事に任務を遂行。神代らは外国人と共犯者を逮捕して一件落着。紅林が戻ってきたところでドラマは終わります。

息つく間もない長坂脚本

この作品というか長坂脚本のスゴさは、冒頭で神代が外国人を目撃してから、ラスト直前の共犯者を逮捕するまで、息つく間もなくストーリーが展開されるところにあります。

まずは、この外国人が何者かを探ることから始まり、次に何が目的で日本にやって来たかを探り、要人暗殺と分かればターゲットとなる人物を探る。そして、共犯者の行方を追う特命課。

外国人は非常に用心深く、簡単にはボロを出しません。限られた時間のなかで推理を重ね、先を読み、部下に指示を出す神代は、まさに「カミソリ」の異名そのままの鋭さを見せつけてくれます。

神代が外国人を逮捕した際、外国人が「グッバイ、カミシロ」と自分の名を口走ったことに疑問を抱き、そこからライターのトリックを見破るまでの流れるような展開は見事の一言に尽きます。

ゲスト出演者との絡みもほとんどないため、メンバーは余計な感情を抱くことなく、忠実かつ徹底して任務にあたります。社会派もしくは人情派の特捜最前線の中では異色の作品ということも言えるでしょう。

ラストで、ヘリから降りてきた紅林が「ライターを持つのが怖くなりましたよ」と苦笑し、応じた神代が「私もタバコは吸わん。当分はな」と笑顔を見せるシーンで、ようやく一息ついたという感じでした。


これだけの本格的な刑事ドラマにあって、特捜最前線らしさが現れたのがクライマックスシーン。拳銃を持った共犯者が廃墟の工場に逃げ込み、神代ら特命課の面々が追い詰めていくところです。

特命課は一発も発砲せず、最後は神代が相手の背後に回って無傷で逮捕にこぎつけました。他の刑事ドラマの演出であれば、おそらく派手な銃撃戦が展開されていたところでしょう。

どちらが見ごたえがあるのか・・・それは好みの問題ということですね(笑)

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マイケルオズ@フリーランスライター
「特捜最前線」がマイブームになっているオヤジです。リアルタイムの頃は津上刑事より若かったのに、今はおやっさんよりも年長者になりました(苦笑)
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