2014年03月16日
A371・「津波の高さ」と「避難」
1、「沿岸」の津波高さと「海岸」の津波高さ
「東日本大震災で気象庁が津波の高さを過少に評価した津波警報を出したため、妻が逃げ遅れて死亡した」として損害賠償を求める訴えが起こされ、司法の場で警報の在り方が問われることになった。という新聞記事を目にしました。
3年前の3月11日! 大地震に続く大津波が東北地方の太平洋岸を襲った!と速報で知った時、遠く離れた所にいた私は「三陸の人たちは津波への備えが他の地区より最も進んでいるだろうから人的被害は少ないのでは・・」と願ったのですが、続く報道によって無残にも打ち砕かれました。
大震災発生後2日経ち3日経ち、現地の様子が次々と伝えられる中に
「最初は2mとか3mとか」と知らされ、「すぐ逃げる!」という気分ではなかった
「高い防潮堤があるから、津波は大丈夫と思っていた」
「避難の前に身辺を片付けて・・」と思っていた
などなどの体験話があって、イザ!の時の人々の微妙な心理を思わせられました。
浜辺に出される津波警報は「誰が」「どの様な情報を」「どのような方法で」・・について、
割り切れない思いでいます。
気象庁から「沿岸に到達する津波高さは岩手県3m、宮城県3m・・」の警報が出たとします。
岩手県の各湾や入江の奥、浜辺で「気象庁津波警報3m」で放送されると、「その位か!」と思ってしまう人が少なくないでしょうが、実際は奥が狭まっている入江では津波高さは2倍にも3倍にもなるでしょうし、
「この入江の浜辺に10mの防潮堤があって、3倍としても9mだから安心だ!」という考えは極めて危険で、9mの津波の先端が防潮堤に猛スピードでぶつかると、続いて押し寄せる莫大な量の海水が交通渋滞を起こす如く行き場を失い、せり上がり、防潮堤を乗り越えて人々を襲ってくる!
と考えるのが正解だと思っています。
これが「津波!」であり、「波浪」との違いだと思うからです。
新聞やテレビで報じる「津波の高さ」は、前後の関係から類推しても、湾の外なのか、湾内の海岸線なのかを伺えないことが多くありました。
さらに恐ろしいのは「津波と波浪が混同されている!」と思われるような解説、報道が多々見られることです。
「津波とは?」「津波の高さとは?」
私たち一般人に対して、改めて正しい理解と、避難の心構えを徹底する様にしていただきたいと願うのです。
これが行政の責務であり、
識者・専門家、報道機関が注力すべき職務であろうと思います。
気象庁は警報の出し方を見直しているそうですが是非そうあってほしいと思いますし、
各自治体では、気象庁の警報を各浜辺での予想高さに翻訳して、実際に来るであろう津波高さを警報として出すのが筋だと思うのです。(実態がこうであるのなら、私の誤解ですので謝ります)
「津波の高さ」では
気象庁発表の「沿岸での津波高さ」と、本来必要な「人がいる海岸での津波高さ」が混同されているように思われるのです。(私だけの誤解ならば、お詫びします)
気象庁のホームページによると「気象庁は地震が発生した時は、地震の規模や位置を推定し、これをもとに沿岸で予想される津波の高さを求め、・・・津波予報区単位で発表する」とあります。
「津波予報区」とは?
本州太平洋岸は北から「青森県太平洋沿岸」「岩手県」「宮城県」「福島県」「茨城県」「千葉県九十九里・外房」「千葉県内房」・・・とされています。
湾や入江の入り口での津波高さ(これが気象庁の沿岸波高に近いと思います)は、
湾内の地形とかによって急に高さを増し、2倍にも3倍にもなると言われています。
地震災害、避難の要否で必要な情報は、例えば三陸海岸の入り組んだ海岸線、人がいる所の津波高さのはずです。
気象庁発表の「沿岸に到達する予想高さ」は「岩手県」「宮城県」の如く県単位の広がりを持っていま。「沿岸」とは「海岸」から見て湾や入江の入口付近と理解されます。大陸棚とか海岸の地形の影響を受けない、津波予報区として条件が同じ「海岸から離れた沖合の沿岸線」と見なされます。(と、考えていますが、誤りでしょうか?)
個々の浜、海岸での津波高さはそれぞれかなりの違いがあるのだろうと思われます。警報はこの地区ごとに発せられるのが理想と思いますが実態はどうなのでしょうか。
2、「津波」と「波浪」の混同?
「予想される津波高さは10m、従って防潮堤の計画高さを12mにすれば安全だ」
と言った類の話をよく見聞きします。
「波浪」ならばこうも言えるでしょうが。「津波」に対しては極めて危険と思います。
というよりも、誤りと言った方が適切だろうと思います。
海岸到達高さHmと波長に見合った莫大な量の海水が、猛スピード(例えば200Km/h)で防潮堤に激突します。先端の海水は瞬時に速度0Km/hとなり、非圧縮性の後続の海水は交通渋滞で速度を落とし上方にせりあがることでしょう(一部は側方に回り込むなど)。速度のエネルギーは減少し、位置のエネルギーが増大し、一部は熱エネルギーに変わると考えられます。
衝突前の津波高さがHmの津波が(H+h)m高さの防潮堤を乗り超えて人々に襲い掛かることは容易にあり得ると予想されます。
ここが波浪と決定的に違うことで、具体的にどの高さまでせり上がるかは津波の持つエネルギーから計算されるだろうと思います。
基本的には
(津波のエネルギー)=
(位置のエネルギー;波の高さ)+(速度のエネルギー;1/2g*速度の二乗)
実際は熱エネルギーへの変換などがありますが省略します。
・海上(沿岸)での津波高さと海岸での津波高さは異質なものと思います。
・海岸に到達した津波は防潮堤など障害物に当たると、せりあがって高さを増します。
・障害物に当たるとエネルギーの一部が熱エネルギーに変わり、津波の破壊力は減衰します。
・抵抗の少ない河川などを遡った津波は、驚くほど遠方まで到達し得ることでしょう。
津波の痕跡調査で見付かった山奥の痕跡の高さを短絡的に津波高さに結びつけるのは過剰な対策を求めることになりかねません。
河口での速度(速度のエネルギー)と途中の抵抗(熱エネルギーへの変換)、痕跡地の高さなどから河口での津波高さを求める手順がオーソドックスなのだろうと思ったりします。
これら海岸での津波高さ、障害物に当たった時のせり上がり高さ、破壊力などは動水力学的にエネルギー解析されるものと考えますが、その文献に出合えずにいます。
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「東日本大震災で気象庁が津波の高さを過少に評価した津波警報を出したため、妻が逃げ遅れて死亡した」として損害賠償を求める訴えが起こされ、司法の場で警報の在り方が問われることになった。という新聞記事を目にしました。
3年前の3月11日! 大地震に続く大津波が東北地方の太平洋岸を襲った!と速報で知った時、遠く離れた所にいた私は「三陸の人たちは津波への備えが他の地区より最も進んでいるだろうから人的被害は少ないのでは・・」と願ったのですが、続く報道によって無残にも打ち砕かれました。
大震災発生後2日経ち3日経ち、現地の様子が次々と伝えられる中に
「最初は2mとか3mとか」と知らされ、「すぐ逃げる!」という気分ではなかった
「高い防潮堤があるから、津波は大丈夫と思っていた」
「避難の前に身辺を片付けて・・」と思っていた
などなどの体験話があって、イザ!の時の人々の微妙な心理を思わせられました。
浜辺に出される津波警報は「誰が」「どの様な情報を」「どのような方法で」・・について、
割り切れない思いでいます。
気象庁から「沿岸に到達する津波高さは岩手県3m、宮城県3m・・」の警報が出たとします。
岩手県の各湾や入江の奥、浜辺で「気象庁津波警報3m」で放送されると、「その位か!」と思ってしまう人が少なくないでしょうが、実際は奥が狭まっている入江では津波高さは2倍にも3倍にもなるでしょうし、
「この入江の浜辺に10mの防潮堤があって、3倍としても9mだから安心だ!」という考えは極めて危険で、9mの津波の先端が防潮堤に猛スピードでぶつかると、続いて押し寄せる莫大な量の海水が交通渋滞を起こす如く行き場を失い、せり上がり、防潮堤を乗り越えて人々を襲ってくる!
と考えるのが正解だと思っています。
これが「津波!」であり、「波浪」との違いだと思うからです。
新聞やテレビで報じる「津波の高さ」は、前後の関係から類推しても、湾の外なのか、湾内の海岸線なのかを伺えないことが多くありました。
さらに恐ろしいのは「津波と波浪が混同されている!」と思われるような解説、報道が多々見られることです。
「津波とは?」「津波の高さとは?」
私たち一般人に対して、改めて正しい理解と、避難の心構えを徹底する様にしていただきたいと願うのです。
これが行政の責務であり、
識者・専門家、報道機関が注力すべき職務であろうと思います。
気象庁は警報の出し方を見直しているそうですが是非そうあってほしいと思いますし、
各自治体では、気象庁の警報を各浜辺での予想高さに翻訳して、実際に来るであろう津波高さを警報として出すのが筋だと思うのです。(実態がこうであるのなら、私の誤解ですので謝ります)
「津波の高さ」では
気象庁発表の「沿岸での津波高さ」と、本来必要な「人がいる海岸での津波高さ」が混同されているように思われるのです。(私だけの誤解ならば、お詫びします)
気象庁のホームページによると「気象庁は地震が発生した時は、地震の規模や位置を推定し、これをもとに沿岸で予想される津波の高さを求め、・・・津波予報区単位で発表する」とあります。
「津波予報区」とは?
本州太平洋岸は北から「青森県太平洋沿岸」「岩手県」「宮城県」「福島県」「茨城県」「千葉県九十九里・外房」「千葉県内房」・・・とされています。
湾や入江の入り口での津波高さ(これが気象庁の沿岸波高に近いと思います)は、
湾内の地形とかによって急に高さを増し、2倍にも3倍にもなると言われています。
地震災害、避難の要否で必要な情報は、例えば三陸海岸の入り組んだ海岸線、人がいる所の津波高さのはずです。
気象庁発表の「沿岸に到達する予想高さ」は「岩手県」「宮城県」の如く県単位の広がりを持っていま。「沿岸」とは「海岸」から見て湾や入江の入口付近と理解されます。大陸棚とか海岸の地形の影響を受けない、津波予報区として条件が同じ「海岸から離れた沖合の沿岸線」と見なされます。(と、考えていますが、誤りでしょうか?)
個々の浜、海岸での津波高さはそれぞれかなりの違いがあるのだろうと思われます。警報はこの地区ごとに発せられるのが理想と思いますが実態はどうなのでしょうか。
2、「津波」と「波浪」の混同?
「予想される津波高さは10m、従って防潮堤の計画高さを12mにすれば安全だ」
と言った類の話をよく見聞きします。
「波浪」ならばこうも言えるでしょうが。「津波」に対しては極めて危険と思います。
というよりも、誤りと言った方が適切だろうと思います。
海岸到達高さHmと波長に見合った莫大な量の海水が、猛スピード(例えば200Km/h)で防潮堤に激突します。先端の海水は瞬時に速度0Km/hとなり、非圧縮性の後続の海水は交通渋滞で速度を落とし上方にせりあがることでしょう(一部は側方に回り込むなど)。速度のエネルギーは減少し、位置のエネルギーが増大し、一部は熱エネルギーに変わると考えられます。
衝突前の津波高さがHmの津波が(H+h)m高さの防潮堤を乗り超えて人々に襲い掛かることは容易にあり得ると予想されます。
ここが波浪と決定的に違うことで、具体的にどの高さまでせり上がるかは津波の持つエネルギーから計算されるだろうと思います。
基本的には
(津波のエネルギー)=
(位置のエネルギー;波の高さ)+(速度のエネルギー;1/2g*速度の二乗)
実際は熱エネルギーへの変換などがありますが省略します。
・海上(沿岸)での津波高さと海岸での津波高さは異質なものと思います。
・海岸に到達した津波は防潮堤など障害物に当たると、せりあがって高さを増します。
・障害物に当たるとエネルギーの一部が熱エネルギーに変わり、津波の破壊力は減衰します。
・抵抗の少ない河川などを遡った津波は、驚くほど遠方まで到達し得ることでしょう。
津波の痕跡調査で見付かった山奥の痕跡の高さを短絡的に津波高さに結びつけるのは過剰な対策を求めることになりかねません。
河口での速度(速度のエネルギー)と途中の抵抗(熱エネルギーへの変換)、痕跡地の高さなどから河口での津波高さを求める手順がオーソドックスなのだろうと思ったりします。
これら海岸での津波高さ、障害物に当たった時のせり上がり高さ、破壊力などは動水力学的にエネルギー解析されるものと考えますが、その文献に出合えずにいます。
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