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2015年12月13日

金銀の系譜 ―宗達・光琳・抱一をめぐる美の世界―静嘉堂文庫美術館

三菱二代社長の岩崎彌之助(三菱初代社長の岩崎彌太郎の弟に当たります)、その息子で三菱四代社長の岩崎小彌太によって設立された静嘉堂は、漢学者の重野安繹や『大漢和辞典』を編纂した諸橋轍次などを文庫長に迎え、貴重な図書を収集。また、彌之助、小彌太によって美術品も集められ、現在は国宝7点、重要文化財83点を含む、およそ20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)と6,500点の東洋古美術品を収蔵しています。

静嘉堂文庫美術館は、この貴重な彌之助、小彌太のコレクションを見ることができる場所。このたび、よりいっそう作品を美しくみられるようにリニューアルされ、これを記念する展覧会が開催されています。

館内に入ると、伝尾形光琳「鶴鹿図屏風」が迎えてくれます。
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絢爛豪華な絵で、この展覧会の冒頭を飾るのに相応しい絵です。

今回一番の見どころは俵屋宗達の国宝《源氏物語関屋・澪標図屏風》。琳派の創始者の一人である俵屋宗達の作品は、3点が国宝に指定されていますが、こちらはそのうちの1点。(他のふたつは、「風神雷神図屏風」(建仁寺)、「蓮池水禽図」(京都国立博物館)。今年は京都国立博物館で「琳派  京を彩る」展が開催され、宗達の他のふたつの国宝「風神雷神図屏風」と「蓮池水禽図」も展示されました。)
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絵具の剥落や画面の亀裂などを、3年間かけて修理したそうです。修理の様子もパネルで展示されていますが、直線と曲線を大胆に使った画面構成、金・白・緑を基調とした宗達の色づかいがよりいっそう楽しめるようになりました。『源氏物語』の「十六帖  関屋」と「十四帖 澪標」の場面を描いた六曲一双の屏風絵は、大和絵の継承と発展をなした宗達の、日本美術史上における役割を遺憾なく伝える大作です。
実物を見ると右隻牛の模様や、手前の家の窓の明るさの違い、左隻の御舟の大きさなど図版では気が付かなかったところにも目がいって、じっくりと鑑賞しました。
大胆な構図、波や洲浜などにみられる意匠、岩や松の幹を描くのに用いられた「たらし込み」の技法など、琳派の特徴も十分にみてとることができます。

このほか、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一など静嘉堂が所蔵する琳派のコレクションがずらりと並びます。
酒井抱一の「絵手鑑」はどれも素晴らしく、特に「桜山」、「月宮殿」(中国の楼閣のよう)が気に入りました。

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松花堂昭乗「勅撰集和歌屏風」江戸時代・17世紀

国宝《曜変天目(稲葉天目)》と重要文化財《油滴天目》は、ラウンジで特別展示されています。ちなみに《曜変天目(稲葉天目)》の「曜変」とは、陶磁器が釜の中で焼かれる過程で偶然生まれた釉薬などの模様のこと。世界に3碗のみ現存するうちの1碗がこちらです。天目の美しいきらめきを自然光の下で楽しめます。
サントリー美術館で見た藤田美術館とは違う展示方法で観られて、面白かったです。

重要文化財 尾形光琳「住之江蒔絵硯箱」も、長い修理を終えて美術館に戻ってきました。2.jpg
12月23日までです。

展覧会名称: リニューアルオープン展 第1弾 金銀の系譜 ―宗達・光琳・抱一をめぐる美の世界―
会場:静嘉堂文庫美術館
会期:2015年10月31日(土) 〜2015年12月23日(水・祝)
開館時間:10:00〜16:30
※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜(ただし11月23日は開館、翌24日休館)
Web: http://www.seikado.or.jp
posted by はまやん at 09:32| アート
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