2016年02月17日
介護士が知っておくべきノロウィルスの症状と対策
冬季に入るとインフルエンザの流行とともに、ノロウィルスという感染症にも注意しなければなりません。
ノロウィルスは非常に感染力(ウィルス増殖力)が強く、微量のウィルスが付着しただけでも発症するケースがあります。
例年では11月頃からポツポツと感染者の報告が出始めることの多いノロウィルスですが、近年は暖冬の影響もあってか12月に入ってからの報告が多いようです。特に12月〜2月にかけては牡蠣のシーズンですから、それもあってノロウィルスの発生件数が食中毒の中では1番多くなります。
小学校や旅館、ホテルなど、人の多く集まるところでは集団感染のおそれもあるため、介護現場でもノロウィルスが発生したという報告は毎年のように挙がっています。
では、どのようにしてノロウィルスに感染するのか、その感染経路と症状、そしてノロウィルスが発生してしまった場合の対処法や予防法を詳しくご紹介していきます。
【2枚貝からの感染】
2枚貝は海水に含まれるプランクトンを食べて生きています。プランクトンを食べるときに、周りの海水も一緒に取り込むのですが、その海水の中にノロウィルスが含まれていることがあります。それを繰り返すことで貝の中でノロウィルスが濃縮された状態になり、ノロウィルスを持った2枚貝となります。その2枚貝を生で食べたり、加熱が不十分なまま食べてしまうと、今度が貝から人へとノロウィルスは感染し増殖、発症するとされています。
そもそもなぜ海中に、ノロウィルスが存在するのでしょうか?
そこには、あるサイクルが関係しています。
ノロウィルスを持った2枚貝を人が食べ、感染・増殖したノロウィルスを発症してしまった人の吐物や便は、下水を通って通常と同じように処理施設で処理されます。通常の塩素濃度や浄化設備では死滅しないノロウィルスは、下水処理後も死滅することなく存在し、河川や海への放出されることになるため、その海中にいるノロウィルスを再び2枚貝はプランクトンと一緒に取り込みます。そのようなサイクルを経て、再び人に感染するのです。
ノロウィルスは2枚貝の中では増殖しません。2枚貝はあくまでも器官の中に蓄えているだけの状態で、人の体に入り、小腸内で初めて増殖するのです。増殖したノロウィルスを、排泄物などで再び我々人間が世に送り出しているとは、なんとも皮肉な話です。
ノロウィルスに感染する食品で有名なのは牡蠣ですが、ホタテやハマグリ、アサリ、シジミなどの2枚貝と呼ばれる貝類は、すべてノロウィルスに感染するおそれがあります。このことは意外と知られておらず、たとえばホタテなどを刺身で食べる場合がありますが、食べたホタテがノロウィルスを持っていたら当然感染するおそれがあるということです。アサリやシジミなどは加熱調理して食べることがほとんどなので、感染の危険性は低いとされています。
【人から人への感染】
人に感染したノロウィルスは、他の人にも感染します。小学校などで集団感染がみられるのもそのためです。
ノロウィルスに感染した人の吐物や便が手などに付着してしまうと、その手はノロウィルスに汚染された状態になります。そしてその手で不用意にドアノブなどに触れたりすると、ウィルスがドアノブにも付着します。付着したドアノブは汚染されていますから、そのドアノブをまた別の人が触れてしまうと、今度はその人が触れた物にウィルスはどんどん付着していくことになります。そうやって、ノロウィルスは少しずつ広がっていきます。これを「接触感染」といいます。たとえば調理をする人の手にこのノロウィルスが付着したとイメージしてみましょう。その後どうなるかは、容易に想像できると思います。
もうひとつは、「飛沫感染」と呼ばれるものです。感染者の排泄したトイレや洗面台には、流し切れていないノロウィルスが付着しているおそれがあります。水を流すときに、たとえ微量でも水しぶきがかかったりするタイプの水洗トイレなどは、その水しぶきにもノロウィルスが含まれている可能性がありますので、それが目や口に入ったり、手に付着するとそこからも感染の危険性があります。
さらにノロウィルスの感染でこわいのは「乾燥」です。感染者の吐物などを適切な処理をされないまま片付けられた床やカーペットなどには、ノロウィルスはまだ残っています。それが乾燥して空気中に飛散すると、それを吸い込んだ人が今度は感染するおそれが出てきます。小学校などで集団感染が起こる原因は給食だけではなく、このような「飛沫感染」によって起こるケースも少なくありません。当然、介護施設でも同様のことが言えると思います。
「接触感染」でも「飛沫感染」でも、最初はたとえ微量のノロウィルスが体に入っただけであったとしても、人の体に入ったノロウィルスはその非常に強い増殖力でどんどん増えていきます。始めは100個程度だったノロウィルスが、数時間後には何十万、何百万個という数になるのが、ノロウィルスの怖いところでもあります。
ちなみに、ノロウィルスの発症した方の吐物や便には、1グラム当たり約100万個のウィルスがいるとされています。
通常、ノロウィルスに感染してもすぐに症状が出ることはありません。ノロウィルスには「潜伏期間」というものがあります。人によって個人差はあるものの、通常であれば24〜48時間という潜伏期間を経て発症に至ります。
ですので、たとえ日中は元気でも、夜間になって突然嘔吐や発熱などの症状が出るケースもありますので、ノロウィルスに感染した人と接した場合などは特に注意が必要です。
感染の原因は吐物と便の中にあるノロウィルスのため、潜伏期間中には感染の危険はほとんどないと言われています。
ノロウィルスの主な症状は発熱、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢です。症状の程度は人それぞれで、軽いむかつき程度の場合もあれば、何度もトイレに行くといった場合もあります。症状が重い場合は下痢による脱水症状が出ることもあるため注意が必要です。また、この期間の吐物や便には数億個というノロウィルスが含まれていますので、非常に感染力の強い期間となります。
発症から2〜3日で症状は治まりますが、ノロウィルスの排出はまだ続いています。長い人では1か月近くもウィルスが排出され続ける方もおり、これも個人差があります。
ノロウィルスの発症後はとにかく感染を広げないことが最も重要です。
吐物や便の適切な処理はもちろん、感染者本人もできるだけ人との接触は避けたほうがいいでしょう。
【吐物の処理】
最もノロウィルスの感染源となりやすいのが吐物です。適切に処理しないと、吐物が乾燥して空気中にホコリと一緒に飛散することになります。嘔吐などがあった場合、つい焦って素手のままティッシュペーパーで拭き取ろうとしてしまいがちですが、それは大きな間違いです。
使い捨ての手袋(できれば使い捨てのビニール製のガウンなどもあったほうがよい)と、マスク、ゴミ袋、新聞紙やペーパータオル、バケツ、そして塩素系の漂白剤(ハイター、キッチンハイター)を準備しましょう。ワイドハイターは、酸素系の漂白剤なので使用しないでください。塩素系漂白剤には次亜塩素酸ナトリウムが約5%含まれています。この次亜塩素酸ナトリウムが、ノロウィルスの除菌に効果を発揮します。漂白剤の代わりにより簡単で安全なノロウィルスの除菌にも効果がある「次亜塩素酸水」というものがあれば便利です。
まずはつけ置き用の水を作ります。バケツに5リットルの水と、漂白剤をキャップ2杯(20ml)入れて混ぜます。これで完成です。
次に、使い捨て手袋とビニールガウン、マスクを装着して、ゴミ袋も捨てやすいように広げておきます。ペーパータオルや新聞紙を先ほどの水に浸けて軽く絞り、吐物を真ん中に集めるようにして覆うように拭き取ります。きれいに拭き取ったら、ゴミ袋に入れて袋の口は固く閉じて燃えるゴミとして出します。袋は念のため2重にしておいたほうがいいでしょう。カーペットの場合は、同じ要領である程度吐物を拭き取り、たっぷりと漂白剤入りの溶液を含ませたペーパータオルなどをカーペットに当て、溶液を行き渡らせてから拭き取ります(このとき色落ちするおそれがありますので、できれば次亜塩素酸水のほうが好ましいです)。
衣類やシーツなどに付いた吐物は、ある程度拭き取ってからつけ置きバケツで30分程つけ置きしましょう。色落ちするおそれがありますので、心配な場合は次亜塩素酸水やノロウィルスに効果のあるアルコール消毒液に浸しましょう。その後、水洗いして洗濯します。決して、つけ置きせずにいきなり洗濯機に入れないでください。洗濯層にノロウィルスが付着して2次感染のおそれが出てきます。
【便の処理】
紙オムツやパット類は吐物の処理方法と同様に、ゴミ袋に入れて2重にして捨てます。おしりなどには塩素系の溶液が使えないので、とにかく微温湯できれいに洗浄するしかありません。このとき、使い捨てのおしり拭きなどであればそのまま一緒にゴミ袋に入れて捨ててもいいのですが、下用タオルの場合は配慮が必要です。
感染者に使用した下用タオルは、個別にビニール袋に入れて、毎回個別に袋の口をしっかり閉じて分けて置いておきます。専門の業者に出す際には、「感染症による汚染タオル」などと明記した紙を袋に貼っておくなど、業者の方が分かりやすいようにしておくことで、持ち帰った際に適切な処理をしてくれます。自分で洗って再度使う場合には、ある程度便を洗い落としてから30分以上は溶液につけ置きしておく必要があります。
今の時代、布のオムツを使用しているところは少ないですが、こちらも下用タオルのつけ置きと同じ方法ですいいと思います。
言うまでもないことですが、使い捨ての手袋は一度使ったら必ず捨てましょう。これはノロウィルス対策というよりも、ケアの基本ですね。
ケアに入ったあとは、必ず石鹸と流水できれいに手洗いをします。ノロウィルスの殺菌はできませんが、皮脂汚れと一緒にある程度は洗い落とせるため効果的です。
【こまめに手洗いをする】
一番手軽にできる予防はこまめな手洗いです。石鹸を使って汚れを浮かし、手のしわの間に入り込んだ皮脂汚れと一緒に、ウィルスも洗い落としやすくなります。もちろんこれだけは十分ではありませんが、どんな感染症予防も、まずはこまめに手洗いをするクセをつけることが大切です。その上で、次亜塩素酸水の入ったスプレーを使いましょう。これだけで、ウィルスはほぼ除菌できるとされています。
【適切な吐物・便の処理方法を覚えておく】
ノロウィルスではないにしろ、普段から吐物や便の処理を適切に行うことを意識することはとても大切です。その経験と習慣が「いざというとき」に役に立ちます。ノロウィルスの対策キットがそろっているか、どこに保管してあるか、物品は古くなっていないかなども、日ごろからチェックしておくといいでしょう。
【調理器具などはこまめに殺菌消毒をする】
施設にある調理場などでは、管理栄養士を中心に調理員全員がノロウィルスだけでなく様々な食中毒への対策を意識して調理器具などの殺菌消毒をこまめに行っています。食品や調理器具が感染源となる集団感染ほど被害の大きくなるものはないと知っているからです。グループホームなどでは、介護職員が調理を担当するケースが多いため、日ごろから食品衛生管理者の指導のもとで、まな板や包丁などの調理器具の殺菌消毒が徹底されているところは多いです。口に入れても安心な、スプレータイプの次亜塩素酸水を使って調理器具に吹き付けノロウィルスへの対策を行っているところも今では少なくありません。
【2枚貝をなるべく食べない】
ノロウィルスにかかる原因の多くは牡蠣を食べたことによるウィルス感染です。スーパーなどで「生食用」と書かれている牡蠣でも、ノロウィルスを持った牡蠣は存在します。また、「加熱用」と書かれていても加熱不十分だとやはり感染する危険性は高くなります。牡蠣好きの方には耳の痛い話かもしれませんが、なるべくなら食べないに越したことはありません(とはいえ、あくまでも、自分がウィルスの媒介者になるリスクを下げるためですので、しっかりと加熱調理して食べる分には問題はないとも言えます)。
【免疫力を高めておくこと】
これはすべての感染症に言えることですが、免疫力を高めておくことは非常に大切です。免疫力についてはインフルエンザ対策でご説明していますので、よければ合わせて熟読いただければと思います。
1番のインフルエンザ対策は「〇〇〇〇?」〜前編〜
1番のインフルエンザ対策は「〇〇〇〇?」〜後編〜
2015年、「新型ノロウィルス」というものが出てくるようになりました。症状や対策などは同じなのですが、これまでと違うのは夏季にパンデミックを起こすというもの。去年の8月、保育園やホテルなどでノロウィルスの集団感染が発生しています。もともと夏季にも起こりうるノロウィルスによる食中毒でしたが、発生件数が多いこと、そして新たな型のノロウィルスが発見されたことで、「新型ノロウィルス」と呼ばれています。
今後は、さらに変異したノロウィルスになる可能性も秘めていることから、高齢者を介護する立場にある私たち介護士は、より一層ノロウィルスに対する知識を深めておく必要があります。
まだ持っていない資格に興味のある方は、こちらからすべて無料で資料請求ができます。
【介護職員初任者研修】
【介護職員実務者研修】
【介護福祉士】
【ケアマネージャー】
↓ランキングに参加しています^^どちらかポチッと応援のクリックをお願いいたします☆
にほんブログ村
福祉・介護 ブログランキングへ
ノロウィルスは非常に感染力(ウィルス増殖力)が強く、微量のウィルスが付着しただけでも発症するケースがあります。
例年では11月頃からポツポツと感染者の報告が出始めることの多いノロウィルスですが、近年は暖冬の影響もあってか12月に入ってからの報告が多いようです。特に12月〜2月にかけては牡蠣のシーズンですから、それもあってノロウィルスの発生件数が食中毒の中では1番多くなります。
小学校や旅館、ホテルなど、人の多く集まるところでは集団感染のおそれもあるため、介護現場でもノロウィルスが発生したという報告は毎年のように挙がっています。
では、どのようにしてノロウィルスに感染するのか、その感染経路と症状、そしてノロウィルスが発生してしまった場合の対処法や予防法を詳しくご紹介していきます。
ノロウィルスの感染経路
【2枚貝からの感染】
2枚貝は海水に含まれるプランクトンを食べて生きています。プランクトンを食べるときに、周りの海水も一緒に取り込むのですが、その海水の中にノロウィルスが含まれていることがあります。それを繰り返すことで貝の中でノロウィルスが濃縮された状態になり、ノロウィルスを持った2枚貝となります。その2枚貝を生で食べたり、加熱が不十分なまま食べてしまうと、今度が貝から人へとノロウィルスは感染し増殖、発症するとされています。
そもそもなぜ海中に、ノロウィルスが存在するのでしょうか?
そこには、あるサイクルが関係しています。
ノロウィルスを持った2枚貝を人が食べ、感染・増殖したノロウィルスを発症してしまった人の吐物や便は、下水を通って通常と同じように処理施設で処理されます。通常の塩素濃度や浄化設備では死滅しないノロウィルスは、下水処理後も死滅することなく存在し、河川や海への放出されることになるため、その海中にいるノロウィルスを再び2枚貝はプランクトンと一緒に取り込みます。そのようなサイクルを経て、再び人に感染するのです。
ノロウィルスは2枚貝の中では増殖しません。2枚貝はあくまでも器官の中に蓄えているだけの状態で、人の体に入り、小腸内で初めて増殖するのです。増殖したノロウィルスを、排泄物などで再び我々人間が世に送り出しているとは、なんとも皮肉な話です。
ノロウィルスに感染する食品で有名なのは牡蠣ですが、ホタテやハマグリ、アサリ、シジミなどの2枚貝と呼ばれる貝類は、すべてノロウィルスに感染するおそれがあります。このことは意外と知られておらず、たとえばホタテなどを刺身で食べる場合がありますが、食べたホタテがノロウィルスを持っていたら当然感染するおそれがあるということです。アサリやシジミなどは加熱調理して食べることがほとんどなので、感染の危険性は低いとされています。
【人から人への感染】
人に感染したノロウィルスは、他の人にも感染します。小学校などで集団感染がみられるのもそのためです。
ノロウィルスに感染した人の吐物や便が手などに付着してしまうと、その手はノロウィルスに汚染された状態になります。そしてその手で不用意にドアノブなどに触れたりすると、ウィルスがドアノブにも付着します。付着したドアノブは汚染されていますから、そのドアノブをまた別の人が触れてしまうと、今度はその人が触れた物にウィルスはどんどん付着していくことになります。そうやって、ノロウィルスは少しずつ広がっていきます。これを「接触感染」といいます。たとえば調理をする人の手にこのノロウィルスが付着したとイメージしてみましょう。その後どうなるかは、容易に想像できると思います。
もうひとつは、「飛沫感染」と呼ばれるものです。感染者の排泄したトイレや洗面台には、流し切れていないノロウィルスが付着しているおそれがあります。水を流すときに、たとえ微量でも水しぶきがかかったりするタイプの水洗トイレなどは、その水しぶきにもノロウィルスが含まれている可能性がありますので、それが目や口に入ったり、手に付着するとそこからも感染の危険性があります。
さらにノロウィルスの感染でこわいのは「乾燥」です。感染者の吐物などを適切な処理をされないまま片付けられた床やカーペットなどには、ノロウィルスはまだ残っています。それが乾燥して空気中に飛散すると、それを吸い込んだ人が今度は感染するおそれが出てきます。小学校などで集団感染が起こる原因は給食だけではなく、このような「飛沫感染」によって起こるケースも少なくありません。当然、介護施設でも同様のことが言えると思います。
「接触感染」でも「飛沫感染」でも、最初はたとえ微量のノロウィルスが体に入っただけであったとしても、人の体に入ったノロウィルスはその非常に強い増殖力でどんどん増えていきます。始めは100個程度だったノロウィルスが、数時間後には何十万、何百万個という数になるのが、ノロウィルスの怖いところでもあります。
ちなみに、ノロウィルスの発症した方の吐物や便には、1グラム当たり約100万個のウィルスがいるとされています。
ノロウィルスの症状と潜伏期間
通常、ノロウィルスに感染してもすぐに症状が出ることはありません。ノロウィルスには「潜伏期間」というものがあります。人によって個人差はあるものの、通常であれば24〜48時間という潜伏期間を経て発症に至ります。
ですので、たとえ日中は元気でも、夜間になって突然嘔吐や発熱などの症状が出るケースもありますので、ノロウィルスに感染した人と接した場合などは特に注意が必要です。
感染の原因は吐物と便の中にあるノロウィルスのため、潜伏期間中には感染の危険はほとんどないと言われています。
ノロウィルスの主な症状は発熱、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢です。症状の程度は人それぞれで、軽いむかつき程度の場合もあれば、何度もトイレに行くといった場合もあります。症状が重い場合は下痢による脱水症状が出ることもあるため注意が必要です。また、この期間の吐物や便には数億個というノロウィルスが含まれていますので、非常に感染力の強い期間となります。
発症から2〜3日で症状は治まりますが、ノロウィルスの排出はまだ続いています。長い人では1か月近くもウィルスが排出され続ける方もおり、これも個人差があります。
ノロウィルスの対処法
ノロウィルスの発症後はとにかく感染を広げないことが最も重要です。
吐物や便の適切な処理はもちろん、感染者本人もできるだけ人との接触は避けたほうがいいでしょう。
【吐物の処理】
最もノロウィルスの感染源となりやすいのが吐物です。適切に処理しないと、吐物が乾燥して空気中にホコリと一緒に飛散することになります。嘔吐などがあった場合、つい焦って素手のままティッシュペーパーで拭き取ろうとしてしまいがちですが、それは大きな間違いです。
使い捨ての手袋(できれば使い捨てのビニール製のガウンなどもあったほうがよい)と、マスク、ゴミ袋、新聞紙やペーパータオル、バケツ、そして塩素系の漂白剤(ハイター、キッチンハイター)を準備しましょう。ワイドハイターは、酸素系の漂白剤なので使用しないでください。塩素系漂白剤には次亜塩素酸ナトリウムが約5%含まれています。この次亜塩素酸ナトリウムが、ノロウィルスの除菌に効果を発揮します。漂白剤の代わりにより簡単で安全なノロウィルスの除菌にも効果がある「次亜塩素酸水」というものがあれば便利です。
まずはつけ置き用の水を作ります。バケツに5リットルの水と、漂白剤をキャップ2杯(20ml)入れて混ぜます。これで完成です。
次に、使い捨て手袋とビニールガウン、マスクを装着して、ゴミ袋も捨てやすいように広げておきます。ペーパータオルや新聞紙を先ほどの水に浸けて軽く絞り、吐物を真ん中に集めるようにして覆うように拭き取ります。きれいに拭き取ったら、ゴミ袋に入れて袋の口は固く閉じて燃えるゴミとして出します。袋は念のため2重にしておいたほうがいいでしょう。カーペットの場合は、同じ要領である程度吐物を拭き取り、たっぷりと漂白剤入りの溶液を含ませたペーパータオルなどをカーペットに当て、溶液を行き渡らせてから拭き取ります(このとき色落ちするおそれがありますので、できれば次亜塩素酸水のほうが好ましいです)。
衣類やシーツなどに付いた吐物は、ある程度拭き取ってからつけ置きバケツで30分程つけ置きしましょう。色落ちするおそれがありますので、心配な場合は次亜塩素酸水やノロウィルスに効果のあるアルコール消毒液に浸しましょう。その後、水洗いして洗濯します。決して、つけ置きせずにいきなり洗濯機に入れないでください。洗濯層にノロウィルスが付着して2次感染のおそれが出てきます。
【便の処理】
紙オムツやパット類は吐物の処理方法と同様に、ゴミ袋に入れて2重にして捨てます。おしりなどには塩素系の溶液が使えないので、とにかく微温湯できれいに洗浄するしかありません。このとき、使い捨てのおしり拭きなどであればそのまま一緒にゴミ袋に入れて捨ててもいいのですが、下用タオルの場合は配慮が必要です。
感染者に使用した下用タオルは、個別にビニール袋に入れて、毎回個別に袋の口をしっかり閉じて分けて置いておきます。専門の業者に出す際には、「感染症による汚染タオル」などと明記した紙を袋に貼っておくなど、業者の方が分かりやすいようにしておくことで、持ち帰った際に適切な処理をしてくれます。自分で洗って再度使う場合には、ある程度便を洗い落としてから30分以上は溶液につけ置きしておく必要があります。
今の時代、布のオムツを使用しているところは少ないですが、こちらも下用タオルのつけ置きと同じ方法ですいいと思います。
言うまでもないことですが、使い捨ての手袋は一度使ったら必ず捨てましょう。これはノロウィルス対策というよりも、ケアの基本ですね。
ケアに入ったあとは、必ず石鹸と流水できれいに手洗いをします。ノロウィルスの殺菌はできませんが、皮脂汚れと一緒にある程度は洗い落とせるため効果的です。
ノロウィルスの予防法
【こまめに手洗いをする】
一番手軽にできる予防はこまめな手洗いです。石鹸を使って汚れを浮かし、手のしわの間に入り込んだ皮脂汚れと一緒に、ウィルスも洗い落としやすくなります。もちろんこれだけは十分ではありませんが、どんな感染症予防も、まずはこまめに手洗いをするクセをつけることが大切です。その上で、次亜塩素酸水の入ったスプレーを使いましょう。これだけで、ウィルスはほぼ除菌できるとされています。
【適切な吐物・便の処理方法を覚えておく】
ノロウィルスではないにしろ、普段から吐物や便の処理を適切に行うことを意識することはとても大切です。その経験と習慣が「いざというとき」に役に立ちます。ノロウィルスの対策キットがそろっているか、どこに保管してあるか、物品は古くなっていないかなども、日ごろからチェックしておくといいでしょう。
【調理器具などはこまめに殺菌消毒をする】
施設にある調理場などでは、管理栄養士を中心に調理員全員がノロウィルスだけでなく様々な食中毒への対策を意識して調理器具などの殺菌消毒をこまめに行っています。食品や調理器具が感染源となる集団感染ほど被害の大きくなるものはないと知っているからです。グループホームなどでは、介護職員が調理を担当するケースが多いため、日ごろから食品衛生管理者の指導のもとで、まな板や包丁などの調理器具の殺菌消毒が徹底されているところは多いです。口に入れても安心な、スプレータイプの次亜塩素酸水を使って調理器具に吹き付けノロウィルスへの対策を行っているところも今では少なくありません。
【2枚貝をなるべく食べない】
ノロウィルスにかかる原因の多くは牡蠣を食べたことによるウィルス感染です。スーパーなどで「生食用」と書かれている牡蠣でも、ノロウィルスを持った牡蠣は存在します。また、「加熱用」と書かれていても加熱不十分だとやはり感染する危険性は高くなります。牡蠣好きの方には耳の痛い話かもしれませんが、なるべくなら食べないに越したことはありません(とはいえ、あくまでも、自分がウィルスの媒介者になるリスクを下げるためですので、しっかりと加熱調理して食べる分には問題はないとも言えます)。
【免疫力を高めておくこと】
これはすべての感染症に言えることですが、免疫力を高めておくことは非常に大切です。免疫力についてはインフルエンザ対策でご説明していますので、よければ合わせて熟読いただければと思います。
1番のインフルエンザ対策は「〇〇〇〇?」〜前編〜
1番のインフルエンザ対策は「〇〇〇〇?」〜後編〜
2015年、「新型ノロウィルス」というものが出てくるようになりました。症状や対策などは同じなのですが、これまでと違うのは夏季にパンデミックを起こすというもの。去年の8月、保育園やホテルなどでノロウィルスの集団感染が発生しています。もともと夏季にも起こりうるノロウィルスによる食中毒でしたが、発生件数が多いこと、そして新たな型のノロウィルスが発見されたことで、「新型ノロウィルス」と呼ばれています。
今後は、さらに変異したノロウィルスになる可能性も秘めていることから、高齢者を介護する立場にある私たち介護士は、より一層ノロウィルスに対する知識を深めておく必要があります。
まだ持っていない資格に興味のある方は、こちらからすべて無料で資料請求ができます。
【介護職員初任者研修】
【介護職員実務者研修】
【介護福祉士】
【ケアマネージャー】
↓ランキングに参加しています^^どちらかポチッと応援のクリックをお願いいたします☆
にほんブログ村
福祉・介護 ブログランキングへ
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/4496610
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック