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2017年09月06日

海水温から秋のカヤックフィッシングウェアを考えてみた。

カヤックフィッシングが気分的に盛り上がるのはゴールデンウィークあたりから夏にかけてなのだけれど、フィッシング的に盛り上がるのは、これからの秋が本番。

ただ、この季節、気温の変動も激しいので、ウェア選びも悩ましくなるので、ここらで秋のウェアについて書いてみる。
◆想定するエリア


秋のカヤックフィッシングウェアと言っても当然、地域によって違うはずなので、ここでは、主に湘南エリアでのカヤックフィッシングを想定。

IMG_0518.JPG



◆秋のカヤックフィッシングのウェア選びの前提


当たり前だけど・・・

・暑くないこと(パドリングなどで動くと暑くなる)
・寒くないこと(海上は予想以上に寒いことが多い)
・海水温(落水時の危険度)を考慮

◆自分の年間通じたカヤックフィッシングウェア


概ね次のような感じ。

・7月〜8月:ウエット仕様(体が濡れることを前提とした服装)

・12月前後〜3月頃:フルドライスーツ

image.jpeg


・その他の季節:セミドライ仕様(上下セパレートのドライ仕様)

IMG_5907.JPG


上着の着脱が可能で、体温調節が可能なセミドライ仕様の期間が約半年と一番長い。

自分の場合は、今回のテーマの秋も、この期間に含まれている。

◆世間で言われていること


世の中的にはカヤックフィッシングウェアはどんな感じが良いとされているのか。

秋、という観点からの情報はあまりないけれど、寒い時期のカヤックフィッシングウェアについてネットで検索すると、多分、誰もが見たことのある有名なサイトにも、沈して冷たい水に落ちてしまうと、ハイポサーミア(低体温症)になってしまうという理由で、寒い季節はドライスーツを推奨している。

確かに、カヤックはどんなに天気予報に気を配っても、安全だと思っても、突発的な気象変化によって沈する可能性があることは否定できないし(「カヤックフィッシングは危険!を海難事故事例から真面目に受け止めた。」参照)、いざそうなったときに、セパレートタイプのセミドライスタイルだと、幾ばくかの海水の侵入は免れない。


だからといって、夏が終わったら、即、上下つながった蒸し風呂になりかねないフルドライスーツでいいのかというと、仮に早朝は耐えられても、11月くらいまでは日が照ると、結構厳しい暑さに見舞われることもあり、逆に暑さがリスクにさえなりかねない。

手漕ぎカヤックから足漕ぎホビーカヤックに乗り換えてから、そうそう暑くならなくなった(移動が楽になった)ものの、やっぱり強い日差しをもろにうければたまらない。

ハイポサーミア(低体温症)は怖いけど、暑いのも辛い・・・

ということで、ここはやっぱりセミドライスタイルは欠かせない。

◆ハイポサーミア(低体温症)のリスクが高い水温は?


抽象的に暑い、寒い、危険、と書いていても仕方ないので、何か考える際の目安になるような情報はないかとネットで調べていると、水温と体温流出時間(USコーストガードによる)として以下のような情報が出ていた。

水温が20度〜25度の場合、意識不明に至る時間が2〜12時間、予想生存時間が3時間〜
という具体的な数字が出ていた。

水温25度以上の場合は、意識不明に至る時間、予想生存時間が「不明」となっている。

「不明」=「安全」ではないにしても、危険度が高いのは、25度を下回る場合で、それ以上あれば、危険がないとは言えないまでもある程度の時間耐えられると推測できる。

これは、ダイビングのサイトにあった情報で、カヤックの場合、沈しても再乗艇できる可能性もあるので、若干前提は異なるけれど、何度も沈するような状況では体力が低下して再乗艇できないケースもあるのは、こちらの記事(「カヤックフィッシングは危険!を海難事故事例から真面目に受け止めた。」)を見れば分かると思うので、楽観的にスルーするのは危険。

そんなわけで、100%リスクオフすることはできないまでも25度以上の水温がある時期ならば、多少濡れることを想定したウェア(セミドライ仕様含む)でも良いのではないか、というのが全くの個人的見解。

逆にいうと、それを下回るような場合は、やはり多少の暑さは我慢しても濡れないこを前提としたフルドライスーツに頼る(又はカヤックフィッシングを休眠する)ほかないのではないかということになる。

◆年間通じた海水温の変動


少し具体的な数字が出てきたので、ホームゲレンデの相模湾における年間の海水の変動を海上保安庁のホームページ調べてみる。

まず、1月。湘南エリアは20℃あるかないか。

01.jpg


02.jpg



03.jpg


一番海水温が低くなるのは3月〜4月で15℃前後まで低下している。海水の変動は陸上の季節感より1〜2か月遅れると認識していたけれど、やはりそんな感じ。

04.jpg


05.jpg


ようやく海水温が上昇を始めて黄色味を帯びてくるのが6月。なんとか20度は超えてきた感じ。
感覚としては、近年は、この頃が一番魚が釣れている。

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7月になると25度を超えた様子。このあたりになると、カタクチイワシも姿を消してきて、サバ、ウルメイワシ、シイラだらけの海になってくる。

07.jpg


08.jpg


9月には30度に迫る。気温のピークとは1か月ズレ。

9.jpg


10月には黄色くなってきて25度前後か。

10.jpg


11月もまだ何とか25度前後か?という感じ。この頃までは、近場でもいろいろな魚が楽しめる感じ。

11.jpg


そして12月には20度程度となる。
このあたりからは、浅場に群れる魚の反応はほぼなくなってしまうため、魚を釣りたければ深場まで出かける必要が出てくる。

12.jpg


こうして水温をみたうえで、自分の今までのウェア選びを振り返ると、春先、4月位にはセミドライ仕様でカヤックフィッシングしていたのは、やや早かったように思えなくもない。

しかし、4月、5月は日差しが強いので、体温上昇も危険。なので仕方ないかなぁ・・・

◆これらを踏まえてのウェア選びとは?


ずいぶんと長い前振りになったけれど、ハイポサーミア(低体温症)のリスクの高まる水温25度以下の季節は11月中盤〜3月頃。(2019年現在、12月〜3月中旬は安全面を考慮してカヤックフィッシングを控えているので、基本的にフルドライスーツは着用しなくなった。)

その季節には冬のカヤックフィッシングウェアに衣替えする必要があるとして、それまでの、秋風も吹き始めてウェットスタイルでは心許なくなる9月〜11月までのウェアを秋のカヤックフィッシングウェアとして、どんなウェアがいいのか挙げてみる。

〇 アンダーウェア。

なんでも良いように思うけれど、実はちょっと違う。

まだ少し気温が上がれば汗をかくことも多いこの季節。

しかも、場合によっては、落水により濡れてしまうことも想定しておくべきなので、一度濡れてしまうと乾燥しにくい綿のものは避けたいところ。

自分が着用しているのは、スポーツ用の化学繊維のもの。ウェットシーズンも含め年間通じて使えるので便利。





〇 パドリングパンツ

最低でもウエストにベルクロが付いていて、上着と噛み合わせることで浸水を防ぐ機能があるもの。
そして、足首も濡らさないソックスまで一体になっているものがお勧め。

案外、見落としがちな重要ポイントがおしっこチャック(男性の場合)。自分の知る限りはこのリトルプレゼンツのパドリングパンツ一択。

デザインで人気のある商品でも、おしっこチャックがないものがあるので、気を付けたいところ。



お仕事中にも急な波が来る可能性もあるので、なるべく短時間に済ませられるほうがいいし、カヤック上での体勢変動を少なくしたほうが沈の可能性は低くなるので、おしっこチャックのあるものを推奨したい。

〇 パドリングジャケット

最低でもウエストにベルクロが付いていて、パドリングパンツと噛み合わせて浸水を防ぐ機能があるもの。さらに、ネック、手首にはガスケットが付いていて防水性の高い物がお勧め。
ガスケット部分が薄いゴムのものよりは、ネオプレン素材のものの方が上部なので使いやすい。

あまり多いと、防水性能に支障が生じやすいけれど、やはり多少なりともポケットがあると使い勝手はいい。



〇 パドリングシューズ

パドリングパンツのソックスの上から履くので、大きめのサイズにすることが重要。




こんな感じでそろえた上に、PFDを装着しておけば、とりあえず、秋のカヤックフィッシングウェアとしては十分なのではないかと思う。



◆最後に・・・


カヤックフィッシングは他のマリンレジャーもそうであるように、当然に一定の危険性のある遊び(「カヤックフィッシングは危険!を海難事故事例から真面目に受け止めた。」参照)。

カヤックフィッシングだけが突出して危険だとは思っていないけれど、どんな危険があるのかを知り、危険があることを前提として、少しでも危険を回避し、危険に直面したときに被害を最小限に食い止められるような備えをすることが何より大切。
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昭和40年代生まれ。幼少期から釣りを始め、オカッパリでの海のエサ釣り⇒ブラックバス、シーバスのルアーフィッシング⇒海のレンタルボート(シースタイル)釣り⇒を経てカヤックフィッシングにたどり着いたのが2011年。自己流で危ない目にも遭ったりしたけど、オカッパリ時代とは比べ物にならない釣果にもう逆戻りは不可。カヤックフィッシング最高! ちなみに鎌倉カヤックフィッシングクラブ会長(会員2名、うち1名は愛媛に長期出張中)
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