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2020年02月15日
ゴーリー『ジャンブリーズ』は不気味で楽しい荒唐無稽な冒険の絵本の感想
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今回は、前回ご紹介したエドワード・ゴーリーの別の作品『ジャンブリーズ』を
ご紹介します。
こちらは、文章はエドワード・リア。
絵は、エドワード・ゴーリーです。
この二人のコラボはどんな化学反応を発生させているでしょうか。
あらすじ
「うみなかなたのそらとおく
ジャンブリーズのすむという
あたまはみどり てはあおく
ふるいにのってふなでした。」
「ふるいのふねでふなでした」(本文抜粋)
ジャンブリーズは謎の生命体?で正体は分かりません。
100年位前のイギリス風の装いの人々が
ドレスやシルクハット、タキシードに身を包んで
小さなふるいの船で、西の海へとワクワクと冒険の旅に出る物語です。
(「ふるい」って、若い方はご存じでしょうか?
円柱状で底が網になっている道具で、
粉などをその網目を通すことによってより分けるものです。
底が網なので、当然船にはなりませんwww)
文章はエドワード・リア
エドワード・リアは1812年生まれのイギリスの詩人。
ダービー伯爵に雇われて、伯爵の孫たちのために
滑稽な詩や絵を描いていたそう。
今回の詩は、スタイルは5行脚韻詩というそうで
リズミカルで音楽的な詩です。
例えば、冒頭はこんな感じです。
They went to sea in a Sieve ,they did,
In a Sieve they went to sea:
In spite of all their friends could say,
On a winter's morn, on a stormy day,
In a Sieve they went to sea!
英語と日本語訳が両方記載されているので、両方が楽しめます。
絵はエドワード・ゴーリー
ゴーリーの絵はいつも通りダークで不気味ですが
この絵本では、可笑しさとウキウキするような楽しさも漂っています。
未知の世界へ向けて、
荒唐無稽な旅をする人々がとても楽しそうに描かれています。
日本語訳は柴田元幸
上田敏の「やまのあなたのそらとおく」という有名な訳文への
オマージュが感じられる楽しい日本語訳がついています。
七五調の訳なので声に出して読みたくなります。
まとめ
エドワード・リアのナンセンスな詩と
エドワード・ゴーリーの不気味な絵は
不条理で滑稽な所が非常に相性が良く、
とっても素敵なコラボ作品になっています。
長い間沢山の人々に愛されている、大人が楽しめる絵本です。
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※最後まで読んでいただきましてありがとうございました(*^▽^*)
2020年02月13日
『ギャシュリークラムのちびっ子たち』は、ゴーリーの一番怖い絵本の感想
ギャシュリークラムのちびっ子たち または遠出のあとで [ エドワード・ゴーリー ]
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ゴーリーの代表作『ギャシュリークラムのちびっ子たち』は
「Aはエイミー かいだんおちた」
「Bはベイジル くまにやられた」
こんな風に、アルファベット順に子供の死に様が描かれている絵本です。
絵は全て白黒で登場人物はレトロなアールヌーボーの装い。
ゴーリーはアメリカの作家ですが
絵柄は100年位昔のイギリスを彷彿とさせます。
ゴーリーを未読の方は、
まず初めにこの絵本を読んでみてはいかがでしょうか。
ゴーリーの常習性
私は最初にこの本を開いたとき
余りに怖くて気持ち悪くて、最後まで読めませんでした(/´△`\)
でも数週間後、再び手に取って読んでしまった……。
なぜだろう?
ゴーリーの絵本には、不思議な魅力があるんです。
不可思議でナンセンス、不気味でグロテスク、
そこはかとなく漂うブラックなユーモアセンス。
描かれているのは、非常に原始的でどこか子供じみた恐怖。
子供の頃家族皆が寝静まった夜中にふと目が覚めて
真っ暗闇の中で感じた恐怖…そんな恐怖を思い出しました。
ゴーリーの絵本って、どういう訳か癖になるんですよね。
この本は電子書籍じゃなくて
是非紙媒体の本を手にしていただけたらなあと思います。
きっとその方がゴーリーの魅力が伝わると思います。
英語と日本語訳が両方記載されている
この本は英語と日本語が両方記載されているので
両方の言語の意味合いやリズム、雰囲気が楽しめます。
柴田元幸氏の訳も秀逸です。
シンプルでリズミカルで、声に出して読みたくなります。
内容は悲惨だけど…(((^^;)。
ゴーリー自身も個性的で魅力的
生前のゴーリーはニューヨーク在住で
毎晩全身頭のてっぺんから足の先まで純白の装いで
全ての指に指輪を着けてミュージカル劇場に出掛けていたそう。
親しい友人が亡くなってからは
田舎に引っ越して猫たちと暮らしていたそうです。
ゴーリーの沼にはまりそうな方には
ゴーリーの沼にはまりそうな匂いがするけど
ちょっと『ギャシュリークラムのちびっ子たち』は怖すぎるので
もう少し軽めの作品が良いかも?という方には
彼の他の作品もご紹介したいと思います。
ゴーリーには楽しい絵本もあります。
例えば『ジャンブリーズ』は、愉快で不条理なファンタジー絵本です。
『ジャンブリーズ』の訳も柴田元幸氏ですが、語呂が良くて
頭の中でぐるぐるヘビロテしちゃう楽しい日本語訳なのです。
キモカワ?な不思議な生き物登場する『うろんな客』も
ダークで愉快な楽しい絵本です。
ゴーリーの明るい絵本を読みたいなら
ユーモラスな猫が登場する『キャッテゴーリー』も良いかもです。
どの本も短くて小さな絵本ですが、存在感はめっちゃあるし、
何とも言えない不思議な読後感が残ります(笑)。
ギャシュリークラムのちびっ子たち または遠出のあとで [ エドワード・ゴーリー ]
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※最後まで読んでいただきましてありがとうございました(*^▽^*)