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2020年06月17日
『香水 ある人殺しの物語』パトリック・ジュースキントの小説の感想レビュー
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パトリック・ジュースキントの『香水 ある人殺しの物語』をご紹介します。
ずば抜けた臭覚を持つ男のクライム・サスペンスです。
映画にもなった大ベストセラーです。
■ 目 次 ■
18世紀、革命前のパリ。
ジャン=バティスト・グルヌイユは類い稀な臭覚を持っている。
生まれてすぐに母親を失ったため、孤児院の劣悪な環境で孤独の内に成長した。
彼が関心を持っているのは香りのみ。
彼は完全に香りの世界に生きていた。
ある日、彼の臭覚は非常に魅力的な香りの流れを捉えた。
香りの源泉を辿っていくと、少女がいた。
その匂いの原理を我がものとしたい。
そう考えたグルヌイユは衝動的に少女を殺す。
やがて、彼は香水の調合師となった。
彼の作った香水は大評判となるが、グルヌイユは名声や金には興味がなかった。
彼には香りが全てだった‥‥。
(カッパリーナさんによる写真acからの写真)
この小説を読むと、香水についての考え方が変わります。
香水は単なる良い香りのする液体ではなく、
「壮大な交響曲」であり、ひとつの物語です。
「限りなく自由になった心地」「夢のようなこころよさ」、
満開のバラの茂み、鳥のさえずり、甘い夜風、
「魔法の国のような豊かな世界。」に誘われます。
また、
調合師としての技術的なテクニックも興味深いです。
よく知られた蒸留法の他、解離法や冷浸法などの解説もあります。
ちなみに冷浸法は、気温の低い部屋で冷たい油脂を塗った板か布に花を包んで
油脂に匂いを移す方法。4〜5日毎になん十回も花を変えながら、
何ヵ月もかかって、やっと手に入る量はほんの僅か。
でも、ジャスミンや月下香は、そのかぐわしさ、自然らしさの点で
この方法が一番なのだそう。
或いは、
スイートレモンやベルガモット、水仙など、そのまま空気にさらすと
数時間で芳香が失せてしまうものについては、
「早々と消え失せるものに紐をかけ、いわばその自在さをつなぎとめる。
とはいえ、自在さをきつく縛り上げては何にもならない。」
「そこで少々のシベットとヴァニラ、ラグナムゴム、糸杉のエキスを加えて固定」。
そして、宝石の利用の仕方と同じように、
麝香、シナモン、竜涎香のような半永久的ににおい続けるものと一緒に
色々な匂いで王冠を作るというのです。
香水の世界は、実に幻想的で、魅惑的な世界ですね。
なんだか今すぐ香水を買いに行きたくなりました(笑)。
(おかよんさんの写真ACからの写真 )
2006年トム・ティクヴァ監督により映画化されました。
ドイツ・フランス・スペイン合作映画。
映画キャストは以下の通り。
グルヌイユ : ベン・ウィショー(佐藤淳)
グルヌイユが弟子入りする調合師バルディーニ : ダスティン・ホフマン(谷口節)
リシ : アラン・リックマン(五王四郎)
ローラ : レイチェル・ハード=ウッド(世戸さおり)
ナレーション : ジョン・ハート(納谷六朗)
映像ではとらえられない香りをテーマにしていますが
香りの表現は上手いなあと思いました。
ストーリーは原作に忠実です。
主役のベン・ウィショーは、この映画で初めて見たけど、
ある意味純粋無垢なグルヌイユを巧みに演じていて
グルヌイユに同情したくなります。
以下ネタバレですので、ネタバレ大丈夫な方のみ
文字の色を反転させてお読みくださいね。
少女の匂いにとりつかれたグルヌイユは、その香りを手に入れるため
次々に殺人を繰り返します。
そして、とうとう究極の香りを手にすることができます。
しかし、殺人罪で逮捕され、処刑されることに。
処刑当日、グルヌイユは自分で作った究極の香水を自分に振りかけます。
すると、殺人者への憎悪に沸いていた観衆が豹変。
手のひらを返したように、グルヌイユ好意を表します。
からくも極刑を逃れたグルヌイユ。しかし、子供の頃から
他人から一度も好意を向けられたことがない彼にとって
好意は理解できないものでした。
人々が彼に与えるものは憎しみしか知りません。
結局は自分を破滅させることが彼の望みとなりました。
究極の香りが完成した以上、もうこの世に興味はありませんでした。
グルヌイユが不憫なんですよね〜、このラスト。
望み通り旅立ったグルヌイユに、取り残されたような読後感でした。
香りというとらえがたいテーマを扱った
非常にユニークなクライム・サスペンスです。
香りの表現は凄くロマンティックで優雅ですが
18世紀パリの劣悪な環境や、倫理観は悪臭ふんぷんたるもの。
この小説『香水 ある人殺しの物語』は、甘美な夢と残酷な人間社会を描いた物語です。
※最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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パトリック・ジュースキントの『香水 ある人殺しの物語』をご紹介します。
ずば抜けた臭覚を持つ男のクライム・サスペンスです。
映画にもなった大ベストセラーです。
■ 目 次 ■
あらすじ
18世紀、革命前のパリ。
ジャン=バティスト・グルヌイユは類い稀な臭覚を持っている。
生まれてすぐに母親を失ったため、孤児院の劣悪な環境で孤独の内に成長した。
彼が関心を持っているのは香りのみ。
彼は完全に香りの世界に生きていた。
ある日、彼の臭覚は非常に魅力的な香りの流れを捉えた。
香りの源泉を辿っていくと、少女がいた。
その匂いの原理を我がものとしたい。
そう考えたグルヌイユは衝動的に少女を殺す。
やがて、彼は香水の調合師となった。
彼の作った香水は大評判となるが、グルヌイユは名声や金には興味がなかった。
彼には香りが全てだった‥‥。
香水という、甘美な夢の世界
(カッパリーナさんによる写真acからの写真)
この小説を読むと、香水についての考え方が変わります。
香水は単なる良い香りのする液体ではなく、
「壮大な交響曲」であり、ひとつの物語です。
「限りなく自由になった心地」「夢のようなこころよさ」、
満開のバラの茂み、鳥のさえずり、甘い夜風、
「魔法の国のような豊かな世界。」に誘われます。
また、
調合師としての技術的なテクニックも興味深いです。
よく知られた蒸留法の他、解離法や冷浸法などの解説もあります。
ちなみに冷浸法は、気温の低い部屋で冷たい油脂を塗った板か布に花を包んで
油脂に匂いを移す方法。4〜5日毎になん十回も花を変えながら、
何ヵ月もかかって、やっと手に入る量はほんの僅か。
でも、ジャスミンや月下香は、そのかぐわしさ、自然らしさの点で
この方法が一番なのだそう。
或いは、
スイートレモンやベルガモット、水仙など、そのまま空気にさらすと
数時間で芳香が失せてしまうものについては、
「早々と消え失せるものに紐をかけ、いわばその自在さをつなぎとめる。
とはいえ、自在さをきつく縛り上げては何にもならない。」
「そこで少々のシベットとヴァニラ、ラグナムゴム、糸杉のエキスを加えて固定」。
そして、宝石の利用の仕方と同じように、
麝香、シナモン、竜涎香のような半永久的ににおい続けるものと一緒に
色々な匂いで王冠を作るというのです。
香水の世界は、実に幻想的で、魅惑的な世界ですね。
なんだか今すぐ香水を買いに行きたくなりました(笑)。
(おかよんさんの写真ACからの写真 )
映画「パフューム ある人殺しの物語」
2006年トム・ティクヴァ監督により映画化されました。
ドイツ・フランス・スペイン合作映画。
映画キャストは以下の通り。
グルヌイユ : ベン・ウィショー(佐藤淳)
グルヌイユが弟子入りする調合師バルディーニ : ダスティン・ホフマン(谷口節)
リシ : アラン・リックマン(五王四郎)
ローラ : レイチェル・ハード=ウッド(世戸さおり)
ナレーション : ジョン・ハート(納谷六朗)
映像ではとらえられない香りをテーマにしていますが
香りの表現は上手いなあと思いました。
ストーリーは原作に忠実です。
主役のベン・ウィショーは、この映画で初めて見たけど、
ある意味純粋無垢なグルヌイユを巧みに演じていて
グルヌイユに同情したくなります。
ネタバレ(↓↓↓)
以下ネタバレですので、ネタバレ大丈夫な方のみ
文字の色を反転させてお読みくださいね。
少女の匂いにとりつかれたグルヌイユは、その香りを手に入れるため
次々に殺人を繰り返します。
そして、とうとう究極の香りを手にすることができます。
しかし、殺人罪で逮捕され、処刑されることに。
処刑当日、グルヌイユは自分で作った究極の香水を自分に振りかけます。
すると、殺人者への憎悪に沸いていた観衆が豹変。
手のひらを返したように、グルヌイユ好意を表します。
からくも極刑を逃れたグルヌイユ。しかし、子供の頃から
他人から一度も好意を向けられたことがない彼にとって
好意は理解できないものでした。
人々が彼に与えるものは憎しみしか知りません。
結局は自分を破滅させることが彼の望みとなりました。
究極の香りが完成した以上、もうこの世に興味はありませんでした。
グルヌイユが不憫なんですよね〜、このラスト。
望み通り旅立ったグルヌイユに、取り残されたような読後感でした。
ま と め
香りというとらえがたいテーマを扱った
非常にユニークなクライム・サスペンスです。
香りの表現は凄くロマンティックで優雅ですが
18世紀パリの劣悪な環境や、倫理観は悪臭ふんぷんたるもの。
この小説『香水 ある人殺しの物語』は、甘美な夢と残酷な人間社会を描いた物語です。
※最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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