2015年09月27日
琳派400年記念 琳派と秋の彩り
琳派とその影響を受けた作品を集めた展覧会「琳派10+ 件400年記念 琳派10+ 件と秋の彩り」展がいま、東京都渋谷区の山種美術館で開かれています。
山種美術館は年数回訪れていますし、琳派が絡んだ展覧会は過去にも観ているのですが、今回は琳派の作品26点中14点(一部前後期で入れ替えあり)は個人蔵のものです。山種美術館の琳派コレクションはクオリティが高いのですが、今回はさらに充実した展覧会となっていて楽しめました。
会場は3つの章で構成されています:
第1章 琳派の四季
第2章 琳派に学ぶ
第3章 秋の彩り
俵屋宗達[絵]・本阿弥光悦[書] 「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」17世紀(江戸時代) 山種美術館蔵
会場の最初に展示されているのが、宗達による金銀泥の鹿の下絵に光悦が『新古今和歌集』の一首を書写した「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」。もとは一巻の巻子本で、現在は断簡となり、山種美術館をはじめ、複数の美術館や諸家に分蔵されているといいます。詠まれているのは西行の和歌。鹿は秋の季語でもあります。同じコンビでは「四季草花下絵和歌短冊帖」もあって、これがまた光悦の書が美しく、思わず見惚れてしまいます。
抱一は出品作が一番多くて、中でも「秋草鶉図」が白眉。意匠化されたススキや月、そして秋草や鶉の豊かな表現。宗達や光琳とも違う、洗練された美しさ、瀟洒な味わいが魅力です。
抱一の「月梅図」は月の美しさが印象的。勢いのある筆による枝に光琳梅。金泥の外隈をつけた月の表現がまた幻想的かつ情緒的な雰囲気をかもし出しています。
「菊小禽図」と「飛鳥白鷺図」も季節感のある掛軸。もとは“十二ヶ月花鳥図”のそれぞれ9月と11月に相当するものだったとか。全幅揃っていればさぞ壮観だったでしょうね。
抱一「飛雪白鷺図」
其一の「牡丹図」は其一にしては若干色が抑え目な感じもしますが、それでも中国画を思わせる艶やかな牡丹が美しい。幹はたらし込みを上手く取り入れています。
鈴木其一 「牡丹図」 寛永4年(1851) 山種美術館蔵
近代の画家では奥田 元宋「奥入瀬(秋)」が良かったです。71歳のときの大作で、紅葉と水の流れが見事。紅葉の中に自分がいて水音が聞こえてくるような気がする作品です。
荒木 十畝 「四季花鳥のうち「秋(林梢文錦)」は連作で拝見したこともありますが、構図、色彩とも素晴らしい。
山口 蓬春 「錦秋」は、絹本・彩色ですが、絹に描いたとは思えぬくらい鳥の羽や紅葉のグラデーションがとても美しい作品です。
一足早く錦秋を堪能した1日でした。
【特別展】「琳派400年記念 琳派と秋の彩り」
会期:2015年9月1日(火)〜10月25日(日)
会場:山種美術館
公式サイト:http://www.yamatane-museum.jp/
山種美術館は年数回訪れていますし、琳派が絡んだ展覧会は過去にも観ているのですが、今回は琳派の作品26点中14点(一部前後期で入れ替えあり)は個人蔵のものです。山種美術館の琳派コレクションはクオリティが高いのですが、今回はさらに充実した展覧会となっていて楽しめました。
会場は3つの章で構成されています:
第1章 琳派の四季
第2章 琳派に学ぶ
第3章 秋の彩り
俵屋宗達[絵]・本阿弥光悦[書] 「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」17世紀(江戸時代) 山種美術館蔵
会場の最初に展示されているのが、宗達による金銀泥の鹿の下絵に光悦が『新古今和歌集』の一首を書写した「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」。もとは一巻の巻子本で、現在は断簡となり、山種美術館をはじめ、複数の美術館や諸家に分蔵されているといいます。詠まれているのは西行の和歌。鹿は秋の季語でもあります。同じコンビでは「四季草花下絵和歌短冊帖」もあって、これがまた光悦の書が美しく、思わず見惚れてしまいます。
抱一は出品作が一番多くて、中でも「秋草鶉図」が白眉。意匠化されたススキや月、そして秋草や鶉の豊かな表現。宗達や光琳とも違う、洗練された美しさ、瀟洒な味わいが魅力です。
抱一の「月梅図」は月の美しさが印象的。勢いのある筆による枝に光琳梅。金泥の外隈をつけた月の表現がまた幻想的かつ情緒的な雰囲気をかもし出しています。
「菊小禽図」と「飛鳥白鷺図」も季節感のある掛軸。もとは“十二ヶ月花鳥図”のそれぞれ9月と11月に相当するものだったとか。全幅揃っていればさぞ壮観だったでしょうね。
抱一「飛雪白鷺図」
其一の「牡丹図」は其一にしては若干色が抑え目な感じもしますが、それでも中国画を思わせる艶やかな牡丹が美しい。幹はたらし込みを上手く取り入れています。
鈴木其一 「牡丹図」 寛永4年(1851) 山種美術館蔵
近代の画家では奥田 元宋「奥入瀬(秋)」が良かったです。71歳のときの大作で、紅葉と水の流れが見事。紅葉の中に自分がいて水音が聞こえてくるような気がする作品です。
荒木 十畝 「四季花鳥のうち「秋(林梢文錦)」は連作で拝見したこともありますが、構図、色彩とも素晴らしい。
山口 蓬春 「錦秋」は、絹本・彩色ですが、絹に描いたとは思えぬくらい鳥の羽や紅葉のグラデーションがとても美しい作品です。
一足早く錦秋を堪能した1日でした。
【特別展】「琳派400年記念 琳派と秋の彩り」
会期:2015年9月1日(火)〜10月25日(日)
会場:山種美術館
公式サイト:http://www.yamatane-museum.jp/