分かりやすい高校数学:確率(5)確率の合成
前回 ⇒ 確率(4)数え上げの条件
さて,5回目ー!!結構やってきましたね.予定では確率を全十回でやるつもりなので,半分到達ってことですね.今回は,確率の合成についてです.いくつかの事象を組み合わせた時の確率は?ってのを考えます.
これを考えるとき,何と何を組み合わせるのかによって計算の仕方がちがいます.大別すると以下の二つです.
@同じ試行結果の中の事象同士を組み合わせる
A別の試行結果の事象を組み合わせる
@は,例えば一つのサイコロを振ったときに,「1が出る」,「2が出る」という二つの事象を組み合わせた確率は?というものです.これは,これまでの話の中でもやってきてますね.
これに対しAは,例えば「サイコロを二回振った時に,一回目の試行の結果は「1が出る」事象となり,二回目の試行は「2が出る」事象となる確率は?というものです.これは@とは違うことに注意してください.@もAも,「1が出る」「2が出る」という二つの事象を組み合わせていますが,それぞれを発生させた「試行」が異なっています.発生元となっている「試行」が同じなのか,違うのかで計算が違うんですね.
さてさて,ではそれぞれの計算方法を考えてみましょう.まずは@からですね.
といっても,@はすでにやってきてしまっている感じです.目的の事象である「1か2が出る事象」は,「1が出る」事象と「2が出る」事象を組み合わせたもの(足し合わせたもの)と考えて,目的の事象の数 ÷ 発生しうる事象の数 の計算をすれば良いわけです.よって(1+1)/6 = 2/6 = 1/3ですね!
さてここでちょっと視点を変えて,それぞれの事象の確率だけがわかっている時はどうすればいいかを考えてみましょう.仮に,「1が出る」事象の確率は1/6,「2が出る」事象の確率は1/6だとします.さて,その時の「1か2が出る」事象の確率は?
答えは1/6 + 1/6 = 2/6 = 1/3 となります!これは感覚的にも分かりやすいかなと.先ほど事象で計算したときも二つを足していたわけですから,確率も足しちゃえば良いんです!
同じ試行の事象を合成したいなら,確率を足し合わせるんや!!
なぜか関西弁になりましたが気にしないでくださーい.これで@の場合についてはバッチリですね!
さーて,今回もっとも重要なところである,Aにいってみよー.とりあえず,「2回サイコロ振って,それぞれのサイコロにおいて「1が出る」「2が出る」が組み合わせで起こる確率」を考えてみます.
単純に二つのサイコロの組み合わせを考えてみると,図のようになります.一つ目のサイコロの目に対し,二つ目のサイコロの目が6種類あるから,全部で6×6=36種類の可能性があることが分かります.そして,その中で「1が出る」「2が出る」という事象が組み合わされて起こるのは,2通りです.よって,2 ÷ 36 = 1/18 と言っていいのでしょうか???
ここで重要なことは,数え上げた全36個の事象が,数え上げの条件を満たしているかどうかが問題になります.つまり,下の図のように,綺麗に36個の領域が等しく分割されているならば,数え上げによる確率の計算ができる!ということです.
この条件を満たすためには,以下の二つの条件が満たされていれば大丈夫です.
1) 合成する二つの試行が持つ事象が,数え上げの条件を満たしている.
2) 合成する二つの試行が独立である.
1)の条件は,直感的に分かりやすいですよね.二つの試行を組み合わせた時に条件を満たしたいなら,一つ一つの試行が条件満たせてれば良いじゃない!!!ってことです.物を作ることに例えて言えば,二つの物を組み合わせて綺麗な物を作りたいなら,もともと綺麗な二つを組み合わせれば良いよね!って感じです.こらそこ,逆に分かりにくいってゆーな(笑)
でもここで一つの疑問が浮かぶ人もいるのではないでしょうか?もしこれを,人間の共同作業に例えた場合に,優秀な人と優秀な人が一緒に頑張っても,二人の仲が悪かったら優秀な結果にならないかもしれないじゃん!!!!
何で人間に例えるんだ,って声もあるかと思いますが,実際にこの問題は確率で起こりえるんですね.もちろん,確率の仲が悪いわけではありませんが,お互いがお互いの条件を邪魔してしまうことがあるんです.その邪魔が起こっていないよってことを確認するのが,2) 合成する二つの試行が独立である.の条件なんですね.
じゃあ,独立であるってどういうことなのでしょうか?実は,試行の中には,ほかの試行の結果に影響されて,確率が変わってしまうものがあるんです.そんなものあるのか?って思うかも知れませんが,自然の中では頻繁に存在します.
たとえば,ある地域の明日の最高気温と明後日の最高気温です.明後日の気温は,明日の気温に影響されます.明日の最高気温が30℃だったときに,明後日の最高気温が-5℃にことはまずないですよね.でも,明日の最高気温が0℃だったら,明後日の最高気温は-5℃でもおかしくはないです.この場合,(30℃・-5℃)という組み合わせは出にくく,(0℃・-5℃)という組み合わせは出やすいことになります.このように,組み合わせ方によって出やすさ,つまり確率が変わってきてしまっているわけです.これは,数え上げにおいてとても邪魔になります.こういった性質を持たないことを「独立である」というのです.
独立でない場合をサイコロに例えると,下の図のようになります.つまり,一個目のサイコロの目によって,二個目のサイコロの出方が変わってしまうわけですね.
通常,問題設定の中で,独立であるかないかは明確に書かれていますが,書いてなくてもサイコロの試行は独立と見なして大丈夫です.実際感覚的に,二つの間に関係はないと思えるでしょう?
さて,これら二つの条件がこの場合満たされているわけですから,求めたい確率は1/18であると言えるわけです.お疲れ様でしたー.
ちなみに,確率が分かっている場合はどうなるでしょうか?つまり,「1が出る」確率が1/6,「2が出る」確率が1/6と分かっている状態から計算する場合です.
確率の場合は,先ほど述べた二つの条件のうちの一つ目は関係ありません.これは数え上げの条件だからです.しかし,二つ目の条件はかかわってきます.確率でも,独立であるかは気にしなくてはいけません.
二つの試行が独立であれば,二つを掛け合わせることで確率の合成ができます.これも,感覚的に分かりやすいですよね.数え上げの時も各事象を掛け合わせて(6×6=36),計算していたわけですから.よって,「1が出る」「2が出る」を組み合わせた確率は1/6 * 1/6 =1/36となります.
別の試行の事象を合成したいなら,確率を掛け合わせるんや!!
関西弁は例によって気にしないでくださーい.
しかしちょっと待って!これだけでは「1回目に1が出て,2回目に2がでる」場合だけなので,「1回目に2が出て,2回目に1がでる」場合を考えていません.この二つを組み合わせるにはどうすればいいのか・・・・?!そう,二つとも同じ試行から出ているものですから,足し合わせればよいのです!!!
よって,「1回目に1が出て,2回目に2がでる」確率1/6 と,「1回目に2が出て,2回目に1がでる」確率1/6を足し合わせて,1/36+1/36=2/36=1/18となります.ちゃんと数え上げの場合と一致しましたねー.
さて,確率に関しては大半終了しました.あとは数え上げの方法ですね.数え上げには,階乗,順列,組み合わせなどありますが,重要な点は2つくらいです.この2点を理解してしまえば,スムーズに行くと思います!多分!
次回はその2点についてお話しましょー.っでは.
次 ⇒ 確率(6)階乗
さて,5回目ー!!結構やってきましたね.予定では確率を全十回でやるつもりなので,半分到達ってことですね.今回は,確率の合成についてです.いくつかの事象を組み合わせた時の確率は?ってのを考えます.
これを考えるとき,何と何を組み合わせるのかによって計算の仕方がちがいます.大別すると以下の二つです.
@同じ試行結果の中の事象同士を組み合わせる
A別の試行結果の事象を組み合わせる
@は,例えば一つのサイコロを振ったときに,「1が出る」,「2が出る」という二つの事象を組み合わせた確率は?というものです.これは,これまでの話の中でもやってきてますね.
これに対しAは,例えば「サイコロを二回振った時に,一回目の試行の結果は「1が出る」事象となり,二回目の試行は「2が出る」事象となる確率は?というものです.これは@とは違うことに注意してください.@もAも,「1が出る」「2が出る」という二つの事象を組み合わせていますが,それぞれを発生させた「試行」が異なっています.発生元となっている「試行」が同じなのか,違うのかで計算が違うんですね.
◆ 付け足しメモ ◆ ちなみに,二つのサイコロを二回振るのではなく,同時に振ったとしてもAと同じ考え方になります.一回目のサイコロを振ってから,二回目のサイコロを振るまでの時間が0になっただけで,それぞれの「試行」が変わっているわけではないからです. もちろん,「二つのサイコロを振る」という,一回の試行を考えることもできます.しかし,この試行から生まれる事象は複雑になり,「同様に確からしい」部分を見つけるのが大変になります.つまり,直方体サイコロを振ってみたのと同じような状況になってしまい,数え上げによる確率計算が大変になるんですね.なので,通常はそれぞれの試行に分けて考えます.まー平たく言えば,別々に考えた方が楽ちんだから別々に考えます!って感じです. また当然ながら,サイコロとコインを投げてみて,サイコロで「1が出る」という事象と,コインで「表が出る」という事象とを組み合わせる場合はAの方法で考えます.「試行」が異なっているからですね. |
さてさて,ではそれぞれの計算方法を考えてみましょう.まずは@からですね.
といっても,@はすでにやってきてしまっている感じです.目的の事象である「1か2が出る事象」は,「1が出る」事象と「2が出る」事象を組み合わせたもの(足し合わせたもの)と考えて,目的の事象の数 ÷ 発生しうる事象の数 の計算をすれば良いわけです.よって(1+1)/6 = 2/6 = 1/3ですね!
さてここでちょっと視点を変えて,それぞれの事象の確率だけがわかっている時はどうすればいいかを考えてみましょう.仮に,「1が出る」事象の確率は1/6,「2が出る」事象の確率は1/6だとします.さて,その時の「1か2が出る」事象の確率は?
答えは1/6 + 1/6 = 2/6 = 1/3 となります!これは感覚的にも分かりやすいかなと.先ほど事象で計算したときも二つを足していたわけですから,確率も足しちゃえば良いんです!
同じ試行の事象を合成したいなら,確率を足し合わせるんや!!
なぜか関西弁になりましたが気にしないでくださーい.これで@の場合についてはバッチリですね!
◆ 付け足しメモ ◆ ちなみに,この計算時に使用する確率が,数え上げで計算されたものでなくても問題ありません.数え上げは確率を計算するための一手法でしかないことは注意してください.他にも確率を求める方法はあるわけです. |
さーて,今回もっとも重要なところである,Aにいってみよー.とりあえず,「2回サイコロ振って,それぞれのサイコロにおいて「1が出る」「2が出る」が組み合わせで起こる確率」を考えてみます.
単純に二つのサイコロの組み合わせを考えてみると,図のようになります.一つ目のサイコロの目に対し,二つ目のサイコロの目が6種類あるから,全部で6×6=36種類の可能性があることが分かります.そして,その中で「1が出る」「2が出る」という事象が組み合わされて起こるのは,2通りです.よって,2 ÷ 36 = 1/18 と言っていいのでしょうか???
ここで重要なことは,数え上げた全36個の事象が,数え上げの条件を満たしているかどうかが問題になります.つまり,下の図のように,綺麗に36個の領域が等しく分割されているならば,数え上げによる確率の計算ができる!ということです.
この条件を満たすためには,以下の二つの条件が満たされていれば大丈夫です.
1) 合成する二つの試行が持つ事象が,数え上げの条件を満たしている.
2) 合成する二つの試行が独立である.
1)の条件は,直感的に分かりやすいですよね.二つの試行を組み合わせた時に条件を満たしたいなら,一つ一つの試行が条件満たせてれば良いじゃない!!!ってことです.物を作ることに例えて言えば,二つの物を組み合わせて綺麗な物を作りたいなら,もともと綺麗な二つを組み合わせれば良いよね!って感じです.こらそこ,逆に分かりにくいってゆーな(笑)
でもここで一つの疑問が浮かぶ人もいるのではないでしょうか?もしこれを,人間の共同作業に例えた場合に,優秀な人と優秀な人が一緒に頑張っても,二人の仲が悪かったら優秀な結果にならないかもしれないじゃん!!!!
何で人間に例えるんだ,って声もあるかと思いますが,実際にこの問題は確率で起こりえるんですね.もちろん,確率の仲が悪いわけではありませんが,お互いがお互いの条件を邪魔してしまうことがあるんです.その邪魔が起こっていないよってことを確認するのが,2) 合成する二つの試行が独立である.の条件なんですね.
じゃあ,独立であるってどういうことなのでしょうか?実は,試行の中には,ほかの試行の結果に影響されて,確率が変わってしまうものがあるんです.そんなものあるのか?って思うかも知れませんが,自然の中では頻繁に存在します.
たとえば,ある地域の明日の最高気温と明後日の最高気温です.明後日の気温は,明日の気温に影響されます.明日の最高気温が30℃だったときに,明後日の最高気温が-5℃にことはまずないですよね.でも,明日の最高気温が0℃だったら,明後日の最高気温は-5℃でもおかしくはないです.この場合,(30℃・-5℃)という組み合わせは出にくく,(0℃・-5℃)という組み合わせは出やすいことになります.このように,組み合わせ方によって出やすさ,つまり確率が変わってきてしまっているわけです.これは,数え上げにおいてとても邪魔になります.こういった性質を持たないことを「独立である」というのです.
独立でない場合をサイコロに例えると,下の図のようになります.つまり,一個目のサイコロの目によって,二個目のサイコロの出方が変わってしまうわけですね.
通常,問題設定の中で,独立であるかないかは明確に書かれていますが,書いてなくてもサイコロの試行は独立と見なして大丈夫です.実際感覚的に,二つの間に関係はないと思えるでしょう?
◆ 付け足しメモ ◆ 実際に二つの試行が独立であるかを判断するのは簡単ではないです.きちんと独立であるかを調べるならば,多量の試行を行って統計的な検定を実施する必要があります.高校数学ではここまでやることはなく,サイコロを振る試行やコインを投げて裏表を見る試行などは,それぞれ独立だよ〜という暗黙の了解に従って考えています. また,独立でない場合の確率はどう計算するのか,ということに関しては,簡単に言えば,全部分けて考えます.つまり,一個目のサイコロが1である場合と2である場合,あるいは3,4,5,6である場合それぞれを考えて,確率を計算していくという,とても面倒な作業をするわけです. |
さて,これら二つの条件がこの場合満たされているわけですから,求めたい確率は1/18であると言えるわけです.お疲れ様でしたー.
ちなみに,確率が分かっている場合はどうなるでしょうか?つまり,「1が出る」確率が1/6,「2が出る」確率が1/6と分かっている状態から計算する場合です.
確率の場合は,先ほど述べた二つの条件のうちの一つ目は関係ありません.これは数え上げの条件だからです.しかし,二つ目の条件はかかわってきます.確率でも,独立であるかは気にしなくてはいけません.
二つの試行が独立であれば,二つを掛け合わせることで確率の合成ができます.これも,感覚的に分かりやすいですよね.数え上げの時も各事象を掛け合わせて(6×6=36),計算していたわけですから.よって,「1が出る」「2が出る」を組み合わせた確率は1/6 * 1/6 =1/36となります.
別の試行の事象を合成したいなら,確率を掛け合わせるんや!!
関西弁は例によって気にしないでくださーい.
しかしちょっと待って!これだけでは「1回目に1が出て,2回目に2がでる」場合だけなので,「1回目に2が出て,2回目に1がでる」場合を考えていません.この二つを組み合わせるにはどうすればいいのか・・・・?!そう,二つとも同じ試行から出ているものですから,足し合わせればよいのです!!!
よって,「1回目に1が出て,2回目に2がでる」確率1/6 と,「1回目に2が出て,2回目に1がでる」確率1/6を足し合わせて,1/36+1/36=2/36=1/18となります.ちゃんと数え上げの場合と一致しましたねー.
◆ 付け足しメモ ◆ 今回は,「サイコロを二回振る」場合を考えたわけですが,これが「サイコロをニ個同時に振る」場合でも計算は変わりません. 二個同時に振ると,どっちがどっちのサイコロか区別つかなくなるから,「1が出る」と「2が出る」という事象の組み合わせは1個しかないのでは?と考える人もいますが,数え上げで重要なのはあくまで,「すべての事象が同様に確からしいこと」です.これは私たちがサイコロの区別がつけられるかどうかに関係はありません.私たちには区別つかなくったって,それぞれのサイコロの「同様に確からしい」6つの事象を組み合わせて考える必要があるわけですから,二つのサイコロは区別がつくものとして考える必要があります. |
さて,確率に関しては大半終了しました.あとは数え上げの方法ですね.数え上げには,階乗,順列,組み合わせなどありますが,重要な点は2つくらいです.この2点を理解してしまえば,スムーズに行くと思います!多分!
次回はその2点についてお話しましょー.っでは.
次 ⇒ 確率(6)階乗
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