神奈川県が発表したニセ建築士の問題。
55棟が建築士の設計と偽って確認申請がなされていたというものだ。
で、何が問題かということがあまり報道されていないのだが、神奈川県の発表をみると、「審査が省略された項目の法適合状況について確認を求める」という表現がある。
審査の省略?
なんのこと?
この意味するところは、確認申請はそれぞれ受理されていて適法とされているということだ。
だが、建築士が設計したということをもって、この確認申請での審査が一部省略されるという仕組みがあるのだ。
これは、いわゆる「4号建築物の確認の特例」と言われるもの。
その項目は以下の通りである。
http://jeri.asaren.jp/data/erihp/03_kakunin/k_01/k01-08.pdf?ver=1606
防火・準防火区域以外ではかなりの省略が行われるということになることが分かる。
これが、建築士が設計した、ということにより、建築基準法に適法に設計されたものに決まっているということで、審査が省略されるというもの。
建築士でない者にはこの特例は当然ながら適用されない。
審査する側が楽なのだ。
では、このような特例があるのとないのでは確認申請の手数料は変わるのか?というと、必ずしもそうではないようだ。
なかには6千円ほど(延べ床面積100u以下の建物)の差を設けている確認審査機関などもあるようだ。ただ、あくまで6千円程度の話。
参考)長野県の例(特例の有無という部分に注目)
https://www.pref.nagano.lg.jp/kenchiku/infra/kensetsu/kakunin/documents/300401tesuryohayamihyo.pdf
実際に個人向けの木造住宅であれば、建物の資産に関わる大部分を省略できてしまうというもの。
建築士でない人間が設計して、そんな手抜き審査で大丈夫?と思ってしまう。
だが、今のところ、法適合で問題のあった物件はでてきていない。
木造住宅程度であれば問題があまりないのだろう。
それにしても、人の名前を勝手に借りて確認申請をして建物を建ててしまうという荒業。
こうした詐欺が至る所で起こっていないと信じたいものだ。
詐欺なので、こういうことは許しがたい。
ただ、一応、審査が省略されているとはいえ、確認申請は受理されて審査OKとされているので、法律に適合していない建物である可能性は低いのではないかと思われる。
今後、55件のうちすでに3件では法に適合していて問題ないことが確認されているので、残りの52件についても同様になるのではないか?
そういう意味では、実際上はあまり問題がでることはないのではないか?
参考)Yahoo!より、
建築士詐称、知事「許し難い行為」 直接確認徹底の意向
5/9(水) 12:00配信 カナロコ by 神奈川新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180509-00025721-kana-l14
記事より、
・建築士の資格がない男性が実在する建築士をかたって住宅の設計を請け負っていた問題で、黒岩祐治知事は8日の定例会見で「建築確認や検査制度をないがしろにし、県民に多大な不安を与える許し難い行為だ」と非難。今後は自治体や民間の検査機関が建築事務所に直接連絡し、本人確認を徹底する意向
・県は2012年に1級建築士の免許証を偽造したなりすましが全国で相次いで発覚した問題を受け、建築士免許証のネット公開のほか、建築主に対し建築士と契約する際に免許証の原本で本人確認するよう周知してきた
・7日に表面化した問題は、建築士の資格がない脇坂佳幸氏(51)が県内で実在する2級建築士と建築事務所をかたり、横浜や茅ケ崎市を中心に計55件の一戸建て住宅などの設計や建築確認申請をしていた
タグ:ニセ建築士
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