2016年01月03日
サントリー美術館 「水 神秘のかたち」
東京・六本木のサントリー美術館にて、“水”への祈りや信仰をテーマとする展覧会『水 神秘のかたち』が開催されています。
この展覧会は、水にかかわる神仏を中心に、水にまつわる説話や儀礼、水に囲まれた理想郷や水の聖地など、水を源とする信仰に根ざした造形物を紹介するもの。四方を海で囲まれ、豊かな水の恵みを享受してきた日本では、弥生時代より水に対する信仰があったとされており、そういった水に対する感謝、祈り、信仰の歴史と奥深さをたどる展覧会です。
会場では、水を用いる神事・仏事にかかわる作例、水と深い関係のある社寺縁起、江ノ島、厳島、竹生島など、日本各地で盛んに信仰される弁才天、五穀豊穣を願う祈雨やその儀礼の中心的な本尊となる龍神、竜宮城に代表される理想郷、信仰を集める水の霊地や祭礼ほか、様々な角度から水の精神史を概観。
弥生時代の銅鐸「流水文銅鐸」、室町時代の屏風「日月山水図屏風」、鎌倉〜南北朝時代の「弁才天坐像」ほか、彫刻、絵画、工芸など、水の精神性をたどる造形物が多数展示されています。
展覧会の構成は以下の通り
第1章 水の力
第2章 水の神仏
第3章 水に祈りて
第4章 水の理想郷
第5章 水と吉祥
第6章 水の聖地
第1章「水の力」では、重要文化財の「日月山水図屏風」やパラミタミュージアム所蔵の「十一面観音立像」など、水を介することによって像が霊力を増すなど、水の神秘的な力を表す作品を展示。
「日月山水図屏風」は圧倒的な存在感。この屏風は仏教の灌頂の儀式のために使われていました。右には丸みを帯びた山、左には雪山を背に波が力強くうねる海面が広がっています。松が群生し、岩場が点在し、滝が落ちていく。展示ケースの奥行きが薄いせいか、詳細な部分までじっくり鑑賞できました。桜と松しか認識していなかった画面に、実は柳や杉や広葉樹も丁寧に描かれていることに気づきました。
山が崩れるような銀砂子や圧倒的な存在感の雪山、本当に魅力的で不思議な絵です。
十一面観音立像
第2章「水の神仏」では弁才天や住吉神など水の神仏にまつわる造形作品が中心。
第3章 水に祈りての「善女龍王像」は平安時代の絵仏師・定智筆の作品で、龍神の姿を描いたもの。龍神は雨乞いの儀式とも深く関わるもので、五穀豊穣や国家護持、さらに海難からの救済を願う対象となっていた。重要文化財の「春日龍珠箱」や「孔雀経曼荼羅」などを展示。人々が水に祈る姿が紹介されています。
「春日龍珠箱」の外箱の裏には、雷神・風神と三匹の龍と龍を肩に載せた束帯姿の八人の貴公子(八大龍王)。内箱の表裏には八人の鬼神(一人は童子形)が描かれています。
第4章「水の理想郷」では龍宮城や蓬莱山など人々が夢見た水に囲まれた理想郷の姿を表現した作品が紹介されています。
第5章「水と吉祥」では吉祥(おめでたいこと)の意味合いを持つ水の造形を、動植物を題材とした吉祥文様の一つである菊水文様などを通して示し、第6章「水の聖地」では水の豊かな土地や祇園祭のような水にまつわる祭礼を描いた絵画作品などを展示。洛中洛外図のように当時の風俗が描かれていて楽しめました。
「水 神秘のかたち」展
会期:2015年12月16日(水)〜2016年2月7日(日)
開館時間:10時〜18時
※金・土、および12月22日(火)、1月10日(日)は20時まで、ただし1月2日(土)は18時までの開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日(12月22日は開館)、12月30日(水)〜1月1日(金・祝)
会場:サントリー美術館
港区赤坂9−7−4 東京ミッドタウン ガレリア3階
この展覧会は、水にかかわる神仏を中心に、水にまつわる説話や儀礼、水に囲まれた理想郷や水の聖地など、水を源とする信仰に根ざした造形物を紹介するもの。四方を海で囲まれ、豊かな水の恵みを享受してきた日本では、弥生時代より水に対する信仰があったとされており、そういった水に対する感謝、祈り、信仰の歴史と奥深さをたどる展覧会です。
会場では、水を用いる神事・仏事にかかわる作例、水と深い関係のある社寺縁起、江ノ島、厳島、竹生島など、日本各地で盛んに信仰される弁才天、五穀豊穣を願う祈雨やその儀礼の中心的な本尊となる龍神、竜宮城に代表される理想郷、信仰を集める水の霊地や祭礼ほか、様々な角度から水の精神史を概観。
弥生時代の銅鐸「流水文銅鐸」、室町時代の屏風「日月山水図屏風」、鎌倉〜南北朝時代の「弁才天坐像」ほか、彫刻、絵画、工芸など、水の精神性をたどる造形物が多数展示されています。
展覧会の構成は以下の通り
第1章 水の力
第2章 水の神仏
第3章 水に祈りて
第4章 水の理想郷
第5章 水と吉祥
第6章 水の聖地
第1章「水の力」では、重要文化財の「日月山水図屏風」やパラミタミュージアム所蔵の「十一面観音立像」など、水を介することによって像が霊力を増すなど、水の神秘的な力を表す作品を展示。
「日月山水図屏風」は圧倒的な存在感。この屏風は仏教の灌頂の儀式のために使われていました。右には丸みを帯びた山、左には雪山を背に波が力強くうねる海面が広がっています。松が群生し、岩場が点在し、滝が落ちていく。展示ケースの奥行きが薄いせいか、詳細な部分までじっくり鑑賞できました。桜と松しか認識していなかった画面に、実は柳や杉や広葉樹も丁寧に描かれていることに気づきました。
山が崩れるような銀砂子や圧倒的な存在感の雪山、本当に魅力的で不思議な絵です。
十一面観音立像
第2章「水の神仏」では弁才天や住吉神など水の神仏にまつわる造形作品が中心。
第3章 水に祈りての「善女龍王像」は平安時代の絵仏師・定智筆の作品で、龍神の姿を描いたもの。龍神は雨乞いの儀式とも深く関わるもので、五穀豊穣や国家護持、さらに海難からの救済を願う対象となっていた。重要文化財の「春日龍珠箱」や「孔雀経曼荼羅」などを展示。人々が水に祈る姿が紹介されています。
「春日龍珠箱」の外箱の裏には、雷神・風神と三匹の龍と龍を肩に載せた束帯姿の八人の貴公子(八大龍王)。内箱の表裏には八人の鬼神(一人は童子形)が描かれています。
第4章「水の理想郷」では龍宮城や蓬莱山など人々が夢見た水に囲まれた理想郷の姿を表現した作品が紹介されています。
第5章「水と吉祥」では吉祥(おめでたいこと)の意味合いを持つ水の造形を、動植物を題材とした吉祥文様の一つである菊水文様などを通して示し、第6章「水の聖地」では水の豊かな土地や祇園祭のような水にまつわる祭礼を描いた絵画作品などを展示。洛中洛外図のように当時の風俗が描かれていて楽しめました。
「水 神秘のかたち」展
会期:2015年12月16日(水)〜2016年2月7日(日)
開館時間:10時〜18時
※金・土、および12月22日(火)、1月10日(日)は20時まで、ただし1月2日(土)は18時までの開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日(12月22日は開館)、12月30日(水)〜1月1日(金・祝)
会場:サントリー美術館
港区赤坂9−7−4 東京ミッドタウン ガレリア3階